
季節の変わり目や、空気が乾燥する冬は風邪をひきやすい時期です。
のどが痛い、鼻水がでる…風邪をひいてしまった!という方。
なるべく早く治すためには水分補給や食事からのエネルギー補給が重要です。
コンビニで買える風邪の時にぴったりのメニュー、家にあるもので作れるやさしいメニューのレシピも紹介します。
Contents
風邪の定義と症状
風邪というのは鼻やノドなどの粘膜にウイルスが感染して炎症を起こしている状態をいいます。
風邪のひき始めにはくしゃみや鼻水、のどに違和感を覚えるといった症状があらわれます。
粘膜にウイルスが感染すると、その部分が炎症を起こすため、のどが痛んだり、たんが出たりします。
ウイルスが粘膜から体内に入り込むと、免疫細胞が反応して発熱が起こり、熱によって頭痛や筋肉痛が起こることもあります。
人によっては下痢などの消化器症状を起こすこともあります。
風邪を治すためには食事と休養
風邪を早く治したい!と思った時、市販の風邪薬や、医療機関で風邪薬をもらおうと考える人も多いのではないでしょうか。
実は、風邪を治す薬というものは存在しません。
市販や病院で処方される風邪薬は、症状を抑えるだけのもので根本的に治療を行うものではありません。
そのため、薬を飲んで症状がおさまったからと言って休まずに動き続けると、薬が切れたときに悪化しているといったことが起こりやすくなるのです。
風邪薬の役割は体力の温存
とはいえ、飲んで意味のないものかといえばそうではありません。
せき、くしゃみ、頭痛、倦怠感といった諸症状があるとその分体力を消費してしまいます。
薬によってそのような症状をおさえて体力を温存することで体調を早く回復させることが期待できます。
食事からのエネルギー補給
症状を抑えると同時に重要なのが栄養素の補給です。
栄養素を補給することによってウイルスと戦うためのエネルギーを補うことができます。
まったく食欲がないときや下痢を起こしているときは無理に食べる必要はありませんが、ある程度食欲があるのであれば食べるようにしたいですね。
休養の重要性
さらに、最も重要なのが休養です。
風邪のウイルスに感染しているときは、体が疲れていたり、弱っているときです。
そのような時に休まず体を動かしていては、より疲労がたまり、ウイルスを倒すことができなくなってしまいます。
体の疲れをとり、余計なエネルギーを消費しないように休むことが必要です。
早く風邪を治すための方法は…
つまり、風邪を治すための一番の方法は
・症状がつらいときは風邪薬によって症状をおさえて体力を温存しながら
・ウイルスと戦う免疫細胞が使うエネルギーを補給しつつ
・体がウイルスと戦うことに専念できるようしっかり休養をとる
ということに尽きるのです。
*急に高熱が出るなどインフルエンザが疑われるときは病院での受診をおすすめします。
風邪のときにとりたい栄養素・食べ物
風邪を治したいときに、効果のある栄養素や食べ物はどんなものでしょうか。
水分
熱が出ているときは汗のほかに体から蒸発していく水分が増えるため、いつも以上に水分補給が必要です。
汗をかいているときは単純に水を飲むよりも、適度に塩分や糖分を含んだスポーツドリンクがおすすめです。
利尿効果のあるカフェインの入ったコーヒーやアルコール類はかえって水分を排出してしまうので控えましょう!
エネルギー源
風邪をひいているときは体力を消耗するので、食欲があればエネルギー源となるものをとりたいところ。
おかゆやうどんで消化しやすい糖質を、たまごや豆腐を取り入れて免疫細胞などのもとになるタンパク質をとりましょう。
食欲がないときは、ゼリーやプリン、甘酒といった水分の多く飲み込みやすいものでもエネルギーを補給することができます。
エネルギーの産生を助けてくれるもの
補助的な成分として、ビタミンB1は糖質をエネルギーに変えるのに必要で、糖質をとるときに組み合わせるとより効果的です。
豚肉に多く含まれますが、風邪の時は消化能力が落ちているため、食べにくい場合も。
含有量では劣りますがお豆腐やきな粉が摂取しやすい食品と言えるでしょう。
消化を助けてくれるもの
クエン酸などの酸味のあるものは唾液の分泌を促し、消化吸収を良くしてくれるため、アクセントとして使うとよいでしょう。
おじやなどに梅干しを入れたり、酸味のあるゼリーを食べたりすると口の中からさっぱりできますね。
殺菌消炎効果のあるもの
緑茶のカテキンや大根おろしに含まれるアリルイソチオシアネートには殺菌作用があり、傷んだのどの粘膜からのさらなる感染を防いでくれます。
もし、食欲があるのであればこのような効果を持つ食品から食べられそうなものを選ぶのも良いですね。
風邪の時におすすめの食べ方
栄養素を摂取することに加えて、どのような形で食べるかということもポイントです。
温かいもの
悪寒などの症状があるときは特に、食べ物は温かいものをとるようにしましょう。
冷たい食事は胃腸に負担をかけるだけでなく、体を冷やす原因になります。
免疫細胞は37度以上で活性化するため、早く治すためには体の中から温めたいですね。
とはいえ、熱が上がりきって暑いとき、冷たいものがおいしく感じますよね。
1品や間食程度なら冷たいものでも問題ありませんが、冷たいものばかり食べることは避けましょう。
消化のいいもの
風邪をひいているときは体力が落ちていて消化能力が落ちていたり、場合によっては胃腸が弱っていたりします。
