投稿日: 2019.04.19 | 最終更新日: 2023.08.04

頭痛や倦怠感の原因は貧血かも。対処するための食事のポイントを解説

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貧血で頭痛をおこす

なんだか最近疲れやすい、頭痛や立ちくらみなどの症状がある、といった人は、もしかしたら貧血かもしれません。
月経での出血がおおかったり、食事量が少ない女性は貧血になりやすく、日ごろからの貧血対策がとても重要。
貧血を予防・改善するための栄養素と食事のレシピを紹介します。

倦怠感や頭痛は貧血が原因かも

貧血の症状というと、どのようなものをイメージするでしょうか。

一般的に貧血というと、立っていた人が急に倒れたりするイメージがありますが、あれはどちらかというと低血圧によって脳の血液が足りなくなって起こるもの。
血液の異常で起こる貧血の症状とは区別する必要があります。

若い女性に多い鉄欠乏性貧血

貧血の原因となるものはいくつかありますが、若い女性に多いのは鉄欠乏性貧血と言われる鉄分の不足によるもの。

血液中の赤血球は全身に酸素を運ぶ役割を持っていますが、赤血球の主成分であるヘモグロビンを作るためには鉄分が必要です。

しかし食品に含まれる鉄分は吸収しにくく、ヘム鉄と呼ばれる吸収しやすい形でも15%ほど、非ヘム鉄という吸収しにくい形では2~5%しか吸収されません。
このことからも、鉄は不足しがちな栄養成分の一つと言えるでしょう。

貧血=全身の酸素不足

貧血の状態になると、体中に酸素を運ぶ働きをもつヘモグロビンの量が減ることで全身が酸欠になってしまい、様々な症状が現れます。

  • 全身倦怠感
  • 動悸・息切れ
  • 食欲不振
  • めまいや頭痛
  • 胸の痛み
  • 爪がもろくなる
  • 口角炎・舌炎

などの症状が起こるといわれています。
このような症状があまりにも多いときは医師の診断・治療を受けることをおすすめします。

女性が貧血になりやすい理由

女性は貧血になりやすいといいますが、それはなぜなのでしょうか。

まず、鉄欠乏性貧血の原因は3つに分けられます。

食事からの鉄分の摂取不足

赤血球の寿命は120日と言われ、そのつど赤血球に含まれる鉄を喪失します。
おおよそ、1日あたり1㎎の鉄を失っていると考えられています。
欠食・偏食・ダイエットなどによって、食事の中に含まれる鉄分の量が減ると、体が必要とする十分な量の鉄分が足りなくなってしまうため、貧血が起こりやすくなります。

月経での鉄分の損失増加

月経のある女性では、毎月の出血により鉄分を失います。
月経のある女性は1日あたり1.5㎎の鉄分を失っており、日本人の食事摂取基準2015年版では、鉄の低い吸収率も加味して成人女性では1日あたり10.5㎎の鉄分を摂取するべきとされています。(男性は7.0~7.5㎎)
月経の出血が多い月経過多の人は貧血になりやすいと言えるでしょう。
また、健康な状態の人は月経の出血では貧血の症状は起こりにくいのですが、慢性的な鉄欠乏状態、貧血予備軍の人では生理中の出血がきっかけで貧血の症状が引き起こされることがあります。
例外としては、消化管の腫瘍などを原因とした出血で貧血が引き起こされることもあります。

鉄分の需要の増加

妊娠期や授乳期などは、胎児の発育や母乳に含まれる分を補う必要があります。
成長期では体が大きくなる分血液も増えるため、鉄分が必要となります。

ダイエットや月経によって貧血になりやすくなる

これらの原因のうち、女性に起こりやすいのは

① 食事量が少ないことなどによって鉄の摂取量が少ない
② 月経によって定期的に血液を失う

この二つです。
若い女性では月経に加えてダイエットによる食事量の低下などが起こりやすいため、貧血、または貧血予備軍の人が多いと考えられています。

貧血を改善するための栄養素と食品

たんぱく質源となる食材

鉄欠乏性貧血を予防・改善するためには、ヘモグロビンの材料となる成分を摂取することが必要です。

鉄分

ヘモグロビンの材料となるミネラルです。若い女性にみられる鉄欠乏性貧血では、鉄分の不足によるものが大きな原因とされています。

煮干し・干しエビ・豚レバー・ごま・牛肉(赤身)・卵などに多く含まれます。

鉄分には比較的吸収率の良いヘム鉄(15%ほど)と吸収率の低い非ヘム鉄(2~5%)に分けられます。

肉や魚などに含まれる鉄分はヘム鉄、
卵や貝、植物性食品に含まれる鉄分は非ヘム鉄です。

吸収率から考えると、ヘム鉄を含んでいる肉や魚が効率的と言えそうですね。

タンパク質

鉄分とともにヘモグロビンの材料となります。
肉や魚、卵などの動物性食品、豆腐や納豆といった大豆製品が体内での利用効率の良いタンパク質を含んでいます。
また、肉や魚のたんぱく質は非ヘム鉄の吸収を助けるため、積極的にとりたい栄養素です。

