
ダイエットを意識して食事を控えていると、なんだか便秘がちに…なんてこと、ありませんか?
行き過ぎた食事制限や油脂のカット、体重を気にしての水分の制限は便秘を引き起こすことがあります。
便秘になると体重も重くなり、おなかがポッコリ出てしまってダイエットには逆効果。
ダイエットの妨げになる便秘のメカニズムとともに、予防法・解消法を解説します。
Contents
ダイエット中は便秘になりやすい
ダイエット中に便秘になってしまったという方。
こんなダイエットをしていませんか?
・お米やパンなどを減らす食事制限をしている
・むくみが気になって水分を控えている
・食事は減らしたが運動をしていない
このようなダイエット方法は、実は便秘を引き起こす原因になっているのです。
便秘は本来排出されるべきものがおなかの中にとどまっている状態。
老廃物が腸の中にたまり続けることによって、おなかが張って太って見えたり、肌トラブルが現れたりといった様々な悪影響が出てくる可能性があります。
ダイエット中の便秘の原因は?予防・解消するには?
ダイエット中の便秘は、よい便が作りにくくなることと、便を排出する腸の動きが鈍くなることで起こりやすくなります。
ただし、便秘は以下のような原因のほかに、何かの病気が原因となっていることもあります。
症状が重い、期間が長いなど、気になる点がある場合は医療機関への受診をおすすめします。
食事制限による「便のかさ」の減少
糖質制限ダイエットが便秘の原因になることも
食事制限をするダイエットにより食事量が減ると、腸を通過する物のそのものの量が減ってしまいます。
そのため、十分な量の便が作られないことで便の排出が滞って便秘になることがあります。
また、便の骨組み・ベースとなるのは食物繊維です。
食物繊維が腸内の老廃物をからめとることで便を形成するため、食物繊維が足りないと、人の腸はうまく便を作れません。
食事制限、特に穀物や芋類を制限する糖質制限ダイエット(炭水化物抜きダイエット)では、糖質と同時に食材に含まれる食物繊維の摂取量も少なくなってしまうため、便秘になりやすくなります。
1日に必要な食物繊維は、レタス何個分?
サラダを食べているから大丈夫、というのは間違いで、実はサラダなどに使われるレタスやトマトといった野菜は、さほど多くは食物繊維が含まれていません。
日本人の食事摂取基準(2020年版)では、成人女性は1日あたり17~18g(年齢によって変動)の食物繊維をとるようにすすめられています。
例えば、レタス100gに含まれる食物繊維は1.1g。
1日に必要な量をレタスからとろうとすると1.8㎏、ひと玉300gのレタスなら6個も食べないといけません。
半面、糖質を多く含むかぼちゃや根菜類、パンなどの穀類はレタスの2~5倍の量の食物繊維を持つこともあり、糖質が多いからと言って避けていると便秘の原因になることも考えられます。
食事の量が少なくて便秘をしている人は、食物繊維をふくむ食材を取り入れて、便の量を増やすようにしましょう。
低カロリーを突き詰めて「油分」が不足
意外と思われるかもしれませんが、油も便の排出に重要な役割を持っています。
油は高カロリーのため、ダイエット中は敬遠されがち。
しかし、適度な量の油を摂取することで、
・便の滑りがよくなり、排出されやすくなる
・油脂は腸管を刺激するため、腸の動きを活発にする
といったはたらきによって、便秘を解消する効果が期待できます。
まちがったむくみ対策で「水分」が不足
水分が足りないと固く出にくくなる
便秘と同様に、太って見えてしまうむくみもダイエットには大きな障害となりますね。
しかしむくみは体に余計な水分がたまっているから、と水分の摂取量を控えてしまうと、腸の中の水分が不足します。
便は水分が少なくなってしまうと堅くなってしまい、また腸の動きも弱まるために便が動きにくくなります。
むくみ予防・便秘予防のためにも水分はたっぷりとりましょう
水分を制限してしまうと、体が水分をため込もうとするため、むくみも改善されません。
むくみの原因は水分のとりすぎよりも運動不足や塩分過多のことが多いといえます。
むくみや便秘を解消するには水分を制限するよりも体内の水分が十分に循環するようにたっぷり水分をとることがおすすめです。
むくみについては別記事にて詳しく解説しています。
食事制限だけのダイエットで「運動」が不足
ダイエットはしたいけど運動は時間が取れないし疲れてしまう…といった理由で、運動を取り入れられていない方も多いでしょう。
しかし、運動不足により腹筋が衰えると、腸の動きも悪くなってしまい、便秘が起こりやすくなります。
ウォーキングなどがおすすめですが、時間が取れなければ腹筋を鍛えるトレーニングや、おなかをやさしく「の」の字にさするマッサージでも腸の動きを助けることができます。
腸のリズムに合わせて行動することも大事
