投稿日: 2019.04.20 | 最終更新日: 2024.02.21

【医師監修】むくみ解消に役立つ食べ物・飲み物7選。予防対策にいい生活習慣のポイントも解説

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むくみ

脚や顔に起こりやすい「むくみ」では、だるさを感じたり、見た目が膨張したようになったりと、早めに解消したいですよね。

むくみの原因には食事や生活習慣、身体組成やホルモンバランスの変化など、さまざまな要素が関係しています。

この記事では、むくみを解消する方法をお探しの方に向けて、むくみの原因となる食事や生活習慣上の問題点と、それぞれの原因の解消に役立つ栄養素を含む食べ物・飲み物の実例を紹介します。

むくみ解消のためにおすすめのレシピや、むくみの解消・予防に役立つ食事以外のセルフケア方法についても解説しますので、ぜひ参考にしてくださいね。

むくみとは?

むくみとは

むくみとは、体の組織の中、細胞と細胞の間に余分な水分がたまってしまった状態を指します。

通常、食事などによって消化管から吸収された水分は、血管を通っています。
血液は水分を必要とする組織に水分を渡し、各組織で余分になった水分や老廃物を回収し、主に腎臓を通って尿として排出しています。
また、リンパ管を通るリンパ液は、血液が回収しきれなかった水分や老廃物などを回収し、血管に戻す役割を持っています。

この時に、何らかの原因により各組織で余った水が血液やリンパ液に回収されないと、その水分が細胞の間にたまってしまい、その周辺が膨張して「むくみ」が起こるのです。

むくみの起こりやすい部位には、顔、手、脚が挙げられます。

むくみが起こると、以下のような自覚症状を感じることがあります。

  • 足が重くだるさを感じる
  • ふくらはぎに靴下の跡がつく
  • 普段は履ける靴がきつく感じる
  • 足がひと回り太くなる
  • 指輪が入りにくくなる
  • まぶたや顔の輪郭が膨張したようになる
  • 体重の増加

だるさなどの不快感があるほかに、体重が増えたり見た目が膨張して見えたりするため、ダイエット中の方や美容に気をつけたい方にとっては避けたいものといえます。

むくみの原因となる食事や生活習慣の問題点

むくみの原因となる食事や生活習慣の問題点

むくみが起きる原因には食事や生活習慣、体のホルモンバランスなどが関係しており、具体的には以下のような要因が挙げられます。

  • 塩分の摂り過ぎ
  • アルコールの摂り過ぎ
  • 運動不足・冷え
  • 貧血や女性ホルモンの作用
  • むくみの関連する病気

それぞれのむくみが起こる原因と仕組みについて解説します。

塩分の摂り過ぎ

食事から塩分(食塩、ナトリウム)を摂り過ぎると、体に余分な水分がたまり、むくみを起こすことがあります。

体には血液内の塩分(ナトリウム)濃度を一定にしようとする働きがあります。
食事の塩分が多いと、血液内の塩分濃度を一定に保つために多量の水分を取り込むため、血圧が上がります。
血圧(血管内の圧力)が高いと各組織の水分が回収されにくくなってしまい、結果としてむくみの原因になります。

塩分の多い食べ物や味の濃い食事をとった翌日にむくみを感じたという方も少なくないのではないでしょうか。

塩分の過剰摂取からのむくみでは、塩分の摂り過ぎの是正や塩分の排出を促すことが大切です。

アルコールの摂り過ぎ

お酒などからのアルコール摂取が多くなりすぎると、塩分摂取と同様にむくみの原因となります。

お酒を飲むと血液中のアルコール濃度が上がりますが、体は血中アルコール濃度を下げようと消化管から血液に水分を取り込もうとして血圧が上がるため、むくみが起こりやすくなります。

ただし、時間の経過によってアルコールを代謝して排出するために水分を消費するため、むくみの後は脱水症状を起こしやすくなります。

お酒を飲みすぎて翌日むくみを感じた経験がある人は、水分を控えることは避けましょう。

アルコールによるむくみの場合には、アルコールを代謝することが第一になるため、十分な量の水分を取ることが大切です。

運動不足・冷え

運動不足や冷えによって血液の流れやリンパ液の流れが悪いと余分な水分や老廃物を回収できず、むくみの原因となります。

冷えによるむくみには血液の循環が関係しています。
全身に血液を送るポンプの役割を持っているのは心臓ですが、足などの下半身は心臓から遠く、位置も下にあるため、足から心臓に戻る血液の流れが滞りやすい特徴があります。

