投稿日: 2019.04.20 | 最終更新日: 2020.04.22

ニキビや肌荒れに効く食べ物と栄養素はある?|管理栄養士執筆

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美肌のための食べ物

乾燥肌や肌荒れ・ニキビなど、お肌のトラブルに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
洗顔や保湿などの肌ケアも大事ですが、体の内側から改善するためには食事や生活習慣を見直すのも重要です。

特に意識して取りたいのがたんぱく質・脂質・ビタミン類。
反対に避けたいのは体の水分を奪ってしまうもの。
毎日の食事の中で美肌を作る方法、食事レシピを紹介します。

肌と食事の関係

食事が肌を作る

健康な肌を維持するためには、「肌の細胞の材料になる栄養素」と、「健康な肌を作るはたらきをもつ栄養素」が必要です。

どれかひとつの栄養素に注目するのではなく、全体的にバランスよく取り入れることが重要です。

乾燥肌やニキビ、くすみなどの肌トラブルは、食事内容を見直すことで改善が期待できるかもしれません。

肌の不調の原因はひとつではない

また、肌の不調の原因は人それぞれ。万能な食べ物や栄養素はありません。

たとえば、乾燥肌は肌表面だけではなく体全体の水分不足が原因となっていることもありますし、

肌荒れ、皮膚炎は肌の主な材料となるタンパク質や、タンパク質の代謝を行うのに必要なビタミンが不足している場合があります。

脂質代謝や女性ホルモンのバランスが崩れたり、便秘になったりするとニキビなどができやすくなります。

貧血が原因となって目の下のクマやくすみが引き起こされることも。

もちろん、食事だけで肌の不調が治るわけではありませんが、食事の内容を見直すことで、美肌をつくる後押しになりますよ。

美肌に役立つ栄養素

食品に含まれる栄養素はそれぞれにたくさんの機能があり、ひとつの栄養素にひとつの機能というわけではありません。
また、肌の不調の原因も様々な要因が組み合わさってできているため、どれかひとつに偏るのではなく、ここで紹介する栄養素をできるだけまんべんなく取ったり、生活全体を見直したりするのがいいですね。

健康な肌の細胞をつくるタンパク質・脂質・ビタミンB群

肌の細胞の主な成分はタンパク質と脂質です。

ご飯ものやお菓子ばかりの食生活などで、食事から摂取するタンパク質や脂質が不足すると、新しい肌細胞を作ることができず、肌荒れの原因となります。

また、食事から摂取したたんぱく質や脂質の代謝にかかわるビタミンB2やB6などのビタミンB群が不足すると健康な細胞を作ることができず、皮膚炎などの原因となります。

ビタミンCは体内のコラーゲンの合成に必要なビタミンで、不足するとハリのない肌になりやすくなってしまいます。

全身の水分不足が皮膚にも

体内に十分な水分がなかったり、肌からの水分の蒸発を防ぐ皮脂が不足したりすると乾燥肌の原因となります。

保湿のためのスキンケアも重要ですが、必要な量の水分や脂質の摂取も心がけましょう。

ダメージを受けた細胞を修復するビタミン

ビタミンC、ビタミンEは抗酸化作用を持つビタミンで、体内で発生した活性酸素のダメージを修復してくれます。
日焼けなどの紫外線のストレスを対処してくれるのもこれらのビタミンです。

紫外線の気になる時期には特に気を付けたいですね。

適度な脂質、腸内環境を整えることでニキビ予防になるかも

大人のニキビの原因は複雑で、様々な要因が組み合わさっていることが多いですが、便秘やホルモンバランスの乱れ、脂質のとりすぎなどが一因となっていることがあります。
食事に含まれる脂質の量を適正にし、便秘を解消する食物繊維や善玉菌の働きを高める発酵食品を取り入れたりすることで改善できる可能性があります。

鉄分&ビタミンCで貧血解消、血色のいい肌に

若い女性に多い貧血は、目の下のクマや肌のくすみの原因となります。
血液の材料となる鉄分や、鉄分の吸収を助けるビタミンCを多く含む食材を食事に取り入れることで、貧血が原因のクマやくすみの改善につながるかもしれません。

美肌に役立つ食材

肌の健康にかかわる食材

肌の健康のために役立つ栄養素はたくさんありますが、どのような食べ物に含まれているのでしょうか?おすすめの食材を簡単に紹介します。

タンパク質

タンパク質は肉や魚、卵などのほか、米やパンなどの穀類にも一部含まれています。
しかし体内での利用効率を考えると、効果的な摂取源としては肉や卵などの動物性食品や、植物性食品の中では大豆製品が適しています。

