投稿日: 2019.04.19 | 最終更新日: 2023.08.04

タンパク質の働きとは?必須アミノ酸の種類、一日の必要量を解説

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「タンパク質」は必須栄養素のひとつであり、食事からの十分な摂取が必要とされています。

健康や美容のための食事にとって、たんぱく質はとても重要な要素ですが、1日に取るべきたんぱく質の量は個人差があり、自分にとっての適量を知らない人も多いのではないでしょうか。

栄養素としてのたんぱく質の機能や、私たちがとるべき量、効果的なとり方、ほかの栄養素との関係を解説します。

タンパク質とは

たんぱく質はアミノ酸と呼ばれる物質が鎖のように連なってできたものです。

タンパク質を構成するアミノ酸には20もの種類があり、組み合わせと配列によってさまざまなたんぱく質を形成しています。

必須アミノ酸は9種類

20種類のアミノ酸のうち9種類は体内で合成することができないため、必ず食事から摂取する必要があります。

  • ヒスチジン
  • イソロイシン
  • ロイシン
  • リシン
  • メチオニン
  • フェニルアラニン
  • トレオニン
  • トリプトファン
  • バリン

この9種類を「必須アミノ酸」と呼びます。

タンパク質の働き

たんぱく質源となる食材

たんぱく質は、炭水化物、脂質に並ぶ3大栄養素と呼ばれるもののひとつで、わたしたちの体にとって大切な役割を持っています。
体内では、

  • 人間の体の15~20%を占める、体そのもの(筋肉や皮膚、内臓など)の材料
  • 体の調子を整えるものの材料
  • 体を動かすエネルギーとなるもの(1gあたり4kcal)
  • カルシウムの吸収を高める
  • 免疫細胞のエネルギーとなって体を感染症から守る
  • 肌や髪を健康に保つ
  • 抗うつ、不眠を改善し精神を良好に保つ

このようなはたらきがあることが分かっています。

たんぱく質が不足すると

体調不良の女性

たんぱく質はダイエットを目的とした過度の食事制限や、体調不良による食事量の減少などで不足しがちです。
たんぱく質の不足による様々な影響が知られています。

  • 筋肉量が低下し、基礎代謝が下がるため、エネルギー消費の少ない太りやすい体になる
  • 筋肉量が低下し、体温維持が困難になる
  • ホルモンバランスを整えるのが困難になり、月経不順や不妊がおこる
  • 免疫細胞の働きが弱まり、感染症にかかりやすくなる
  • カルシウムの吸収が弱まり、骨がもろくなる

このような状態を防ぐためにも、普段の生活から十分な量のたんぱく質を摂取する必要があります。

タンパク質をとりすぎると

ただし、たんぱく質はとればとるほど良いというわけではありません。

明確な根拠は示されていませんが、「日本人の食事摂取基準(2015年度版)」の策定検討会報告書では、たんぱく質エネルギー比率が20%を超えた場合において

  • 糖尿病リスクの増加
  • 心血管疾患の増加
  • がん発症率の増加
  • 骨量の減少
  • BMIの増加(肥満)

があげられています。

どんな栄養素も、足りなくなれば体を壊し、取りすぎればまた体調を崩します。
たんぱく質だけに限らず、いろいろな栄養素を含んだ様々な食材を取り入れることで、健康的な体を手に入れたいですね。

たんぱく質の豊富な食べ物

たんぱく質はいろいろな食材に含まれています。

米や麦、豆などにも多く含まれますが、肉や卵のほうがより含有量が多く、さらに体にとって利用効率がいい性質も持っています。

最近では筋肉をつけるための筋力トレーニングと並行して、タンパク質源としてプロテインサプリメントを取り入れる人も少なくありません。

プロテインサプリについて詳しく解説した記事はこちら

たんぱく質の栄養価を表すアミノ酸スコア

食品に含まれるアミノ酸の比率を示したもので、「たんぱく質の栄養価」を示す数字です。

人の体内での利用の面から最も理想的なアミノ酸組成をもとに、どれだけそれを満たしているかを表します。

一般的に動物性食品のアミノ酸スコアは100である場合が多く、植物性食品のアミノ酸スコアは100に満たないことが多いです。(白米…65、小麦…44)

例外として、動物性たんぱく質でもゼラチン(コラーゲン)はアミノ酸スコアが0、植物性たんぱく質でも大豆のアミノ酸スコアは100となっています。

たんぱく質の必要量について

たんぱく質は足りないのも、多すぎるのも良くないことであるといえます。
では、どのくらいの量を食べるのが良いのでしょうか?