ビタミンB6・葉酸・ビタミンB12

鉄欠乏性貧血と直接かかわるものではありませんが、いずれも赤血球などの細胞を作るのに必要なビタミンで、欠乏すると貧血を起こすことがあります。
ビタミンB6はにんにく・マグロ赤身・豚ヒレなどに多く含まれます。
葉酸を豊富に含むのは野菜類。ほうれん草・ブロッコリー・アスパラガスなどに多く含まれています。
ビタミンB12は植物性食品にはほとんど含まれていないため、植物性食品に偏った食事を続けている人は欠乏することがあります。
アサリなどの貝類・赤身の牛肉が多く含む食品です。

鉄分を中心に、十分な摂取を心がけましょう

意識してとるべき栄養素は主に鉄分ですが、その他にもいろいろな栄養素がかかわっているため、幅広い食品を取り入れるようにすることが大事です。

鉄分の吸収率を上げる効果的な組み合わせ方

鉄分の吸収率を上げる食材

鉄分の効果的な摂取には、組み合わせる栄養素も重要です。

ビタミンCで鉄分の吸収率アップ

先に述べた肉や魚のたんぱく質のほか、ビタミンCやクエン酸などの有機酸も鉄分の吸収率を上げてくれる成分です。
ビタミンCはパプリカ、ブロッコリーなど緑黄色野菜に多く、クエン酸などの有機酸は柑橘類やお酢などの酸味のあるものに多く含まれています。

食事中のコーヒーは控えめに

反対に、鉄分の吸収を妨げる食品成分もあります。

コーヒーなどに含まれるポリフェノールの一種であるタンニン、ほうれん草などに含まれるシュウ酸、加工食品に含まれるリン酸塩は非ヘム鉄と結合して鉄吸収を阻害する作用があります。
不溶性食物繊維は過剰摂取すると鉄分の排泄を高めてしまいますが、食物繊維に関しては摂取不足気味で過剰摂取の心配はあまりないので、減らすことを考える必要はないでしょう。

貧血にきく?鉄分補給できる食事のレシピ

ここまでのポイントをとりいれた貧血改善メニューを紹介します。
しっかり食べて、活力のある体を目指しましょう!

薄切り牛肉のビーフシチュー

ビーフシチュー

【材料】3人分

牛モモ肉薄切り 200g
薄力粉 小さじ2
玉ねぎ(くし切り) 1個(200g)
にんじん(乱切り) 1個(200g)
しめじ(小分けにする) 1パック(100g)
サラダ油 小さじ2(8g)
450ml
ビーフシチューのルー 1/2箱

※横スクロールで表全体の確認が可能です。

【作り方】

1. 牛モモ肉に薄力粉をまぶしておく。
2. 鍋かフライパンにサラダ油をしき、玉ねぎ、にんじん、しめじを炒める。
3. 玉ねぎがしんなりしたら牛モモ肉を加えて炒め、水を加えて沸騰させ、アクをとりながら弱めの中火で15分煮込む。
4. 具材が煮えたら一度火を止めてルーを割り入れて溶かす。
5. 再び火をつけて弱火でとろみがつくまで10分以上煮込む。

【栄養価】

1人分400kcal 鉄分2.1㎎ タンパク質15.1g

お肉は赤身のほうがより鉄分を多くとれます。
赤身で鉄分の多い牛モモ肉は、薄切り肉を使えば火の通りも早く固くなりにくいのでおすすめです。

パプリカの卵サラダグラタン

パプリカの卵サラダグラタン

【材料】2人分

パプリカ 1個(120g)
2個
少々(0.5g)
マヨネーズ 大さじ1(12g)
ドライバジル(あれば) 少々(3振り)
とろけるチーズ 20g
黒コショウ 少々(2振り)

※横スクロールで表全体の確認が可能です。

【作り方】

1. 鍋にお湯を沸かし、沸騰したら卵を入れて10分ゆで、冷水にとって冷ます。
2. パプリカは半分に切って種を取る。(ヘタは残すと見た目がよくこぼれにくい)
3. ゆで卵の殻をむき、荒く刻んで塩とマヨネーズとドライバジルを混ぜ合わせる。
4. パプリカの中に卵フィリングを詰め、チーズをのせる。
5. 天板にアルミホイルを敷いて4をのせ、10~15分チーズがこんがりするまで焼く。
6. 仕上げに黒こしょうを振る。

【栄養価】

1人分186kcal 鉄分1.5mg ビタミンC100mg

卵は鉄分を豊富に含む優秀な食品ですが、吸収率の悪い非ヘム鉄なのが惜しいところ。
パプリカに多く含まれるビタミンCを組み合わせることで、吸収率アップをねらいます。

まとめ

貧血を予防・改善するためには1回の食事を変えるだけではなかなか効果は表れません。
毎日の食事を穀類・肉・魚・野菜などから偏りなく、十分な量をとりいれることが一番の方法です。
さらに必要に応じて鉄分が強化された栄養機能食品などを活用するのも賢い手段と言えるでしょう。

栄養素としての鉄分と鉄分を多く含む食品についてより詳しく解説した記事はこちら

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参考文献

メディカルノート:「貧血について」

厚生労働省e-ヘルスネット:「貧血の予防には、まずは普段の食生活を見直そう」

東京都病院経営本部:「食事療法のすすめ方 貧血の食事」

厚生労働省「総合医療」情報発信サイト:「鉄」

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。