「鶏肉」といえば、お肉の中でもお手頃価格で手に取りやすいイメージが強いもの。
ダイエット食材としてのイメージも大きいですが、どのような栄養素が含まれている食材なのでしょうか?
鶏肉の栄養価と活用のポイントを紹介します。
Contents
鶏肉のカロリーと栄養素
鶏もも肉、鶏胸肉、鶏ささみにおける100gあたりのカロリーと栄養素を紹介します。
鶏もも肉(皮つき) | 鶏胸肉(皮つき) | 鶏ささみ | |
カロリー | 190kcal | 133kcal | 98kcal |
たんぱく質 | 16.6g | 21.3g | 23.9g |
脂質 | 14.2g | 5.9g | 0.8g |
炭水化物 | 0g | 0.1g | 0.1g |
※文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」より作成
カロリーや各種栄養素について、詳しく解説します。
カロリー
鶏肉の100gあたりのカロリーは、以下のようになっています。
- 鶏もも肉(皮つき)…190kcal
- 鶏胸肉(皮つき)…133kcal
- 鶏ささみ…98kcal
部位によるばらつきはあるものの、豚肉や牛肉を
たんぱく質
鶏肉の100gあたりのたんぱく質量は、以下のようになっています。
- 鶏もも肉(皮つき)…16.6g
- 鶏胸肉(皮つき)…21.3g
- 鶏ささみ…23.9g
鶏肉の主成分は「たんぱく質」で、水分以外では重量の多くを占めています。
豚肉や牛肉などのほかの肉類と同程度のたんぱく質を含み、たんぱく質の良い摂取源となる食品です。
たんぱく質は全身の細胞の材料となる重要な栄養素のひとつで、およそ20種類のアミノ酸からできています。
20種類のアミノ酸のうち9種類はヒトの体内で合成することができない「必須アミノ酸」です。
必須アミノ酸9種をどれだけ効率よく含んでいるかを示す数値を「アミノ酸スコア」といいますが、鶏肉をはじめとした肉類や魚類、たまごや牛乳のアミノ酸スコアは100となっています。
脂質
鶏肉の100gあたりの脂質量は、以下のようになっています。
- 鶏もも肉(皮つき)…14.2g
- 鶏胸肉(皮つき)…5.9g
- 鶏ささみ…0.8g
1gあたり4kcalの炭水化物やたんぱく質とくらべると、脂質は1gあたり9kcalと高カロリーな成分です。
鶏肉は肉類の中でも比較的水分が多く、脂質が少ない特徴があります。
また、鶏肉の脂質は皮とその周辺に集中しているため、皮を外せば大幅なカロリーカットが可能という利点も。
ダイエット中の人にも好まれるのはこういった理由が大きそうですね。
ビタミン
鶏肉は、豚肉や牛肉と比べるとビタミンAやビタミンKといった「脂溶性ビタミン」が比較的豊富に含まれています。
ビタミンAは皮膚や粘膜、眼の細胞を正常な状態に保つために必要なビタミンです。
ビタミンKはけがをしたときなどに血液を固めて出血を止めるために必要なビタミンです。
通常の量の鶏肉で1日分をまかなえるほどの含有量ではありませんが、鶏肉の持つ栄養的な特徴のひとつです。
いっぽう、栄養素をエネルギーや体の一部に利用するのに必要な水溶性ビタミン(ビタミンB1やB6)は豚肉、血液の構成成分となる鉄分などのミネラルに関しては牛肉のほうがよりよい摂取源となります。
鶏肉の部位ごとのメリット・デメリット
鶏肉と一口に言っても、もも肉・むね肉・ささみなど、部位によって味わいも栄養価も異なります。
部位ごとの違いを見てみましょう。
鶏もも肉
もも肉は皮下脂肪が比較的多く、鶏肉の中では高カロリーな部位になります。
うまみも強くしっとりしているので、よく食べられている部位ですね。
ダイエットの観点では、カロリーが高い点はデメリットといえますが、脂質が多い分、脂溶性ビタミンも多めに含まれているのが特徴です。
鶏胸肉
胸肉はもも肉に比べて脂質が少なく、その分タンパク質が豊富な部位です。
皮以外の部分には比較的水溶性ビタミンが多いのも特徴です。
皮を外せばさらに脂質をカットできるので、ダイエット中の人やボディメイクをしている人に人気の部位です。
一方で、食感はぱさつきやすいので、しっとりした食感に仕上げるにはコツが必要です。
鶏ささみ
鶏ささみは皮がついていないため、もともと脂質がかなり少ないのが特徴です。
構成成分はほとんどたんぱく質と水分で、皮を取り除いたむね肉とほとんど変わりません。