脂質

脂質は不足しすぎると乾燥の恐れがあり、取りすぎるとニキビなどのトラブルのもとになります。
肉、魚、ナッツ類などから、適量をとることが大事です。

ビタミンB2

脂質の代謝にかかわっているビタミンB2は豚レバーやウナギに多く含まれています。
含有量は豚レバーほどではありませんが、卵や納豆も取り入れやすくておすすめです。

ビタミンB6

タンパク質の代謝にかかわるビタミンB6はニンニクやマグロやカツオなどの魚、鶏肉や豚の赤身肉に多く含まれています。

ビタミンA

皮膚や粘膜を健康に保つビタミンAはレバーやうなぎなどに多く含まれますが、取り入れやすさでいえば緑黄色野菜がおすすめです。
中でもにんじんやほうれん草に多く含まれています。

ビタミンC

抗酸化作用を持ち鉄分の吸収を助けたり、コラーゲンの再合成にかかわるビタミンCは野菜や果物に多く含まれ、パプリカなどの緑黄色野菜が取り入れやすい食材です。

ビタミンE

抗酸化作用を持つビタミンEは油脂を豊富に含む食品に多く、アーモンドなどのナッツ類、アボカドなどに豊富に含まれています。

食物繊維

腸管を刺激して便秘解消効果のある食物繊維は海藻類やきのこ類、根菜類に多く含まれています。

乳酸菌などを含むプロバイオティクス、プレバイオティクス

腸内環境を改善してくれる善玉菌は、ヨーグルトや納豆・キムチなどの発酵食品に含まれています。

鉄分

赤血球の原料となる鉄分は豚レバーや牛肉などの赤身肉、小松菜やほうれん草に多く含まれています。
肉などの動物性食品に含まれる鉄のほうが吸収しやすい形で入っていますが、植物性食品はビタミンCを含む食品と一緒に食べることで吸収率が高まります。

肌のためには避けたい食材

健康な肌を作るうえでは、肌に悪影響を与える食材は避けたいものです。

劣化した油は避ける

高温での調理をしたり、開封してから長い期間空気にさらされていたりした油は空気中の酸素と反応して酸化してしまいます。

食事で体に取り込まれた酸化した油(脂質過酸化物)は肝臓でビタミンB2を使って処理されます。
酸化した油の摂取量が多いほどビタミンB2がその処理に使われてしまうため、肌に気を使ってビタミンB2をとっていても消費されてしまうのです。

