トマトやリコピン、どのくらい食べればダイエット効果があるの?

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トマト

人気のダイエット法の一つに、トマトを使ったダイエットがあります。
権威ある大学が行った研究報告も後押しし、一時はスーパーからトマトやトマトジュースが消えるほど。
トマトを使ったダイエットに効果はあるのでしょうか?

トマトダイエットとは

ネット上で紹介されているトマトを使ったダイエット法にはたくさんの種類があり、生のトマトや火を通したトマト、トマトジュース、トマトの成分を含んだサプリなど、実に様々です。

痩せる根拠となる成分として紹介されているものとして、いくつかの成分を紹介します。

・リコピン
・13-oxo-ODA
・食物繊維
・カリウム

これらの成分が

・代謝を上げる
・血中脂質を下げる
・便秘解消
・むくみ改善

などの効果によってダイエットに効果的とのこと。本当でしょうか?

トマトダイエットブームのきっかけになった研究

トマトと試験管

トマトを食べたら痩せた?

2012年、京都大学の研究グループから、「トマトに含まれる成分に血中中性脂肪改善に有効な成分を確認」という報告がなされました。

この研究は、肥満・糖尿病状態のマウスに対してトマトに含まれる「13-oxo-ODA」を0.02%、0.05%含む高脂肪のえさを4週間にわたって与えたという内容のもの。
結果としては、13-oxo-ODAを与えたグループは与えなかったグループに比べて、血液中の中性脂肪の値が低かったというものです。

「ヒト」が「やせた」という結果は出ていない

この結果を判断するときに考えなければならないのが、

・対象がヒトではない …ヒトにも効果があるかは不明
・対象が「肥満・糖尿病」のマウス…肥満ではない場合に効果があるかは不明
・与えた食事が「高脂肪食」 …通常の食事で効果があるかは不明
・13-oxo-ODAの含有量 …かなり高濃度で、ヒトの通常の食事では摂取不可能

ということです。

加えて言えば、この研究では血液成分に違いは見られたものの、体重などの変化は起こらなかったそうです。

生活習慣病のリスクが高く血中脂質の数値が気になっている人には将来的に効果のある薬や食品が開発される可能性がある、という良いニュースでした。

しかし、基本的には健康体で、美容のためにダイエット中の人に対しては、有益な情報であるとは言い切れないでしょう。

トマトを食べただけでは効果があるとは言えない

とはいえ、13-oxo-ODAという成分そのものに血液中の中性脂肪に働きかける機能があること自体は期待していいと考えられます。
しかし、人が食品としてのトマトを食べることでこの効果が得られるとはまだまだ言えないでしょう。

研究が進むことによって、「将来」、ダイエットに効果のある製品や薬品ができる「かもしれない」という程度にとどまる内容です。

毎日トマトソース100㎏分に相当?

ちなみにこの研究報告が発表されたとき、トマトジュースが爆発的に売れましたが、これは生のものよりもジュースやソースに加工したほうがこの成分の量が増えるといわれたため。
生トマトにこの効果を期待するのは少し効率が悪いかもしれません。

もっとも、マウスが摂取していたレベルをヒトが摂取するには、最も有効成分の濃度が高いソース状のトマトでも、少なく見積もって100㎏以上を毎日食べなければいけない計算に。
生トマトでもトマトジュースでも、ダイエット効果を期待するのは難しそうです。

トマトジュースで消費カロリーが増加?

また、2015年、東京医科歯科大学から更年期症状を持った女性を対象に、無塩のトマトジュース200mlを1日2回、8週間摂取すると、安静時のエネルギー消費が120~170kcal増加したとの研究報告がありました。

やはり、トマトにはダイエット効果があるのでしょうか?

対象が限定的、実験の精度が低い

しかし、この研究は対象が限られたものであるため、誰にでも当てはまる結果とは言えません。
また、トマトジュースを飲まなかった人の観察はなく、また被験者も実験の内容を知ったうえで実験が行われているため、結果の精度に疑問が残るのが残念なところ。
トマトジュースのどの要素が効果に影響したのかもこの報告ではわかりません。

思い込みが効果を発揮してしまうことも

「効果があるかもしれない」と思って参加するとそれが結果に影響することも大いに考えられます。
(そのため、このような食品や薬品の効果を検証するための実験では、参加者が何のための実験であるかを事前に知らせず、また、なるべく成分以外に違いが出ないように目的の成分の含まれない別のものを飲ませたり食べさせたりする方法が最も信頼性のある実験方法とされています。二重盲検法といいます。)

こちらの結果も意味がないとは言い切れませんが、現時点では効果ありとは言い切れません。
将来の研究の進歩に期待しましょう。

トマトに期待できるダイエット効果は?

