
豚肉はお肉の中でも比較的手に取りやすい価格で、どんな味付けにも合うためとても使いやすい、便利な食材のひとつ。
とても身近な食材ですが、栄養面ではどんな特徴があるのでしょうか?
豚肉の栄養素のメインはたんぱく質
「からだをつくる食べ物」=たんぱく質源となる食品のひとつ
豚肉の主成分は(部位によっても異なりますが)たんぱく質です。
豚肉を含む肉類全般は、質のよいたんぱく質を摂取するのに最適の食品です。
たんぱく質の「質」を示すものとして、人が体内で作ることができない「必須アミノ酸」をどれだけバランスよく含んでいるかを示す「アミノ酸スコア」という指標があります。
豚肉をはじめとした肉類・魚類・卵・牛乳などのアミノ酸スコアは100で、タンパク質の摂取源としては理想的な食品です。
たんぱく質のほか、豚肉はビタミンB1、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12が豊富に含まれているのが特徴です。
豚肉に含まれるビタミンについて詳しく解説した記事はこちら |
鶏・牛と比べるとビタミンB1が豊富、ビタミンA,K,鉄は少ない
鶏肉 (皮付きもも) |
豚肉 (肩ロース) |
牛肉 (肩ロース・輸入) |
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エネルギー | 204kcal | 253kcal | 240kcal |
たんぱく質 | 16.6g | 17.1g | 17.9g |
脂質 | 14.2g | 19.2g | 17.4g |
炭水化物 | 0g | 0.1g | 0.1g |
ビタミンB1 | 0.10mg | 0.63g | 0.07mg |
ビタミンA | 40㎍RAE | 6㎍RAE | 10㎍RAE |
ビタミンK | 29㎍ | 2㎍ | 5㎍ |
鉄分 | 0.6mg | 0.6mg | 1.2mg |
*100gあたり |
※横スクロールで表全体の確認が可能です。
鶏肉や牛肉と比較すると、豚肉はビタミンB1が豊富に含まれているのが特徴です。
ビタミンB1は炭水化物をエネルギーとして利用するのに必要なビタミンで、ビタミンB1が足りないと糖質を摂取してもうまくエネルギーになりません。
ビタミンAやビタミンKについては鶏肉が、鉄分に関しては牛肉に比較的多く含まれており、これらの点では鶏肉や牛肉にも優れた面があります。
豚肉は栄養価の高い食品ですが、鶏肉や牛肉もまんべんなく取り入れるのが望ましいですね。
豚肉は部位によって栄養が変わる?
ひとくちに「豚肉」といっても、モモやバラなど、部位によって栄養価も味わいも異なります。
豚肉の部位ごとに栄養成分を調べてみました。
豚肉の部位別栄養価の特徴
豚ヒレ肉 | 豚もも肉 | 豚肩ロース肉 | 豚ロース肉 | 豚バラ肉 | レバー | |
エネルギー | 130kcal | 183kcal | 253kcal | 263kcal | 395kcal | 128kcal |
たんぱく質 | 22.2g | 20.5g | 17.1g | 19.3g | 14.4g | 20.4g |
脂質 | 3.7g | 10.2g | 19.2g | 19.2g | 35.4g | 3.4g |
炭水化物 | 0.3g | 0.2g | 0.1g | 0.2g | 0.1g | 2.5g |
ビタミンB1 | 1.32mg | 0.90mg | 0.63mg | 0.69mg | 0.51mg | 0.34mg |
ビタミンA | 3㎍RAE | 4㎍RAE | 6㎍RAE | 6㎍RAE | 11㎍RAE | 13000㎍RAE |
鉄分 | 0.9mg | 0.7mg | 0.6mg | 0.3mg | 0.6mg | 13.0mg |
*100gあたり |
※横スクロールで表全体の確認が可能です。
■ロース・肩ロース
豚肉の中では中間的な肉質。
平均値として考えるのがよいでしょう。
■ヒレ・モモ
脂質が少なく低カロリーな部位です。
赤身が多いためビタミンB1が豊富な特徴もあります。
■バラ
1/3を脂質が占める高カロリーな部位。
赤身の割合が低いため、ビタミンとたんぱく質は少なめです。
■レバー
豚の肝臓にあたります。
ビタミンB1は少ないものの、ビタミンAや鉄分が突出して多いのが特徴です。
こま切れ肉って…?
名のついた部位と合わせて、お肉売り場で見かけることの多い「こま切れ肉」。
こま切れ肉はお手頃なお値段がうれしいですが、どこの部位を使うといった決まりはなく、お店によってもさまざまなようです。
そのため、おなじ「こま切れ肉」とはいってもエネルギーや栄養素にはかなり幅があると考えられます。
こま切れ肉を買うときはお好みや目的とする栄養素に合わせて、もも肉に近いもの、バラ肉に近いものをそれぞれ選ぶのがよさそうですね。
利点を生かした部位の選び方・使い方・組み合わせ
利点を生かす部位の選び方と使い方
■ダイエットにはヒレ・モモがおすすめ
ダイエットの観点では、脂質が少なくエネルギーが低い部位はヒレとモモ。
かたまりでもやわらかいのはヒレですが、低価格でコスパがいいのはモモですね。
モモは塊では固くなりやすいですが、薄切りにしたり、しっかり煮込むと食べやすくなりますよ。
■やわらかジューシーなのはバラだけど高カロリー
やわらかくジューシーなバラ肉は人気の部位ですが、脂身が多くエネルギーも高め。
気になる場合は量を控えたり、脂を落とす調理法を選んだりといった工夫ができると◎です!
