2020.06.05

コレステロールが高い…食事で下げられる?|管理栄養士執筆

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健康診断結果イメージ

なんとなく体に良くないイメージの「コレステロール」。
いくつかの種類があるうえ、高いと悪いものや低いと悪いものなど、健康診断結果の読み方も難しいのが難点です。

健康診断でわかるコレステロールとは何か、数値を改善するためのポイントを紹介します。

コレステロールとは?高い・低いでどう悪い?

コレステロールとは

コレステロールとはそもそも何なのでしょうか?

■コレステロール

人間の体の中の脂質のひとつで、細胞膜・ホルモン・消化液などの材料になりますが、健康診断等で注目されるのは、血管内に存在するコレステロールの数値です。

血液中では、コレステロールはリポたんぱく質と結合して移動しており、結合するリポたんぱく質の種類(VLDL、LDL、HDL、IDLなど)によって呼び名や血管内でのはたらきが変わります。

■LDLコレステロール

肝臓のコレステロールを体全体に運ぶ役割を持つLDL(低比重リポたんぱく質)とコレステロールが結合したものを指します。

血液中の濃度が高いと血管の劣化である動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めるため、「悪玉コレステロール」といわれることもあります。

■HDLコレステロール

血管内のコレステロールを回収し、肝臓に戻す働きを持つHDL(高比重リポたんぱく質)とコレステロールが結合したもの指します。

血液中の濃度が低いと動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳梗塞のリスクとなるため、一定以上の存在が望ましいことから、「善玉コレステロール」ともいわれます。

健康診断結果の読み方

日本人間ドック学会の2020年度判定区分表では、それぞれ、以下のように判定されます。

■LDLコレステロール

■基準値…60~119㎎/dL

■軽度異常…120~139㎎/dL

■要経過観察…140~179㎎/dL(生活改善・再検査)

■要治療・要精密検査…59㎎/dL以下、180㎎/dL以上

■HDLコレステロール

■基準値…40㎎/dL以上

■軽度異常…項目なし

■要経過観察…35~39㎎/dL(生活改善・再検査)

■要治療・要精密検査…34㎎/dL以下

「脂質異常症」はどこから?

糖尿病や高血圧に並んで「生活習慣病」のひとつである脂質異常症。
文字通り脂質の代謝に異常がみられる状態を指し、血中の中性脂肪、LDLコレステロール、HDLコレステロールの値が基準となります。

■LDLコレステロール140㎎/dL以上(高LDLコレステロール血症)

■HDLコレステロール40㎎/dL未満(低HDLコレステロール血症)

■中性脂肪(トリグリセライド)150㎎/dL以上(高トリグリセライド血症)

このうちいずれかに当てはまる場合は脂質異常症と診断されるため、要経過観察の範囲であっても長期にわたると生活習慣病と診断される可能性もあります。

いわゆる「メタボ」とは…

肥満に加えて血中HDLコレステロールなどの脂質代謝、糖代謝、血圧、喫煙習慣のうちリスクが2つ以上ある状態になると、「メタボリックシンドローム」、いわゆる「メタボ」と診断されます。
*)メタボリックシンドローム診断基準検討委員会. メタボリックシンドロームの定義と診断基準. 日本内科学会雑誌; 2005;94:188-203.

メタボの定義

メタボの診断においてはLDLコレステロールは項目に含まれません。
とはいえ、血中のLDLコレステロールが高いことも動脈硬化にかかわるものですので、全く関係がないというわけではありません。

自覚症状はなくとも、将来的には…

血中LDLコレステロールが高すぎたり、血中HDLコレステロールが低すぎたりする脂質異常症のほか、複数のリスクを抱えたメタボリックシンドロームであっても、体調不良などの自覚症状はないことがほとんどです。

一方で、目に見えない動脈硬化(血管の劣化)を着実に進行させ、血管をもろく・詰まりやすくしていくため、放置すると心筋梗塞や脳梗塞といった命にかかわる大きな病気を引き起こすリスクを高めます。

血中コレステロール値に異常がおこる理由と原因

肥満

摂取エネルギーの過剰によっておこる肥満はすべての脂質異常症のリスクを上げることがわかっています。

また、糖尿病や高血圧のなど、ほかの生活習慣病も肥満によって発症リスクが上がるため、メタボリックシンドローム全体に大きく影響する要因のひとつです。

メタボリックシンドロームの診断基準では、
おへその高さでの腹囲が男性85㎝以上、女性90㎝以上の場合を生活習慣病につながりやすい「腹部肥満」としています。

また、日本肥満学会の定めた基準では、
身長と体重から肥満度を表すBMI【=体重(㎏)÷身長(m)2】が25以上の場合を肥満としています。

飽和脂肪酸とコレステロールの多い食品の摂取が多いかも(LDLコレステロール高値)

主に動物性脂肪に多く含まれる飽和脂肪酸、鶏卵や魚卵などに多く含まれるコレステロールも、摂取量に関連して血中のLDLコレステロールを増やすことが知られています。

喫煙習慣や運動不足、高血糖(HDLコレステロール低値)

HDLコレステロール値が低くなる要因に喫煙・運動不足が挙げられます。
そのほか、血糖値が高い人でHDLコレステロール値が低下することがあります。

検査値改善のためのポイント

肥満の改善

体内の脂質の代謝を正常化するために、体重の管理は重要なポイントであり、動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017では3%の体重減少を目標とすることとしています。

