投稿日: 2019.04.20 | 最終更新日: 2024.04.04

ヨーグルトの健康効果とは?乳酸菌・ビフィズス菌の花粉症・脂質異常症への効果を解説

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ヨーグルトと乳酸菌・ビフィズス菌の健康効果

ヨーグルトは、スーパーやコンビニで簡単に手に入り、毎日の食生活に取り入れやすい食材です。
ヨーグルトや乳酸菌・ビフィズス菌の栄養効果といえば整腸作用が代表的ですが、近年では感染症予防や花粉症の症状改善などに効果があるのでは、と期待されています。

この記事では、ヨーグルトと乳酸菌・ビフィズス菌の健康効果について、特定保健用食品や機能性表示食品として販売されているものを中心に紹介します。

健康効果を得るために気をつけたいヨーグルトの食べ方についても紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。

ヨーグルトと乳酸菌・ビフィズス菌の関係

ヨーグルト

ヨーグルトは「牛乳や羊乳を、乳酸菌・ビフィズス菌の発酵により凝固させた食品」です。

牛乳の中に含まれるカゼインといわれる乳たんぱく質は、酸で固まる性質を持っています。
乳酸菌やビフィズス菌を牛乳に加えて発酵させると、牛乳の中に含まれる糖分を分解し、酸を作り出すことでカゼインが固まります。
この作用により、ヨーグルトは固まって特有のほのかな酸味が出てくるようになります。

乳酸菌・ビフィズス菌の健康機能

乳酸菌・ビフィズス菌

ヨーグルトには、乳酸菌やビフィズス菌など、さまざまな種類の菌が使用されています。

製品ごとに異なるこれらの菌には、それぞれ独自の特性があります。
以前はヨーグルトの乳酸菌は整腸作用が主な機能とされていましたが、最近では研究が進み、以下のような新たな健康効果を持つ乳酸菌株が注目されています。

  • 免疫機能強化
  • アレルギーの改善・予防
  • コレステロール値の低下
  • プリン体対策

ただし、ヨーグルトや乳酸菌・ビフィズス菌の健康効果はいまだ研究途上の分野が多く、宣伝されている効果が必ずしも得られるわけではありません。

「○○効果のある■■菌を使用したヨーグルト」といっても、その効果が確認された実験では、実際の商品よりも多くの菌が用いられていたり、実験が人ではなく動物や細胞を対象としていたりする場合があります。そのため、効果には個人差があり、その信頼度もさまざまです。

  • 特定保健用食品(トクホ)…効果について国が審議を行って許可したもの
  • 機能性表示食品…効果についての根拠が国に届出されているが個別確認はされていない
  • その他…効果について、国に届出や確認はされていない

このうち、特定保健用食品(トクホ)については個別に確認されているためにある程度の信頼ができるものといえます。
一方で、機能性表示食品やそれ以外の健康食品については、第三者のチェックがないため、食べる人が自主的に根拠を確認する必要があるものといえます。

トクホのヨーグルトの健康効果

トクホのヨーグルトの健康効果

ヨーグルトや乳酸菌・ビフィズス菌を取り入れるときに、「トクホ」として販売されている商品は比較的効果を期待できる食品ととらえることができます。

特定の食品がトクホかどうかをチェックするためには、「トクホマーク」と「トクホになった理由(許可表示)」をしっかり確認してみましょう。
トクホでは「実際の製品」を使って「ヒト」に対して「何に効果があるのか」を調べているので、トクホマークがあり、どんな効果があるのかを知る手掛かりになります。