■レバーは栄養価ばつぐんだけど量と頻度に注意
レバーは鉄分も多く女性にはうれしい部位ですが、実は摂りすぎに注意が必要なビタミンAも多いのが特徴です。
栄養素は豊富ですが、一度にたくさん食べたり、毎日食べたりするのは避けたほうが安心です。
バランスの良い食事のためには炭水化物・食物繊維・ビタミンCをプラス→定食メニュー
豚肉はたんぱく質やビタミンB1が豊富ですが、それだけでは栄養バランスとしては不十分。
豚肉ばかり食べていては摂取する栄養素が偏ってしまうため、それを補う食品と一緒に食べるのがおすすめです。
豚肉だけでは補えない栄養素としては、
穀類などに含まれる炭水化物、
野菜や果物に含まれる食物繊維やビタミンC
が代表的です。
・炭水化物が豊富な食品…ごはんやパンなど(食物繊維も比較的豊富です) ・食物繊維が豊富な食品…野菜類、海藻類、キノコ類など ・ビタミンCが豊富な食品…野菜類、果物類 |
ごはんやパンなどの主食に豚肉のおかず、野菜のおかずなどを組み合わせた「定食メニュー」は、不得意分野を補い合うバランスの取れた食事にしやすいです。
美容の面でも豚肉などのお肉はおすすめの食材
また、ダイエット中にはお肉を敬遠しがちですが、健康と美容のためにはたんぱく質源となるお肉も必須です。
美容という点でいえば、お肌のコラーゲンのもととなるアミノ酸(たんぱく質)を肉類から、コラーゲンの合成にかかわるビタミンCを野菜や果物からとれると理想的です。
ニキビなどができやすい人は、脂肪分の少ない部位を選ぶといいでしょう。
ダイエット中であっても、美容のために「バランスの取れた食事」は心がけたいポイントです。
レンジでかんたん!豚肉活用レシピ
豚肉をより簡単に食事に取り入れられる、電子レンジ調理のレシピを紹介します。
たっぷり野菜と組み合わせることで栄養バランスもアップ。
ごはんと一緒に食べてくださいね。
豚肉と豆苗のレンジ蒸ししゃぶ〈蒸ししゃぶバリエーション①〉
【材料】2人分
豚もも肉 | 200g |
豆苗 | 1パック(85g) |
白菜 | 2枚(150g) |
酒 | 大さじ2(30g) |
顆粒中華だし | 小さじ2(5g) |
ポン酢 | 大さじ2(30g) |
※横スクロールで表全体の確認が可能です。
【作り方】
1. 豆苗は根元を切り、半分の長さに切る。白菜は5㎝幅に切る。
2. 耐熱の皿に白菜を敷き詰め、豆苗、豚肉も重ねて敷き詰める。
3. 中華だし、酒を振りかけてラップをし、電子レンジ600Wで6分加熱する。
4. 豚肉に火が通ったらポン酢をかける。
【栄養価】
1人分234kcal たんぱく質23.6g ビタミンC 34mg
お肌のコラーゲンのもとになるたんぱく質を豚肉から、コラーゲン合成を助けるビタミンCを豆苗からとれるメニューです。
電子レンジで蒸すことでダイエット中にもうれしい低エネルギー(カロリー)メニューです。
【レシピ動画紹介】豚バラえのきと豆苗のレンジ蒸し〈蒸ししゃぶバリエーション②〉
【材料】 2人分
豚バラ薄切り肉 | 150g |
えのきたけ | 1袋(200g) |
豆苗 | 1パック(85g) |
めんつゆ(2倍濃縮) | 大さじ3 |
ごま油 | 大さじ1 |
白いりごま | 小さじ1 |
【栄養価】
1人分414kcal たんぱく質16.6g 脂質33.8g 炭水化物13.4g ビタミンC22㎎
→豚もも肉の場合 255kcal たんぱく質21.2g 脂質14.9g 炭水化物13.5g ビタミンC22㎎
風味豊かな中華めんつゆバージョンです。
肌の細胞の材料として、豚肉からたんぱく質とビタミンB1が,豆苗からビタミンCが取れます。
動画では豚バラになっていますが、脂質が多めになってしまうので豚もも肉で作るのがおすすめ。カロリーも1/3ほどカットできます。
参考文献 文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」 吉田勉 監修:「わかりやすい食品機能栄養学」.三共出版,2010. |