私たちが朝起きて夜眠るように、腸にも1日のリズムがあります。
腸が休むのは睡眠中、腸が活発に動くのは起床後から朝食後の時間と昼食と夕食の後です。
特に朝食後は腸の動きが活発で、この時間帯にトイレに行く時間が十分に取れないと、排便のタイミングを逃して便秘になりやすくなることもあります。
便秘改善のためには、朝、少しだけ余裕をもって起きることも大事なポイントです。
ダイエット中の便秘改善のために取り入れたい食べ物
便秘解消のため、取り入れたい食品をまとめました。
ダイエット中にも使いやすい食材を中心に紹介します。
食物繊維を豊富に含む食品
便のベースとなる食物繊維ですが、日本人の食生活では不足しがちなものの一つです。
ダイエット中に使いやすいものでは、海藻類、きのこ類、こんにゃくなどが低カロリーでおすすめです。
おからや小麦全粒粉なども、低カロリーなものではありませんが、食物繊維が豊富なので適量を取り入れることで便秘解消効果が期待できます。
食物繊維についてより詳しくは別記事で解説しています。
油脂類
油脂類、特にオリーブオイルに多く含まれるオレイン酸は小腸で吸収されず、大腸を刺激して動きを活発にする働きがあります。
また、便そのものの滑りを良くしてくれます。
油は高カロリー食品なので食べすぎは禁物ですが、料理の中で1日大さじ1~2杯程度を使う分には摂取エネルギー(カロリー)の点でも全く問題ありません。
発酵食品とオリゴ糖を含む食品
便秘の腸では、腸内細菌のバランスが崩れていることがあります。
乳酸菌やビフィズス菌を含むヨーグルトや納豆、キムチなどの発酵食品は、腸内の善玉菌の働きを助け、腸内細菌のバランスを整える効果があります。
さらに、はちみつなどに含まれるオリゴ糖は腸内の善玉菌のえさとなってその働きを助けるため、便秘改善に効果があるといわれています。
水分、硬水
便が固くなるのを防ぐため、適度な水分補給が重要です。
また、この時にマグネシウムを豊富に含む硬水のミネラルウォーターを取り入れるのがおすすめです。
硬水に豊富に含まれるマグネシウムは胃腸を刺激して腸の動きを活発にするほか、便に水分を保持する働きがあり、便秘解消効果が期待できます。
ただし、日本人が日常的に口にしている水は軟水といってミネラル分の比較的少ないものであるため、硬水は味覚や体質に合わないこともあります。
硬水を取り入れるときは少しずつ飲むのがよいでしょう。
硬水は豊富なミネラル分が苦みに感じることが多く、冷やしたり、炭酸水にしたり、レモンを絞ったりすることで比較的飲みやすくすることができます。
ダイエット用便秘改善レシピ
かぼちゃとオクラのとろみカレースープ
【材料】2人分
かぼちゃ | 1/8個(100g) |
玉ねぎ | 1/2個(100g) |
オクラ | 4本(40g) |
ベーコン | 40g |
水 | 300ml |
顆粒コンソメ | 小さじ2杯(5g) |
カレー粉 | 小さじ1/2(1g) |
オリーブオイル | 小さじ1(4g) |
【作り方】
1. かぼちゃは種を取って一口大に切り、玉ねぎはくし切り、オクラは斜め切り、ベーコンは1㎝幅に切る。
2. 鍋にオリーブオイルを入れ、ベーコン、玉ねぎを炒める。玉ねぎが半透明になったら水を加え、かぼちゃとオクラを入れる。
3. 沸騰したらコンソメとカレー粉を加えて煮る。具材に火が通ったら完成。
【栄養価】1人分177kcal 水溶性食物繊維1.1g 不溶性食物繊維2.7g
食物繊維が豊富なかぼちゃとオクラをスープにしました。
カレーのスパイスで腸管を刺激し、オリーブオイルでスムーズなお通じを助けるメニューです。
はちみつきな粉かけヨーグルト
【材料】1人分
ヨーグルト(無糖) | 100g |
はちみつ | 大さじ1(20g) |
きな粉 | 大さじ1(5g) |
【作り方】
1. はちみつときな粉をヨーグルトにかける。
【栄養価】1人分128kcal 食物繊維総量0.9g
整腸作用のあるヨーグルトに、オリゴ糖を含むはちみつ、食物繊維が豊富なきな粉を加えた善玉菌の働きを助けるデザートです。
お好みでバナナを加えると朝食にもピッタリのメニューになります。
便秘のときの注意点
ダイエット中に便秘になってしまうと早く治そうと便秘薬を使うことも考えます。
しかし、便秘薬の種類によっては使い続けると便秘薬なしでは排便ができなくなり、また、効き目が弱くなってくることもあるそうです。
便秘薬は効果がすぐに表れますが、常に使うことは避けたいもの。
できれば、まずは普段の食生活や生活習慣を見直すことで便秘の改善を図りたいですね。
参考文献 文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」 吉田勉 監修:「わかりやすい食品機能栄養学」.三共出版,2010. |