糖質制限ダイエットとカロリー制限。結局どっちがやせるの?

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糖質を制限するダイエット

近年、注目されている糖質制限ダイエット。
炭水化物抜きダイエット、ローカーボダイエットなどいろいろな呼び名がありますね。
食事を我慢することなく痩せられるなど、魅力的な評判もよく耳にしますが、従来のカロリー管理をするダイエットと比較すると効果は大きいのでしょうか?

糖質制限ダイエットとカロリー制限ダイエットの比較に加え、それぞれの栄養素を制限することによっておこることを解説します。

糖質制限ダイエットって?糖尿病の食事療法とは区別しましょう

糖質制限には糖尿病の食事療法とダイエットの両面がある

糖質制限についての書籍やインターネット上の情報は数多く見つけることができます。

しかし媒体によってはダイエット法としての糖質制限の効果(体重、体脂肪の減少)と、糖尿病の食事療法としての糖質制限食の効果(血糖値の改善、体重の変化)を混同しているような情報も見かけます。

糖尿病とは?

生活習慣病としての糖尿病は食事から吸収された糖質に対する反応が悪くなることで起こります。
健康な人に比べて血液中の糖の濃度(血糖値)が高くなってしまうことにより、体にさまざまな悪影響を及ぼす病気です。

糖尿病の治療では血糖値を上げすぎないための血糖コントロールが重要であるため、食事に含まれる糖質の量を抑える糖質制限食は治療方法のひとつとして考えられています。

糖尿病の食事療法=ダイエット方法ではない

糖尿病患者の方と、健康な方とでは糖質に対する体の反応が異なります。
糖尿病の治療のための糖質制限食と、健康な人の糖質制限ダイエットは分けて考えたほうがよさそうです。
この記事では混乱を避けるため体重を減らすことが目的のダイエット方法として「糖質制限ダイエット」と表現します。

糖質制限ダイエットの理論は?

糖質制限ダイエットでは、

・インスリンというホルモンには体脂肪の合成を促す働きがある
・インスリンは糖質を食べ、血糖値が上がると分泌され、糖を脂肪に合成するのを促す
・糖質を食べる量を減らせば、インスリンの分泌される量が減り、体脂肪の合成を抑えられる

という理論によってダイエットができるとしています。

糖質制限ダイエットのやり方は?方法によって大差が!

糖質制限ダイエットには決まった方法はなく、提唱している人によって厳しいものから緩やかなものまで多くの種類があります。
着目する食材としては、

・いつもの食事からごはんなどの主食のみを減らすもの
・糖質の含まれる食材から調味料に至るまですべてを制限するもの

などに分かれます。

また、糖質以外の食材についても

・ごはんなどの主食以外のおかずの量は変えないもの
・糖質を含んでいないおかずなら、カロリーを気にせず好きなだけ食べていいもの

など、食べられる量にかなり幅があります。

糖質を制限することでダイエット効果はあるの?

糖質制限の効果は?

糖質を制限するのと、エネルギー(カロリー)を制限するのと、どっちがやせる?

糖質以外のお肉や乳製品、ナッツなどの食事はエネルギーを気にせず好きなだけ食べても痩せるというのはとても魅力的ですよね。

では、本当にエネルギーは制限せずとも糖質を制限することでダイエット効果はあるのでしょうか?

糖質制限ダイエットとエネルギー制限ダイエットの比較

1日あたりの摂取エネルギーを同じにした条件で、

① 糖質を制限し、代わりに脂質やたんぱく質をとるグループ
② 糖質・脂質・たんぱく質のバランスがとれたグループ

に分け、それぞれの体重減少の効果を比較した研究が2014年に行われています。

結果としては、摂取エネルギーが同じであれば糖質の比率が低くても、低くなくても、体重の減少にはほとんど差はなかったというものです。

糖質の比率を下げることでダイエット効果があるのであれば、「同じエネルギー摂取では糖質を制限したほうがより体重が減った」という結果が出るはずです。
しかし、この実験ではそうなりませんでした。
このことからも、「体重の変化は、食事に含まれる糖質の比率ではなくエネルギーによって決まる」といえそうです。

「糖質を制限すればエネルギーは気にしなくてもいい」というのは、やはり都合の良すぎる話だったようです。

糖質制限によって摂取エネルギーが少なくなれば、ダイエット効果あり

糖質制限ダイエットは痩せない!というわけではありません。
結局のところ、「消費エネルギーよりも摂取エネルギーを少なくすれば痩せる」というだけの話ですので、

・糖質制限によって1日を通した摂取エネルギーが減っていればダイエット効果がある

といえますし、

・糖質を減らしたから!といって代わりにたんぱく質や脂質に富む高エネルギーなものを食べていては、あまり意味がない

ということになります。

「糖質」にこだわりすぎないでほしい理由

少量多種類の食材

糖質は減らすときのデメリットが少ない?

