
和・洋・中を問わず、おかずにもお菓子にも使われる食材である「たまご」。
価格が安定しており、さらに栄養豊富なイメージがあるため、「完全栄養食」といわれることも。
今回はたまごの栄養素や食べ方、健康とのかかわりについて紹介します。
Contents
たまごの栄養価の特徴
たまごは「たんぱく質源」となる食品
たまごに含まれる主な栄養素は「たんぱく質」です。
たんぱく質は全身の細胞の材料となる重要な栄養素のひとつ。
たんぱく質はアミノ酸が鎖のようにつながった構造をしていますが、そのアミノ酸の中でも体内で作り出すことのできない「必須アミノ酸」は、毎日の食事から十分にとる必要があります。
ヒトが必要とする量に対し、その食品に必須アミノ酸がどれだけ十分に含まれているかといった「たんぱく質の質」を表す「アミノ酸スコア」という指標があります。
たまごのアミノ酸スコアは「100」となっており、良質なたんぱく質食品です。
ほかのたんぱく源と比較してみると…
主にたんぱく質の摂取源となる食品には、たまごのほかに肉類、乳類や魚介類が含まれます。
これらの食品もアミノ酸スコアは100となっていますが、この中で、たまごにどのような特徴があるか見ていきましょう。
牛乳 | たまご(全卵) | 豚肉(肩ロース) | |
エネルギー | 67kcal | 151kcal | 253kcal |
水分 | 87.4g | 76.1g | 62.6g |
たんぱく質 | 3.3g | 12.3g | 17.1g |
脂質 | 3.8g | 10.3g | 19.2g |
コレステロール | 12㎎ | 420㎎ | 69㎎ |
炭水化物 | 4.8g | 0.3g | 0.1g |
ビタミンA | 38㎍RAE | 150㎍RAE | 6㎍RAE |
ビタミンD | 0.3㎍ | 1.8㎍ | 0.3㎍ |
ビタミンE | 0.1mg | 1.0mg | 0.4mg |
ビタミンK | 2㎍ | 13㎍ | 2㎍ |
ビタミンB1 | 0.04mg | 0.06mg | 0.63mg |
ビタミンB2 | 0.15mg | 0.43mg | 0.23mg |
ビタミンB12 | 0.3㎍ | 0.9㎍ | 0.5㎍ |
葉酸 | 5㎍ | 43㎍ | 2㎍ |
パントテン酸 | 0.55mg | 1.45mg | 1.18mg |
ビオチン | 1.8㎍ | 25.4㎍ | – |
カルシウム | 110mg | 51mg | 4mg |
鉄分 | 0mg | 1.8mg | 0.6mg |
*100gあたり 文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」より作成 |
※横スクロールで表全体の確認が可能です。
■エネルギー(カロリー)は肉類と牛乳の中間
食品は一般的に水分の割合が高くなるほどエネルギー(カロリー)が低く、脂質が多いほどエネルギー(カロリー)が高くなります。
たまごのエネルギー(カロリー)は液状で水分の多い牛乳と、固形の肉類の間くらい。
たまごはたんぱく質の量のわりに脂質が少なく、比較的「高たんぱく低脂質」な食品といえそうです。
■各種ビタミン・ミネラルが豊富
牛乳や豚肉に比べると、たまごはビタミンAをはじめとしたビタミン類、鉄分といった栄養素を比較的多く含んでいます。
エネルギー(カロリー)は低くビタミンなどの栄養素が豊富なため、「完全栄養食品」などと呼ばれるのはこのためかもしれませんね。
いっぽう、この表の比較でいうと、ビタミンB1は豚肉が、カルシウムは牛乳が圧倒的に多く含んでいます。
野菜などに含まれるビタミンCは、たまごをはじめ肉にも牛乳にもほとんど含まれていません。
たまごは栄養素が豊富に含まれている食品ではあるものの、たまごだけですべての栄養素がまかなえる、というものではないようです。
■コレステロールも多い
たまごは日常的に食べる食品の中でも特にコレステロールを多く含む食品です。
食品に含まれるコレステロールは血中LDLコレステロール値に影響することから、「たまごは1日1個まで」といわれることも。
