
体型を長く維持するためのダイエットは「体脂肪を減らす」もの。
体脂肪のエネルギーを消費するための方法のひとつめは、「食事からの摂取エネルギーを減らすこと」です。
この記事では、摂取エネルギーを減らすための基本的な方法を解説します。
食事によるダイエット=摂取エネルギーの管理
食事による摂取エネルギー(カロリー)を減らすことで、足りなくなったぶんを体脂肪のエネルギーを消費すると、体脂肪の減少が見込めます。
1ヵ月で1㎏減らす場合、1日当たり240kcal減らす必要がありますが、リバウンドを防ぎつつ効果的に体脂肪を減らすには、食べ物の中でも摂取量を(適度な範囲で)減らすものと、十分な量を確保する必要のあるものがあります。
適切な範囲でエネルギー摂取を減らすのが原則
体脂肪が増えた状態というのは、単純に考えれば、日々の生活で消費エネルギー(消費カロリー)よりも摂取エネルギー(摂取カロリー)が多くなってしまっていることを示します。
よって、食事によってダイエットをするのであれば、消費するエネルギーよりも摂取するエネルギーを減らす必要があるといえます。
食品の成分の中でこのエネルギー源となるのは基本的にはたんぱく質、脂質、炭水化物、アルコールの4種類です。
これらの摂取量を減らすことで摂取エネルギーも減らすことができますが、たんぱく質、脂質、炭水化物に関してはそれぞれ、エネルギー源として以外にも大切な働きを担っているため、極端に減らしたりなくしたりすることは健康を脅かすことにつながります。
消費エネルギーと摂取エネルギー、正確に把握できる?
消費エネルギーと比較して摂取エネルギーが小さくなるように食事量を減らす、といっても、自分が消費しているエネルギー量や、自分の食べている食事のエネルギー量を完璧に把握している人はほとんど存在しないと言っていいでしょう。
日本人の食事摂取基準2015年版では、年齢・性別・活動量から推定エネルギー必要量(=エネルギー消費量)を示していますが、身長・体重・体組成など、エネルギー消費に大きくかかわる要素は人それぞれ異なるため、個人で当てはめるのは困難です。
エネルギー管理は長期間の平均的な体重の増減をみるのがいちばん確実
消費エネルギー、摂取エネルギーはともに日常生活の中で正確に把握することは不可能です。
そのため、エネルギー管理がうまくいっているか確認する方法としては、「体重の増減」がもっとも確実なものと考えられています。
平均的な体重が変わっていないのであれば、摂取エネルギーと消費エネルギーが釣り合っている状態。
徐々に増えているのであれば、やや摂取エネルギーが過剰、と読み取ることができます。
(例えば、1か月で体重が1㎏程度増加していた場合は、1日あたり240kcalの摂取エネルギーが過剰、という目安になります)
もちろん、数日程度の間に起こる変化は体内の水分等の出入りによる変化が大きいため、正確とはいえません。
数週間から数か月の期間を通して、およその平均が下がっているか、維持されているかを見るのがいいですね。
長期的な体重の変化を確認するには、毎日の体重等のデータを入力するとグラフ化してくれるアプリなどが便利です。
「いつもの食事」から減らすことを意識しよう
わたしたちは毎日同じ食事をとっているというわけではないので、「摂取エネルギーを1日○○kcalにしよう」と決めても、その通りに食事をすることはできません。
しばらく体重の変化がなかった場合、「いつもの食事」を基準に、摂取エネルギーを抑えるようにすれば、(効果の大小はあれど)確実に体重は減っていくはずです。
具体的な方法としては、
・間食の量を減らす ・いつもの料理に使っている油の量を減らす ・いつも使っている食材よりもカロリーの低い食材に変える |
減らす分だけ摂取エネルギーは少なくなります。
もちろん、最低限の栄養素は摂りたいので、極端な食事制限は避けましょう。「食べない」ではなく「ちょっと減らす」がポイントです。
ダイエット中、具体的には何を増やす?何を減らす?
単純に、余分なエネルギー摂取をカットするのは確実ですが、食事量が減ってしまうのはさみしいところ。
エネルギーの高いものを低いものに「食べ替え」するのもひとつの方法です。
摂取エネルギーのカットはダイエット向きの食材を積極的に増やし、反対に避けたいものの摂取量を減らすことでも可能。
少しづつの組み合わせで、無理のないダイエットにできますよ。
積極的に食べたいもの
ダイエット中に積極的に食べたいのは、こんな食品たちです。
・量のわりにエネルギーが低いもの ・エネルギーが低くても満足感を得られやすいもの |
■食べすぎには注意が必要
ここで注意したいのは、 積極的に食べたいもの=いくらでも食べてもいいもの ではないということ。
食べれば食べるほどやせるという食品は存在しません。
食べすぎはかえって摂取エネルギーの過剰につながったり、ほかの食品を食べる量が少なすぎることで栄養バランスが乱れる原因になります。
とりすぎに気を付けるもの
摂りすぎに気を付けたいものは、前述の積極的に食べたいものの反対の性質のあるもの。
具体的に紹介すると、以下のようなものになります。
・量のわりにエネルギーが高い食品 ・エネルギーが高いのに満腹感や栄養素が伴いにくい食品 ・食べすぎにつながりやすい食事 |
■いわゆる「嗜好品」は控えめに
嗜好品と呼ばれる食べ物・飲み物は、健康に貢献してくれる栄養素が少ないにも関わらず、高カロリーなため、ダイエット中においてはなるべく摂取しないほうがよいものとされます。
ただし、完全に食べない・飲まないことによってストレスがたまると、ドカ食いをしてしまう場合もあります。
あまり厳密には制限せず、食べたくなってしまったら少しだけ食べる、少量でやめるということをしたほうがいいかもしれませんね。
また、間食の内容を選ぶことによって、太りにくい間食にすることもできます。
ダイエット中に気になるおやつ・お酒に関する記事はこちら |
体が必要とするものが不足しないようにしましょう
ヒトが生きていくために食事からとる必要がある栄養素のことを「必須栄養素」といいますが、その必要性はダイエット中も例外ではありません。
定期的に流行する1種類の食品ばかりを食べ続けるようなダイエット方法が勧められないのは、1種類の食品では必須栄養素をバランスよくとることはできないために健康を害する恐れがあるからです。
また、「水を飲むとむくむから」といって水を飲まないのもNG。
むくみ改善のためにも、食事と飲料から1日あたり2.2リットルの摂取が必要といわれています。
・いろいろな食材を取り入れた食事を意識しましょう ・水はこまめにとりましょう |
ダイエット中の水分補給について詳しく解説した記事はこちら |
将来の健康を保つために
1ヵ月1~2㎏、半年で5%程度の緩やかなダイエットをしましょう
1ヵ月に2㎏を超えるダイエットはあまりおすすめできません。
厳しい食事制限は栄養素不足を引き起こし、筋肉量の低下や貧血、生理不順だけでなく失神するような低血糖、将来的には骨粗しょう症や不妊などの重大な影響を及ぼします。
ダイエットをしようとするとき、なるべく早く成果を得たいと考えるのも自然ではあります。
しかし、食事と運動を組み合わせ、緩やかなペースで堅実に体脂肪を落としていくのが、ダイエットを成功させ、すっきりとした体型を長い期間にわたってキープする秘訣ともいえるでしょう。
運動で消費エネルギーを増やすダイエット方法についてはこちら |
参考文献 吉田勉 監修:「わかりやすい食品機能栄養学」.三共出版,2010. |