
突然ですが、たんぱく質、しっかりとれてますか?
世の中にダイエット方法はたくさんありますが、食事量を制限するダイエット法は多く見られます。
食事を減らすダイエットで注意してほしいのが、たんぱく質の不足です。
間違った食事制限でたんぱく質が不足すると、ダイエットが失敗しやすく、体調不良の原因にもなります。
また、たんぱく質不足の影響で体組成にも影響が表れ、リバウンドしやすくなることも考えられます。
今回は、ダイエットとたんぱく質の関係について、解説します。
Contents
ダイエットとたんぱく質の関係
ダイエットのために食事量を減らすということはよく聞くことです。
しかし、食事量が減ってたんぱく質が不足すると、リバウンドしてしまうというのは、どういうことなのでしょうか?
単にエネルギー(カロリー)が足りない状態では筋肉も落ちる
ダイエットのために食事量を極端に減らすと、体は足りなくなったエネルギーを確保するため、体脂肪と筋肉を分解し、エネルギーを作り出します。
このとき、仮に脂肪細胞だけが分解されるのであれば、食事量を極端に減らすダイエットでも筋肉はそのまま残り、脂肪だけがなくなってすっきりきれいに!と思われるかもしれませんが、現実はそう甘くはありません。
筋肉は、体温を維持するための熱を作ってエネルギーを消費してくれる働きがあります。
しかし、食事量が減って摂取エネルギーが減ると、脂肪だけでなく必ず筋肉も分解されます。
基礎代謝を下げないための筋肉量の維持
安静にしている状態でも、筋肉は1日に1㎏あたり13kcalを消費します。
対して、脂肪細胞は1日に1㎏あたり4.5kcal。
筋肉質な人ほど、同じエネルギーを食べても太りにくいといえます。
食事を減らすばかりのダイエットではたんぱく質が不足し、筋肉を作り出すことができなくなります。
エネルギーを消費してくれる筋肉が分解されて減少することで、ダイエット前と比較してエネルギーを消費しにくい体、太りやすい体になってしまうのです。
そのため、見た目や体重では痩せたとしても、ダイエット前の食事に戻すと、リバウンドなどが起こることにつながります。
リバウンドを防ぐためにも、筋肉量はしっかりと維持することが重要です。
筋肉の材料はたんぱく質と運動
筋肉量の維持のためには、筋肉の材料となるたんぱく質を摂取する必要があります。
加えて、適度な運動を加えることで筋肉量を減らさずに体脂肪を減らしていくことが可能になります。
もし、ダイエットの中で今よりも筋肉を成長させたいと考えている場合は、筋細胞の発達のためにたんぱく質がさらに必要になります。
たんぱく質食品中心の糖質制限ダイエットは健康的?
とはいえ糖質や脂質を全くとらず、たんぱく質だけを摂取するような、鶏ささみだけを食べるダイエットや糖質制限ダイエットは、
・糖質と脂質不足によるリスク
・たんぱく質のとりすぎによるリスク
の恐れがあり、健康的な食生活とは言いにくいものです。
健康的な食事にするには、どの栄養素も摂取基準程度の摂取が重要です。
たんぱく質はどのくらい食べればいい?
