2019.07.15

牛肉は貧血予防にうれしい栄養素が豊富!

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牛肉のステーキ

ステーキや焼き肉など、がっつり肉料理に使われる牛肉は高エネルギー(カロリー)な印象もあってダイエット中の人には敬遠されることも。
しかし、そんな牛肉も品種や部位によってエネルギー(カロリー)や栄養素にも大きな違いがあります。
牛肉に含まれる栄養素とそのはたらき、選び方のヒントを紹介します。

牛肉のエネルギー(カロリー)・栄養素

質のいいたんぱく質

牛肉を含む肉類全般はタンパク質を豊富に含む食品で、さらにその内容も充実しています。

肉類は人が体内で作り出すことができないため食事から摂取する必要のある「必須アミノ酸」をバランスよく含む食品です。

肉類や魚類、卵や大豆といった食品はたんぱく質を豊富に含み、たんぱく質の主な摂取源になります。

鶏や豚と比較すると…

たんぱく質を豊富に含む肉類ですが、肉の種類によって含まれる栄養素にも違いがあります。
なるべく赤身と脂身のバランスが近いと考えられる部位で比較してみます。

鶏肉・皮付きもも 豚肉・肩ロース  牛肉・肩ロース
(乳用肥育牛)
エネルギー  204kcal 253kcal 318kcal
たんぱく質 16.6g 17.1g 16.2g
脂質 14.2g 19.2g 26.4g
炭水化物 0g 0.1g 0.2g
ビタミンA 40㎍RAE 6㎍RAE 7㎍RAE
ビタミンK 29㎍ 2㎍ 8㎍
ビタミンB1 0.10mg 0.63mg 0.06mg
ビタミンB6 0.25mg 0.28mg 0.21mg
ビタミンB12 0.3㎍ 0.5㎍ 1.7㎍
ナイアシン 8.4mg 7.0mg 6.7mg
鉄分 0.6mg 0.6mg 0.9mg
亜鉛 1.6mg 2.7mg 4.7mg
*100gあたり・生の状態

※横スクロールで表全体の確認が可能です。

たんぱく質の量は同じくらい、カロリーは高め

100g中にふくまれるたんぱく質の量には大きな差はありません。
それぞれのエネルギー(カロリー)の差は脂質の量によるところが多いといえそうです。

鶏肉や豚肉と比較すると、牛肉は赤身の間に脂身が入る場合が多く(サシが入るとも言いますね)、脂質が比較的多くなるようです。

とはいえ、牛肉すべてが高エネルギー(カロリー)かといえばそうではありません。
後で紹介しますが、部位や品種によってかなり大きな差ができます。

ビタミンB12が豊富

ビタミンB12は正常な血液をつくるのに必要なビタミンです。
牛肉には比較的多く含まれ、このデータでは100gの牛肉(肩ロース)で1日に摂取が推奨される量の7割をとることができます(18歳以上男女の値)。

鉄分が豊富

鉄分は「ヘモグロビン」という状態で赤血球に含まれ、全身に酸素を運ぶはたらきを持ちます。
月経のある女性では定期的に鉄分を失うため、鉄分が不足しがちです。
鉄分は吸収しにくい栄養素ですが、牛肉に含まれる鉄分は野菜などに比べると吸収されやすい状態であるため、貧血予防のためにも取り入れたい食材です。

亜鉛が豊富

亜鉛は体内のさまざまな機能にかかわっており、皮膚や骨を健康な状態に保つはたらきや、赤血球などを含む細胞の膜を正常に保つはたらきを持ちます。
牛肩ロース100gでは、18-69歳の女性に推奨される量のおよそ6割を摂取することができます。

鶏肉と豚肉のほうが優れた栄養素もある

エネルギー(カロリー)も高く赤色の濃い牛肉は鶏肉や豚肉に比べて鉄分などの栄養素を豊富に含みますが、鶏肉や豚肉にも特有の栄養素があります。
ビタミンB1は豚肉に多く含まれ、ビタミンAやビタミンKは鶏肉に多く含まれています。
どの栄養素も体に必要なものなので、どれかに偏ることなく食べることが大事です。

