
ダイエットの分野で近年注目されているのが「糖質の摂取量を減らすダイエット方法」ですが、通常のカロリー制限ダイエットとどんな違いがあるのでしょうか?
糖質制限ダイエットとカロリー制限ダイエットの違いを解説します。
それぞれのダイエット効果の差、糖質制限ダイエットに向いている人の特徴、健康的に糖質制限を行うポイントについてまとめました。
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Contents
糖質制限とカロリー制限の違い
「カロリー制限」と「糖質制限」はどちらも食事内容にアプローチするダイエット方法ですが、どのように違うのでしょうか?
カロリー制限はカロリーを削る
「カロリー制限」は消費エネルギー以上に摂取したエネルギーの余剰分が体脂肪として蓄積されるという考え方に基づき、摂取エネルギーを消費エネルギーよりも少なくなるように制限するダイエット方法です。
極端な方法としては「絶食」「ファスティング」などがあり、極端な方法を続けるとリバウンドや体調不良を引き起こす恐れがあります。
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糖質制限は糖質を削る
糖質をとることで血糖値が上がることでインスリンが分泌され、体脂肪として蓄積されるという考え方に基づき、血糖値を上げないために糖質の摂取量を制限するダイエット方法です。
極端な方法では一切の糖質を食べない場合もあり、長期的な糖質制限では、腎臓や心血管系への負担が心配されています。
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糖質制限とカロリー制限のダイエット効果の違い
気になるのは「結局どっちがやせるの?」ということですが、糖質を制限した場合でも、カロリーを制限した場合でも、結果として「摂取カロリー」が減っていれば、ダイエットに効果があるとされています。
糖質量ではなくカロリーが決め手
2014年に行われた、糖質を制限した食事と、現在の指標でよいとされる栄養バランスの食事とで、体重減少の効果を比較した研究*)を紹介します。
1日あたりの摂取カロリーを同じにした条件で、2つのグループを比較しました。
① 糖質を制限し、代わりに脂質やたんぱく質をとるグループ
② 糖質・脂質・たんぱく質のバランスがとれたグループ
結果としては、摂取カロリーが同じであれば糖質の比率が低くても、低くなくても、体重の減少にはほとんど差はなかったというものでした。
糖質の比率を下げることでダイエット効果があるのであれば、「同じカロリー摂取では糖質を制限したほうがより体重が減った」という結果が出るはずですが、この実験ではそうなりませんでした。
このことからも、「体重の変化は、食事に含まれる糖質の比率ではなくカロリーによって決まる」といえるようです。
糖質制限によって痩せるのは摂取カロリーが減るから
糖質制限ダイエットによってやせられるのは、「糖質を減らしたから」ではなく、「糖質を減らすことによって摂取カロリーが減ったから」ということのようです。
日本人の通常の食事では、摂取カロリーの半分程度が糖質由来であるため、極端な糖質カットではダイエット前の半分ほどのカロリー摂取になる可能性もあります。
糖質制限ダイエットは痩せない!というわけではありませんが、糖質ではなくカロリーが本質であることから、以下のような点に注意が必要です。
- 糖質制限によって1日を通した摂取エネルギーが減っていればダイエット効果がある
- 糖質を減らした代わりにたんぱく質や脂質に富む高カロリーなものを食べていて摂取カロリー全体が多くなっているとダイエット効果は得られない
糖質制限・カロリー制限のいずれにしても、「消費カロリーよりも摂取カロリーを少なくすれば痩せる」ということを心に留めておく必要がありますね。
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糖質制限の向き・不向き
糖質制限によって摂取カロリーを少なくできればダイエット効果が期待できますが、糖質制限によるダイエットはもともとの食習慣によって向き不向きがあるといえます。
糖質制限でダイエット効果が期待できる人、別の方法が良い人の特徴をまとめました。
糖質制限に向いている人
糖質制限によるダイエットが成功しやすいのは、「今までの食事で糖質を多くとっていた人」。
糖質の取りすぎで摂取カロリーが多くなっていた人は、適正量にするだけでも十分なダイエット効果が期待でき、栄養バランスの改善も可能です。
具体的な例としては、ごはん・パン・麺・お菓子類で食事を済ませがちな人にはおすすめの方法です。
糖質制限に不向きな人
糖質制限に向いていない人は、糖質の摂取量に問題がなく、食事の別の部分が摂取カロリーを増やす要因となっている人です。
たとえば、「日常的な油の摂取量が多く、摂取エネルギー過剰の原因が脂質だった、という人には、糖質制限ではなく脂質の制限がより有効な方法になるでしょう。
具体的には、ごはんなどの主食よりも肉などのメインのおかずをたくさん食べる人、揚げ物が多い人などが当てはまります。
普段の食事内容をチェックする方法
自分の食事の特徴を知るためには、管理栄養士などに直接相談する方法もありますが、簡易的には、厚生労働省と農林水産省が発表している「食事バランスガイド」に当てはめてみる方法があります。
