2019.04.19

野菜ジュースは野菜の代わりになる?栄養がないってホント?

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野菜ジュース

コンビニなどで手軽に買える野菜ジュース。
1日に必要な野菜を補える、野菜の栄養が補給できるとして利用している人も多いかと思います。

その一方で、野菜ジュースは製造の過程で栄養素が壊れているから意味がない、糖分や添加物を加えていることでかえって不健康、といった声も聞かれます。

では、実際には、野菜ジュースを飲むことは野菜の栄養素をとることになるのでしょうか?
整理しながら考えていきましょう。

そもそも、野菜を食べる意味とは

サラダを食べる女性

野菜を食べましょう、ということはさまざまな場面でいわれることですが、そもそも野菜を食べる意味とはいったい何なのでしょうか?

おいしいから、栄養素が入っているから、健康にいいから、カロリーが低いから、など、野菜を食べる理由は人によってさまざまと言えるでしょう。

野菜全体に含まれる栄養素

エネルギー(カロリー)のある成分はあまり含まない野菜ですが、野菜全体に含まれる栄養素としては一部のビタミンやミネラル、食物繊維があげられます。

一部のビタミン

ビタミンは体内の各種機能を正常に保つのに必要な成分で、食品から摂取する必要があります。
野菜から摂取できるビタミンとして、ビタミンA、ビタミンK、ビタミンC、葉酸などがあげられます。
たとえば、緑黄色野菜に豊富に含まれるβ-カロテンは体内でビタミンAとなり、粘膜などを健康に保ち感染症から体を守っています。

→ビタミンとは?水溶性と脂溶性で違う食事のコツを紹介

一部のミネラル

野菜に含まれるカリウムやカルシウムなども、ヒトの体にとってとても重要なものです。
カリウムは体内の水分・塩分のバランスを整え、カルシウムは骨を強くする働きを持ちます。

→ミネラルとは?不足しないために食べたい食品と気を付けたいこと

食物繊維

食物繊維は正式には必須栄養素ではありませんが、腸管内で大きな働きを持ちます。
便の骨組みとなって腸管内の不要なものを排泄する助けになるほか、腸内の善玉菌の働きを高め、腸内環境を整える機能があります。

→食物繊維の効果って?どんな食べ物に多いの?

おいしさ

おいしいから食べるというのは、食材を取り入れる立派な理由の一つです。
食べ物は栄養素補給がすべての役割ではありません。
おいしいと感じることも食材の持つ魅力の一つです。

とはいえ、おいしさがすべてではないというのも事実です。
野菜をおいしく感じない人は食べる必要がないのかといえば、もちろんそんなことはありません。

エネルギー(カロリー)が低く満足感がある
水分が多い

野菜といっても数えきれないほどの種類があるので一概には言えませんが、野菜に含まれる成分は水分がほとんどであることが多いです。
根菜は炭水化物を多く含むものもありますが、脂質やタンパク質はほとんど含まれないと考えていいでしょう。
そのため野菜と言われるものはおおむね水分が多く、低カロリーなものが多いといえます。

よく噛むことで早食い防止

量のわりにエネルギー(カロリーが低い食品であるため、摂取エネルギー(カロリー)を増やしたくない人にとって野菜は魅力的な食材です。
すべてではありませんが、野菜には食感があるものも多いところもポイントです。
よく噛んで食べる野菜は食事のスピードを抑え、早食い防止や食事の満足感を得るのにとても効果的です。

野菜だけでは不十分

野菜中心の食事は健康的、といったイメージがありますが、野菜だけ食べていれば健康になれるかと言われればそうではありません。
野菜だけではエネルギー源となる栄養素やタンパク質など、様々な栄養素が不足してしまうことが考えられます。
特徴的なのはビタミンB12です。
これは植物性食品には含まれないビタミンであるため、菜食中心の食生活では不足による欠乏症があらわれることもあります。

野菜と野菜ジュースの違い

野菜と野菜ジュースの違い

野菜の摂取については一定の価値があるのは事実です。

それでは、野菜をジュースに加工した場合、野菜の持つ成分や効果はどのように変化するのでしょうか。
一般に野菜ジュースにはコンビニなどで購入できるペットボトルや紙パック入りのものだけでなく、熱処理を加えないコールドプレスジュースのようなものや、繊維ごとミキサーにかけるスムージーなどがあります。
今回の記事ではコンビニなどで購入できる、食品メーカーによって製造されたペットボトルや紙パック入りのものを取り扱います。

栄養価の変化

野菜ジュースに残る栄養素

脂溶性ビタミンは残っている

多くの野菜ジュースでは製造工程で熱を加えて処理されるため、ビタミンCが無くなっているとする意見もありますが、栄養素が全くなくなっているとまでは言えません。
その他のβ-カロテン(ビタミンAとして働く)やミネラル分はほとんど損失されていないと考えられます。

食物繊維が少ない

野菜と野菜ジュースの栄養素についての一番の違いは、不溶性食物繊維の大部分が失われていることです。
野菜ジュースは野菜の搾り汁なので、繊維質に多く含まれる不溶性食物繊維は取り除かれてしまいます。
日本人は食物繊維の摂取量が不足ぎみ。
野菜からの食物繊維の摂取の機会が失われてしまうのは大変もったいないことといえます。
また、ものによっては飲みやすさのために果物が多く使われていたり、砂糖などが加えられている場合があるので、原料と同じ量の野菜をとる場合よりも高カロリーになることも考えられますね。

吸収効率がよくなる?