牛肉の部位別栄養素

牛肉の部位

牛肉は部位によって赤身と脂身のバランスが大きく異なります。

一般的に「国産牛」(和牛ではない)として販売されている牛肉について、カロリーやその他の栄養素のバランスの違いを比較してみました。

ヒレ もも ランプ かた 肩ロース サーロイン リブロース ばら
エネルギー 195kcal 209kcal 248kcal 257kcal 318kcal 334kcal 409kcal 426kcal
たんぱく質 20.8g 19.5g 18.6g 16.8g 16.2g 16.5g 14.1g 12.8g
脂質 11.2g 13.3g 17.8g 19.6g 26.4g 27.9g 37.1g 39.4g
飽和脂肪酸 4.35g 5.11g 7.05g 7.17g 10.28g 11.36g 15.10g 12.79g
一価不飽和
脂肪酸
4.80g 6.39g 8.55g 9.02g 12.31g 13.10g 16.99g 21.87g
多価不飽和
脂肪酸
0.50g 0.56g 0.75g 0.82g 1.00g 1.01g 1.32g 0.99g
炭水化物 0.5g 0.4g 0.6g 0.4g 0.2g 0.4g 0.2g 0.3g
2.4mg 1.4mg 1.4mg 1.1mg 0.9mg 1.0mg 1.0mg 1.4mg
亜鉛 3.4mg 4.5mg 3.7mg  4.1mg 4.7mg 2.9mg 3.7mg 2.8mg
ビタミンB 0.43mg 0.32mg 0.30mg 0.32mg 0.21mg 0.38mg 0.22mg 0.21mg
ビタミンB12  3.0㎍ 1.2㎍ 1.6㎍ 2.2㎍ 1.7㎍ 0.8㎍ 1.0㎍ 1.9㎍
ナイアシン 9.1mg 8.9mg 7.5mg 6.8mg 6.7mg 8.4mg 6.6mg 5.4mg
*100gあたり、生の状態

※横スクロールで表全体の確認が可能です。

カロリーは脂質の量に比例、たんぱく質は反比例

表の左から右に行くにつれて脂質の割合が増え、エネルギー(カロリー)も高くなります。

赤身に対しての脂身の割合が高くなるため、たんぱく質の量は反対に少なくなります。

牛肉をたんぱく質の摂取源と考えるのであれば、赤身の部分が多い部位のほうが効率的にタンパク質を摂取できるといえます。
ヒレやもも肉では鶏もも肉に匹敵するほどの低エネルギー(カロリー)に抑えられます。

ビタミン・ミネラルは赤身の肉ほど多い傾向

脂質とたんぱく質ほどはっきりとは分かれませんが、ビタミンやミネラルも赤身の割合に比例する傾向があります。

貧血は予防したいけどエネルギー(カロリー)が気になる、という人にとっても、赤身の牛肉は魅力的な食材です。

こま切れ肉はいろんな部位のミックス

リーズナブルなこま切れ肉ですが、様々な部位の切れ端を使っていることが多いため、お店や包装ごとに栄養価が異なる可能性が高い部位とも言えます。
比較的赤身が多いのか、脂身が多いのかによって判断するのがよさそうです。

品種での違い

肉類の中でも、牛肉は外国産牛肉か和牛かなどの産地や品種の違いによって肉質が大きく異なります。

和牛

日本に昔からいる食用の品種である特定の4品種と、その4品種の中で掛け合わされたものが和牛と呼ばれます。

「黒毛和牛」などがこれにあたります。

国産牛

ホルスタイン種などの外国産であっても、国内で肥育されたものは「国産牛」と呼ばれます。
比較的安価であることから、一般的に食べる機会が多いのはこの種類ではないでしょうか。
食品の栄養価を示す「食品成分表」では、「乳用肥育牛肉」として収載されています。

交雑牛

和牛と乳用肥育牛を掛け合わせた種類を「交雑牛」といいます。
ちょうど2種類の間をとったような肉質で、乳用肥育牛よりもサシが入りやすく、和牛よりも安価になるのが特徴です。

輸入牛

アメリカやオーストラリアなどから輸入される種類で、比較的赤身が多いのが特徴です。
赤身が多いためにエネルギー(カロリー)は低めですが、やや硬い食感になりやすい側面もあります。