このときに体が冷えると、体は最低限の体温を維持するため、血管を収縮させてしまいます。
そうすると手足に十分な血液が届かなくなり、その結果、回収されるべき水分と老廃物がたまってむくみが起こってしまうのです。

また、運動不足によってむくみが起こりやすいのは、リンパ管が心臓のようなポンプを持たないためです。
リンパ液はリンパ管の近くの筋肉が動くことで流れることができますが、筋肉の運動が少ないとリンパ液が流されにくくなってしまいます。

むくみに悩む方は男性よりも女性に多い傾向がありますが、これは筋肉量の違いによるもの。
男性と比較して筋肉量が少ない女性は、リンパ液を動かすポンプ機能がもともと弱い状態です。
そのため、長い時間同じ姿勢でいると筋肉の動きがさらに少なくなるため、むくみやすくなってしまうのです。

冷えや運動不足によるむくみには、体を温める食事や生活習慣を心がけること、筋肉を動かす機会を意識して増やすことが大切です。

貧血や女性ホルモンの作用

貧血や生理周期等による女性ホルモンの変化など、女性に起こりやすい体の変化がむくみの原因になることもあります。

貧血に限らず、血液の中のたんぱく質が減ったり、水分が増えたりすると、血管が水分を引き込む力が弱くなってしまい、むくみが起こりやすくなります。
貧血ぎみの人は血液中のたんぱく質が少なく、水分の割合が増えてしまっているため、水分を血管にうまく取り込めず、むくみの原因となります。

月経のある女性では、出血のある生理中は貧血になりやすい状態になっているため、これらが原因のむくみも起こりやすくなっています。

また、月経のある女性や妊娠前後では、女性ホルモンの分泌量の変化により、むくみを起こしやすくなることがあります。

生理前の時期、妊娠中(特に妊娠後期・臨月)ではプロゲステロンというホルモンの分泌量が増加します。
このプロゲステロンは水分と塩分を体にため込みやすくするはたらきがあるため、この時期はむくみの起こりやすくなる時期といえます。

また、産後の女性においては、出産時に多量の血液を失う影響で貧血と同様にむくみを起こしやすくなります。

生理周期におけるホルモンバランスの変化は女性の生体リズムにおいてはとても重要なものであるため、生理前のむくみなどに対してはホルモンの増減を変えようとするよりも、体を温めるようにしたりマッサージを行ったりするなどの対症療法のような改善方法がおすすめです。

食品に含まれる成分では大豆イソフラボンが生理前の症状を軽減させたという研究報告もありますが、女性のホルモンバランスと身体症状の関係はまだわかっていないことも多いのが現状です。
ホルモンバランスの変化による体調不良があまりにもつらいのであれば、婦人科等での受診と治療が優先されます。

病気が影響している可能性も

ここまで紹介した、・塩分の摂り過ぎ・アルコールの摂り過ぎ・運動不足や冷え・貧血や女性ホルモンの作用といった原因のほかに、なんらかの病気が原因となってむくみが出ている場合もあります。

むくみが症状として起こる事がある臓器には、以下のようなものが挙げられます。

  • 心臓
  • 血管
  • 腎臓
  • 肝臓

あまりにも症状が重かったり、または工夫をしても改善されなかったりする場合は医療機関での受診をおすすめします。

むくみ解消に役立つ栄養素

むくみ解消に役立つ栄養素

むくみは塩分やアルコールのとりすぎ、たんぱく質不足など、食事に関連して起こる場合も少なくありません。
このような、むくみの原因になる栄養素や食品成分とは反対に、むくみ解消に効果的な栄養素も存在しています。
具体的には、以下の4つが代表的です。

