投稿日: 2019.07.01 | 最終更新日: 2023.08.02

下痢の時の食事のポイントは?食べ物選びのコツ、脱水症状にも注意

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おなかをおさえる女性

なんだかおなかの調子が悪く、下痢っぽい…、というときもありますね。
食中毒などが疑われるときはすぐに医療機関へ相談する必要がありますが、そこまででもないというとき。
なるべくおなかをいたわって、調子を戻すための食事法を解説します。

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病院に行くべき下痢症状

下痢の原因となるものはいろいろありますが、まずは、すぐに病院に行くべきものについて。

  • 腹痛など下痢の症状が激しい
  • 血便が出る
  • 吐き気や嘔吐、発熱をしている
  • 口が異常に乾くなどの脱水症状がみられる
  • 何日か様子を見ているが症状がよくならない
  • 同じ食事をした人とほぼ同時に下痢の症状が出た

このような症状が出ているときは、食中毒など感染症のおそれがあります。
なるべく早く医療機関で受診することをおすすめします。

下痢の原因

下痢の原因は何でしょうか?
便の水分に影響を与えるのは主に小腸と大腸。これらの調子が悪いと下痢などの不調が起こりやすくなります。

直前の食事などで心当たりがある場合は、参考にしてみてくださいね。

腸管の動きが高まりすぎた

消化吸収の行程全体を通して、食べ物を動かして送り出す働きを持つのが胃や腸の「蠕動(ぜんどう)運動」。
消化管そのものが伸びたり縮んだりして食物を次の臓器へ送り出します。

暴飲暴食などにより腸管への刺激が強くなる、ストレスによって自律神経が乱れるなどの原因により腸の蠕動運動が高まり、食べ物の移動が早くなることがあります。
腸管を通過していく過程で水分が吸収されていきますが、通過スピードが速すぎると十分に水分を吸収することができません。そのため、水分が多い状態で排泄されてしまいます。
アルコールや香辛料などの刺激物も原因となることがあります。

対処法

便秘の時は腸を刺激しおなかの調子を整えてくれる食物繊維も、刺激に弱い状態では逆効果です。

腸に負担を与えないよう、やさしい味付けのものをゆっくり食べましょう。

腸管内の浸透圧(しんとうあつ)が高い

浸透圧とは、水分を引き寄せる力のこと。糖分や塩分は浸透圧を高める性質があります。
料理の場面において、砂糖漬けや塩漬けによって食材の水分が抜けてくるのはこの性質のためです。

胃腸の消化吸収能力が落ちて食物中の糖分を十分に吸収できなかった場合や、ヒトの腸では分解できない人工甘味料を多量に摂取することによって、便の浸透圧が高い場合があります。
便の浸透圧が高いと腸でうまく水分を引き出せず、水分を多く含んだ便のまま排泄されることがあります。
冷たいものの飲みすぎや食べすぎ、暴飲暴食なども消化吸収機能を低下させることにつながります。

対処法

濃い味のもの、低カロリー系甘味料の多すぎるものは控えましょう。

健康な状態では問題なく食べれるものでも、胃腸が弱っているときにはうまく処理できなくなってしまいます。

水分の吸収を妨げる過度の塩分・糖分・人工甘味料は控えめにするといいですね。

腸管内に水分が多い

腸管内の浸透圧が高いと腸管内の水分量は増えますが、それとは別に腸から分泌される水分量がいつもより多くなってしまうことによるものです。
腸の粘膜の異常、または細菌の毒素などの作用によって腸液の分泌が増加すると、排泄するまでに十分に水分を吸収できず、下痢となる場合があります。

下痢に伴う脱水症状に注意

スポーツドリンク

水分が吸収される前の便に含まれる水分の多くは体から分泌される「体液」です。
本来なら体に吸収される体液が外へ排出されてしまっているため、体は水分不足になりやすい状態です。

そのうえ、下痢によって失われる体液は汗に比べるとナトリウムやカリウムといったミネラルを多く含むのが特徴です。

下痢の症状が長く続くと水分とミネラルを失う脱水症状による不調も起こる可能性があります。

下痢の症状があった時には塩分を適度に含んだスポーツドリンクなどの補給を心がけましょう。

また、アルコールやカフェインを多く含んだ飲み物は、利尿作用により水分を排出してしまうので気を付けましょう。

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下痢の時の食事で気を付けたいこと

食事をとる女性

ウイルス感染や慢性の炎症などを除いた、一時的な下痢の場合には数日以内に症状が収まるのがほとんどといわれています。
とはいえ、その期間の対処方法によっては症状が長引く可能性も。
下痢を長引かせないために気を付けたいことは、

  • 腸管に負担を与えないこと
  • 脱水に注意すること
  • 腸内環境を整えること
  • 体を冷やさない食事にすること

が挙げられます。

腸管に負担を与えない

腸管に刺激が加わると腸の蠕動運動が高まり、下痢の症状を誘発してしまいます。
腸への刺激となる食品は避けるようにしましょう。
具体的には、次に詳しく解説します。

また、便秘の時は腹部をマッサージすることもありますが、下痢の場合では強い圧迫などは避けましょう。

繊維質のものは避ける

食物繊維の多い食品は、便秘の時には積極的にとりたいものですが、下痢の時は避けましょう。
食物繊維はヒトの消化管では消化されないため、腸管への刺激になります。
ごぼうやきのこなどの食物繊維の豊富な食べ物は控えめにしましょう。

油脂分の多いものは避ける

油脂は栄養素の中でも消化吸収に負担のかかる成分です。
そのため、弱った腸管には刺激になることも。
消化不良や下痢を起こしているときには油っぽいものは避けたほうがいいでしょう。

