
細身のモデルさんやダイエットトレーナーの方は水をたくさん飲んでいる、というイメージがありませんか?
水を飲むとやせる、水ダイエットといったものも紹介されていることがあります。
一方で、水を飲んでも太る、水太りなんて言葉もありますね。
ダイエットのためには、水は飲んだほうがいいのでしょうか?それとも、なるべく飲まないほうがいいのでしょうか?
ダイエット中に心がけたい水分補給のコツ、飲み物の選び方をお伝えします。
水を飲むと太る?
「水を飲んでも太る」といった言葉もありますが、実際に水を飲むことによって太るということはあるのでしょうか。
「太る」とは摂取エネルギーの過剰状態を指す
体についた脂肪の増減は消費エネルギー(カロリー)と摂取エネルギー(カロリー)のバランスによるものです。
摂取エネルギーのほうが多ければ徐々に体脂肪は増え、反対に消費エネルギーが多ければ体脂肪は徐々に減っていきます。
もともと、純粋な水はエネルギー源となるものが入っていないため、ゼロカロリーのものです。
ゼロカロリーのものはいくら摂取しても摂取エネルギーが増えないため、水を飲んでも体脂肪を増やすことはありません。
太ったのではなく、むくんでいる?
もし「純粋な水」で太ったと感じたのであれば、原因は二つ考えられます。
ひとつめは太ったのではなくむくみが起こっている場合。
塩分が多い食事を食べたりお酒を飲みすぎたりすると、体は水分をため込み、むくみといった症状が起こりやすくなります。
むくみは、水分が体にたまった状態ですが、原因は水分よりも塩分やアルコール。
水分をしっかり摂取して塩分やアルコールの排泄を促す必要があります。
むくみについては別の記事で解説していますので、心当たりがある人は読んでみてくださいね。
→むくみの原因は水分・塩分・運動不足!解消に効く食べ物を紹介
カロリーのある「水」は太る
もうひとつは、「水」が純粋な水ではなく、フレーバーウォーターといった糖類の添加された「水のようなジュース」を飲んでいた場合。/strong>
透明な飲料でも、砂糖が添加されていればその分のエネルギーは摂取しています。
100mlあたり40kcalの清涼飲料水では、毎日500mlを飲んでいると、36日間で体脂肪1㎏分に相当するエネルギーを摂取することになります。
飲み物を選ぶときは、パッケージのエネルギー表示を確認するのがいいですね。
食べ物や飲み物の重さが体重に反映されている?
ただし、水に限らず、飲み物を飲んだり食べ物を食べたりしたときには、飲み物や食べ物の重さが体重に反映されます。
この体重の変化は一時的なもので、数時間後には消化吸収や排泄を経てほぼ同じ体重に戻ります。
飲み物や食べ物の重さによる体重の変化は「太った」とは表現するのは適切とは言いにくいもの。
食事の影響を最小限に抑えるためにも、体重を量るのは1日のうち決まったタイミングにするのがおすすめです。
とはいえ、ダイエット中の人の中には水分摂取による体重の増加ですら気になってしまう人もいるかもしれません。
しかし、ダイエット中の水分の制限は体への悪影響も多く、おすすめできるものではありません。
ダイエット中に水分をとらないとどうなる?
ダイエット中に水を飲まないことで、体にはどんなことが起こるのかをまとめてみましたので、確認していきましょう。
便秘になりやすくなる
消化管の中の水分が少なくなることで便が固くなり、便秘になりやすくなります。
便秘になるとおなかの周辺がポッコリと出てしまうこともあり、かえって太った印象になりやすいといえます。
脱水症状が進むと命の危険もある
ヒトの体の水分量は、健康な状態で十分に水分が補給されていれば一定に保たれるようになっています。
成人では体重の約60%が水分で、50㎏の人で約30㎏が水分です。
水分制限などを行い、体内から水分が一定量以上失われるとさまざまな症状があらわれます。
水分の約5%、50㎏の人で1Lの水分を喪失…のどの渇きや脱水症状
水分の10%、50㎏の人で3Lの水分を喪失…筋肉の痙攣や、血液や血管の異常
水分の20%、50㎏の人で6Lの水分を喪失…生命の危機に陥り、死に至ることも
血管の病気のリスクも
血液中の水分が少なくなると血液がドロドロになるため、血栓ができやすく、脳梗塞や心筋梗塞の原因になることも。
運動時や夏場など、汗をかくときにはいつも以上に水分補給が必要です。
体重の増加を気にして水分補給をしないでいると、これらの影響が出ることも考えられます。
短期的な減量を行うボクサーなどは水分の制限によって体重を減らすこともありますが、あくまで超短期的なもの。
一般の人がダイエット目的で水分の摂取を制限することは、命の危険さえある危険な行為です。
ダイエット中に水分をとることのメリット
水分の摂取はダイエット中でも必要なものです。
実は生命や健康の維持以外にも、十分な水分補給はダイエットの手助けになります。
便秘解消
水分不足の状態では便秘になりやすくなることを紹介しました。
水分を十分に摂取することで、固くなった便が水分でやわらかくなり、便秘の改善が期待できます。
食事の満足感が上がる
食事中に水分を取り入れれば食品が水分を含むため、満足感が得られやすくなります。
パンなどの水分量の少ない食品では特に効果が大きいといえるでしょう。
体の各種機能の手助け
さらに、体内で起こる生化学反応にも水分が必要です。
十分に水分を補給することで栄養素の利用効率も良くなり、体の健康的なサイクルには十分な水分補給が重要です。
むくみの解消
塩分の多い食事などによって体は水分をため込みやすくなり、むくみが起こることがあります。
水分をしっかりと補給することで、体内の塩分濃度を下げ、むくみを解消します。
水は飲めば飲むほどいい?