食事摂取基準で定められている量
日本人の食事摂取基準2020年版では、
18~64歳の女性で最低必要量として40g、推奨される量として50g
18~64歳の男性で最低必要量として50g、推奨される量として65g
が示されています。
ほかの栄養素とのバランスとしては、摂取エネルギー全体の13~20%をたんぱく質からとれると理想的です。
(炭水化物由来エネルギーは50~65%、脂質由来エネルギーは20~30%)
毎食、肉や魚、卵を食べるようにすると不足しない
これは、1日3食でごはんやパンなどの主食と肉や魚などの主菜をきちんと食べていればそうそう不足するものではありません。
しかし、夕食を抜いたり、朝食や1日の主食(ごはんやパンなど)を抜いたりすると必要量を下回ってしまう可能性があります。
1食あたりの目安量はお肉やお魚を手のひら1枚分。
たんぱく質を多く含む食品をたくさん食べようと考えるよりも、1日3食でバランスの取れた定食メニューに近いものを食べることがコツです。
たんぱく質が豊富な食べ物
主には肉、魚、卵、大豆、乳製品
たんぱく質はいろいろな食材に含まれています。
米や麦、豆などにも多く含まれますが、肉や卵のほうがより含有量が多く、さらに体にとって利用効率がいい性質も持っています。
植物性食品の中でも大豆はたんぱく質の量も多いうえ利用効率がよく、「畑の肉」とも呼ばれています。
たんぱく質を効果的にとる方法
たんぱく質は、その他の栄養素と一緒にとることで、体内でより効果的に働いてくれます。
魚・肉・卵・牛乳・野菜・大豆に含まれるビタミンB6と一緒に取ると、ビタミンB6がたんぱく質の皮膚を作る機能の手助けをしてくれます。
また、エネルギー源として働く糖質が不足すると、たんぱく質が体の材料としてではなく、エネルギー源として使われてしまうので白米などの糖質もある程度はとったほうが良いといえます。
摂取エネルギーをおさえつつたんぱく質をとる工夫
肉や魚をしっかり取ったほうがいいのはわかっていても、エネルギーが気になってしまう場合もありますね。
たしかに、脂身が多い牛肉などはたんぱく質をとる以上に脂質とエネルギーが過剰になってしまうこともあります。とはいえ脂質の少ない鶏むね肉や鶏ささみはパサパサ感が苦手な人も。
ここでは、食材を選ぶときに低カロリーで高たんぱくな食材を選ぶコツと、簡単調理で低カロリー高たんぱくなメニューのレシピを紹介します。
低カロリー高たんぱくな食事を作るために最も簡単な方法は、
・取り除ける脂質を取り除くこと
・もともとたんぱく質は多く脂質の少ない食品を選ぶこと
のふたつです。
鶏肉は皮を外す
鶏肉は、脂質の大部分が皮のその周りについています。そのため、脂身を取り除くのも皮をはがすだけで簡単です。
鶏むね肉だけでなく鶏もも肉も、皮をはがしてしまえばかなり低カロリーな食材になります。
比較)皮つき鶏もも唐揚げ110g(生肉換算150g):344kcalたんぱく質27g
比較)皮なし鶏もも唐揚げ110g(生肉換算150g):281kcalたんぱく質28g
豚肉・牛肉は赤身肉を
豚肉・牛肉は鶏肉と違って赤身の部分と脂身の部分が混ざり合っており、鶏肉ほど簡単には取り外すことはできません。
もし取りやすそうな脂身がついていたら包丁で切って取り除くのも方法のひとつですが、鶏肉ほど脂身を取り切れないので、もともと脂の少ないヒレ肉などの部位を使うのも有効です。
魚は青魚より赤身・白身魚が低カロリー
魚のカロリーはものによって大きく違い、鶏ささみよりも低いものから、脂身付きの豚ロースを上回るものまであります。
一般的に青魚と呼ばれるサンマやサバは脂質を多く含むため高カロリー、カツオやマグロなどの赤身魚、タラなどの白身魚は比較的脂質が少なく低カロリーです。
ただし、赤身や白身であっても、トロなどの脂ののった部位は高カロリーになりやすいので注意が必要です。
青魚には脂質が多いとはいえ、EPAやDHAなど体に必須な脂が多いこともあり、過剰な摂取以外はさほど気にしなくてもいいものと考えましょう。
