機能性成分が豊富?話題の納豆はダイエットに使えるの?

  • Facebook
  • Twitter
  • はてなブックマーク
納豆とダイエット成分

10年ほど前、健康番組で注目された納豆を使ったダイエット。
結局、その番組が検証結果や専門家の発言をねつ造していたことがわかり、ブームも収束していきました。
しかし、最近では納豆に様々な機能性成分が見つかり、ダイエットに効果あり、とする情報も多数出ています。

現在知られている納豆の機能性成分はダイエットに効果があるのでしょうか?
管理栄養士から見た納豆ダイエットを解説します。

納豆ダイエットって?

インターネット上でダイエット方法を解説するサイトが提唱するやり方の多くは、「夕食の約30分前に納豆を食べる」というものでした。

加えて、ダイエットに納豆を利用する利点となる納豆の栄養成分にはさまざまな説が唱えられており、

・食物繊維

・ナットウキナーゼ

・大豆ペプチド

・大豆サポニン

・レシチン

これらの成分がダイエットに有効であるとする説が多くみられました。
実際に納豆や、これらの栄養成分のはたらきはダイエットに有効なのでしょうか?

痩せる効果はある?

体重計に乗る女性

体脂肪1㎏=7200kcal

まず、ダイエットとは、体脂肪を減らすことを目的とします。

体脂肪は消費エネルギーが摂取エネルギーを上回ったときのみに減少します。
1日当たり240kcalの消費を多くすることで、ひと月で1㎏の体脂肪の減少が期待できます。

ダイエットについて、イマカラの基本的な考え方

納豆の栄養データ
納豆 白ごはん たまご 皮つき鶏もも肉
エネルギー 200kcal 168kcal 151kcal 204kcal
脂質 10.0g 0.3g 10.3g 14.2g
たんぱく質 16.5g 2.5g 12.3g 16.6g
炭水化物 12.1g 37.1g 0.3g 0g
うち食物繊維 6.7g 0.3g 0g 0g

※横スクロールで表全体の確認が可能です。

*100g当たり

納豆は意外と高カロリーな食材で、1パック50gで100kcalとなります。

ただし、肉類に比べると脂質が少なく、食物繊維が多い点が魅力といえるでしょう。

カロリー以上の食べ応えはなさそう

納豆ダイエットのメインである、食事の前に納豆をひとパック食べることによって満腹感を得られやすくし、食事量を減らすという方法について考えていきましょう。
食事制限も運動も特にせずにいつも通りの感覚で食事をしていってダイエットが可能ならば、最高の方法です。

もちろん、納豆にもカロリーはありますので、食べた納豆の摂取カロリーよりも、減らした食事のカロリーが大きければ痩せるといえます。

1パックの納豆を食べた場合は、100kcalぶんを摂取しているので、まずその摂取カロリーを相殺するために、納豆の分を上回るカロリーを持つ食事を減らす必要があります。(例・炊いた白米なら100kcal=60g以上)

ひと月で1㎏の体脂肪を減らすには、例えば

・夕食の前に納豆をひとパック食べ、(100kcalの摂取)

・そのあとの食事でご飯お茶碗1/2杯、ハンバーグ75gを減らす(240+100=340kcalのカット)

といった食事量の調整をする必要があります。

納豆をプラスして減らす食事量例としてごはんとハンバーグを半分に抑えたイメージをイラストで示しました。

食前に納豆を食べればある程度の食事量が自然に減るということは予想できます。

しかし、納豆はそれほど水分が多いわけではなく、かさの張る食材ではありません。

図のようにごはんを100g、ハンバーグも75gまで「自然に」抑えるということはいつもの感覚で食事をしていたら難しいのではないでしょうか。

個人によっても異なりますが、やはり多少の我慢が必要になってくると考えられます。

納豆を食べれば満腹まで食べてもやせられるといったことは期待できません。
 「納豆を食べる分とカロリーカットしたい分をあわせてメインのおかずを半分に、ごはんもいつもは大盛りだから半分にしよう」
といった感じで、食事量をあらかじめ決めておけば食べ過ぎを防ぎやすいでしょう。

食物繊維と納豆菌で便秘の解消はできる可能性がある

納豆に豊富に含まれている食物繊維には、満腹感を高めてくれる効果があります。

また、納豆菌には腸内環境を改善して便秘を解消してくれる効果があります。

ダイエット効果という点に関しては、便秘がちの人は便秘を解消することによって体重の減少やポッコリおなかの改善がみられることがあります。
ただし体脂肪が減っているわけではないため、体全体がほっそりするような効果は見込めません。