食事バランスガイドに基づき、食事内容をチェックできるサイトを紹介します。(外部サイト)
気になる人は、実際に食べた食事内容を思い出しながら、1日分を入力してみてくださいね。
脂質が過剰であると診断された場合は、糖質制限よりも脂質をカットするほうが向いているかも。
糖質も脂質も過剰、となった場合は、どちらもバランスよく減らすのがよさそうです。
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糖質制限のおすすめのやり方
糖質摂取が過剰であった場合でも、糖質の摂取量をゼロにする必要はありません。
摂りすぎた分を適正範囲に戻すだけでも、摂取エネルギーが減ることで十分にダイエット効果が期待できます。
糖質の適正量を知る
食事の中で主な糖質の摂取源となるのはごはんやパン、麺といった「主食」と砂糖類を多く使う「菓子・嗜好飲料」です。
性別・体格・日常的な活動量によって消費カロリーや糖質摂取の適量も異なりますが、平均的なダイエット中の成人男女を想定すると、以下が適正量の目安となります。
- 主食…男性1日5~6つ(SV)、女性1日4~5つ(SV)(*つ(SV)については後述)
- 菓子・嗜好飲料…1日200kcal以下、できれば100kcal以下
このほかのメインおかず「主菜」や野菜を使ったサブおかず「副菜」にも糖質は含まれますが、主食や菓子・嗜好飲料程の摂取源とはならないため、対象外とします。
主食を減らす
ダイエット中の場合、1日にとる主食の量は男性5~6つ、女性4~5つにするのがおすすめです。
つ(SV)は「食事バランスガイド」における食事の数え方で、「主食1つ(SV)」は白米ごはんで100gにあたります。
食品 | 目安量 | 主食●つ? |
ごはん | おにぎり1個(100g) | 1つ |
白米ごはん茶碗1杯(150g) | 1.5つ | |
白米ごはん茶碗多め1杯(200g) | 2つ | |
白米ごはんどんぶり大盛り1杯(300g) | 3つ | |
パン | 4-6枚切り食パン1枚 | 1つ |
ロールパン2個 | 1つ | |
麺 | ラーメン1人前 | 2つ |
うどん1人前 | 2つ | |
パスタ1人前 | 2つ |
菓子・嗜好飲料を減らす
砂糖類を多く含む「お菓子」「ジュース」は、1日あたり多くとも200kcalまで、ダイエット中においては100kcalまでに抑えられるといいでしょう。
お菓子やジュースは必須栄養素にも乏しく、基本的に「余分なカロリー摂取」になりやすいものです。
市販の容器包装済みのお菓子や飲料はほとんどの場合カロリー表示があり、カロリー管理に役立ちます。
カロリー収支を整える
糖質の摂取量を整えることは大事ですが、ダイエットの本質は「カロリー収支」にあります。
ダイエット中においては、自分の消費カロリーに対して摂取カロリーが多くなっていないか、体重の変化を観察しつつ、食事の内容を見直していきましょう。
カロリー収支の管理には、消費カロリーを知っておくこと、カロリー管理アプリなどで摂取カロリーを把握することが重要です。
自分の消費カロリーを計算できるページはこちら
まとめ
体脂肪を減らすためには摂取エネルギーを減らす必要があります。
摂取エネルギーを減らす目的だけであればどの栄養素を減らしても、体重変化には違いはないといえそうです。
しかし、体に必要な量を確保できなければ、または極端に多くとりすぎた場合も、健康に悪影響があります。
カロリー制限であっても、糖質制限であっても、結果として
- 摂取エネルギーが消費エネルギーを下回る→体脂肪が燃焼する
- 摂取エネルギーが消費エネルギーを上回る→体脂肪が蓄積する
- 必要な栄養素が適正な範囲で摂取される→健康が維持される
- 必要な栄養素が不足したり、または過剰になる→健康に悪影響がある
となるのは同じです。
どちらの方法を選んでも、体に必要な栄養素を適正範囲に維持しつつ、摂取エネルギーは消費エネルギーを下回るようにしたいですね。
人それぞれ食生活は異なるので、糖質をとりすぎて摂取エネルギーが過剰になっている人もいれば、脂質をとりすぎて摂取エネルギーが過剰になっている人もいます。
糖質が多いのであれば糖質を減らして、脂質が多いのであれば脂質を減らして、適正なエネルギー量に収めたいですね。
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参考文献 厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書 *)Low carbohydrate versus isoenergetic balanced diets for reducing weight and cardiovascular risk: a systematic review and meta-analysis. Naude CE, Schoonees A, Senekal M, Young T, Garner P, Volmink J.PLoS One. 2014 Jul 9;9(7):e100652. 社団法人日本栄養士会監修:「食事バランスガイド」を活用した栄養教育・食育実践マニュアル.第一出版,2011. 株式会社 明治:食の栄養バランスチェック |