水ダイエットのメカニズムは?代謝アップ・デトックスはできる?

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水ダイエット

ネット上にはさまざまなダイエット法についての情報があり、水を飲むことで痩せるとうたう水ダイエットもその一つです。
水を飲むだけで痩せることができるのでしょうか?
効果が期待できるのか、検証してみましょう。

水ダイエットとは?

水ダイエットの方法

水ダイエットの方法は単純なもので、

「1日に体重の4%にあたる水を摂取する」
「食事制限・運動はしなくていい」

という方法が主に紹介されています。

水ダイエットのメカニズム

水ダイエットの根拠となる理論は記事によっても様々ですが、

「飲み物として飲んでいるものをすべて水にする」
「水を飲むことで老廃物を除去してむくみを改善」
「水を飲むことで体が冷えて基礎代謝が上がる」
「水を飲むことで老廃物を除去すると代謝が上がる」

といったような説明がされていることが多いようです。
実際に、このようなメカニズムで痩せられるのでしょうか?

ダイエット効果はあるのか?

ジュースと水

ダイエットとは体脂肪を減らすこと

このサイトでは、ダイエット(やせる)というのは「体重を減らす」のではなく「体脂肪を減らす」ことです。
体重とひとくくりに表現するものの中には脂肪だけではなく、骨や内臓、筋肉のほかにも内臓の内容物、水分などが含まれています。
同じ体重でも、筋肉質な人と筋肉が少なく体脂肪が多い人では見ためが違いますよね。

ダイエットについて考えるときに、体重と体脂肪について分けることができないと様々な誤解や失敗を招きます。

「やせる」とは言ってもそれは何を減らしたいのでしょうか?
水ダイエットで紹介されている理論ではその点が不明瞭で、誤解を招きやすい表現が多くみられます。

ひとつひとつ考えながら、自分に適した方法なのかを考えていきましょう。

1日に必要な水の量は食事と飲み物で2.5L

水分補給という行為は人にとって重要なもので、私たちは普通に生活をしているだけでも1日に2.5Lの水分を失っています。

体内で作られる水が0.3Lほどあり、その他の食事と飲み水で2.2Lの補給が必要と言われています。
そのうち食事からとれる水分は1.0Lほどで、飲み水としては1.2Lほどが必要とされています。

「1日に体重の4%にあたる水を摂取する」のは健康に悪影響はない?

では、水ダイエットで提唱されている「体重の4%の水」について。
4%という数値はおそらく人が一日で失う水分量を計算する式からとったもので、体重60㎏の人で約2.4Lになります。

1日の水分摂取量としては問題ない量になっていると思います。

「飲み物として飲んでいるものをすべて水にする」ことにダイエット効果はある?

ダイエット=体脂肪を減らすことであれば、摂取エネルギー(カロリー)の減少、または消費エネルギー(カロリー)の増加のどちらか(または両方)が必須になります。

一部の水ダイエットでは飲み物として飲んでいるもの、お茶やジュース、コーヒーなどをすべて水に変えるという方法が紹介されています。
今までの生活を振り返ってみて、飲み物がジュースや砂糖を入れたお茶やコーヒーなど、エネルギーのあるものであったのであれば、その分のエネルギーオフ効果はあるといえますね。

ジュースを水に変えるだけダイエットはあり

ちなみに、毎日砂糖入り紅茶を500ml、炭酸入りジュースを350mlほど飲んでいたとすれば、製品にもよりますが、飲み物からおよそ240kcalをとっていたことになります。
これをすべて水に変えるだけでも、1ヵ月で1㎏の体脂肪が減らせるほどのカロリーオフが期待できます。
(体脂肪1㎏=7200kcal、240kcal×30日=7200kcal)

とはいえ、今までの食生活で飲み物はすべてゼロカロリーのお茶だけという人には全くダイエット効果はないともいえます。

「水を飲むことで体が冷えて基礎代謝が上がる」ことでダイエットできる?
基礎代謝とは

基礎代謝というのは体温の維持や臓器の運動など、生命維持のために必要な最低限のカロリー消費のことです。

基礎代謝とは?基礎代謝を上げればダイエットにも有効?

体が冷えるとカロリー消費は増える?

体が冷えたときに体温を戻そうとしてエネルギーを消費するという点もなくはないといえますが、物理的な話でいえば、1Lの水の温度を1℃上げるのに必要な熱量は1kcalです。
人体にそのまま当てはめられるものではありませんが、この式にのっとって考えてみましょう。
例えば20℃の水をいつもより1L多く飲んだとして、体温の36℃まで上げるためのエネルギー消費は16kcal。砂糖4g分、白ごはん10g分です。
いかがでしょうか。水を飲むのもいいけれど、ほかのことを改善したほうが効率的であるように感じます。

夏と冬では基礎代謝が変わる

ちなみに、気温が異なる夏と冬では基礎代謝が異なることが分かっていますが、その差は約5~10%。
エネルギーに換算して1日あたり50~100kcalの変化といったところでしょうか。
外からずっと冷やされている冬でも、エネルギー消費の増加はその程度になってしまいます。
水を飲んだ一時の些細な温度変化にエネルギー消費を期待するのは難しいことなのです。

「水を飲むことで老廃物を除去してむくみを改善」してやせられる?
むくみとは

むくみは細胞の間にたまった水分が回収されにくくなることで起こります。
つまり、むくみとは水分のことであり、脂肪ではありません。
むくみが解消されると見た目にも細く見えるのでダイエットの一つと考えることもできますが、脂肪とは違うということを知っておく必要があります。