調理法によってカロリーオフ
調理中にエネルギー(カロリー)を低く仕上げるには、調味料に含まれる油脂や糖類を控えめにすることです。
たとえば、揚げたりするよりも焼く・煮る・蒸す調理のほうが余分な脂が落ち、低カロリーになります。
また、肉を焼くときはサラダ油をひかず、肉から溶け出した脂で焼くことで余分なエネルギー(カロリー)をカットすることができます。
また、味付けもチーズソースやホワイトソースなどは脂質が多く含まれており高カロリーなので、塩とスパイスなどでシンプルに味付けするのもおすすめです。
低カロリー高たんぱくな胸肉をおいしく食べるためには水分がカギ
低カロリーでお値段も手ごろな鶏むね肉は、ダイエットの強い味方ですよね。
ただ、パサパサしがちなのが残念なところ。
しっとり食感に仕上げるには、鶏むね肉の水分を逃がさないように水分をキープしつつ、加熱しすぎないようにするのがポイントです。
低カロリー高たんぱくな簡単メニューのレシピ
鶏もも肉のハーブグリル
【材料】(2人分)
鶏もも肉(皮なし) | 1枚(300g) |
塩 | 小さじ1(5g) |
こしょう | 少々 |
おろしにんにく(チューブでも可) | 小さじ1(4g) |
オリーブオイル | 小さじ1(4g) |
ドライハーブ | 小さじ1/2(0.5g) |
レモン汁(あれば) | 小さじ1(5g) |
※横スクロールで表全体の確認が可能です。
【作り方】
1.保存用ジッパー付き密封袋にすべての材料を入れてよくもみ込み、10分~30分置く。
2.魚焼きグリルに乗せ、両面をこんがり焼く。(フライパンでフタをしながら焼いてもOK)
【栄養価】1人分約200kcal たんぱく質28g
電子レンジで柔らか蒸し鶏のさっぱりサラダ
【材料】(2人分)
鶏むね肉(皮なし) | 1枚(300g) |
酒 | 大さじ2(30g) |
砂糖 | 小さじ1(4g) |
塩 | 小さじ1(5g) |
片栗粉 | 小さじ1(3g) |
おろししょうが(チューブでも可) | 小さじ1(4g) |
トマトやきゅうり、レタスなど お好みの野菜(一口大に切る) |
好きなだけ |
●おろししょうが(チューブでも可) | 小さじ1/2(2g) |
●長ねぎ(みじん切り) | 長さ10㎝分(25g) |
●ポン酢 | 大さじ2(30g) |
●ごま油 | 小さじ1(4g) |
*お好みで唐辛子などを足してもOK |
※横スクロールで表全体の確認が可能です。
【作り方】
1.鶏むね肉にフォークで数か所穴をあける。耐熱容器にいれ、酒、砂糖、塩、片栗粉、おろししょうがをもみ込み、室温で15分~30分置く。
(保存用ジッパー付き密封袋に入れて保存可能です。:2~3日程度、原則は肉の賞味期限内に使ってください)
2.鶏肉の入った耐熱容器にふんわりラップをし、電子レンジ600Wで4分加熱し、加熱が終わったらそのまま5分置いて余熱で火を通す。
3.鶏肉を加熱している間にお好みの野菜を食べやすく切って皿に盛り付ける。
4.長ねぎをみじん切りにし、●の材料とよく混ぜておく。
5. 鶏肉の粗熱が取れたら食べやすい厚さに切り、皿に盛り付ける。
6.たれをかけて出来上がり。
【栄養価】1人分約230kcal たんぱく質35g
砂糖と片栗粉には水分をお肉にとどめやすくしてくれる働きがあります。
また、余熱で火を通すことで加熱しすぎによるパサパサを防ぎ、しっとり食感に仕上げることができます。
タレや野菜はお好みなので、カット済みの野菜や市販のドレッシングを使えばもっと手軽になりますよ!
まとめ
ダイエット中は食事を控えてしまうため栄養バランスが崩れがちですが、ダイエット中こそたんぱく質が必要な時期です。
必要な栄養素はしっかりとって、健康をキープしながらきれいにダイエットしましょう!
参考文献 吉田勉 監修:「わかりやすい食品機能栄養学」.三共出版,2010. 高松薫、山田哲雄 編集:「運動生理・栄養学〔第3版〕」.建帛社,2010 |