ごはんをやわらかく煮て「おかゆ」や「おじや」に、うどんもいつもよりよく煮てやわらかく仕上げましょう。
お豆腐や茶わん蒸しといったなめらかなものもおすすめです。
胃腸に負担をかけるものや刺激の強いものは避けましょう。
具体的には、消化吸収の負担が大きい脂っこいものや繊維質のもの、胃腸の粘膜の刺激となる香辛料はなるべく避けましょう。
コンビニでそろう風邪撃退メニュー
体調が悪く、とても台所に立つ気分ではない…というときに便利なのがコンビニの商品。
スポーツドリンクやプリン・ゼリーといったものはもちろんですが、その他にも、元気な時には気にもとめないところに、風邪にぴったりの食事があるかもしれません。
おかゆ
レトルトパウチに入ったものがよくみられる商品です。味も種類があり、お好みで選べるのもいいですね。
パウチから器に移して電子レンジで加熱すれば、火を使わずにすぐに食べられます。
煮込みうどん
チルド商品はレンジ調理、冷凍商品は容器ごと火にかけるだけでできるものが多く、手軽で栄養豊富です。
味付けが濃厚なものもあるため、なるべくさっぱりとしたものを選ぶとよいでしょう。
おでん
おでんが売っている時期なら、おかゆと一緒におかずとしておでんを食べるのもいいですね。
やわらかく煮込まれた大根や、はんぺんなどの練り物は消化に良くおすすめです。
こってり味のものや繊維質の具は避けましょう。
おにぎりだし茶漬け
顆粒だしが家にあれば、コンビニのおにぎりもアレンジ次第で食べやすくアレンジできます。
コンビニのおにぎりを包装から取り出してお茶碗に入れ、顆粒だし小さじ1/4と熱湯150mlをかけてほぐすだけ。
海苔が気になる人はお湯を注ぐ前にちぎってもいいですね。
おかゆに比べると消化しやすさはやや劣りますが、味のバリエーションも多く食べやすいので、お試しください。
家にあるもので作れる風邪撃退メニュー
少し台所に立って料理をすることができそうなら、家にあるものだけでできる食事で栄養補給をしましょう。
冷やごはんや冷凍ごはん、冷凍のうどん、たまご、お豆腐、少しの野菜くらいならあるのではないでしょうか。
いちばんシンプルな卵おじや
【材料】1人分
ごはん | 100g |
水 | 200ml |
顆粒だし | 小さじ1/3 |
めんつゆ | 小さじ1~2(5~10g) (お好みで調節) |
たまご | 1個 |
※横スクロールで表全体の確認が可能です。
【作り方】
1. 鍋に卵以外の材料をすべて入れて火にかける。
2. ぐつぐつと煮立ったら全体がなじんでもったりするまで煮込む。
3. 卵を溶いて回し入れ、やさしく混ぜて卵に火が通ったら完成。
【栄養価とコメント】
1人分約260kcal
盛り付けのときに梅干しを入れ、崩しながら食べるのも口がさっぱりしておすすめです。
顆粒だしを中華風に変えたり、鮭フレークなどを入れたりしてもいいですね。
同じ味付けでごはんではなく冷凍うどんを入れてもOKです。
家にあるもので、お好きな味付けで作ってみてください。
好きな野菜でたまごあんかけとうふ
【材料】1人分
豆腐 | 小パック1個(約130g) |
生姜(あれば) | ひとかけ(チューブなら3㎝) |
お好みの野菜 | ひとつかみ分くらい |
水 | 150ml |
顆粒だし | 小さじ1/4 |
しょうゆ | 大さじ1/2(8g) |
酒 | 大さじ1/2(8g) |
片栗粉 | 大さじ1/2(5g) |
水 | 大さじ1(15g) |
たまご | 1個 |
※横スクロールで表全体の確認が可能です。
【作り方】
1. 生姜は細切りに、野菜は食べやすい大きさに切る。(ニンジンなどの根菜の場合は薄く切ると火が通りやすい)とうふは1/4くらいに切る。
2. 鍋に水と顆粒だし、生姜、野菜を加えて火にかける。
3. 野菜が食べられるやわらかさになったら豆腐をいれ、酒と醤油を加えて5分ほど煮る。
4. 片栗粉を水で溶いたものを回し入れて軽く混ぜ、とろみをつける。
5. 卵を溶いて回し入れ、やさしく混ぜる。卵に火が通ったら完成。
【栄養価とコメント】
1人分約200~230kcal
おかゆだけでは飽きてしまった、またはボリュームが足りないという方にぴったりのやさしいおかずです。
にんじんや大根、きのこ類、キャベツやネギなど、お好みの野菜で作ってみてください。
ミツバなどの香りのある野菜を入れるとさわやかな味わいになります。
これだけでは糖質が少なくエネルギー(カロリー)が低いので、おかゆなどで糖質もとってくださいね。
まとめ
いかがだったでしょうか?
しっかり食べたら温かい服装で、なるべく体を休めましょう。
風邪をひくのは体が弱っている証拠です。いつも以上に体をいたわってあげてくださいね。
風邪で食事がとれないときの飲み物について詳しく解説した記事はこちら→風邪のとき、食欲がないならまずは飲み物から|管理栄養士執筆
一色 賢司, 徳岡 敬子.アリルイソチオシアネートによる食品の健全性確保 食品と微生物 JPn.J.Food Microbiol.,10(1),1-6,1993 大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 生理学研究所:「免疫をになう細胞「マクロファージ」が体温で活発になる仕組みを解明―過酸化水素によって温度センサーTRPM2がスイッチ・オンする分子メカニズム―」 |