香辛料は避ける

油分と同様に、トウガラシなどの香辛料やお酢などといった刺激のあるものは腸を刺激してしまいます。
かんきつ類のような酸味のある果物もあまり食べないほうがいいものといえます。

なるべく薄味にする

濃い塩気も腸管にとっては刺激になります。
下痢の症状があるときは薄味の食事を心がけましょう。
だしをきかせた味付けにすると塩分が少なくてもおいしく食べやすくなります。

少しずつ食べる

早食いやドカ食いは大量の食品を消化管に流し込むことになり、胃腸の負担を増やすことにつながります。
食事はゆっくりを心がけ、食べ過ぎに気を付けましょう。

よく噛んで食べる

食べ物の消化吸収の第一段階は口で噛むことです。
口の中でよく噛んで食べ物を細かく砕き、唾液に含まれるアミラーゼをしっかり作用させることで胃や腸での消化吸収の助けができます。
胃や腸での消化吸収は自分の意志ではどうにもできませんが、口の中でよく噛むことは自分の意志で行うことのできる唯一の消化です。
早食いの防止にもなるので、ひとくち30回を目標に、よく噛んで食べるようにしてくださいね。

脱水に注意する

脱水症状を防ぐため、水分補給を心がけましょう。
普通の飲み物でもよいですが、下痢症状が強いときはスポーツドリンクや経口補水液がおすすめです。

腸内環境を整える

腸内細菌のバランスが崩れると、腸の動きが鈍くなって便秘になったり、反対に消化吸収が妨げられて下痢になったりします。
腸内の善玉菌を増やし、腸を健康な状態に整える乳酸菌を含んだヨーグルトなどの発酵食品を取り入れるのもおすすめです。
ただし、食べ過ぎてしまっては胃腸の負担に。適度な量で摂取しましょう。
食物繊維は便秘の時には効果的ですが、下痢の時は刺激になってしまうので避けたほうが安心です。

腸内環境を整える方法について詳しく解説した記事はこちら

体を冷やさない

体の冷えは消化管の機能を下げ、下痢の原因になります。
特におなか周りを冷やさないよう、服装や気温に気を付けましょう。
あたたかい飲み物を取り入れるのもおすすめ。
体が温まるとリラックスもでき、消化管の働きも整います。

また、火を通していない生の食品は消化吸収の負担が大きくなります。
また、胃腸が弱っている状態は感染症にもかかりやすく、生ものは避けたほうがいいでしょう。
体を冷やさないという点からも、しっかり加熱されたものを食べるのが望ましいといえます。

下痢止め薬について

食中毒や細菌感染が疑われる場合には使用をおすすめできません。
しかし、そうでない場合は、脱水や体力の消耗を防ぐ目的で使用する分には問題ないとされています。
症状が激しい場合や、下痢の期間が長い場合は病院に行って相談してみてください。

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下痢の時のおすすめレシピ

胃腸が弱っているときは、消化の良い食事を心がけるのが基本です。
油を使わない和食レシピは、胃腸にかかる負担が少なくておすすめです。

基本のたまごおじや

たまごおじや

【材料】1人分

ごはん 100g
200ml
顆粒和風だし 小さじ1/3
めんつゆ  小さじ1~2(5~10g)
(お好みで調節)
たまご 1個

※横スクロールで表全体の確認が可能です。

【作り方】

1. 鍋に卵以外の材料をすべて入れて火にかける。
2. ぐつぐつと煮立ったら全体がなじんでもったりするまで煮込む。
3. 卵を溶いて回し入れ、やさしく混ぜて卵に火が通ったら完成。

【栄養価】

1人分約260kcal

消化にいい食事といえばおじや!
体が弱っているときにも栄養素と水分をしっかりとれる基本のメニューです。

かに玉とうふあんかけうどん

かに玉とうふあんかけうどん

【材料】1人分

ゆでうどん 1玉(150g)
300ml
顆粒和風だし 小さじ1/2
長ねぎ 1/4本(50g)
かにかま 2本(40g)
絹豆腐 1/2パック(70g)
めんつゆ(3倍濃縮) 大さじ1.5(22g)
片栗粉 小さじ2(6g)
小さじ2(10g)
たまご 1個

※横スクロールで表全体の確認が可能です。

【作り方】

1. 長ねぎは斜め切りにする。かにかまは食べやすいサイズに裂き、絹豆腐は一口大に切る。
2. 鍋に水、和風だし、長ネギ、麺つゆを入れて煮る。
3. 長ねぎが柔らかく煮えたらかにかま、絹豆腐を加える。
4. 再び煮立ったら水で溶いた片栗粉を加えてとろみをつける。
5. とろみがついて煮立ったら溶き卵を回し入れ、やさしく混ぜる。
6. 茹でたうどんを器に盛り、あんかけつゆをかける。

【栄養価】

1人分409kcal

おじやよりももっとボリュームのあるものが食べたい人は、消化のいい食材を使ったうどんもおすすめです。
麺類は早食いしやすい食事なので、よく噛んで食べることを意識して食べてくださいね。

まとめ

繰り返しになりますが、食事の対処は症状を悪化させないための方法です。
症状が長引いたり悪化した場合は、医療機関に相談してみてくださいね。

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参考文献

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」

一般社団法人 日本臨床内科医会:「下痢の正しい対処法」

メディカルノート:「下痢」

教えて!「かくれ脱水」委員会:「下痢・嘔吐には脱水対策が必要」

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。