
イギリスでは「1日1個のりんごは医者いらず」といわれることもあるというりんご。
日本でも1年のうち比較的長く出回っていて手に取りやすい果物のひとつですね。
今回はりんごのカロリーと栄養素、話題の機能性成分について解説します。
Contents
りんごの栄養成分値
りんごの栄養成分表
りんご(皮なし) 100g(約1/2個) |
りんご(皮つき) 100g(約1/2個) |
1日の摂取基準 (18-29歳女性の値) |
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エネルギー | 57kcal | 61kcal | 2000kcal(身体活動レベル:ふつうの場合) |
たんぱく質 | 0.1g | 0.2g | 50g(推奨量) |
脂質 | 0.2g | 0.3g | gでの基準は無し |
炭水化物 | 15.5g | 16.2g | gでの基準は無し |
うち食物繊維総量 | 1.4g | 1.9g | 18g以上 |
カリウム | 120mg | 120mg | 2600mg以上(目標量) |
ビタミンC | 4mg | 6mg | 100mg(推奨量) |
文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」、厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書より作成
※横スクロールで表全体の確認が可能です。
りんごの主成分は炭水化物
りんごは比較的カロリーの低い食品ですが、カロリーがないわけではありません。
たんぱく質や脂質はほとんど含まれておらず、おもな栄養素は炭水化物です。
食物繊維とカリウムが比較的豊富に含まれていますが、きわめて多いというほどではありません。
果物というとビタミンCが取れるイメージも強いですが、りんごに関してはあまり含まれていません。
りんごは食物繊維が比較的豊富
りんごには100g(およそ1/2個)あたり1.4g(皮付きなら1.9g)の食物繊維が含まれています。
食物繊維は腸内細菌の栄養源になったり、便の骨組みとなって排便を促すと考えられており、食物繊維の十分な摂取によって便秘の予防にもつながります。
日本人の食事摂取基準(2020年版)では、1日あたりの摂取目標量は18~64歳の女性で18g以上、18~64歳の男性で21g以上とされています。
この量をりんごだけでまかなうことは難しいですが、食事にりんごを取り入れることで食物繊維の摂取量を増やすことに貢献できます。
カリウムの摂取源のひとつとして
果物のなかではさほど多いとは言えませんが、りんごには100gあたり120mgのカリウムが含まれています。
カリウムは塩分(ナトリウム)の排出を促すミネラルで、十分な量を摂取することで塩分のとりすぎが原因のむくみや、高血圧の予防にもつながります。
多くの日本人では塩分(ナトリウム)をとりすぎている傾向にあり、塩分過多はむくみの原因にもなるほか、将来の生活習慣病にもつながりやすくなるため、気を付けたいポイントです。
とくべつに健康にいい成分はある?
現時点ではポリフェノールの明確な効果は不明
「プロシアニジン」はりんごに含まれるポリフェノールのひとつで、その機能性が注目されている成分でもあります。
ポリフェノールのひとつとして、美肌効果やダイエット効果があるといわれることもありますが、現時点では通常食べるりんごから摂取できるプロシアニジンについて、効果・機能性を示した研究報告はないようです。
今後、研究が進む中で機能性が見つかる可能性もありますが、現時点ではりんごを食べることで、ポリフェノールによる健への良い効果があるとはいえないようです。
1日あたりの果物の摂取目安は200g
果物は食事のエネルギーを低くしながら、積極的にとりたい食物繊維・カリウム・ビタミンCを補給することができる食品として、適量の摂取が推奨されています。
食事バランスガイドでは、1日に食べるとよいとされる果物の量はおよそ200g。
りんごなら(大きさにもよりますが)おおよそ1個分くらいです。
毎日200g以上の果物をかかさず食べることは難しくとも、意識して取り入れるようにできるといいですね。
まとめ:りんごはカリウム豊富で低カロリーな食材のひとつ。積極的に食べよう!
りんごは特別な機能性がある食品、というものではありませんが、
・低カロリーな食材 ・カリウムや食物繊維が取れる |
といった点が魅力の食品です。
りんごを食べるだけで簡単に健康になれるといったことはありませんが、比較的安価で取り入れやすい果物のひとつとして活用するのがおすすめです。
参考文献 吉田勉 監修:「わかりやすい食品機能栄養学」.三共出版,2010. 社団法人日本栄養士会監修:「食事バランスガイド」を活用した栄養教育・食育実践マニュアル.第一出版,2011. 文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」 厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:「健康食品」の安全性・有効性情報(プロシアニジンについて) 厚生労働省科学研究成果データベース:「抗酸化物質を含有するいわゆる健康食品の安全性・有効性に関する研究」 庄司 俊彦.リンゴポリフェノールの健康機能性とその活用 日本食品科学工学会誌,63巻1号(2016) 庄司 俊彦.リンゴ由来プロシアニジン類の機能評価と機能性表示食品の開発 化学と生物,55巻9号(2017) |