美肌=コラーゲン?美肌のために気を付けたい食事のポイント

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コラーゲン

世間では広く、「美肌といえばコラーゲン」といったイメージが定着していますね。
一方で、食べるコラーゲンには意味がないとする説も。

美肌のためには、どのようにコラーゲンを取り入れればいいのでしょうか?

肌を健康に保つためにはコラーゲンが必要?

そもそも、美肌とコラーゲンにはどのような関係があるのでしょうか?

コラーゲンとは

コラーゲンは皮膚を構成する成分のひとつです。

皮膚では「真皮」と呼ばれる部分で細胞と細胞の隙間を埋めるように存在するたんぱく質のことで、皮膚の弾力性や柔軟性を保っています。

皮膚の構造

ヒトの体に存在するコラーゲンは皮膚だけでなく骨や軟骨、血管などにも存在します。
全身に存在するコラーゲンは実は同じものではなく、28種類に分類されていて、それぞれに構造や性質、存在する場所も異なります。

美肌のために食事からとる必要がある?

コラーゲンの生成量は加齢によって減ることが分かっており、美容の分野では「食事で補いましょう」といったことがよく言われています。

体内で生成量が減るのであれば、体の外から取り入れましょう、という理屈ですが、ほんとうに食べ物からとったコラーゲンがそのまま、穴を埋めるように補われると考えていいのでしょうか?

コラーゲンは分解されて吸収される

コラーゲンはたんぱく質

コラーゲンはたんぱく質の一種です。
たんぱく質は「アミノ酸」が多数つながった鎖のような形をしています。

たんぱく質の模式図

コラーゲンやその他のたんぱく質は20種類のアミノ酸からできており、たんぱく質の違いはアミノ酸の組み合わせやつながり方の違いによるものです。

コラーゲンは肉類や魚類に含まれていますが、そのままの形では消化吸収されにくいことが分かっています。
コラーゲンを加熱分解すると消化吸収されやすい「ゼラチン」の構造に変わります。

ゼラチンはゼリーや煮こごりのプルプルとした食感の本体で、コラーゲン鍋などの一般的な食品に入っているコラーゲンはゼラチンであると考えて問題ないでしょう。

一方、このゼラチンをさらに細かく分解した「コラーゲンペプチド」「低分子化コラーゲン」などといった形で含むサプリメントや美容ドリンクなども存在します。

コラーゲンペプチドも短いながら鎖のようにつながっていますが、この鎖を完全に切ったものを「アミノ酸」といいます。

たんぱく質の消化吸収

コラーゲンを含むタンパク質はそのままの形では大きすぎて吸収できないため、胃や腸の中で消化を受け、比較的小さいペプチドやアミノ酸といった形で血液中に吸収されます。

つまり、吸収された段階では「コラーゲン」としての構造は失われています。
そのため、単純にコラーゲンを食べたとしても、そのまま吸収されてコラーゲンのまま体の一部になるわけではありません。

体内で必要なたんぱく質が必要な分だけ作られていますので、コラーゲンの材料として使われることもあれば、コラーゲン以外のたんぱく質に作り変えられることもあります。

また、コラーゲンを構成するアミノ酸は人の体内で作り出すことができる「非必須アミノ酸」です。

体の中のコラーゲンが減っているからコラーゲンを食べる必要があるわけではなく、また、食べれば改善するとも言えないのです。

コラーゲンとお肉は同じなの?

消化吸収で小さくカットされた状態でも、たんぱく質の材料である「アミノ酸の組成」は変わらないため、たんぱく質の種類によって違いが出てきます。

たんぱく質の栄養価を表す指標として、「アミノ酸スコア」というものがあります。
これは人が体内で作ることのできない必須アミノ酸を、どれだけバランスよく含んでいるかを表します。

いわゆる「お肉」は、コラーゲンも含めた様々なたんぱく質が組み合わさってできている食品です。
必須アミノ酸を十分に含むためアミノ酸スコアは「100」となっています。

一方で、「コラーゲン」は1種類のたんぱく質を指します。
コラーゲンには一切含まれていない必須アミノ酸が存在するため、アミノ酸スコアは「0」になってしまいます。

単純にたんぱく質の摂取源として考えるならば、コラーゲンは優秀な成分とは言えません。

コラーゲンを食べても効果がない?

コラーゲンが豊富なゼリー

コラーゲンを摂取翌日にお肌がプルプルになる?