特定保健用食品として販売されているヨーグルトや乳酸菌・ビフィズス菌関連の効果は、以下の二つです。

  • 整腸作用
  • 内臓脂肪を減らす作用

それぞれの内容と商品について詳しく解説します。

整腸作用

トクホマークのついているヨーグルトの大部分は「おなかの調子を整える」という機能で特定保健用食品と認められています。

腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌を減らす作用により腸内環境を整える作用があります。

効果の根拠となる実験の結果は商品によって異なるものの、以下のような効果が得られたようです。

  • 腸内フローラの改善
  • 排便数の増加
  • 便の形状の改善
  • 臭気の低減
  • 排便感覚の改善

内臓脂肪を減らす

限られた製品ではありますが、内臓脂肪の減少を助ける機能があるとしてトクホになっているものもあります。

食事とともに摂取すると脂肪の吸収を抑え、内臓脂肪を減らすのを助ける働きがあるとしてトクホになっています。

内臓脂肪減少作用は12週間の摂取で内臓脂肪面積-6㎠程度であり、劇的な変化とまでは言えないものの、肥満改善の後押しになる食品といえます。

研究途上の乳酸菌・ビフィズス菌の健康効果

乳酸菌・ビフィズス菌の健康効果

トクホになっているもの以外でも、ヨーグルトや乳酸菌・ビフィズス菌の健康効果についての研究は進められています。

代表的なものは、以下の4つの分野です。

  • 免疫機能の向上
  • 花粉症、アレルギー症状の改善・予防
  • 脂質異常症の改善
  • 尿酸値の改善

特定保健用食品ではないものの、一定の根拠を届け出ることで「機能性表示食品」として販売されているものもあります。

とはいえ、現時点では、特定保健用食品のように製品としての実験が行われていない以上、「食べて効果があるかどうか」は不明です。
今後研究が進み、しっかりとした結果が得られれば特定保健用食品などとして販売されるかもしれませんね。

それぞれの健康効果について詳しく解説します。

免疫機能の向上

ラブレ株、R-1乳酸菌、ビフィズス菌SP株など多数の乳酸菌・ビフィズス菌において、免疫機能を強化する作用が見つかっています。

病原菌が腸の粘膜に結合するのを防いだり、ヒトの持つ免疫細胞を活性化する作用により、感染症にかかりにくくする働きが期待されています。

ラブレ株については、予防接種の効果には及ばないものの、2か月間の継続摂取でインフルエンザウイルスの罹患率が下がったという報告もあります。

花粉症、アレルギー症状の改善・予防

LGG菌、L-55菌、BB536菌などの乳酸菌について、アレルギー症状を抑える働きが期待されています。

腸内で悪玉菌が優位になると、アレルギー症状のもととなる細胞の働きが高まり、アレルギーを起こしやすくなることがあります。
これらの乳酸菌はヒトの免疫に働きかけてアレルギー症状を抑えたり、腸管からアレルゲンが侵入するのを防いでアレルギーが発症しないように働くと考えられています。

LGG乳酸菌とTMC0356乳酸菌を含んだヨーグルトを10週間継続摂取することによって、花粉症の人で鼻詰まりの自覚症状が低下したとの報告もあります。

脂質異常症の改善

ガセリ菌SP株、クレモリス菌FC株などの乳酸菌では、コレステロール値の低下などの脂質異常症の改善が期待できる働きが見つかっています。

血中コレステロール値が上がると、動脈硬化や心筋梗塞といった疾病の原因となります。
これらの菌を摂取することで、コレステロールを多く含む胆汁と菌そのものが結合し、コレステロールの排泄を高める機能が注目されています。

ガセリ菌SP株を用いた実験では、軽度の高コレステロール血症の人に対して、11週間の継続摂取により血中のコレステロール値を10%程度低下させる働きがあったとする報告があります。

LDLコレステロールを下げる食事について詳しく解説した記事はこちら

尿酸値の改善

PA-3乳酸菌では、プリン体を含む食事後の尿酸値の上昇を抑制する効果が報告されています。

尿酸値は血液中の尿酸の濃度を示すもので、尿酸値が高いと痛風の原因になります。
プリン体は分解されて尿酸を生成する成分で、レバーや魚介類などに比較的多く含まれています。
プリン体を多く含む食品と合わせて摂取することで、尿酸値が上がるのを抑える作用が期待されています。

尿酸値を下げる食べ物や痛風予防のための食事について詳しく解説した記事はこちら

効果的なヨーグルトの食べ方

ヨーグルトの効果的な食べ方

さまざまな機能性を持った乳酸菌やビフィズス菌とこれらを使用したヨーグルトが注目されていますが、その効果を得るためには摂り方にも注意が必要です。

効果を得るために心掛けたいポイントを紹介します。

食べすぎに注意する

機能性ヨーグルトだけに限らず、体に良いとされているものでも「たくさん食べれば食べるほど良い」という事はありません。

普段の食事に加えてヨーグルトを多量に食べることは、摂取カロリーを増やして肥満の原因になることもあります。
また、食事の大半をヨーグルトにするような食事内容では、摂取栄養素が偏り、さまざまな不調の原因になることが考えられます。

