
お通じは毎日あるのが健康的な状態です。
しかし、何らかの原因によって排便習慣が妨げられると、便秘や便秘に伴う様々な症状があらわれることがあります。
便秘は腹部の不快感だけでなく、肌などの部分にトラブルを引き起こすことも。
症状の軽いうちに食事や習慣を見直し、便秘を解消しましょう!
便秘の種類と原因
便秘は、その原因によっていくつかに分類されるのをご存知でしょうか?
原因によって対処法も様々。自分はどれに当てはまるでしょうか?
弛緩(しかん)性便秘
腸管の動きが不十分で起こるタイプの便秘です。
便が腸の中にとどまる時間が長くなると、便の水分が吸収されすぎてしまい、固くなってしまいます。
日本人の便秘の大部分はこのタイプと言われています。
原因は運動不足、腹筋の筋力低下、食事中の水分や食物繊維不足、ダイエットや朝食を食べないことなどによる食事量の低下があげられます。
痙攣(けいれん)性便秘
弛緩性便秘とは反対に、腸管が緊張して便がうまく動かず、腸の中に便が留まってしまうタイプ。小さくコロコロした便が特徴です。
便秘と下痢を繰り返すことも多いといわれています。
自律神経を乱すストレスなどが原因とされています。
直腸性便秘
大腸の最後、肛門の手前にある部分を直腸と言います。
通常、この部分に便が到達すると体が便意を感じ、排便が起こります。
直腸に便が到着しても排便反射が起こらず、排便が滞ってしまうタイプです。
便意を我慢することが多い人に起こりやすいといわれています。
器質性便秘
何らかの物理的原因によって腸管の中が狭くなったり、便が通過できなくなるタイプです。
他の便秘と違って別の病気が原因となっているため、原因となる疾患の治療が必要です。
激しい腹痛や血便などの症状がある場合は早めの受診をおすすめします。
便秘の大部分は弛緩性便秘
便秘の多くは弛緩性便秘ですが、人によってはほかの種類の場合もあります。
心当たりのあるものはあったでしょうか?
便秘の影響
ぽっこりおなかの原因にも
便秘の症状は腹部の違和感だけではなく、おへそ周りがポッコリ出てしまうこともあり、見た目にも影響することがあります。
ニキビや肌荒れの原因?
また、腸内環境が悪化することでウェルシュ菌などの悪玉菌が増殖してしまいます。
これらの悪玉菌が作った有害物質が結果的に肌荒れやニキビなどの原因になることも考えられます。
美容のためにも便秘をしない生活が望ましいですね。
便秘を解消するには
便秘の解消のためには、原因となっている生活習慣を改善する必要があります。
便秘の原因となる生活習慣から、便秘の解消法を紹介します。
腹筋の筋力不足には運動(弛緩性便秘)
腸の周辺にある腹筋の筋力が不足していると、便を押し出す力や腸への刺激が弱まって便秘の原因に。
筋トレも有効ですが、30分程度の軽いウォーキングも腹筋を鍛えることにつながります。
食事量、とくに朝食を確保する(弛緩性便秘)
ダイエット中に限らず、食事量が少ないと、十分な量の便が作られず、便が長時間にわたって腸の中にとどまることになります。
1日3食をしっかりとることが大事なポイントですが、とくに朝の時間帯が大事です。
この時間帯は腸が活発に動くため、朝食をしっかり食べることで腸管が刺激されて便意が起こりやすくなります。
食物繊維をしっかり補給(弛緩性便秘)
食物繊維は不溶性食物繊維と水溶性食物繊維に分けられ、腸管内でそれぞれの働きを持ちます。
不溶性食物繊維は便の骨組みとなって腸内の不要な物質をからめとります。
水溶性食物繊維は腸内でゲル状になって便に水分を含ませてくれる働きを持ちます。
ただし、痙攣性便秘には食物繊維が余計に刺激になってしまうため、逆効果に。便秘のタイプによって調節するとよいでしょう。
水分で排出しやすい便を作る(弛緩性便秘)
食物繊維とともに重要なのが、水分です。
便は水分が足りないと余計に固く、動きにくくなってしまいます。
水分によって便が大きく、やわらかくなると、腸管を刺激して便意を起こすことにつながります。
ヒトの体が必要な水は食事と飲み水から2.2Lともいわれ、汗をかく季節はこれ以上にもなります。
水分不足の体にならないよう、こまめに水分補給を心がけましょう!