食事によってダイエットをしようとするとき、極端な食事制限では体に必要なたんぱく質や脂質、ビタミンやミネラルが不足することが心配されます。

ごはんやパンといった糖質を多く含む主食は、お肉や魚、卵、乳製品といった食品に比べると、体に必要なたんぱく質や脂質・ビタミン・ミネラルの含有量が比較的少ないという面があります。

そういった点では、糖質をカットする食事制限は栄養面でのデメリットが少ないように感じられます。

とはいえ、デメリットが少ないのは「ひとつの食品群に注目した場合に、比較的少ない」というだけの話です。

極端な糖質制限では、糖質だけをエネルギー源とする脳や赤血球などに十分なエネルギーが供給されない・たんぱく質や脂質の割合が増えることにより、さまざまな影響が考えられます。

糖質を過剰に制限することの悪影響

糖質制限のデメリット

緊急時以外、脳は糖質のみをエネルギー源としています。
糖質を過剰に制限して脳のエネルギー源が少なくなると、眠気やイライラを感じたり、集中力がつながらなかったりと、脳の働きに影響を及ぼします。

また、体は脳に必要な糖質を作り出すために、体脂肪だけではなく筋肉も分解します。
体重が減ったとしても筋肉量が減っているため、基礎代謝が低く太りやすい体になってしまうことが予想されます。

また、ごはんやパンといった穀類の摂取量が少なくなることにより、穀類に含まれる食物繊維の摂取量も少なくなりがちです。
食物繊維の摂取量が減ると腸の中でうまく便が形成されないため、便秘になりやすくなることが考えられます。

糖質を減らすと、たんぱく質や脂質の割合が増える

たんぱく質や脂質が不足すると体への悪影響が考えられますが、多ければいいというわけではありません。
糖質制限ダイエットによって糖質の摂取が減り、脂質やタンパク質の摂取量が増えると、それによるまた別の問題が発生することが考えられます。

タンパク質や脂質もとりすぎれば太り、健康に影響がある

よく糖質制限ダイエットで「高たんぱく質・高脂質な食事」を勧めるものを見かけます。

しかし、脂質を多く含む食事では血液中のコレステロール値が上がりやすく、動脈硬化や血栓のリスクが高まると考えられます。

また、たんぱく質も摂取量が摂取カロリーの20%を超えると、がんや糖尿病発症リスクが増えるとの指摘もされています。(通常の食事では15~20%)

糖質制限ダイエットでは糖質の悪い点が指摘されることが多いですが、
たんぱく質や脂質もとりすぎれば使い切れない分は体脂肪として蓄積されますし、とりすぎによる健康への影響も考えられます。

おすすめダイエット法

バランスの取れた食事

糖質制限ダイエットをするなら、ちょいオフがおすすめ

もし、おかずよりもご飯を減らすのが続けられそうだという人には、適度な範囲での糖質制限ダイエットはおすすめといえそうです。

とはいえ、目的はあくまでも「糖質オフ」ではなく「カロリーオフ」です。

おすすめしたいのは、夜はごはんをお茶碗半分にする、おかずの量は増やさないといったゆるめの糖質オフ方法。

主食からのエネルギー(カロリー)を減らしつつ、糖質を減らしすぎるリスクやその他の栄養素が増えることによるリスクを抑えます。

体に悪影響が少ないかわりに、ダイエット効果もゆるやかなのでコツコツ続けてくださいね。

続けやすい方法を選ぼう

ごはんやパンが好きな人にとって、糖質制限ダイエットはとてもつらいものになります。
反対に、おかずは減らしたくない、という人にとっての糖質制限ダイエットはとてもやさしいものに感じられるかもしれません。

結局のところ、ダイエットの効果は摂取エネルギーと消費エネルギーによって決まります。

好きなものばかり食べるのは良くありませんが、食事のバランスが崩れない程度に、自分が我慢できる範囲での方法を選ぶのがダイエットを成功させるコツともいえそうです。

単純で極端なダイエットは避けたほうがいい

「○○を減らすだけ」「○○を食べるだけ」といった分かりやすいダイエット方法は、一見すると取り入れやすく成功しやすそうですが、うまくいかないことが多いと考えています。

単純すぎる方法はそもそも効果が期待できないものであったり、極端なものは効果があっても食事内容が偏ることで健康に悪影響があったりと、問題のあるものが多いように感じます。

ちなみに、極度の肥満である場合を除いた多くの人の場合、一切食事をとらずに過ごしても、1週間での体脂肪の減少量は理論上1.5~2㎏程度が限度です。(体調不良の原因になるので絶食は避けてください)
これ以上のダイエット効果をうたうものはそもそも信用できないものと考えても問題ないでしょう。

1日240kcalで1ヵ月1㎏

健康的に、かつ無理なく続けられるダイエットとしては、1ヵ月で1~2㎏程度の減量にとどめるようにするのがおすすめです。

1日あたり、食事と運動で240kcalをカットすることで、1ヵ月で1㎏の体脂肪を減らせる計算になります。

普段の自分の食生活はどうだろう?

毎日の食事内容は人それぞれです。
ダイエットにおいてどのような取り組みが効果的なのか?というのはその人の食事内容によっても異なるといえそうです。

砂糖の入ったお菓子やごはんを食べすぎてしまう人は糖質の量を見直すと摂取エネルギーを減らしつつ栄養バランスが整いますし、
揚げ物を食べる機会が多いという人は脂質を減らすように心がけるといいですね。
お酒を飲むことが多い人は断酒でダイエットすることができることもあります。
そもそも全体の量を食べすぎというひとは全体の量を見直す必要があります。
食事は気を使っているけど全く運動をしないという人は、食事よりも運動をするほうが効果が表れやすいかもしれません。

食事の見直しと適度な運動を組み合わせて、無理なくダイエットをするようにしてくださいね。

参考文献

吉田勉 監修:「わかりやすい食品機能栄養学」.三共出版,2010.

厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」 報告書

Low carbohydrate versus isoenergetic balanced diets for reducing weight and cardiovascular risk: a systematic review and meta-analysis. Naude CE, Schoonees A, Senekal M, Young T, Garner P, Volmink J.PLoS One. 2014 Jul 9;9(7):e100652.

国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター:「糖尿病って何?」