2019.06.14

頭痛を改善・悪化させる食べ物があるって本当?

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頭痛の女性

多くの人が悩まされている頭痛ですが、その原因はまだまだ分かっていないところが多いそうです。
そんな頭痛の話題の中でしばしば登場するのが、食べ物が頭痛の要因になるというものや、反対に改善に効くというもの。
実際にそのような食材はあるのか、どんな頭痛に効くのかを解説します。

食べ物が頭痛に関係する?

ネット上でも、特定の食べものによって頭痛が引き起こされたり、または改善されたりといった体験談は多く存在します。
よく登場するのはお酒やチーズ、カフェインなど。
しかし、なぜこれらが頭痛に影響するかという仕組みはあまり知られていないものが多数です。
食べ物が頭痛のどのような点に作用するのかの前に、まずは、頭痛の種類から確認していきましょう。

頭痛のしくみ

頭痛の種類は一つではなく、原因や症状によっていくつかに分類されます。

緊張型頭痛

日本人に最も多い頭痛で、成人の5人に1人がこの頭痛を持っているともいわれ、頭全体を締め付けるような痛みがあるのが特徴です。
原因は身体的・精神的ストレス血行不良といわれており、頭や首、肩の筋肉が緊張することで起こると考えられています。
首や肩の筋肉をほぐすマッサージや、血行を良くすることでよくなることが多いとされています。

片頭痛

緊張型頭痛に次いで多く、成人のうち8%ほどの人が片頭痛の症状を訴えているともいわれます。
症状は頭の片側がズキズキと脈打つように痛むのが特徴で、吐き気などを伴う場合もあるといわれています。
原因はいまだ分かっていない部分が多く、以前は頭の血管が拡張することで起こると考えられていました。
最近では、原因は血管ではなく、脳の神経の過剰な興奮と、それに伴う電気信号の抑制によって頭痛が起こっているとする考え方に変わりつつあるようです。
投薬治療のほか、食事を含む生活の見直しがある程度有効であると考えられています。

ほかの病気に伴う頭痛

くも膜下出血などの脳の血管の出血、髄膜炎などの感染症、脳腫瘍などが原因となって起こる頭痛もあります。
激しい頭痛が急に現れたり、手足のしびれや意識障害などを伴う場合はこのような重大な病気が原因となっている場合があります。
いつもと違う頭痛があらわれたときは、すぐに医療機関を受診しましょう。

これらの頭痛の中で、食事で症状の悪化や改善がみられるといわれているのは片頭痛です。
では、どのような食べ物が片頭痛に効果があるといわれているのでしょうか?

頭痛の改善に効果があるといわれる食べ物

コーヒー

コーヒー

片頭痛を改善できる食べ物としてよくあげられるものに、「コーヒー」があります。

先に述べたように、現在は別のメカニズムが主流となっているようですが、片頭痛の原因が脳の血管の拡張であると考えられていた時期がありました。
脳の血管の拡張で起こる頭痛に対して、血管を収縮させる機能を持つカフェインを含んだコーヒーが注目されたのです。

実際に、コーヒーを飲んで改善がみられたという意見も多く見つかりました。
血管の拡張と収縮が頭痛の原因ではなかったとしても、何らかのメカニズムで効果がある可能性は否定できないでしょう。
しかし、あまりコーヒーを多飲していると、飲むのをやめたときに頭痛が起こる事もあり、カフェイン依存のような状態ができてしまうこともあるといわれています。
カフェインの過剰摂取による健康障害も問題視されていますので、飲みすぎない程度に活用してみましょう。

頭痛を治療する現場でも、カフェインの摂取はあまり主流とは言えないようです。

マグネシウムとビタミンB2

カフェインのほかに、医療の現場で注目されている食品の成分として、マグネシウムビタミンB2があります。

マグネシウムは神経の興奮や抑制にかかわっているミネラルです。
片頭痛を訴える人の白血球マグネシウム濃度が低かったこと、マグネシウムの経口投与により片頭痛が軽減したという報告があります。

一方、片頭痛患者の中にはミトコンドリアの機能障害が原因となっているとする場合もあると考えられていて、この場合の片頭痛の予防にビタミンB2が有効であるとする報告もあります。

このように、サプリメントとしてマグネシウムやビタミンB2を投与した場合に、片頭痛の予防効果がみられたということもあり、日常的に摂取することで片頭痛の起こる頻度を下げることが期待できるといわれています。

摂取可能な量?