  • 水分
  • カリウム
  • カフェイン
  • たんぱく質

それぞれについて詳しく解説します。

塩分の排出・アルコールの代謝に必要な水分

適度な水分補給は塩分やアルコールの取りすぎによるむくみの解消に役立ちます。

塩分の取りすぎが原因の場合、塩分(ナトリウム)は尿から排出されることから、水分を十分にとって尿量を増やすと、むくみの原因となるナトリウムと余分な水分の排出が促されます。
また、アルコールの取りすぎが原因の場合には、アルコールの代謝のために水分が必要となりますので、十分な水分補給はアルコールの代謝を助けます。

むくみの解消のために水分補給を避けることがありますが、水分摂取の制限はむくみの解消には逆効果になるため適度な水分補給を心がけましょう。

塩分を排出するカリウム

カリウムはナトリウムを排出する働きがあることから、カリウムも塩分(ナトリウム)の摂り過ぎが原因のむくみの解消に役立つ栄養素といえます。

カリウムとはミネラルに属する必須栄養素のひとつで、現代の日本人はカリウムに対してナトリウムの摂取量が多く、塩分と水分をため込みやすい体になっていると考えられます。

塩分がむくみの原因となっている場合には、塩分をとりすぎないことが第一ですが、塩分をとりすぎないようにすることに加えてカリウムを多く含む海藻類や大豆製品、ほうれん草やアボカドなどを積極的に取り入れることで塩分の排出を助けてくれます。
カリウムを多く含む食べ物とともに水分をしっかりとり、尿からのナトリウム排出を促す方法は、比較的即効性が期待できるむくみ解消の手段といえそうです。

適量のカフェイン

飲み物等に含まれるカフェインは、適量範囲であればむくみの解消に役立つ食品成分のひとつといえます。

カフェインには利尿効果があり、水分とともに摂取することで尿量を増やして塩分の排出を促します。
カフェインを含むコーヒーやお茶などの飲み物を摂ることも、比較的即効性が期待できるむくみ解消法のひとつといえます。

一方、カフェインのとりすぎでは中枢神経系・循環器系・消化器系に悪影響をきたす場合があるため、過剰摂取は避ける必要があります。

カフェインによる影響の受けやすさは個人によって異なりますが、健康に影響のない摂取量については成人の場合1日400㎎までとする国が多くなっています。
(乳幼児、妊婦、授乳婦はさらに少ない量が適量とされています。)

濃いコーヒーや栄養ドリンク、サプリメントの場合にはカフェイン濃度が高いため、むくみ解消の目的では避けたほうが無難です。

筋肉不足や貧血改善にたんぱく質

たんぱく質は筋肉や血液中のたんぱく質の原料となる栄養素です。

そのため、食事の量が少なすぎたり、内容が極端に偏っていたりしてたんぱく質の摂取量が不足すると、筋量の低下や貧血の原因となります。

たんぱく質は筋肉不足や貧血が原因となるむくみの解消に対して即効性が期待できるものはありませんが、たんぱく質を含む食べ物を意識して食事に取り入れることで栄養バランスを改善すると、筋量の低下や貧血の改善に役立ちます。

このとき、筋量を増やすためには運動やトレーニングの併用が必要となります。
また、貧血に対しては、赤血球の材料である鉄分を併せて取ることが大切です。

むくみ解消に役立つ食べ物・飲み物ランキング7選

ここまでに紹介した、むくみの解消に作用する栄養素や食品成分を含み、むくみの解消に役立つ食べ物・飲み物の具体例を7つ紹介いたします。

むくみ解消に対して即効性が期待できるかについても解説しますので、ぜひ参考にしてくださいね。

水・白湯

むくみの原因となるナトリウムの排出やアルコールの代謝を促すには、水が最適です。

水道水やミネラルウォーターのような純粋な「水」そのもの以外にも、糖質・塩分・アルコール分などを含まない以下のような飲み物は水とほぼ同じものとして考えることができます。

  • 水・白湯
  • 炭酸水(無糖)
  • 麦茶
  • ルイボスティー

塩分の取りすぎやお酒の飲みすぎによるむくみの場合には、まず水分補給を心がけましょう。
尿量を増やしてナトリウムの排出を促したり、アルコールの代謝をスムーズにするため、最も即効性の期待できる方法といえます。