揚げ物は脂質を多く含んでいるだけでなく、その油が高温で調理されて酸化しやすい状態になっています。

絶対に食べてはいけないというわけではありませんが、食べすぎには気を付けましょう。

アルコールとカフェイン、塩分過多の食事は避ける

アルコールを含んだお酒や、カフェインを含んだコーヒーなどには利尿効果があり、体内の水分を排出する働きがあります。

体内の水分が少ない状態がつづくと、皮膚の細胞のうるおいも失われてしまい、肌にハリがなくなったり、乾燥肌などのトラブルの原因にもなります。

塩分過多の食事も同様に、体内の塩分濃度を一定に保つために水分が使われてしまうため、肌の水分不足の原因となります。

日ごろから塩分やアルコールの過剰摂取を控えるとともに、こまめな水分補給を心がけることが大事です。

体を冷やしすぎないようにする

冷たい食べ物や飲み物ばかりを摂取していると、血行不良になりやすくなります。

血行が悪くなると体の隅々まで酸素や栄養が行き届かず、血色が悪く、くすんだ肌の原因にもなります。

食べ物や飲み物で体の中から温めることで、血行を改善して健康的な印象の肌を作ることにつながります。

ひとつの食材を食べ続けることは避ける

ある食材が美肌にいい、と聞くと、その食材ばかり食べてしまうことがよくあります。

しかし、いくら肌に良いとはいっても特定の食品だけを食べていたら、栄養素が偏ってしまい、うまく働いてくれなくなるのです。

美肌のためには、皮膚以外の全身の健康も重要です。
体全体のサイクルがうまく回るように、偏りなくいろいろな食材を食べるようにしましょう。

栄養素同士の組み合わせ

美肌に効果的な組み合わせで料理をする

美肌に効く栄養素はお互いに助け合う働きをもっているため、できれば組み合わせて取り入れたいですね。

タンパク質とビタミンB群

タンパク質は肌の細胞を作る材料となり、ビタミンB群はタンパク質の代謝を促すビタミンです。

豚肉は豊富なタンパク質とともにビタミンB2とビタミンB6も同時にとれるので優れた食品と言えるでしょう。

タンパク質とビタミンB2を多く含む卵や納豆にビタミンB6を含むニンニクを組み合わせるのもおすすめです。

タンパク質とビタミンC

肌の細胞を構成するたんぱく質の中でも、コラーゲンは重要なもののひとつです。

コラーゲンの原材料となるのはタンパク質で、消化吸収された後にコラーゲンに合成されます。

ビタミンCは体内でのコラーゲンの生合成に必要となるビタミンなので、合わせて食べると効果的です。

肉や卵などのタンパク質を多く含む食品を食べるときは、緑黄色野菜などを組み合わせるとより美肌に近づきます。

ビタミンA・C・Eは一緒に食べる

ビタミンA・C・Eは、お互いを助け合う働きがあるため、組み合わせてとるのがおすすめです。

ビタミンAやCを豊富に含む緑黄色野菜には、サラダのトッピングやアクセントとしてナッツ類やアボカドを組み合わせるとよいですね。

食物繊維は乳酸菌・発酵食品と一緒に

腸内環境を整えてくれる乳酸菌を含んだ発酵食品と一緒に食べるものとしては、乳酸菌のえさとなって増殖を助け、腸管の刺激もしてくれる食物繊維が良いでしょう。

ヨーグルトに食物繊維を豊富に含むキウイや、オリゴ糖を組み合わせると効果的です。

美肌のための食事レシピ

ここまでで紹介した食材と組み合わせを活用したレシピを紹介します。
美肌のためにとりたい栄養素や食材はたくさんあるので、毎日の食事でも少しずつ取り入れてみてくださいね。

鶏むね肉とパプリカのガパオ風炒め

鶏肉とパプリカのガパオ

【材料】2人分

鶏むね肉(皮なし) 1枚(250g)
パプリカ 1個(正味120g)
バジル 8枚ほど(お好みで)
ナンプラー(なければ醤油でも) 大さじ1(15g)
オイスターソース 大さじ1(18g)
砂糖 小さじ1/2(2g)
一味唐辛子or鷹の爪 お好みで
サラダ油 小さじ1(4g)

※横スクロールで表全体の確認が可能です。

【作り方】
1. 鶏むね肉とパプリカは一口大に切っておく。
2. フライパンにサラダ油をひき、鶏むね肉を焼く。
3. 鶏肉に焼き色がついたら裏返し、パプリカを加えて蓋をし、1~2分蒸し焼きにする。
4. 調味料とお好みで唐辛子を混ぜ合わせてフライパンに加えて炒め合わせる。食べる直前にバジルを加えてひと混ぜし、器に盛る。

【栄養価】1人分199kcal ビタミンC 100㎎(1日推奨量に相当)

タンパク質が豊富な鶏むね肉とビタミンCを多く含むパプリカを使ってエスニック風のおかずに。ごはんにもぴったりです。
ニンニクやしょうがのみじん切りを加えるとさらに本格的な味わいになるので、お好みで加えてみてください。

かぼちゃとブロッコリーのホットサラダ

かぼちゃとブロッコリーのホットサラダ

【材料】2人分

かぼちゃ 100g
ブロッコリー 100g
マヨネーズ 小さじ2(8g)
小さじ2(10g)
少々(1g)
カレー粉 小さじ1/2(1g)
アーモンドスライス 大さじ1(5g)

※横スクロールで表全体の確認が可能です。

【作り方】
1. かぼちゃの種とワタを取り、一口大に切る。耐熱のボウルにいれて軽くラップをかけ、柔らかくなるまで加熱する。
2. 鍋にお湯を沸かしておき、ブロッコリーを一口大の房に切り分けて、鍋のお湯が沸いたら2~3分好みの固さになるまでゆでてザルにあげる。
3. マヨネーズ、酢、塩、カレー粉を混ぜ合わせておく。
4. かぼちゃに水けをきったブロッコリー、ドレッシングを合わせて軽くあえる。器に盛り付けたらアーモンドスライスを振りかける。

【栄養価】1人分109kcal ビタミンA 200㎍ ビタミンC 82㎎ ビタミンE 4.9㎎

ビタミンAを含むかぼちゃ、ビタミンCが豊富なブロッコリー、ビタミンEが豊富なアーモンドを一皿にしました。
温野菜で体も冷やしにくく、消化にも良い仕上がりです。

食事とあわせて気を付けたい生活習慣

美肌を作るためには、食事に加えて生活習慣を見直すことも重要です。

・血行を良くするために湯船につかるようにする

・適度に運動する

・睡眠時間を十分に確保する

・ストレスをためないように心がける

健康的な肌のために、ライフスタイル全体を整えていきたいですね。

参考文献

吉田勉 監修:「わかりやすい食品機能栄養学」.三共出版,2010.

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。