投稿日: 2019.07.05 | 最終更新日: 2023.08.31

納豆の栄養素と効果とは?1パックのカロリー・タンパク質、毎日の適量を解説

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納豆

納豆は古くから日本人に親しみ深い食材のひとつですが、実は栄養的にも優秀な食材なんです。
納豆の栄養価とその特徴を活かした取り入れ方を紹介します。

納豆1パックに含まれる栄養素

パック入りの納豆

納豆1パックの量は商品によってもまちまちですが、以下のような分量になっていることが多いようです。

  • 四角いパック入りのもの…40~50g
  • 丸いカップ入りのもの…30g

今回は、一番オーソドックスな納豆に多い、1パック50gを基本の分量として栄養価を見ていきましょう。

カロリー

納豆1パック(50g)あたりのカロリーは、92kcalです。

重量の6割程度を水分が占めていますが、その他たんぱく質が2割弱、脂質が1割、炭水化物が1割強を占めています。

たんぱく質

納豆1パック(50g)に含まれるたんぱく質の量は8.3gです。

納豆の原料は「畑の肉」ともいわれる大豆で、豆類の中でもたんぱく質が豊富なことで知られています。

大豆が原料である納豆も、植物性食品でありながら、動物性食品のたまご・豚肉と比較しても引けを取らないたんぱく質の含有量となっています。

食品名 100gあたりのたんぱく質
糸引き納豆  16.5g
鶏もも肉  16.6g
鶏卵・生  12.2g

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2020年版(八訂)」より作成

また、植物性食品(例:米や麦など)のたんぱく質はヒトの体での利用効率(アミノ酸スコア)はあまり高くないのが一般的ですが、大豆でのアミノ酸スコアは肉類などと同じ100であり、質の良いたんぱく質、と言えるのが特徴です。

納豆は同じたんぱく源であるお肉やお魚と違い、焼いたり煮たりといった調理が必要なく食べやすいのが特徴です。
1日の中でも特に忙しい朝はいくつもおかずを用意するのは難しいため、ごはんだけ、パンだけといった簡素なものになりがち。
手軽にたんぱく質を摂取できる納豆は「主食(糖質)だけ」に偏りがちな朝ごはんの栄養バランス改善によさそうです。

脂質

納豆1パック(50g)には、5.0gの脂質が含まれています。

血中LDLコレステロールを下げる方向に働く多価不飽和脂肪酸の割合が比較的多く、生活習慣病リスクを抑える脂質のバランスになっているのも特徴といえます。

健康にいい油について詳しく解説した記事はこちら

糖質

納豆1パック(50g)に含まれる糖質量は、0.2gとなっています。

糖質は全身の主なエネルギー源として重要な栄養素ですが、納豆からはほとんどとれないため、バランスのとれた食事にするためには、お米などの糖質を摂取できる食品と組み合わせるのが良いでしょう。

食物繊維

納豆1パック(50g)に含まれる食物繊維の量は、6.1gとなっています。

通常、たんぱく質を多く含むたまごや肉類などの動物性食品には食物繊維がほとんど含まれていませんが、納豆は動物性食品と同じたんぱく源となる食材でありながら、食物繊維を多く含んでいるのも大きな魅力といえるでしょう。

炭水化物のうち、食物繊維を除いたものが糖質ですが、通常、糖質と比較すると食物繊維の含有量は少ないことがほとんどです。
一方、納豆においては、炭水化物のうちほぼすべてを食物繊維が占めているのが特徴です。

食物繊維の摂取目標量は18~64歳で男性は21g以上、女性で18g以上とされているのに対し、納豆1パック50gでとれる食物繊維は3g程度と、これだけで1日分がまかなえるものではありませんが、習慣的な「ちょい足し」に役立ちそうです。

ビタミンK

納豆1パック50gには、440㎍のビタミンKが含まれています。

納豆に含まれるビタミンKは納豆菌が産生する成分であり、必須栄養素のひとつでもあります。
ビタミンKは骨形成を促進して、骨の健康を保つ働きを持っています。

納豆にはビタミンKが豊富で、1/2パック(25g)で1日に必要なビタミンKをとることができます。
通常の食生活で不足しやすい栄養素ではないので、毎日食べる必要はありませんが、納豆に特徴的な栄養素のひとつです。