具体的には、

■食事からの摂取エネルギーを減らす

■運動や日常的な動作を増やして消費エネルギーを増やす

などの方法が挙げられます。

体脂肪1㎏に相当するエネルギーはおよそ7200kcal。
食事の見直しや身体活動を増やすことで、消費エネルギーと摂取エネルギーの差を1日あたり240kcal作れると、1か月で1㎏の体脂肪を消費できる計算になります。

脂質の割合を減らす(LDLコレステロール低下)

脂質制限によりLDLコレステロールが低下することが示されており、食事全体の脂質エネルギーの割合を減らすことが有効とされています。

具体的には、

■脂身の少ない食材を使う

■調理に使う油を減らす(揚げ物を減らす)

■脂質の少ない食品を増やす

などが効果的です。

「あぶら」の質を変える(LDLコレステロール低下)

いわゆる「あぶら」である油脂類の構成成分に「脂肪酸」と呼ばれるものがあります。
脂肪酸は飽和脂肪酸・一価不飽和脂肪酸・多価不飽和脂肪酸などに分類され、それぞれ血中コレステロール値に与える影響が異なります。

脂肪酸のうち、飽和脂肪酸は肉類・乳製品・ココナッツオイルなどに多く含まれているもので、この飽和脂肪酸の摂取量が増えると、血清総コレステロールも増えることがわかっています。
一方、多価不飽和脂肪酸は魚類や植物油などに多く含まれるもので、飽和脂肪酸に対する多価不飽和脂肪酸の摂取比率を大きくすると、血中LDLコレステロールが低下することが知られています。

具体的な改善策としては、

■飽和脂肪酸を多く含む肉の脂身・バターなどの摂取量を減らす

■肉の脂身やバターを植物性油脂に切り替える

■肉のおかずの回数を減らし、魚のおかずの回数を増やす

などが挙げられます。

魚などに多く含まれる多価不飽和脂肪酸(オメガ3、オメガ6という場合も)は血中LDLコレステロール値を下げる働きを持ちますが、魚油サプリメントなどで単に足すだけの取り入れ方は効果的とは言えません。

LDLコレステロール値を下げる効果はあくまで適正な摂取エネルギー量のもとでのことであるため、普段の食事を見直さずに「ただプラスするだけ」ではエネルギーの過剰摂取にもつながりかねず、逆効果です。

あくまで飽和脂肪酸を多く含む食品と「置き換える」ように取り入れるのがおすすめです。

食事のコレステロールは気にしなくてもいい…のウワサ

2015年に今まで定められていた食事からのコレステロールの摂取基準がなくなりました。

このことにより、食事からのコレステロールはいくらとっても平気…といったうわさが広まりましたが、実はこれは誤解です。
正確には、数値としての目標量を設定するための根拠が不十分だっただけであり、コレステロールの摂取が血中LDLコレステロール値に影響することは事実です。

また、血中のLDLコレステロール値が高い人においては前述の飽和脂肪酸の制限(摂取エネルギーの7%未満)に加えてコレステロール摂取の制限(200㎎/日未満)が行われることもあり、少なくとも健康診断で血中LDLコレステロールが高かった人においては、少なめに抑えることが望ましいでしょう。

禁煙と身体活動の増加(HDLコレステロール改善)

喫煙と運動不足はHDLコレステロール値を下げる要因であり、禁煙と身体活動を増やすことによって数値の改善が期待されます。

身体活動の増加はスポーツなどのまとまった運動である必要はなく、日常で歩く時間を増やしたり、階段を積極的に使うなど、こまめなものでも有効です。

トクホもいいけどメインは食生活改善

近年ではメタボリックシンドロームの改善に着目した特定保健用食品(トクホ)も多く発売されています。

摂取することで血中コレステロール値の改善などに効果があると認められたものではありますが、薬のように効果があるものではないことを理解して取り入れるのがおすすめです。

可能であれば、各商品の紹介ページなどにアクセスし、
・誰が(例:血中LDLコレステロール値が140㎎/dL以上の人)
・どのような取り方をしたら(例:1日1本、12週間継続)
・どのくらいの効果があったのか(例:非飲用群と比較して平均15㎎/dL低下)
を確認し、納得してから取り入れるのが理想的です。

また、研究で得られた効果は平均値であり、すべての人に同じように効果が表れるとは限らないことを頭に置く必要があります。

簡単に取り入れられるトクホは魅力的な存在ですが、取り入れるだけでは生活習慣を改善したことにはならず、また、通常の商品に比べて割高であったり、長期間の摂取が前提であったりと、トクホ「だけ」に頼るのはあまり良い方法とは言えません。

食事や運動の見直しに「プラスするもの」として、上手に取り入れるのがおすすめです。

まとめ:ひとつずつ実践を

生活習慣の改善点は見つかったでしょうか?

一度にいくつもの問題点を解消しようとすると負担が大きく、継続が難しくなります。
簡単に取り入れられそうなものから、ひとつずつ取り組んでみてくださいね。

参考文献

厚生労働省e-ヘルスネット:「BMI」

厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書

メタボリックシンドローム診断基準検討委員会. メタボリックシンドロームの定義と診断基準. 日本内科学会雑誌; 2005;94:188-203.

日本人間ドック学会:「2020年度判定区分表」

日本動脈硬化学会:コレステロール摂取に関するQ&A

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。