冷えによるむくみが考えらる場合には、冷たいものではなく温かいものを取るようにするとよいでしょう。

果物類

果物類

果物類は塩分の取り過ぎが原因のむくみの解消のために摂取したい食品のひとつです。

果物類はカリウムを多く含むことに加え、生で食べる機会が多くカリウムの損失が少ないこと、食べる際に塩気を必要としないことから、カリウムを効果的に摂取することができます。
また、生の果物類は70~90%を水分が占めるため、水分補給にも有効な食品です。

■カリウムの多い果物類(100gあたり)

食品名 カリウム含有量(100gあたり)
アボカド 590㎎
バナナ 360㎎
メロン 350㎎
キウイフルーツ(緑・黄) 300㎎

むくみ解消のためには、生のものを選び、ドライフルーツやシロップ漬けなどの加工品は避けるのがおすすめです。

野菜類

野菜類

野菜類も果物類と並んで、塩分の取りすぎによるむくみの解消に役立つ食品といえます。

野菜類は果物類と同様に水分とカリウムを多く含み、余分なナトリウムを体外に排出する働きを持ちます。

■カリウムの多い野菜類(生、100gあたり)

食品名 カリウム含有量(100gあたり)
ほうれんそう 690㎎
芽キャベツ 610㎎
えだまめ 590㎎
モロヘイヤ 530㎎
にら 510㎎
小松菜 500㎎
リーフレタス 490㎎
水菜 480㎎
ブロッコリー 460㎎
れんこん 440㎎
かぼちゃ 430㎎

味付けの塩分はなるべく控えめにすることで、野菜に含まれるカリウムを効果的に摂取できます。
野菜ジュース、トマトジュースなどを取り入れる場合には、食塩が添加されておらず、糖分も少なめのものを選ぶとよいでしょう。

適量のコーヒー、お茶類

適量のコーヒー、お茶類

コーヒーやお茶など、カフェインを含む飲み物類は利尿作用により尿量を増やしてナトリウムの排出を促す作用があるため、むくみの解消に役立つ飲み物といえます。

■コーヒー・お茶類に含まれるカフェイン量

食品名 カフェイン量(100mlあたり)
緑茶(玉露) 160㎎
コーヒー 60㎎
紅茶 30㎎
緑茶(煎茶) 20㎎
ウーロン茶 20㎎

※水に対する茶葉や豆の分量、浸出方法によっても異なる

むくみ解消の観点からは、カフェイン濃度が低めの飲み物を取ることで、たっぷりの水分も同時に取れるのでおすすめです。
カフェイン濃度の高いエスプレッソコーヒー、エナジードリンク、眠気覚ましドリンク、カフェイン錠剤などは水分量が少ないことに加えてカフェインの過剰摂取につながりやすいため避けたほうが良いでしょう。

冷えによるむくみが考えられる場合には、水と同様、温かいものを選ぶとさらに良いでしょう。

芋類

芋類

いも類も、ナトリウムを排出するカリウムを多く含む食品のひとつです。
むくみ解消に対する即効性は期待しにくいですが、食事からのカリウム摂取量を増やすのに役立つ食材のひとつといえます。

■カリウムの多いいも類(生、100gあたり)

食品名 カリウム含有量(100gあたり)
さといも 640㎎
やまといも 590㎎
さつまいも 480㎎
ながいも 430㎎
じゃがいも 420㎎

いも類は野菜や果物に比べると水分量が少なく、摂取カロリーに影響しやすいため、食事の栄養バランスに考慮しながら取り入れるのがおすすめです。

豆類

豆類

大豆製品を中心とした豆類もカリウムを比較的多く含む食品です。
野菜類や果物類と比較すると乾燥品が多く水分が少ないため、即効性は期待しにくい食品ですが、日常の食事からのカリウム摂取量を増やすのに効果的です。
たっぷりの水分とともに取り入れることを意識するとよいでしょう。

■カリウムの多い豆類(100gあたり)

食品名 カリウム含有量(100gあたり)
大豆ミート(粒状大豆たんぱく) 2400㎎
煎り大豆(節分豆) 2000㎎
きなこ 2000㎎
おから(パウダー状) 1300㎎
蒸し大豆 810㎎
ひきわり納豆 700㎎
糸引き納豆 690㎎
ゆであずき 430㎎
おから(生) 350㎎

豆類の食品はいも類と同様に、でんぷん質やたんぱく質などのエネルギー源となる成分が多く摂取カロリーに影響しやすいため、栄養バランスに注意しながら取り入れるようにしましょう。