品種ごとのリブロースでの成分比較
輸入牛肉 乳用肥育牛肉 交雑牛肉 和牛肉
エネルギー 231kcal 409kcal 539kcal 573kcal
たんぱく質 20.1g 14.1g 12.0g 9.7g
脂質 15.4g 37.1g 51.8g 56.5g
飽和脂肪酸 7.15g 15.10g 18.15g 19.81g
一価不飽和脂肪酸 6.00g 16.99g 27.71g 29.80g
多価不飽和脂肪酸 0.39g 1.32g 1.55g 1.39g
炭水化物 0.4g 0.2g 0.3g 0.1g
2.2mg 1.0mg 1.2mg 1.2g
亜鉛 4.7mg 3.7mg  3.0mg 2.6mg
ビタミンB6 0.37mg 0.22mg 0.21mg 0.15mg
ビタミンB12  1.3㎍ 1.0㎍ 1.1㎍ 1.1㎍
ナイアシン 9.1mg 6.6mg 5.4mg 4.1mg
*100gあたり・生の状態

※横スクロールで表全体の確認が可能です。

同じ部位でも品種や育て方の違いによってエネルギー(カロリー)は倍以上にもなる

同じ牛肉で同じ部位であっても、輸入牛と和牛では脂質の量が3倍以上にもなり、エネルギー(カロリー)は倍以上になります。
やはり品種によって脂身の入り方が異なるのが大きな要因となるため、エネルギー(カロリー)に関しても栄養価に関しても、「牛肉」としてひとくくりに考えるのは難しいといえそうです。

赤身のほうがビタミンやミネラルは豊富

同じ部位であっても、脂肪分が少なく赤身の多いほうがビタミンやミネラルに富むという点は変わりありません。
品種や、部位にかかわらず、そのお肉の赤身と脂身のバランスでビタミンとミネラルの多い少ないが変わるともいえそうです。

固くなりがちな赤身は調理の工夫を

ビタミンやミネラルが豊富でエネルギー(カロリー)も低めな赤身肉ですが、サシがあまり入っていない分、硬い食感になりがちな特徴もあります。
赤身肉はしっかり煮込んで柔らかくしたり、薄切り肉を使うなどの工夫で食べやすくできます。

どのくらい食べる?

1日あたりどれくらい?
「食べるべき量」はない

各種栄養素に関しては「日本人のための食事摂取基準」というものがあり、1日あたりの栄養素の目安が示されています。

しかし、牛肉のような食材それぞれについての基準値というものは存在しません。

平均値は1週間に80g程度?

日本人の食事の状況を調査した「国民健康・栄養調査(平成29年)」では、牛肉は1日あたり12g程度を摂取しているようです。
毎日牛肉を食べるわけではありませんので、1週間に換算するとおよそ80g、1週間に1回程度の頻度で食べているようです。
20代に限定すればもう少し多く、1日あたり20g、1週間で140g程度を食べているようです。

この量は豚肉に比べると半分程度で、頻度としてはあまり高くはないといえそうです。
貧血が気になる女性に関して言えば、赤身の牛肉を食べる機会を週1回以上に増やしてもいいかもしれません。

牛肉は太る?

牛肉は高エネルギー(カロリー)なイメージがありますが、実際には赤身の部分が多いものに関してはそこまで高エネルギー(カロリー)なものではありません。
サシのしっかり入った和牛肉に関しては食べすぎに注意が必要ですが、少しも食べてはいけないものではありません。
前後の食事で調節したり、また、運動などによる消費エネルギー(カロリー)も組み合わせれば、ダイエット中でも食べていけないということはありません。

組み合わせるといい食材は?

牛肉と組み合わせたい食材

牛肉は様々な栄養素を含む食品ですが、これだけで栄養バランスが取れた食品ではありません。
牛肉に少ない栄養素を補ったり、また、牛肉に豊富に含まれる栄養素を助けるような栄養素を含んだ食品と組み合わせることで、食事のバランスを整えることにつなげられます。

牛肉に少ない栄養素をもつ食材

牛肉は優れたたんぱく質源ですが、炭水化物や食物繊維はほとんど含まれていません。
肉類が中心の、たんぱく質や脂質に偏った食事ばかりでは生活習慣病のリスクが上がることも心配されています。