コラーゲンたっぷり、といわれる食品を食べた翌日、お肌の調子がいい!といった話はよく聞かれます。

しかし、肌細胞のターンオーバーには28日かかるため、摂取したコラーゲン由来のアミノ酸が翌日には肌の表面に変化をもたらすとは考えにくいといえます。

コラーゲンを食べたことによる肌の変化は科学的に解明されている現象ではなく、

・「効果があるはず」と考えることによるプラセボ効果
・コラーゲン以外の要素(例えばコラーゲンを食べた日には、効果を高めようといつも以上にスキンケアを丁寧に行ったりすることなど)

によるものの可能性も否定できません。

コラーゲンペプチドについて

コラーゲンペプチドは一般的に「コラーゲン」と呼ばれているコラーゲンやゼラチンをさらに細かく分解したものです。

完全にアミノ酸単位に分解するのではなく、コラーゲンの特長を残しつつ吸収されやすいかたちになっているのが特徴です。
このコラーゲンペプチドが形を保ったまま吸収されることで、体内コラーゲンの材料としてではなく、体内でのコラーゲンの合成を促進することができるのではないか?といった研究がすすめられています。

コラーゲンペプチド摂取による肌改善はいまだ研究途上

健康食品やサプリメント業界では、分解して低分子化したコラーゲンペプチドには確固たる美肌効果があるように紹介されています。

しかし、コラーゲンペプチドが肌に与える効果やそのメカニズムはいまだしっかりとは解明されていません。

コラーゲンペプチドが体内でのコラーゲン合成を高める可能性を示す実験はあるものの、試験管内でマウスの細胞を使ったものであったり、人での研究でも可能性が示されたのは関節でのコラーゲン合成についてだったりと、人の皮膚でのコラーゲン合成が促進されたとはっきり示す研究結果は出ていません。

皮膚でのコラーゲン合成はいまだ未知数であるものの、コラーゲンペプチドを4週間にわたって継続摂取することで皮膚の水分量が増えたといった、美肌に関連する研究結果もあるため、今後研究が進めばコラーゲンペプチドの肌への機能が見つかるかもしれません。

ただし現時点では

「コラーゲンが美肌につながるのか」
「どのくらいの量を、どのくらいの期間摂取すれば効果が出るのか」

といった具体的なことは何もわかっていないため、
いつもの食事以外からのコラーゲンをわざわざ摂取する意味はあまりないといえそうです。

もっとも、コラーゲンを摂取することでの体への害はほとんどないと考えられていないので、過度な期待をしないのであれば、コラーゲンを食事に取り入れても特に問題はありません。

美肌のために本当に気を付けるべきことは?

たんぱく質・ビタミンが取れるサンドイッチのセット

コラーゲンペプチドの新たな美肌効果は魅力的ですが、注目するのがコラーゲンだけでは不十分な可能性もあります。

たんぱく質は足りている?

皮膚の弾力を保つコラーゲンだけではなく、全身の細胞の主成分となっているのはたんぱく質です。

現代日本人の通常の食生活では不足することは考えにくいですが、肉や魚などの動物性食品をとらないような食事では、いくらコラーゲンをとっていてもタンパク質は不足してしまいます。

毎食、自分の手のひら1枚分程度のお肉やお魚、卵などを取り入れるようにするといいですね。

ビタミンCはコラーゲンの合成にかかわるビタミン

体内でコラーゲンを合成するときに必要になるのがビタミンCです。
コラーゲンのもととなるアミノ酸が体内にあったとしても、ビタミンCが不足した状態ではコラーゲンは十分にはつくられなくなってしまいます。

ビタミンCは果物や野菜に主に含まれます。野菜は生の状態で両手に1杯くらいの量が食べられると理想的です。

肌の健康には様々な要素が関係している

皮膚の状態の変化というのは、コラーゲンの減少だけによって起こるわけではありません。
皮脂の増減や乾燥、紫外線も肌の状態に変化をもたらす要素になりますし、たんぱく質やビタミンC以外の栄養素も肌の細胞の健康にかかわっています。

肌を健康に保つ効果をコラーゲンだけに頼るのは得策ではありません。
偏った食事を避け、保湿や紫外線対策で外的なダメージを防ぎ、十分に睡眠をとるといったような、毎日の心がけのひとつとして、期待しすぎない程度にコラーゲンを取り入れるのがちょうどいいのかもしれません。

参考文献

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:「健康食品」の安全性・有効性情報「コラーゲン」

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:「健康食品」の安全性・有効性情報「コラーゲンって本当に効果があるの?」

明治大学科学コミュニケーション研究所 疑似科学とされるものの科学性評定サイト:「コラーゲン」

君羅 好史、真野 博.コラーゲンペプチドの食品機能性.日本食生活学会誌,Vol.25 No.1(2014)

大原 浩樹, 伊藤 恭子, 飯田 博之, 松本 均.コラーゲンペプチド経口摂取による皮膚角層水分量の改善効果.日本食品科学工学会誌,56巻 3号(2009)

Effect of Prolyl-hydroxyproline (Pro-Hyp), a food-derived collagen peptide in human blood, on growth of fibroblasts from mouse skin.Shigemura Y, Iwai K, Morimatsu F, Iwamoto T, Mori T, Oda C, Taira T, Park EY, Nakamura Y, Sato K.J Agric Food Chem. 2009 Jan 28;57(2):444-9

吉田勉 監修:「わかりやすい食品機能栄養学」.三共出版,2010.