肉・魚・卵・乳製品などたんぱく質食品

肉・魚・卵・乳製品などたんぱく質食品

肉類、魚類、卵類、牛乳・乳製品はタンパク質の摂取源となる食品であり、少食や偏食でたんぱく質が不足して起こっている、筋力の低下や貧血を原因とするむくみに対して効果的です。

摂取カロリーを抑えつつたんぱく質を摂りたい場合には、以下のような脂肪分の少ない部位がおすすめです。

  • 鶏肉…ささみ、胸肉(皮を取り除く)
  • 豚肉、牛肉…ヒレ肉、もも肉
  • 乳製品…低脂肪乳

また、貧血に対しては鉄分の摂取もポイントです。
赤色の強い肉ほど鉄分を多く含む傾向がありますので、貧血がある場合には積極的に選ぶとよいでしょう。

  • 牛肉…ヒレ肉、もも肉、レバー
  • 豚肉…レバー
  • 鶏肉…レバー

これらの食品は食べてすぐ効果が表れるものではありませんので、じっくりと取り組むことが大切です。
筋力低下の場合は運動や筋力トレーニングを併用して筋肉を増やしていくことでむくみの改善やむくみにくい体になることが期待できます。

むくみ予防のためのポイント

むくみ予防のためのポイント

むくみを起こしにくい体づくりには、食事が大切なポイントとなります。
具体的に気をつけたい食生活上のポイントには、以下の3つが挙げられます。

  • 塩分控えめを意識する
  • アルコールは適量に留める
  • 栄養バランスのとれた食事を意識する

むくみ予防のための食事の選び方、食べ方のポイントを紹介します。

塩分控えめを意識する

塩分の取りすぎによるむくみを予防するためには、「塩分控えめ」を意識することが大切です。
塩分を含む調味料を多く使ったものや、塩漬けの加工品、インスタント食品などはとりすぎないように意識しましょう。

むくみ予防の観点とは異なりますが、健康な体を維持するための食塩の摂取量は成人男性で7.5g、成人女性で6.5gとされています。

コンビニやスーパーのお弁当や総菜、加工食品では食塩含有量が記載されていることが多いため、コンビニやスーパーを利用する際には1食の食塩量が2~2.5gに収まる(または、近づける)ように意識してみましょう。

自分で料理をする場合には、塩分を含む調味料の使用量を少なめにしたり、減塩調味料の活用も効果的です。
カツオや昆布などのだしや、酸味や香りのある香味野菜や香辛料を組み合わせることで、塩分が控えめでもおいしく食べやすくなります。

さらに対策を取るとすれば、塩分の強いものを控えるとともに、野菜や果物といった水分とカリウムを含む食品を組み合わせましょう。

アルコールは適量に留める

アルコールのとりすぎはむくみの直接的な原因となりますので、飲酒量は控えめにするのが良いでしょう。

また、お酒を飲むときは血中のアルコール濃度が高くなりすぎない飲み方を意識しましょう。
具体的には、あまりアルコール濃度が高くないものを選び、ゆっくりしたペースで飲み進め、総量をほどほどに抑える…といった工夫である一定のむくみ予防効果は得られるのではないでしょうか。

このとき、お酒と一緒にお水(チェイサー)を飲むというのも、体内でアルコールを薄めることになりますので有効な方法です。
また、お酒のおつまみは高塩分のものも多いため、併せて気をつけたいポイントです。

栄養バランスのとれた食事を意識する

むくみを起こしにくい体づくりのためには、食事全体のバランスを意識することも重要です。

病気ではないのに貧血や筋量の低下が起こってむくみの症状がみられる場合、食事から十分な栄養素(むくみに関連するものではたんぱく質や鉄分)が摂取できていないことが考えられます。
極端な食事制限やダイエットは避け、さまざまな種類の食品を偏りなく食べるようにしてみましょう。

具体的には、以下の5種類をそろえた食事内容にすると栄養バランスが取れたものになりやすいといえます。

  • 主食(ごはん、パン、麺類など)
  • 主菜(肉、魚、卵、大豆製品などのおかず)
  • 副菜(野菜、海藻、きのこのおかず)
  • 牛乳、乳製品
  • 果物