牛肉だけでおなかいっぱいにするのではなく、ご飯やパンなどと組み合わせて、炭水化物もとるようにしましょう。
また、単体では高エネルギー(カロリー)になりがちな牛肉と組み合わせるものとして、低エネルギー(カロリー)な野菜類もおすすめです。
水分と食物繊維を含んで低エネルギー(カロリー)な野菜類はエネルギー(カロリー)オーバーを防いでくれる利点があります。

豊富な鉄分を後押しする栄養素

貧血予防の観点からいえば、牛肉に含まれる鉄分とたんぱく質に加えて、鉄分の吸収を高めるビタミンCを組み合わせるのがおすすめです。
ビタミンCを多く含むのは、パプリカやブロッコリーといった野菜類や、かんきつ類などのフルーツです。
「肉と野菜」を合わせて食べるのは理にかなった組み合わせといえそうです。

おすすめレシピ

牛肉を使った簡単レシピを紹介します。
比較的安価なお肉を使って手軽に栄養バランスを整えてみましょう!

貧血対策!牛ももと野菜のしゃぶしゃぶ風温サラダ

牛肉の温しゃぶサラダ

【材料】2人分

牛モモ
(しゃぶしゃぶ用薄切り)
200g
豆苗 1パック(85g)
白菜 3枚(150g)
ポン酢 大さじ2(30g)
ごま油  小さじ2(8g)

※横スクロールで表全体の確認が可能です。

【作り方】
1. 豆苗は根元を切って1/3の長さに切る。白菜は食べやすい大きさに切る。
2. 鍋にお湯を沸かし、沸騰したら牛もも肉を1枚ずつさっとゆでる。ゆであがったらお皿に引き上げておく。
3. 耐熱の皿に白菜、豆苗をのせ、ふんわりラップをかけて電子レンジ600W3~5分加熱する。
4. 火の通った野菜にゆでた牛肉を乗せ、ポン酢とごま油をかける。

【栄養価】
1人分243kcal 鉄分1.9mg 亜鉛5.0mg ビタミンC33mg

さっとゆでることで脂が落ちるため低エネルギー(カロリー)ながら、鉄分とビタミンCが豊富な組み合わせです。
鉄分は成人女性(月経あり)の推奨量の20%、亜鉛は成人女性の推奨量の60%、ビタミンCは成人女性の30%を補えます。

赤身牛肉でかんたんヘルシーすき焼き

牛肉すき焼き

【材料】2人分

牛モモ
(すき焼き用薄切り)
150g
サラダ油 小さじ1(4g)
木綿豆腐 小1パック(150g)
長ネギ 1/2本(50g)
まいたけ 1パック(100g)
醤油 大さじ3(45g)
みりん 大さじ3(45g)
砂糖 大さじ1.5(18g)
大さじ2(10g)

※横スクロールで表全体の確認が可能です。

【作り方】
1. 木綿豆腐は5㎝角に、長ネギは斜め切りに、マイタケは小分けにする。
2. 鍋かフライパンにサラダ油をしき、牛肉を焼く。
3. 牛肉の色が変わったら長ネギ、マイタケ、調味料を加える。
4. 全体が沸いたら木綿豆腐を入れ、ネギに火が通って全体に味がなじむまで煮る。
5. 煮えたら火からおろしてできあがり。

【栄養価】
1人分360kcal 

硬い食感になりやすい赤身肉も、ごく薄いものを使えば時間をかけなくても柔らかく食べられます。
お豆腐やお好みの野菜と組み合わせてすき焼き風のおかずをつくれます。
すき焼きのたれは市販のものでも大丈夫です。
お好みで生卵や温泉卵を絡めながら食べてもおいしいです。(卵1個が加わると+80kcalになります)

牛肉を食事に取り入れてみよう

鉄分を豊富に含む牛肉は、貧血が心配な女性に食べてほしい食材です。
いままであまり食べてきていなかったという人はかんたん・低エネルギー(カロリー)な調理法で毎日の食事に取り入れてみてくださいね。

参考文献

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」

吉田勉 監修:「わかりやすい食品機能栄養学」.三共出版,2010.

厚生労働省:平成29年「国民健康・栄養調査」の結果

厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2015年版)」

厚生労働省e-ヘルスネット:「良質たんぱく質」