むくみの原因は?むくみを解消する食べ物を紹介

むくみと水分摂取の関係

水分摂取量が少ない人では、血液の水分が少なくなると血液やリンパ液が流れにくくなり、細胞の老廃物や水分をうまく回収できなくなる結果、むくみが起こることがあります。
そういった場合、水分摂取によって血液の水分量を増やして血流を改善するという考え方は間違ってはいませんが、水分補給だけではなく、運動やマッサージによってリンパ液の流れを促進することも必要になると考えられます。
水分のとりすぎでもむくみは起こりますので、水分をとり、体を動かし、不要な水分を排出することが大事です。

老廃物は体脂肪ではない

「老廃物」といった言葉はの範囲は広く、血液中に流れる不要な代謝産物や、排泄物の成分もこれらに含まれます。
水ダイエットには便秘解消効果があり、ダイエット効果があるとする説明もありました。
確かに便秘の人では便の水分が吸収されすぎて固くなってしまっている場合が多く、十分な水分の補給によって便秘解消が期待できるといえるでしょう。
便秘を解消することはもちろん良いことですが、むくみと同様に、便秘改善によって体脂肪が減っているわけではないので区別して考えるようにしましょう。

セルライトを流す?

また、水ダイエットにはむくみや便秘の解消と同様に、「セルライトも水分摂取による排尿で老廃物として排泄して改善できる」といったような表現も見られます。
しかしそもそもセルライトと呼ばれるのは脂肪組織の塊のことではなく、脂肪組織の上の皮膚にみられる凸凹の部分。
医学的には皮膚の凹凸の脂肪組織の質によるものでも、老廃物によるものでもないと考えられています。

「水を飲むことで老廃物を除去すると代謝が上がってやせる」のは考えにくい

血液の水分が増えて流れやすくなることで代謝が上がる、つまりエネルギー消費が増えるから痩せられると考える人は多いのですが、本当でしょうか。
水ダイエットで紹介されているのは、血液中に水分が足りなかった状態が改善されると、血液は流れやすい状態になり、体の隅々まで栄養素が届きやすくなり、体のあちこちでできた老廃物の回収もしやすくなる、体中の臓器や組織の働きが活発になり、エネルギー消費が増えるという理論ですね。

血液がすみずみまで行き届くことによって栄養素や老廃物のやり取りがスムーズになるという点には同意できますが、それによって果たしてどれだけのエネルギー消費が増えるのかは疑問です。
血液の質が変わることで、体重変化があらわれるほどのエネルギー(カロリー)消費の変化は起こらないと考えるのが自然ではないでしょうか。

その他の方法

そのほか、2杯の水を食前に飲むことで満腹感を得るといった方法もありました。
これは満腹感を感じやすくして食事量を減らすといったもので、ここまで検証したものとは別の観点からのものになります。
簡単に言えばゼロカロリーの水によって食事をかさましするということです。
食事量が減ることでカロリーオフが可能ですが、腹持ちが悪くなる可能性はあります。
また、間食を食べ過ぎてしまうと意味がないので気を付けましょう。

まとめると…

・ジュースなどを水に変えればカロリーオフはできる
・むくみを解消するのであれば運動やマッサージを併用することで期待できる
・便秘の改善には一定の効果は期待できる
・水の摂取量が増えても体の脂肪も流れ出てはいかない
・水の摂取量が増えただけではほとんどエネルギー消費は増えない
・食事量をおさえるために食事に水分を取り入れるのは有効
と、結論付けられるでしょう。

ダイエットというよりも…

単純に水を飲むことで期待できるのは便秘の改善、食事量の変化です。
運動やマッサージを併用すればむくみの改善飲み物の内容が変わったのであればカロリーオフが期待できるといえます。

水ダイエットは水そのものにダイエット効果はなく、期待できるのは生活習慣やむくみや便秘といった体質の改善程度にとどまるでしょう。

もちろん、水分不足で体にいいことはありませんので、水分を十分にとることについてはおすすめです。
運動や食事の改善をするダイエット中にしっかり水を飲むのは必要なポイントのひとつです。

水ダイエットの危険性

体調不良の女性

水分補給は良いこととはいえ、過剰な水分の摂取も問題になることがあります。

1日かけて2L程度の水分摂取をすることは全く問題ありませんが、短時間に2Lの水を飲み干したり、1日で3Lや4Lもの水分を摂取すると、「水中毒」と呼ばれる状態に陥ることがあります。
水中毒では体内のナトリウムの濃度が極端に低くなり、頭痛や嘔吐、精神症状などが起こることがあり、最悪の場合は死に至ることも。
水はカロリーがないからいくらでも飲んでいいというわけではないのです。

度が過ぎなければ健康的な習慣

繰り返しになりますが、水を飲むだけでみるみる体脂肪が減るといったようなことは起こらないことを覚えておきましょう。
水を積極的に飲むことはむくみや便秘の解消の点でとても良いことです。
ただし、水中毒などを防ぐために1日かけて2リットル程度にとどめましょう。

何事もやりすぎは体にとっていいことはありません。
ダイエットのためには、何かひとつの食材に頼るのではなく、食事の内容の見直し、適度な運動が必要です。
いきなりすべてを変える必要はありませんので、できることから始めていきましょう。

参考文献

厚生労働省:「健康のため水を飲もう」推進運動

島岡 章,町田 和彦,熊江 隆,菅原 和夫,倉掛 重精,岡村 典慶,末宗 淳二郎.基礎代謝の季節変動について 〔日生気誌24(1):3-8,1987〕

一般社団法人 北海道薬剤師会:「水中毒とは」