このほか、貧血を改善する食べ物については別記事で詳しく解説しています。

むくみ解消に役立つおすすめレシピを紹介

ここからは、むくみ解消に役立つ食材を取り入れたメニューのレシピを紹介します。

  • 塩分の取りすぎによるむくみの解消・予防に着目した減塩レシピ
  • 冷えや血行不良によるむくみの解消・予防に着目した体を温めるレシピ

ご自分の状態に合わせて、より効果が期待できそうなものを取り入れてみてくださいね。

【減塩レシピ】ほうれん草と鶏肉のカレー炒め

ほうれん草と鶏肉のカレー炒め

【材料】2人分

  • 鶏むね肉(皮なし)…1枚(約250g)
  • すりおろし生姜…小さじ1/2(3g)(チューブの場合2㎝くらい)
  • すりおろしにんにく…小さじ1/4(1g)(チューブの場合1㎝くらい)
  • 砂糖…小さじ1(3g)
  • 塩…ひとつまみ(1g)
  • 料理酒または白ワイン…大さじ1(15g)
  • ほうれん草 …1袋(200g)
  • オリーブオイル…小さじ1(4g)
  • カレー粉…小さじ1(2g)
  • しょうゆ…小さじ1(6g)
  • 片栗粉…小さじ1(3g)
  • 水…大さじ1(15g)

【作り方】

  1. 鶏むね肉は一口大のそぎ切りにし、すりおろし生姜、すりおろしにんにく、砂糖、塩、酒をもみ込み15分おく。
  2. 鍋に湯を沸かし、ほうれん草を茎からゆでて冷水にとり、よく絞って5㎝の長さに切る。
  3. フライパンにオリーブオイルを熱し、鶏肉を炒める。
  4. 鶏肉に火がほぼ通ったらほうれん草を加えて炒め、全体に油が回ったら調味料をすべて加え、全体にからんでとろみがついたら出来上がり。

【栄養価】1人分

  • カロリー…212kcal
  • 塩分相当量…1.1g
  • カリウム…990㎎

カリウムを豊富に含むほうれん草を使い、生姜・にんにく・カレー粉を使うことで塩分は控えめに仕上げました。
ほうれん草はえぐみを抜くために下茹でしますが、ゆですぎるとカリウムが流れ出ていってしまうので、あまり長くゆでないようにしてください。
食べるときは水分補給もしっかりしましょう!

【体を温めるレシピ】手作り生姜ホットドリンク

手作り生姜ホットドリンク

【材料】1人分

  • すりおろし生姜…小さじ1/2(3g)(チューブの場合2㎝くらい)
  • はちみつ…大さじ1(20g)
  • レモンやゆずの果汁…大さじ1(15g)
  • お湯…200ml

【作り方】

  1. マグカップにおろししょうがとはちみつ、果汁を加えて混ぜる。
  2. お湯を加えてよく溶いてできあがり。

【栄養価】1人分

  • カロリー…66kcal

温感を刺激する生姜と柑橘類を手軽なホットドリンクにしました。
チューブのおろししょうがでも作れますが、生の生姜をすりおろすほうが香りや辛味が強く出ます。
防カビ剤を使用していない国産の柑橘類が手に入ったときは、皮ごと輪切りにしたスライスを浮かべても香りがよく、おすすめです。
もっと簡単に作りたい場合は、はちみつと果汁をゆずジャムやレモンジャム30~40gに変えてもOKです。

むくみ解消に役立つ食事以外の生活習慣のポイント

むくみ解消に役立つ食事以外の生活習慣のポイント

食事によって体内の水分・ナトリウム・アルコールの代謝を改善するのに加えて、食事以外にもむくみの改善に効果的な習慣があります。

具体的には、以下のようなセルフケアが挙げられます。

  • リンパ液の流れを生み出すための適度な運動
  • マッサージやストレッチを取り入れる
  • 体を温めて血行を良くする

食事だけでなく毎日の生活習慣全体を見直し、むくみにくい体をつくりたいですね。

適度な運動

冷えや運動不足でむくみが起こっている場合、ふくらはぎなどの筋肉の動きが少ないことが原因となっていることが考えられるため、むくみの起こりやすい足を中心に、筋肉を意識して動かしましょう。