野菜をジュースとして飲むことによって、メリットとされている部分もあります。
野菜をジュースに加工する過程で、野菜の細胞壁などが破壊されるため、β-カロテンなどの栄養素は吸収率が上がることが報告されています。

消化吸収されやすいので、胃腸が弱っているときにも野菜の栄養素をある程度補うことができる点は魅力ですね。

とはいえ、吸収効率が上がるのは糖質などの成分も同様と考えられますので、血糖値の急上昇を避けたいと考える方にとっては、吸収率の良さも良いことであるとは言いにくい面があります。

砂糖が添加されている場合も

一般に野菜ジュースといっても、野菜だけで作られているもの、果物や砂糖などの甘味料を加えているものなど、様々です。
果物や甘味料の入ったものは誰にでも飲みやすく種類も豊富ですが、野菜の割合が少なくなりやすく、エネルギー(カロリー)も高くなりがちといったデメリットも。
野菜ジュースと言っても野菜を飲んでいるというよりは野菜入りの嗜好飲料といったほうが近いものもありますので、注意が必要です。
野菜ジュースを、野菜不足を補うものとして考えるのであれば、果物の分量が多すぎないもの、甘味料を使っていないものを選ぶほうがよいでしょう。

満足感(満腹感)は得られる?

咀嚼の効果

食事として野菜を食べる時、繊維質のある野菜は咀嚼(そしゃく=噛むこと)を必要とします。
咀嚼を行うことによって唾液が分泌されて食品の消化を促したり、満腹中枢が刺激されて満足感が得られます。
また、よく噛む食事は噛まない食事よりも時間がかかります。
そのため、よく噛んで食事をすると、飲むように食べるのに比べて脳が満腹を感じやすく、食べ過ぎの防止にもなると考えられます。
野菜ジュースでは噛む必要がないため、このような効果が期待できないのが残念なところです。
野菜ジュースを飲むときは、それ以外の食品は噛み応えのあるものを選ぶようにするといいですね。

野菜ジュースを飲むうえでわかっておきたいこと

野菜ジュースの栄養価についてお話してきましたが、結局のところ野菜ジュースは体にいいものと言えるのでしょうか?

嗜好飲料としては健康的だけど野菜の代わりにはなれない

結論から言えば、野菜ジュースは「期待しすぎなければ体にいいもの」と言えるのではないでしょうか。
嗜好飲料としてジュース類を飲むのに比べると、野菜に含まれる栄養素の補給ができる点において、体にいい飲み物と言えると思います。
しかし、野菜ジュースひとつで1日分の野菜の栄養成分をまかなえるものでもありません。

野菜の栄養素を丸ごととれると思わせるような商品名なども多くみられるため、勘違いをしやすいのも問題ですね。
月並みですが、「ジュース以上、野菜未満」というのが当てはまるのではないでしょうか。

野菜ジュースを飲むだけでは健康にはなれない

野菜というと健康的というイメージがあるので誤解をしやすいですが、野菜ジュースを飲むだけでは健康にはなれません。
もちろん、1日の食事を野菜ジュースに変えるといったことは体調不良の原因となるためおすすめできません。
また、飲むだけで痩せるということはなく、成分によっては飲みすぎれば肥満にもなります。

バリエーションのひとつとして取り入れるのが◎

そういったことを理解したうえで、野菜ジュースを食事に取り入れることは悪いことではありません。
普段はしっかり野菜をとることを心がけたうえで、野菜の少ない食事中または前後にプラスする、あるいは食欲のないときの栄養補給の一部として利用するといった活用方法がいいですね。

野菜ジュースの選び方

いろいろな野菜ジュース

野菜の栄養素をとるために野菜ジュースを活用するとき、どんな選び方をするのがいいのでしょうか?

野菜の使用比率が高いものを選ぶ

野菜ジュースと言っても野菜100%のものから果物と野菜が50%ずつのものなど、その内容はさまざま。
果物も積極的に摂取したい食品ではあります。
しかし、野菜の栄養素摂取の観点から言えば、野菜の割合が多いもののほうがよりおすすめといえます。

ビタミン・ミネラル・食物繊維の量が多いもの

ビタミンA(カロテン)、カリウム、カルシウムなどの成分が野菜の魅力でもあります。
パッケージの栄養成分表示を見比べることで、これらの成分の量が判断できます。
ただし、栄養成分の数値にはかなり幅があるので、参考程度にとどめるのがいいかもしれませんね。

過信しない程度に取り入れましょう

野菜ジュースは万能の薬ではありませんが、野菜不足の人にとっての手助けになる部分も確かにあります。
野菜ジュースのいい点、悪い点を把握したうえで、日々の生活に役立ててくださいね。

参考文献

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所:「健康日本21(第二次)分析評価事業

カゴメ:「野菜ジュースに野菜と同じ栄養はあるの?」