血液検査で問題のない人はさほど気にする必要はありませんが、血中コレステロール値が気になる人にとっては注意が必要な場合もあります。
たまごに含まれるコレステロールと脂質異常症について詳しく解説した記事はこちら |
たまごを使ってバランスのとれた食生活にするコツ
たまごは脂質、炭水化物、食物繊維などが少ない
たまごは完全栄養食ともいわれますが、たまご「だけ」ではヒトの体に必要な栄養素をとり切ることができません。
具体的には、
・肉や魚の脂身、油脂類に多い脂質
・穀類などに多い炭水化物
・穀類、野菜類、きのこ類などに多い食物繊維
・野菜、果物などに多いビタミンC
などの栄養素をとるのにたまごはあまり適していません。
よって、バランスのとれた食事には、たまごに足りない栄養素を補えるものがおすすめです。
たまごをメインのおかずとした場合、主食となるごはんやパンなどの穀類、副菜としての野菜のおかず、適度な油脂類を加えることで、バランスのとれた食事にすることができますよ。
栄養満点でも偏った食事はNG
また、たまごは優秀なたんぱく質源ですが、たんぱく源となる食品の中でも、脂質やカルシウム・一部のビタミンが少なく、コレステロールが多いという特徴があります。
コレステロールをとりすぎないようにしながらたまごに少ないカルシウムやビタミン類などを効率的にとることを考えると、毎日・毎食たまご!とするのではなく、適度に肉類や魚介類を取り混ぜていくのがおすすめです。
栄養豊富な食品でも、これだけ食べていればよい、というものでもないのです。
色の違い・保存法…たまごの疑問点いろいろ
殻や黄身の色で栄養価は変わるの?
たまごはものによって殻の色や黄身の色味に違いがありますが、殻や黄身の色が異なることで栄養価に違いは出るのでしょうか?
■黄身の色と栄養価
赤みがかった濃い色の黄身のたまごを見ると、なんとなく「おいしそう」「栄養がたっぷり」に見えますが、黄身の色は栄養価とはかかわりがなく、たまごを産んだ鶏の食べていた「えさ」の色がたまごに移行しているだけなのです。
通常、鶏のエサはトウモロコシなどを与えていますが、その場合の卵の黄身の色は黄色です。
パプリカなどの赤色のえさを与えると黄身は赤みがかった色になるそうです。
トウモロコシやパプリカを少なく、色素の少ないコメなどを餌として与えたたまごの黄身は白っぽくなることが分かっています。
■殻の色と栄養価
殻の白いたまごと茶色いたまご。
どちらもたまご売り場で見かけますが、殻の色は栄養価や餌の色素とは関係なく、たまごを産むにわとりの「品種」によって変わるものです。
名前のついたブランドたまごに茶色たまごが多いことから、茶色たまごのほうがいいというイメージがついたと考えられていますが、殻の色が茶色だからと言ってかならずしもブランド卵というわけではなく、味や栄養価と殻の色とには直接の関係はありません。
保存方法と賞味期限について
販売されているときは常温の場合も多い卵ですが、家庭での保管は冷蔵保存が原則で、たまごの賞味期限も家庭では冷蔵保存される前提で設定されています。
また、保存するときはたまごのとがったほうを下にしたほうがより長く鮮度を保てます。
たまごの賞味期限は生ものとしては長いほうですが、それゆえに気が付いたら期限切れになっていた!ということも。
しかし、たまごの賞味期限は生で食べることを想定して決められており、しっかり加熱すれば、多少期限が切れていてもすぐに捨てる必要があるものではありません。
気になる人は食べる前に見た目やにおいに異変がないかを確認するようにしましょう。
まとめ
便利で栄養豊富なたまごを活用しよう!
コレステロールなどの不安を持たれることもあるたまごですが、安価で保存もきく優秀な食材です。
食べすぎには注意が必要ですが、上手に活用することで自炊の強い味方になってくれそうですね。
参考文献 文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」 |