糖質制限はカロリー制限ダイエットとどう違う?|管理栄養士執筆

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糖質を制限するダイエット

ダイエットにはいくつかの種類があります。
食事を減らすなど、摂取エネルギーを減らす方法。
運動など、消費エネルギーを増やす方法。
近年注目されているのが「糖質の摂取量を減らす方法」です。
糖質制限によるダイエットは、摂取エネルギーを減らす方法とどう違うのでしょうか?

「糖質制限」と「カロリー制限」どう違う?

「カロリー制限」と「糖質制限」はどちらも食事内容にアプローチするダイエット方法ですが、どのように違うのでしょうか?

カロリー制限…「カロリー」を削る。

「カロリー制限」は消費エネルギー以上に摂取したエネルギーの余剰分が体脂肪として蓄積されるという考え方に基づき、摂取エネルギーを消費エネルギーよりも少なくなるように制限するダイエット方法です。
極端な方法としては「絶食」「ファスティング」などがあり、極端な方法を続けるとリバウンドや体調不良を引き起こす恐れがあります。
(本サイトでは、いつもの食事-240kcalのカットで1ヵ月に1㎏ペースで落とす方法をおすすめしています)

糖質制限…「糖質」を削る。

糖質をとることで血糖値が上がることでインスリンが分泌され、体脂肪として蓄積されるという考え方に基づき、血糖値を上げないために糖質の摂取量を制限するダイエットほうほうです。
極端な方法では一切の糖質を食べない場合もあり、長期的な糖質制限では、腎臓や心血管系への負担が心配されています。
(本サイトでは、糖質の過剰摂取のある人が適正量に抑える方法をおすすめしています)糖質制限のデメリット

糖質制限とカロリー制限はどっちが痩せる?

気になるのは「結局どっちがやせるの?」ということ。
2014年に行われた、糖質を制限した食事と、現在の指標でよいとされる栄養バランスの食事とで、体重減少の効果を比較した研究*)を紹介します。
*)Low carbohydrate versus isoenergetic balanced diets for reducing weight and cardiovascular risk: a systematic review and meta-analysis. Naude CE, Schoonees A, Senekal M, Young T, Garner P, Volmink J.PLoS One. 2014 Jul 9;9(7):e100652.

糖質の割合でダイエット効果は変わる?

1日あたりの摂取エネルギーを同じにした条件で、2つのグループを比較しました。

① 糖質を制限し、代わりに脂質やたんぱく質をとるグループ
② 糖質・脂質・たんぱく質のバランスがとれたグループ

結果としては、摂取エネルギーが同じであれば糖質の比率が低くても、低くなくても、体重の減少にはほとんど差はなかったというものでした。

糖質の比率を下げることでダイエット効果があるのであれば、「同じエネルギー摂取では糖質を制限したほうがより体重が減った」という結果が出るはずです。
しかし、この実験ではそうなりませんでした。
このことからも、「体重の変化は、食事に含まれる糖質の比率ではなくエネルギーによって決まる」といえるようです。

糖質制限によって痩せるのは摂取エネルギーが減るから

糖質制限ダイエットによってやせられるのは、「糖質を減らしたから」ではなく、「糖質を減らすことによって摂取エネルギーが減ったから」ということのようです。
日本人の通常の食事では、摂取エネルギーの半分程度が糖質からのエネルギーであるため、極端な糖質カットではダイエット前の半分ほどのエネルギー摂取になる可能性もあります。

糖質制限ダイエットは痩せない!というわけではありません。
結局のところ、「消費エネルギーよりも摂取エネルギーを少なくすれば痩せる」というだけの話ですので、

・糖質制限によって1日を通した摂取エネルギーが減っていればダイエット効果がある
といえますし、
・糖質を減らしたから!といって代わりにたんぱく質や脂質に富む高エネルギーなものを食べていて摂取エネルギー全体が多くなっていては、あまり意味がない
ということになります。

まとめ:結局どっちがいいの?

少量多種類の食材

カロリーを適正範囲に収めつつ必要な栄養バランスを保つことが理想的

体脂肪を減らすためには摂取エネルギーを減らす必要があります。
摂取エネルギーを減らす目的だけであればどの栄養素を減らしても、体重変化には違いはないといえそうです。

しかし、体に必要な量を確保できなければ、または極端に多くとりすぎた場合も、健康に悪影響があります。

カロリー制限であっても、糖質制限であっても、結果として
・摂取エネルギーが消費エネルギーを下回る→体脂肪が燃焼する
・摂取エネルギーが消費エネルギーを上回る→体脂肪が蓄積する

・必要な栄養素が適正な範囲で摂取される→健康が維持される
・必要な栄養素が不足したり、または過剰になる→健康に悪影響がある
となるのは同じです。

どちらの方法を選んでも、体に必要な栄養素を適正範囲に維持しつつ、摂取エネルギーは消費エネルギーを下回るようにしたいですね。

自分に合った方法を見極めたい

人それぞれ食生活は異なるので、糖質をとりすぎて摂取エネルギーが過剰になっている人もいれば、脂質をとりすぎて摂取エネルギーが過剰になっている人もいます。

糖質が多いのであれば糖質を減らして、脂質が多いのであれば脂質を減らして、適正なエネルギー量に収めたいですね。

よって、摂取エネルギーを抑えるために有効な選択肢は人それぞれ。
ダイエットに取り組む人それぞれが自分に合った方法を選ぶのがよい、と考えます。

糖質制限に向いている人の特徴、おすすめの糖質カットについて詳しく解説した記事はこちら

→糖質制限ダイエットが向いているのはどんな人?

参考文献

厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書

Low carbohydrate versus isoenergetic balanced diets for reducing weight and cardiovascular risk: a systematic review and meta-analysis. Naude CE, Schoonees A, Senekal M, Young T, Garner P, Volmink J.PLoS One. 2014 Jul 9;9(7):e100652.

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。