しかし、マグネシウムとビタミンB2については、どちらの成分もかなりの量を投与したうえでの結果であることが気になります。

研究で用いられたビタミンB2は1日400㎎と、通常食事から摂取する量のおよそ400倍にもなる量で、食事からの摂取はあまり現実的ではありません。
(成人女性で1.1~1.2㎎、成人男性で1.3~1.6㎎:日本人の食事摂取基準より、ビタミンB2の摂取推奨量

一方、マグネシウムは200~600㎎と、比較的普段の摂取量に近い値ですが、マグネシウムの取りすぎは下痢の原因になることが分かっています。
(成人女性で270~290㎎、成人男性で320~370㎎:日本人の食事摂取基準より、マグネシウムの摂取推奨量
サプリメント等の利用では1日あたり350㎎以内にとどめるように定められており、取り入れ方には注意が必要です。

どちらも摂取量や下痢などの影響を考えると、専門的知識のない一般の方が個人的に多量を摂取するのはおすすめできません。
食品の成分を治療の主体として考えるのではなく、医療機関を受診し、医師に相談のうえで、取り入れることも考える、というくらいのスタンスがいいでしょう。

頭痛を悪化させるといわれる食べ物

ワインとチーズ

反対に、頭痛を引き起こしたり悪化させたりする食品もあるといわれています。
代表的なものは赤ワインをはじめとしたアルコール類。
お酒に含まれるアルコールや、赤ワインに含まれるポリフェノールが血管を拡張させたり収縮させたりすることで頭痛を引き起こす誘因になります。
赤ワインのほか、チーズ加工肉スナック菓子コーヒーなど、様々なものが頭痛を引き起こす可能性があるといわれていますが、その作用には個人差が大きいといわれています。

頭痛の誘因になるといわれる食品

赤ワイン
チーズ
ベーコンなど加工肉
アスパルテーム 
チョコレート
スナック菓子
うま味調味料
カフェイン入り飲料

今までの経験で頭痛のきっかけになった覚えのある食べ物については避けることも必要です。
しかし一般的には頭痛の原因になるといわれている食品でも、自分の経験で特に関係ないと考えられるものに関してはさほど神経質になる必要はないといわれています。

頭痛の改善に効果的なのは?

慢性的につらい頭痛があるのであれば、まずは医療機関に相談するのがいいでしょう。
食べ物はあくまで日常生活でできる範囲の配慮に過ぎないので、その症状が深刻な場合、しっかりと治療やお薬の処方を受けることが必要です。

そのうえで、

・ストレスや疲労をためないように十分に睡眠時間をとり、規則正しい生活を送る
・頭痛の引き金になりうる食べ物を避ける

といった工夫をするのがいいですね。

参考文献

一般社団法人 日本頭痛学会:慢性頭痛の診療ガイドライン2013

一般社団法人 日本頭痛学会:大脳皮質拡延性抑制と片頭痛発生の連続性を説明する新しいパラダイム

武井 和夫,島津 邦男.特集 慢性頭痛:診断と治療の進歩トピックスII.片頭痛6.予防薬の使い方 日本内科学会雑誌 第90巻 第4号・平成13年4月10日

坂井 文彦.特集:内科-100年のあゆみ(神経)診療ガイドラインレビュー2.頭痛 慢性頭痛の治療ガイドライン(2002年版)-日本神経学会治療ガイドライン特別委員会 日本内科学会雑誌 創立100周年記念号 第91巻 第8号・平成14年8月10日