トクホの商品の場合には、1日あたりの摂取目安量が記載されていますので、それを参考にしましょう。

記載がない場合でも、ヨーグルトの摂取は1日あたり100~200g程度までが適量です。
ヨーグルトの効果を期待しすぎて食事のバランスを崩すことは避けましょう。

毎日食べる

ヨーグルトの健康効果を得るためには、食べすぎない程度に毎日継続して摂取することが大切です。

ヨーグルトの機能性を調べた実験では、2週間~2か月以上の継続摂取をしたものが多くみられました。
一度にたくさんの量を食べるよりも、1日1~2食程度の量を毎日食べることによって、効果が表れた実験の条件により近づけることができます。

もちろん、ヨーグルトを食べるだけではなく、バランスの取れた食事や適度の運動も健康のためには必要です。
また、人によって菌種との相性がありますので、おなかの調子が崩れたり、合わない製品があったら避けることも重要です。

いつ食べるか、タイミングは自由

ヨーグルトをいつ食べるか、については基本的に決まりはありません。

朝でも夜でも、人それぞれ習慣化しやすいタイミングで取り入れるのがおすすめです。
一部の商品によっては、食事と一緒に摂取することで効果が得られるものもありますので、製品ごとの摂取方法などを確認すると安心です。

加熱しない

ヨーグルトは加熱しない状態で食べるようにしましょう。

ヨーグルトの菌は生き物なので、60度以上で死滅してしまいます。
特に生きて腸に届くことを売りにしている商品などは、生きた菌の効果を引き出すために、加熱せずに食べたほうがよいでしょう。

冷たいものでおなかを壊しやすい人は、ヨーグルトを常温に戻してから食べる方法をとることで冷えを防ぎましょう。
ヨーグルトは要冷蔵の食品ですので、食べる分だけ器に移して常温に戻すのがおすすめです。
常温に戻したヨーグルトは長期保存には適さないので、なるべく1回で食べきりましょう。

まとめ

ヨーグルトやその原料である乳酸菌、ビフィズス菌には、さまざまな健康効果が期待されているものがあります。
多くの製品で期待できるのは整腸作用です。
その他、菌種によって生活習慣病や感染症、アレルギー疾患などの改善に効果が期待されているようですが、その効果については不確定なものが多いようです。

一方、テレビ番組などのメディアでは「ヨーグルトを食べていれば薬はいらない」と思ってしまうような表現もみられることがあります。
しかし、ヨーグルトを含む食品の機能性はとても限定的なもので、治療に関しては医薬品には及びません。
一般的に食品の機能性は「効果がある人も、ない人もいる」というレベルのもので、医薬品ほど効果のあるものないと考えるのが妥当です。

現時点では薬や予防接種と同程度の効果がある「花粉症が改善するヨーグルト」「インフルエンザにかかりにくくなるヨーグルト」といえるものはありません。
インフルエンザ予防に関しても、花粉症に関しても、基本は医療機関での予防接種やアレルギーの治療がメインになります。
あくまで食べ物であり、食べ続けることで「もしかしたら、効果があるかも」という程度であることを覚えておきましょう。

健康効果を期待してヨーグルトを取り入れるときに気をつけたいポイントをまとめると、以下のようになります。

  • 薬の代わりにはならないので、医療機関での治療を優先する
  • 効果を期待するのなら毎日、継続して食べる
  • ヨーグルトだけでなくその他の食生活にも気を付ける
  • なるべく加熱調理はせずに食べる(砂糖を足したりするのは問題ありません)
  • 常温に戻すときは食べる分だけにする
  • 体に合わなければ食べるのをやめる

過度な期待は禁物ですが、食事を選ぶ要素のひとつとして、ヨーグルトの機能性に注目してみるといいですね。

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参考文献

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:「「健康食品」の安全性・有効性情報 特定保健用食品」

株式会社 明治:「乳酸菌PA-3試験結果」

カゴメ株式会社:「ラクトバチルス・ブレビス・KB290(通称:ラブレ菌)を含む飲料の継続摂取によるインフルエンザ罹患率の低減を確認~インフルエンザ流行期に栃木県那須塩原市の小学校15校にて大規模調査を実施~」

タカナシ乳業株式会社:「LGG乳酸菌効果① 花粉シーズンと乳酸菌」

雪印メグミルク株式会社:「恵 ガセリ菌SP株ヨーグルト」

梶本 修身,平田 澤,青江誠一郎,高橋 丈生,鈴木 豊,田中 博.境界域及び軽度高コレステロール血症に対しLactobacillus gasseri(ガセリ菌SP株)を含有する発酵乳は血清コレステロール値を低下させる Japanese Journal of Lactic Acid Bacteria Vol.13, No. 2(2002)

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。