注目されている成分=将来の開発に期待

トマトを使ったダイエットにおいて注目されるのは上で紹介した「13-oxo-ODA」という成分です。
この成分について、現時点では生のトマトやトマト加工品を摂取するだけでは血中脂質の改善効果があるとは言えないのはすでに述べた通りです。
もちろん、体脂肪量や体重の減少に効果があるものとも言えません。

トマトリコピンを使ったダイエット?

また、多くのダイエット法の紹介サイトで取り上げられているのが、「リコピン」という成分。
リコピンはトマトに含まれる色素の一部で、カロテノイドと呼ばれるグループに属する成分です。
同じカロテノイドに属するβ-カロテンは体内でビタミンAとして働きますが、リコピンにはその効果はありません。
現在、ヒトに対する有効性が分かっているリコピンの効果は血圧の改善です。

リコピンはエネルギー(カロリー)消費を増やさない

多くのサイトではリコピンが代謝を上げてエネルギー(カロリー)消費を増やすといったような表現がありますが、そのような効果は認められていません。
その他、血管疾患の予防や前立腺がんの予防に効果がある可能性が示されていますが、いずれもまだ確実なものではありません。

便秘解消・むくみの改善がダイエット効果?

その他に紹介されている食物繊維やカリウムによって便秘改善やむくみの改善が期待できるという表現も見られました。

食物繊維の摂取によって便秘の改善、カリウムの摂取によってむくみの改善が期待できるという点は間違ってはいませんが、これは体脂肪が減るものではありません。
見た目にはほっそりすることもあると考えられますが、体脂肪を減らすダイエットとは区別して考えるのがいいでしょう。

トマトのダイエットサプリは効果なし

かつてトマトの成分を含んだサプリメントが、根拠がないにもかかわらず飲むだけで痩せる効果があるかのように表示し、消費者庁から措置命令を受けています。

トマト製品を飲むだけ、食べるだけで痩せる効果は期待できないことを知っておきましょう。

トマトは食べても意味がない?

トマトサラダ

通常の食事で得られるトマトの成分にダイエットの効果は期待できませんが、食べないほうがいいというわけでもありません。

トマトがダイエットに役立つ点は「低エネルギー(カロリー)」ということ

トマトがダイエットに効果をもたらすとすれば、最も効果が期待できる点は「低エネルギー(カロリー)」だということです。
トマトは1個150gで29kcalです。
トマトは切るだけでおかず1品になりますので、低エネルギー(カロリー)なおかずとして取り入れやすい点が魅力です。

トマトよりエネルギー(カロリー)の高いものと置き換える

もちろん、食事の内容は変えずにトマトを足すだけではダイエット効果はありません。
食事の中でおかずを一部トマトサラダに置き換えるなどすれば、その分のエネルギー(カロリー)オフが期待できます。

たとえばコンビニのポテトサラダが一袋120g入りで176kcalだったので、ここで置き換えれば150kcal近くのエネルギー(カロリー)オフになりますね。

トマトジュースやトマト料理にダイエット効果はある?

加工品に関しては、

トマトジュースは液体であるため食べ応えがないこと
砂糖が添加されているものはかえって高カロリーになる可能性もあること
トマトソースなどでは調味料や油の添加によりあまり低カロリーとも言いにくい

といった点があげられるため、あまり期待できないといえそうです。
食事のバリエーションとして取り入れる分には問題ないでしょう。

トマトは取り入れやすい野菜のひとつ

微量成分のみに注目されがちなトマトですが、野菜の一つとして考えれば低カロリーで調理も簡単な、とても便利な食材です。

期待を過度にあおる情報に惑わされないよう、気を付けながら活用してくださいね。

ダイエットについて、イマカラの基本的な考え方

参考文献

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」

京都大学:「トマトから脂肪肝、血中中性脂肪改善に有効な健康成分を発見:効果を肥満マウスで確認」

松村 康生(2014)調理によって生理機能性成分を新たに創ることはできるのか? 文部省科学研究費助成事業研究成果報告書(課題番号:25560036)

Asuka Hirose, Masakazu Terauchi, Moe Tamura, Mihoko Akiyoshi, Yoko Owa, Kiyoko Kato, Toshiro Kubota.Tomato juice intake increases resting energy expenditure and improves hypertriglyceridemia in middle-aged women: an open-label, single-arm study.Nutrition journal. 2015 Apr 08;14;34. doi: 10.1186/s12937-015-0021-4.

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:「健康食品」の安全性・有効性情報「リコピン」

厚生労働省e-ヘルスネット:「カロテノイド」

矢賀部隆史,宮下 達也,吉田 和敬,稲熊 隆博.総説 野菜と果物の色に宿るチカラ 野菜や果物に含まれるカロテノイドと疾病の予防,改善 日薬理誌(Folia Pharmacol. Jpn.)141,256~261(2013)

相澤 宏一.野菜に含まれるビタミンや力ロテノイドと健康 The Vitamin Society of Japan 1号 (1 月)(2015)

消費者庁:「株式会社コマースゲートに対する景品表示法に基づく措置命令について」