納豆1パック50gに含まれる鉄は1.7㎎です。

鉄は赤血球をつくる材料になる栄養素で、月経のある女性で不足しやすく、さまざまな食品からとることが重要です。
納豆は鉄の良い摂取源になる食品のひとつです。

鉄分について詳しく解説した記事はこちら

カルシウム

納豆1パック50gからは46㎎のカルシウムを摂取することができます。

カルシウムは骨の主成分であり、成長期の子どもたちだけでなく、大人もしっかりとりたい栄養素です。

カルシウムというと牛乳・乳製品のイメージが強いですが、納豆は重さあたりのカルシウム含有量が牛乳(50gあたり55㎎)に近い値となっています。

日常的に納豆を食べているという人は、納豆もカルシウムの主な摂取源にできそうですね。

カルシウムについて詳しく解説した記事はこちら

納豆の機能性成分と効果

機能性成分を含む納豆

たんぱく質やビタミンKといった必須栄養素以外にも、納豆は以下のような機能性成分を含むことが知られています。

  • 大豆イソフラボン
  • ナットウキナーゼ
  • 大豆サポニン
  • 大豆レシチン
  • 大豆ペプチド

あくまで食品に含まれる成分のひとつとして取るものであるため、薬のような効果があるようなものではありませんが、機能性成分も納豆の魅力のひとつといえそうです。

それぞれの成分に期待されている機能性について詳しく解説します。

大豆イソフラボン

納豆を含む大豆製品には、「大豆イソフラボン」が含まれています。

大豆イソフラボンは女性ホルモンのひとつ・エストロゲンと似た構造をもつことから、更年期以降に分泌量が低下する女性ホルモンの働きを助ける作用が期待されています。

現時点では、大豆イソフラボンの機能として、以下のような働きが報告されています。

  • 閉経後、女性ホルモンの減少による骨粗しょう症リスクの軽減
  • 更年期の血管障害(ホットフラッシュ)の軽減

納豆として摂取した場合の実際の効果については報告がないため、納豆を食べた場合に必ず効果があるとはいえませんが、大豆イソフラボンを含む大豆製品のひとつとして、納豆は更年期の血管障害や閉経後の骨の健康維持に良い影響をもたらすかもしれません。

ナットウキナーゼ

納豆菌が発酵の過程で作り出す「ナットウキナーゼ」という酵素には血栓溶解作用があることがわかり、将来的には動脈硬化、脳梗塞を予防できる可能性が期待されています。

しかし、血栓の溶解作用が見られたのは試験管内での実験で、人での実験ではないため、「納豆を食べれば血液サラサラ」と単純に考えることはできません。
ナットウキナーゼはたんぱく質でできており、口から摂取した場合には胃酸や消化酵素などによってその働きを失ってしまうと考えられ、血管内に届いて効果を発揮することまでは期待できないのが現状です。

よって、今のところは納豆やナットウキナーゼを取り入れることで血液についての何らかの健康効果を得られる、とは言えないようです。

反対に、納豆には血液凝固因子の成分であるビタミンKが多く含まれるために、抗凝血剤を服用中の人では、納豆の摂取が制限される場合もあります。
血管系の持病がある人は医療機関への相談をおすすめします。

大豆サポニン

大豆サポニンは乳化剤として加工食品等に使われることもある成分です。

肥満や脂質代謝、糖代謝、血栓症に対する効果が期待されているものの、ヒトを対象とした信頼できる研究報告がないため、大豆サポニン、または納豆を摂取することで何らかの健康効果が得られるかは不明というのが現状です。

今後、研究が進むことによってより詳しい効果が判明するかもしれませんね。

大豆レシチン

大豆レシチンは大豆製品に含まれる脂質の一種です。
大豆サポニンと同様、乳化剤として加工食品等に使われます。

大豆レシチンは認知機能や肝臓の脂質代謝を改善する効果が期待されているものの、ヒトでは有効だったという報告はなく、大豆レシチンや納豆を摂取することでこれらの効果が得られるとは言えないようです。

大豆レシチンに関しても、今後の研究が進むことを期待するにとどめておくのが良いでしょう。

大豆ペプチド

納豆を含む大豆製品には、たんぱく質に分類される成分の「大豆ペプチド」が含まれています。

大豆ペプチドは食後のエネルギー消費を大きくする作用があることが報告されており、ダイエット効果が期待されています。
しかし、この研究報告では、大豆ペプチドによるカロリー消費を増やす効果は大豆たんぱく15g相当で14kcal程度とわずかで、また、統計上意味のある量ではなかったそう。

大豆由来のたんぱく質15gは納豆100gから摂取可能ですが、カロリー消費を高めた一方で納豆を食べることで180kcal程度の摂取カロリーが上乗せされるため、ダイエットとして実用的なものとは言えなさそうです。

納豆のおすすめの食べ方

納豆と組み合わせたい食材

植物性食品でありながら、特徴的な栄養素のバランスとなっている納豆。
栄養の視点からは、どのように活用するのが良いのでしょうか?

毎日食べても大丈夫?

納豆は毎日食べても問題ない食品です。

たんぱく質や食物繊維、鉄分やカルシウムなどの補給に取り入れやすい食品のひとつといえるでしょう。

他の食品を食べなかったり、極端に納豆ばかりを食べすぎたりするような食生活は勧められませんが、ぜひ毎日の食事に適量範囲で取り入れてくださいね。

1日の適量目安は1パック

納豆の1日あたりの適量はおおよそ1パックと考えましょう。

健康的な食事のためには、さまざまな食品を偏りなく食べることが大事です。

納豆と同じたんぱく源となる食品は、肉類、魚類、卵、乳製品など。
納豆ばかりにこだわらず、いろいろな食品をまんべんなく食べることで、特定の栄養素の不足や過剰摂取を避けることができます。