とはいえ、水は飲めば飲むほど体にいいというわけではありません。
過剰な水分補給を行うと体内のミネラルの濃度が低くなり、水中毒と呼ばれる状態になることで、頭痛や吐き気などの症状が出る場合もあります。
ダイエット中の水分補給に適した飲み物・飲み方は?
ダイエット中の水分摂取は積極的に行いたいですが、飲み方や飲むものの種類も重要です。
ダイエット中の水分補給に適さない飲み物
ジュースやスイーツ系ドリンク
ジュースなどは甘い味があり飲みやすいですが、エネルギーのわりにすいすい飲めてしまい、気が付くとカロリーオーバーになっていることも少なくありません。
また、タピオカドリンクやフラペチーノなどのシロップや生クリームがたっぷり使われたスイーツ系ドリンクも、飲み物ではなくデザートだと考えるのがよいでしょう。
カフェインやアルコール
体内の水分を補う機能の面でいえば、利尿効果を持つカフェインを含んだコーヒーやエナジードリンクも水分補給にはあまり適していません。
利尿作用により、摂取した水分を排出する作用があるためです。
特に注意したいのがお酒。
アルコールにはエネルギーもあるうえ、むくみを引き起こし、さらに強い利尿作用による脱水症状も起こしやすいためにダイエット中には最も適さない飲み物といえます。
ダイエット中、汗をかく運動中はスポーツドリンクが水分補給に適している
運動中や夏場などの汗をかく場面では、体内の塩分・水分のバランスを保つのにスポーツドリンクが最適です。
しかし、運動をしていない状態で水分補給としてスポーツドリンクを飲む必要性はあまりありません。
ジュースほどではありませんが、スポーツドリンクにもある程度の糖分が含まれています。
ジュースと同様にエネルギーのあるものであり、飲みすぎはカロリーオーバーのもとになりますので注意しましょう。
ダイエット中の運動していないときの水分補給に適した飲み物
ダイエット中であれば、飲み物からのエネルギーはなるべくカットしたいところ。
エネルギーの点でいえばやはりダイエットに最適な飲み物は水と言えるでしょう。
糖質の入っていないものであれば、炭酸水などもいいですね。
無糖でミルクなどが加わっていないものであれば、紅茶や緑茶などのお茶もおすすめです。
少量のカフェインが含まれていますが、コーヒーなどと比べて効力が弱いため、利尿作用もさほど強くありません。
ダイエット中の飲み物には、基本的には水かお茶を飲むようにするといいですね。
日本人は水分不足気味。+コップ2杯が目標です!
ヒトの体は呼吸や汗、尿や便で1日に2.5Lほどの水分を失っています。
通常の食生活では、食事から1Lの水を摂取しており、体内でも0.3Lの水が作られています。
それ以外の水分補給の方法は飲み物として水を飲むこと。
排泄される水の不足分を補うためには毎日1.2Lの水を飲む必要がありますが、日本人は水分摂取が不足気味の人が多くなっています。
個人差はありますが、いつもよりコップ2杯ほど多く飲むようにすると水分不足を解消できるといわれています。
水分補給のタイミング
ヒトの体は体内の水分量をなるべく一定に保とうとするため、一度に1日分の水分を摂取しようとしても尿として排泄されてしまい、あまり効果的ではありません。
水分補給は1日に数回に分けるのがおすすめ。
寝ている間や入浴時には特に体内の水分量が失われていくため、朝の起床時や入浴の前後、夜の就寝前の時間帯に水分補給をするのがいいですね。
それ以外でも、のどの渇きを感じたときにはすでに体は水分不足の状態です。
移動中でも飲み物を持ち歩き、のどの渇きを感じる前にこまめに水分補給をするのがいいですね。
ダイエット中の体重変化は気にしすぎないのも大事
ダイエット中はわずかな体重の変化にも敏感になってしまいがちですが、数日以内の体重の変化にはあまり意味がありません。
わずかな体重の差を気にして水分補給まで制限しては健康を脅かすうえ、ダイエットの効果も見込めません。
体が水分不足や水分過剰にならないよう、こまめな水分補給を心がけましょう!
参考文献 |