  • 歩行、ウォーキング
  • 階段の上り下り
  • 自転車
  • かかと上げ下げ
  • ジョギング
  • 縄跳び

などが挙げられます。
運動を行い、ふくらはぎの筋肉が動くことによってリンパの流れが促されるので、むくみ解消に対して比較的即効性が期待できる方法であり、かつ筋肉量を増やしてむくみの予防にもつながるといえます。

日ごろ運動をしていないという人は負荷が少なく無理なく続けられそうなものから始めてみましょう。

マッサージやストレッチ

生理中や妊娠中など、運動が積極的に行えない場合にも取り入れられておすすめなのがマッサージやストレッチです。

ふくらはぎなど、むくんでいる部位に対してマッサージやストレッチを行うことで筋肉を刺激すると、運動と同様にリンパの流れを促してむくみの解消につながります。
こちらも運動と同様、比較的即効性がある方法といえます。

むくみ予防の観点では、長時間同じ姿勢のままでいることを避け、定期的にストレッチを行うなど、こまめに取り組むのがおすすめです。

もちろん、運動ができるという人は運動とストレッチ・マッサージを併用するのもおすすめです。
妊娠中の方のストレッチは無理をせず、不安な場合は主治医などに相談しながら取り組むようにしましょう。

体を温める

体を外側から温める方法も、血液の流れが良くなるようサポートするものであり、運動やストレッチ・マッサージを行うのが難しい場合やリラックスしたいときに行うのにおすすめの方法です。

体が冷えると血流が悪くなり、むくみの一因となりますので、体を温めて血管を拡張し、体の隅々まで血液がいきわたるようにするとよいでしょう。

  • 重ね着をする
  • あたたかい飲み物を飲む
  • 湯船につかる(足湯なども含む)

…などの方法で手軽に体を温めることができます。

運動やマッサージ、ストレッチと比較すると即効性には欠けますが、穏やかに働きかける方法として選択肢のひとつとなりそうです。

予防の観点では、体を冷やさないようにすること、特に足首周辺はふくらはぎにも近いため重点的に防寒を行うことが挙げられます。

まとめ

むくみはさまざまな要因から起こる事がありますが、その原因が何らかの病気の場合には原疾患の治療が優先されますので、症状が重い場合には医療機関に相談するようにしましょう。

そうではない場合には、以下のような要因が考えられます。

  • 塩分の取りすぎ
  • アルコールのとりすぎ
  • 極端な食事バランスの乱れ
  • 運動不足、冷え

これらが原因となるむくみの解消には、水分、カリウム、カフェイン、たんぱく質などを含む以下の食品がおすすめです。

  • 果物類
  • 野菜類
  • 適量のコーヒー、お茶類
  • 芋類
  • 豆類
  • 肉・魚・卵・乳製品などたんぱく質食品

これらの摂取に加えて、減塩、適度な運動、マッサージ、ストレッチ、体を温めることなどを組み合わせることで、より効果的にむくみを解消することができます。

自分の体の状態と相談しながら、むくみの解消に取り組んでみてくださいね。

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参考文献

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一般財団法人 北海道薬剤師会:「貧血、特に鉄欠乏性貧血における生体の順応性」

鷹股 亮.体液調節と女性ホルモン 日生気誌54(2):57-64(2017)

石渡尚子・上杉宰世・上原万里子:月経前症候群に及ぼす大豆イソフラボンの影響.大豆たん白質研究 Vol. 6 135-139(2003)

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

内閣府 食品安全委員会:「食品中のカフェインについてのファクトシート」

Linda K. Massey, Tracy A. Berg, The effect of dietary caffeine on urinary excretion of calcium, magnesium, phosphorus, sodium, potassium, chloride and zinc in healthy males, Nutrition Research, Volume 5, Issue 11, 1985, Pages 1281-1284

監修医師

医院名 NOBUヘルシーライフ内科クリニック
院長名 藤原 信治
資格 ・医学博士
・日本内科学会認定 総合内科専門医
・日本糖尿病協会認定 療養専門医・指導医
・日本腎臓病学会認定 腎臓指導医
・日本透析医学会認定 透析専門医・指導医
・日本循環器学会認定 循環器専門医
・厚生労働省認定 難病指定医
平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。