ナットウキナーゼにやせる効果はない

試験管での実験ではありますが、ナットウキナーゼには血栓を溶かす効果があることが報告されています。

納豆がダイエットに有効であるという文章の中では、「ナットウキナーゼによって血流が良くなると基礎代謝が上がって消費エネルギー(カロリー)が増えて痩せる」とするものもありました。

「ナットウキナーゼ」には、特にダイエットや基礎代謝にかかわる働きはありません。

ナットウキナーゼはタンパク質でできている酵素であり、分解されてはたらきを失ってから吸収されるため、納豆を食べることで人の血液内で血栓を溶かすはたらきをするとは考えにくい面があります。
さらに、血栓溶解効果によって血流が良くなり、それによって基礎代謝が上がるという根拠となる研究報告等の記述は見当たりませんでした。

一般に、体温が高くなると血流が促進されるという人体の反応はありますが、このような働きと混同されたのではないでしょうか。

大豆ペプチドは基礎代謝を高めるもののその効果はわずか

大豆に含まれる大豆ペプチドという成分には食事後のエネルギー消費を増加させる効果があることが報告されており、その効果によって消費エネルギーを増やして痩せようという方法です。

食後のエネルギー消費量を高める効果を認める研究報告はあるものの、体脂肪量の変化が数値に現れるほどの効果は期待できないといえます。
(基礎食に比べて3時間で14.4kcalの消費増を1日1回=1日14.4kcal=1㎏の体脂肪を落とすまで500日かかる計算)

また、この実験と同等の成果を出すためには、1日の摂取たんぱくのうち少なくとも15g分を納豆に置き換えることになります。
納豆に換算すると90g、1日およそ2パックの摂取を500日続けてやっと1㎏の体脂肪を減らす効果が得られるかもしれない、という程度です。

体脂肪の減少を期待するにはあまりにもささやかな効果であるうえ、いつもの食事に加えて2パックの納豆を食事に加えるだけでは摂取エネルギー(カロリー)が過剰になってしまいます。

大豆サポニン・レシチンが肥満に効果があるというデータはない

大豆に含まれるサポニンやレシチンといった成分が脂肪を燃焼させたり肝臓での脂質の代謝を高めたりする効果があることが期待されています。

しかし、このような研究結果は主に血中脂質の改善など、生活習慣病の予防において注目されているものです。

人を対象にした有効性はいまだ未知数なこともあり、現状では日常的に大豆製品をとることで㎏単位での体脂肪の減少効果があるとは言いにくいと考えられます。

置き換えダイエットは避けましょう

低糖質ダイエットの一つとして、糖質の代わりにたんぱく質を多く含む食品を食べることがあります。
食事中のごはんなどの主食を納豆に置き換えてしまった場合、栄養素の偏りによる体調不良に加えて、大豆イソフラボンの過剰摂取による体調不良も考えられます。

日常的な食事の中での納豆の摂取では問題になりませんが、大豆イソフラボンの過剰摂取によって子宮内膜増殖症が増加するとした報告もあります。
厚生労働省の示す1日あたり70~75㎎、納豆に換算すると約100g(2パック)程度の摂取にとどめるのが安心といえます。

健康的な食生活のなかの食材のひとつとして

納豆はダイエットに使える?

ダイエットに関しては納豆に特別な効果はない

インターネット上のダイエット法が唱えるような、食前に食べて食事量を抑える、食物繊維の整腸作用に期待するという点では、納豆よりもエネルギー(カロリー)が低く食物繊維も同程度含まれる野菜やきのこ、海藻、こんにゃくなどのほうが効果的と考えています。
納豆自体は食物繊維も豊富でたんぱく質に富む良い食品ですので、高脂質で高カロリーになりがちな肉のおかずに一部置き換えることで、カロリーカットをしつつたんぱく質や食物繊維を摂取することができると考えます。

ダイエットは生活全体を見直す必要がある

世の中には「〇〇するだけダイエット」というものがたくさんありますが、ダイエットの基本は摂取エネルギー(カロリー)を抑えて消費エネルギー(カロリー)を増やすことです。
納豆を食べるだけで痩せる可能性は低いといえます。
食品に含まれる栄養成分の効果も魅力的ではありますが、毎日の食生活、運動習慣を改善していくことが最も効果的な方法といえるのではないでしょうか。

参考文献

吉田勉 監修:「わかりやすい食品機能栄養学」.三共出版,2010.

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:「健康食品」の安全性・有効性情報(レシチン、大豆サポニン、ナットウについて)

小松龍史,小松恵子,山岸稔(1992):大豆ペプチド摂取の食事誘導産熱に及ぼす影響.大豆たん白質栄養研究会会誌vol.13(1992)