胸肉よりも割高になること、すじ取りなどの手間があるのはデメリットといえるかもしれません。
鶏ささみの栄養価やカロリーについて詳しく解説した記事はこちら
ダイエットにおける鶏肉の利点
ダイエット向きの食材として活用されることも多い鶏肉。
具体的には、以下のような特徴がダイエットに適していることが理由です。
- 脂質を抑えつつたんぱく質が摂取できる
- 皮の有無でカロリーを調整しやすい
それぞれについて解説します。
低脂質なたんぱく質の摂取源
鶏肉、特に鶏むね肉やささみは低脂質なたんぱく質の摂取源として優秀な食品です。
鶏肉に含まれる栄養素のうち、最も特徴的なのは「たんぱく質」です。
さらに、豚肉や牛肉と比較すると脂質が少なく、摂取脂質を抑えつつたんぱく質を摂取するのに適しています。
皮の有無でカロリーコントロールしやすい
鶏肉はお肉の中でも脂身のカットが比較的容易であり、摂取カロリーのコントロールがしやすいことも特徴に挙げられます。
- 鶏もも肉(皮つき)…190kcal
- 鶏もも肉(皮なし)…113kcal
- 鶏胸肉(皮つき)…133kcal
- 鶏胸肉(皮なし)…105kcal
皮つきと皮なしを比較すると、皮なしでは皮つきの6割~8割程度にカロリーを抑えられます。
ダイエット中は摂取エネルギーを抑えつつ、必要なたんぱく質はしっかりとりたいもの。
お肉類はたんぱく質の摂取源として優秀ですが、たんぱく質と同時に脂質も摂取することになりやすいといえます。
鶏肉の脂質は皮周辺に集中しているため、皮を取り除くことで脂質およびカロリーカットが可能です。
ダイエットにおける鶏肉の注意点
ダイエットに使われることの多い鶏肉ですが、やみくもに食べるだけで痩せられるわけではありません。
ダイエットに鶏肉を活用するときに気をつけたいポイントを解説します。
食べるだけで痩せることはない
鶏肉を食べてさえいれば痩せる、という事はないことに気をつけましょう。
ダイエットに最適な食材と考えられていることも多い鶏肉ですが、一番の特徴は
- 脂質が少なく、たんぱく質が取れる
- 肉の中ではエネルギー(カロリー)が低い
ということであって、特別にやせる成分が含まれている食材というわけではありません。
消費エネルギーに比べて食べすぎてしまえばもちろん肥満につながりますし、栄養素も偏ってしまいます。
食事全体を見直して、カロリーのとりすぎにならないように取り入れましょう。
栄養バランスの偏りに注意する
鶏肉ばかりを食べていると、栄養バランスが崩れ、健康リスクにつながります。
たんぱく質の割合が多い食事は一見すると健康的という印象を受けることもありますが、たんぱく質も取りすぎると健康へのリスクが高まります。
バランスの取れた食事では、たんぱく質は摂取エネルギー(カロリー)全体の12~20%を占めますが、20%を超えた食事を続けていくと肥満や生活習慣病のリスクが高くなることが知られています。
1日におよそ2000kcalを摂取する人(身体活動レベルがふつうの20代女性の例)では、およそたんぱく質100g、鶏むね肉でいえば2枚分を毎日食べるような食事では「とりすぎ」に当てはまります。
また、鶏肉はたんぱく質を豊富に含む食品ですが、炭水化物や食物繊維、各種ビタミンやミネラルはあまり含まれていません。
そのため、様々な食品と組み合わせることで食事全体のバランスがとりやすくなります。
具体的には、以下のようなもの。
- 炭水化物を豊富に含む食品…米やパン、麺類などの穀類
- 食物繊維、ビタミンCなどを含む食品…野菜類や果物類
- ミネラル、ビタミンが豊富な食品…牛肉や豚肉、牛乳、卵など
鶏肉はあくまで適量範囲で、ほかの食材とのバランスを見ながら取り入れましょう。
まとめ
鶏肉は「これだけ」で完璧な栄養が取れるものではありませんが、たんぱく質が豊富で、脂質のコントロールもしやすいところが魅力の食品です。
健康的な食事の一部として、鶏肉を上手に活用してくださいね。
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参考文献 吉田勉 監修:「わかりやすい食品機能栄養学」.三共出版,2010. 文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」 |