納豆を食べるときの注意点

サプリメントの摂取

納豆は健康的な食品のひとつですが、食べ方に注意が必要な場合も。

  • 特定の薬との組み合わせ
  • サプリメントとしての摂取

それぞれの場合について解説します。

薬との食べ合わせに注意

納豆に豊富に含まれるビタミンKは抗凝血薬の作用を弱める働きがあります。
そのため、血栓塞栓症の治療薬であるワルファリンを服用している人は納豆を制限されることがあります。
このような疾患を持った方は主治医の先生の指示に従うようにしましょう。

サプリメントによる過剰摂取に注意

納豆を粉末状に加工したり、納豆に含まれる成分を濃縮したサプリメントも少なくありません。

しかし、納豆をはじめとした大豆製品に含まれる「大豆イソフラボン」に関しては、サプリメントや健康食品からのとりすぎに注意が必要です。

納豆など、通常の食品として摂取する分には安全であると考えられていますが、サプリメントや健康食品など、大豆イソフラボンを濃縮・強化した食品では、過剰摂取につながりやすく、子宮内膜増殖症などをおこした報告もあります。

大豆イソフラボンはとればとるほど良いというものではありませんので、納豆のような食品についても、サプリメントや健康食品についても、偏った食事はせず、いろいろなものを食べるようにしたいですね。

また、ナットウキナーゼを含む製品によって薬物性肝障害を起こした例も報告されています。

現時点では納豆由来の成分による明確な健康効果はほとんど確認されていませんので、納豆や大豆成分を含むサプリメントを積極的に摂取する意味はあまりありません。

納豆の活用レシピ紹介

納豆に含まれる栄養素を活かしたレシピを紹介します。

日々のバリエーションのひとつとして、ぜひ取り入れてみてくださいね。

カルシウム豊富な納豆チヂミ

納豆と干しエビのチヂミ

材料 2人分

納豆 1パック(50g)
ニラ(5㎝幅に切る) 1/2束(50g)
干しエビ 5g
1個
100ml
薄力粉 110g
ごま油 大さじ1(12g)
しょうゆ 大さじ2(30g)
大さじ1.5(20g)
ラー油 お好みで
(ごま油でも可)
白いりごま 小さじ1(3g)

※横スクロールで表全体の確認が可能です。

作り方

1. ボウルに卵と水を入れて泡だて器でよく混ぜる。
2. 薄力粉を入れて混ぜ、納豆、ニラ、干しエビを入れて混ぜる。
3. フライパンにごま油を入れて加熱し、温まったら2の生地を流し入れて中火で焼き色がつくまで焼く。
4. 裏返して両面を焼き、焼きあがったら四角く切り、皿に盛る。
5. たれの材料をすべて混ぜ、食べるときにつける。

栄養価

1人分397kcal カルシウム260㎎(1日の必要量の約40%)

カルシウムたっぷりの食材を組み合わせたスタミナメニューです。
納豆のにおいも気になりにくいので、納豆が苦手な人にも挑戦しやすいメニューです。

【レシピ動画紹介】食物繊維豊富な豆苗とえのきの納豆和え

材料 2人分

納豆(たれ付き) 1パック(45g)
豆苗 1/2パック
めんつゆ[3倍濃縮] 大さじ1
ごま油 大さじ1

※横スクロールで表全体の確認が可能です。

栄養価

1人分 145kcal たんぱく質8.2g 脂質8.8g 炭水化物13.2g 食物繊維6.1g

納豆とえのきを合わせた食物繊維たっぷりなメニューです!
レンジだけで作れて簡単、ご飯のおかずにも、麺類にかけてもおいしく食べられそうですね。

まとめ

納豆は優秀なたんぱく源となる食品のひとつであり、食物繊維やビタミンK、鉄分、カルシウムなどの摂取にも役立つことが魅力です。

一方、納豆をはじめとした大豆製品に含まれる機能性成分は注目されているものの、はたらきはいずれも限定的で、たくさん食べれば食べるほど良いというわけでもありません。
サプリメントによる摂取はリスクもありますので、注意が必要です。

納豆を健康的に取り入れるためには、納豆ばかりをたくさん食べるのではなく、さまざまある健康的な食材のひとつとして取り入れるのが正解です。

健康のために朝ごはんを習慣化するコツについて詳しく解説した記事はこちら

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炊飯器おすすめ15選

吉田勉 監修:「わかりやすい食品機能栄養学」.三共出版,2010.

厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2020年版(八訂)」

小松龍史,小松恵子,山岸稔:大豆ペプチド摂取の食事誘導産熱に及ぼす影響.大豆たん白質栄養研究会会誌vol.13(1992)

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:「健康食品」の安全性・有効性情報(ダイズイソフラボン、ナットウについて)

Sumi H, Hamada H, Tsushima H, Mihara H, Muraki H.A novel fibrinolytic enzyme (nattokinase) in the vegetable cheese Natto; a typical and popular soybean food in the Japanese diet.Experientia. 1987 Oct 15;43(10):1110-1.

須見 洋行.世界に誇る納豆 : その効能成分(<シリーズ>教科書から一歩進んだ身近な製品の化学-和食の化学-)化学と教育 / 63巻7号(2015)

厚生労働省:大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。