ストレスや疲労の解消(痙攣性便秘)
腸をはじめとした消化管は自律神経によってコントロールされています。
体が疲れていたり、ストレスを受けていたりすると自律神経の働きが弱まったり、逆に働きすぎたりすると、どちらも便秘などのトラブルの原因になることもあります。
十分な睡眠や休養をとり、ストレスを軽減することで便秘を解消することにもつながります。
体をあたためる(弛緩性便秘)
体がリラックスすると副交感神経が優位になり、腸の動きが活発になります。
お風呂でゆっくり湯船に浸かったり、温めたタオルでおなかを温めたりするのもいいですね。
あたたかい食べ物・飲み物も体の中から温められます。
便意を我慢しないようにする(直腸性便秘)
便意の我慢を繰り返していると直腸の働きが弱まって便意を感じにくくなってしまいます。
朝食の後にトイレに行く時間が取れるよう、朝はすこし余裕をもって起きるようにできるといいですね。
便秘薬や整腸薬を活用する
生活の改善で便秘の解消の効果があまり見られない場合は、整腸薬や便秘薬の使用も検討しましょう。
薬によって便秘に働きかけるメカニズムが違うので、薬局やドラッグストアで相談するのがおすすめです。
食事で気を付けること
管理栄養士の視点から、食事で気を付けたいポイントを解説します。
腸内環境を整えるもの(便秘全般)
腸の中には腸内細菌が存在し、人の体への働きによって善玉菌、日和見菌、悪玉菌に分けられます。
悪玉菌の勢力が強くなると腸の動きが鈍り、便秘などの原因になります。
ヨーグルトなどの発酵食品に含まれる乳酸菌は善玉菌の働きを助け、腸内細菌の勢力バランスを正常に保ちます。
食物繊維やオリゴ糖も善玉菌の働きを助けるため、組み合わせて取り入れることでより効果的といえます。
食物繊維(弛緩性便秘)
先に解説したとおり、それぞれが便秘解消に役立つ不溶性食物繊維と水溶性食物繊維。
不溶性食物繊維は穀物や根菜類に、水溶性食物繊維は果物や海藻類、野菜類に豊富です。
食物繊維は肉や魚などの動物性食品には含まれていないため、野菜や果物、穀物の摂取量が少ない人は意識して取り入れるようにしましょう。
水分(弛緩性便秘)
食物繊維の摂取と同時に心がけたいのが十分な水分の確保です。
日本人は水分摂取量が不足気味ともいわれています。
便秘解消の観点では、寝起きにコップ1杯の水を飲むようにすると水分補給とともに、腸も刺激されて効果的といえます。
温かいもの(便秘全般・痙攣性便秘)
あたたかい食事や飲み物はリラックスするのに最適ですね。
体を温めて副交感神経を優位にすると、腸の動きを促すことにつながります。
温かいスープや飲み物を食事に加えることで、水分も摂取できて効果的です。
適量の香辛料や刺激物(弛緩性便秘)
適度の辛味や酸味をもつ食材は腸管を刺激して腸の動きを促してくれます。
また、油分も腸を刺激し、便の滑りを良くしてスムーズな排便を助けてくれます。
便秘改善レシピ
便秘解消に効果が期待できるレシピを紹介します。
今回は便秘の大部分を占める弛緩性便秘に効く食材を取り入れます。
めかぶとキノコのスープ
【材料】1人分
細切りめかぶ | 1パック(40g) |
まいたけ | 1/3パック(30g) |
エリンギ | 1本(40g) |
ごま油 | 小さじ1/2(2g) |
水 | 200ml |
顆粒中華だし | 小さじ1/2(2.5g) |
塩 | 小さじ1/6(1g) |
こしょう | 少々 |
たまご | 1個 |
※横スクロールで表全体の確認が可能です。
【作り方】
1. 舞茸は一口サイズにさき、エリンギは短冊切りにする。
2. 鍋にごま油をひいて火にかけ、舞茸とエリンギを炒める。
3. 水、中華だし、塩、こしょうを加えて煮立たせる。
4. めかぶを加えてほぐし、再び煮立ったら溶き卵を回し入れる。
5. 卵が固まったら出来上がり。
【栄養価】1人分116kcal 食物繊維総量3.8g
不溶性食物繊維を多く含むキノコ類と、水溶性食物繊維を多く含むめかぶをスープにしました。
めかぶで優しいとろみのついたスープで水分も取れて体も温まります。
トースターでとろとろホットバナナ
【材料】1人分
バナナ | 1本(100g) |
※横スクロールで表全体の確認が可能です。
【作り方】
1. バナナをアルミホイルに乗せ、皮の側面のやや上側に包丁で切り込みを入れる。(焼いた後ここから皮をむいて食べます)
2. オーブントースターで5~8分ほど、皮が黒くなるまで焼く。
3. お皿にとり、スプーンなどですくって食べる。
【栄養価】1人分86kcal 食物繊維総量1.1g
食物繊維が豊富なバナナを焼くとトロっとした食感になるので、朝は食欲がない人にも食べやすくなり、体も温まります。
ヨーグルトやホットミルクにも相性がいいのでセットで食べるのもおすすめ。
食パンにジャム感覚で付け合わせたり、シナモンを振りかけるアレンジも可能です!
症状が重い場合は医療機関へ行きましょう
便秘について解消法を紹介しました。
便秘が軽いうちは食事などの改善で解消されることもありますが、便秘の期間が長い場合や、症状が重い場合は医療機関に相談してみてくださいね。
参考文献 |