日本人の食事摂取基準(2020年版)では、

18~64歳の女性で最低必要量として40g、推奨される量として50g、摂取エネルギー全体の13~20%(50歳以上では14~20%)
18~64歳の男性で最低必要量として50g、推奨される量として65g、摂取エネルギー全体のの13~20%(50歳以上では14~20%)が示されています。

実際に、成人女性を想定した場合の1日の食事に含まれているたんぱく質の量を確認してみましょう。
例)

食品名 タンパク質量
朝食

食パン6枚切り1枚
ゆでたまご1個
バター5g
ヨーグルト70g

5.4g
7.4g
0.0g
3.0g
昼食 ごはん150g
唐揚げ3個 100g
レタスサラダ100g
ネギとわかめすまし汁
3.8g
24.2g
0.6g
1.8g
夕食 ごはん150g
焼き鮭1切れ70g
こんにゃくの甘辛煮
野菜のみそ汁
3.8g
15.6g
0.4g
2.0g
合計 68.0g

全体的にボリューム控えめな食事内容ですが、この内容でも約68gのたんぱく質を摂取することができ、推奨量はクリアしています。

1日3回の食事をきちんと食べていればそうそう不足するものではありませんが、偏った食事や極端な食事制限では必要量を下回ってしまう可能性があります。

  • 1日3食食べること
  • バランスの取れた定食メニューに近いものを食べること

で必要な量は十分にとることができます。

目安は毎食手のひら1枚分

たんぱく質を十分に摂取するための目安としては、1日3回の食事でそれぞれ手のひら1枚分のたんぱく源となる食品(肉類、魚類、たまごなど)を食べるようにするといいでしょう。

個人差はありますが、手のひら1枚分で100~150gほど、たんぱく質としては20-30gをとれる計算です。

ごはんやパン、麺などに偏りがちな人は意識して取り入れてみてくださいね。

たんぱく質と一緒に働く栄養素

タンパク質を含む食品

たんぱく質は、その他の栄養素と一緒にとることで、体内でより効果的に働いてくれます。

ビタミンB

ビタミンB6はアミノ酸やたんぱく質の分解や合成・代謝にかかわるビタミンです。

魚・肉・卵・牛乳・野菜・大豆など幅広い食品に含まれ、たんぱく質の摂取量が多いほど必要な量が多くなります。

筋肉量を増やしたい人にとってはたんぱく質と同様に不足しないよう気を付けたい栄養素です。

ビタミンについて詳しく解説した記事はこちら

糖質

エネルギー源として働く糖質が不足すると、たんぱく質が体の材料としてではなく、エネルギー源として使われてしまいます。

極端な絶食や糖質制限などで糖質が不足すると、たんぱく質が本来の働きができなくなってしまうため、ダイエット中でも適量の糖質は取り入れることをおすすめします。

炭水化物について詳しく解説した記事はこちら

糖質制限ダイエットについて詳しく解説した記事はこちら

まとめ:すべての栄養素をバランスよくとることが大事

健康な体を維持するのにとても重要なたんぱく質ですが、その機能を最大に生かすためには、たんぱく質だけではなくその他の栄養素もバランスよくとることが必要です。
毎日の食事から、少しずつ意識していきたいですね。

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参考文献

吉田勉 監修:「わかりやすい食品機能栄養学」.三共出版,2010.

高松薫、山田哲雄 編集:「運動生理・栄養学〔第3版〕」.建帛社,2010

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」

厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書

厚生労働省:平成29年「国民健康・栄養調査」の結果

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。