
足は朝にはすっきりしていても、夕方になるとむくんで靴がきつい!
見た目にも太くなってしまう上、足全体がだるくて重い…
反対に、飲み会の翌日は顔がむくんでフェイスラインがパッとしない…と、つらい思いをしている女性は多いのではないでしょうか。
むくみの原因は体内の水分と塩分がうまく調節されていないこと。運動不足も大きな要因です。
マッサージだけでなく、毎日の「食事」からむくみを予防・改善する方法もご紹介します。
むくみの症状
多くの女性が持つ悩みである、「むくみ」。
人によって個人差はありますが、以下のような症状がむくみの症状です。
・夕方になると足が重い
・靴下の跡がくっきりついてしまう
・朝は簡単にはけた靴が夕方になるときつくなる
・夕方になると足のラインがひとまわり大きくなってしまう
・飲み会の翌日に顔のラインやまぶたが膨張したようになる
では、なぜこのような症状が出るのでしょうか。
体の中でのメカニズムと原因を見ていきましょう。
むくみのメカニズム・原因
むくみ=余分な水分
むくみの正体は、体の組織の中、細胞と細胞の間にたまってしまった水分です。
通常、食事などによって消化管から吸収された水分は、血管を通っています。
血液は水分を必要とする組織に水分を渡し、各組織で余分になった水分や老廃物を回収し、主に腎臓を通って尿として排出しています。
また、リンパ管を通るリンパ液は、血液が回収しきれなかった水分や老廃物などを回収し、血管に戻す役割を持っています。
この時に、何らかの原因により各組織で余った水が血液やリンパ液に回収されないと、その水分が細胞の間にたまってしまい、その周辺が膨張して「むくみ」が起こるのです。
このように各組織で余った水が回収されない原因は4つに分けられます。
冷えや運動不足で血液やリンパ液の流れが悪い
血液の流れやリンパ液の流れが悪いと余分な水分や老廃物を回収できず、むくみの原因となります。
全身に血液を送るポンプの役割を持っているのは心臓ですが、足などの下半身は心臓から遠く、位置も下にあるため、足から心臓に戻る血液の流れが滞りやすい特徴があります。
体が冷えると、体は最低限の体温を維持するため、血管を収縮させてしまいます。
そうすると手足に十分な血液が届かなくなります。
その結果、回収されるべき水分と老廃物がたまってむくみが起こってしまうのです。
また、リンパ管は心臓のようなポンプを持ちません。
リンパ液はリンパ管の近くの筋肉が動くことで流れることができますが、筋肉の運動が少ないとリンパ液が流されにくくなってしまいます。
男性と比較して筋肉量が少ない女性は、リンパ液を動かすポンプ機能がもともと弱い状態です。
そのため、長い時間同じ姿勢でいると筋肉の動きがさらに少なくなるため、むくみやすくなってしまうのです。
貧血により血液中のたんぱく質が減って水分が増える
血液の中のたんぱく質が減ったり、水分が増えたりすると、血管が水分を引き込む力が弱くなってしまい、むくみが起こりやすくなります。
貧血ぎみの人は血液中のたんぱく質が少なくなっているため、水分の割合が増えてしまっています。
そのため、水分を血管にうまく取り込めず、むくみの原因となります。
月経のある女性では貧血になりやすい状態になっているため、これらが原因のむくみも起こりやすくなっています。
塩分やアルコールのとりすぎ・カリウムの不足
体には血液内の塩分(ナトリウム)濃度を一定にしようとする働きがあります。
食事の塩分が多いと、血液内の塩分濃度を一定に保つために多量の水分を取り込むため、血圧が上がります。
血圧(血管内の圧力)が高いと各組織の水分が回収されにくくなってしまい、むくみの原因になります。
反対に、カリウムはナトリウムを排出する働きがあります。
ナトリウムの摂取量に対してカリウムの摂取量が少ないと、ナトリウムを排出することができずにむくみが起こりやすくなります。
現代の日本人はカリウムに対してナトリウムの摂取量が多く、塩分と水分をため込みやすい体になっていると考えられます。
また、お酒を飲むと血液中のアルコール濃度を下げようと、消化管から血液に水分を取り込もうとして血圧が上がるため、むくみが起こりやすくなります。
ただし、時間の経過によってアルコールを代謝して排出するために水分を消費するため、今度は脱水症状を起こしやすくなります。
女性ホルモンの作用
排卵前の時期はエストロゲンというホルモンの分泌が増加し、生理前の時期はプロゲステロンというホルモンの分泌が増加する時期です。
このプロゲステロンは水分と塩分を体にため込みやすくするはたらきがあるため、この時期はむくみの起こりやすくなる時期といえます。
反対に生理後はエストロゲンというホルモンの分泌が増加し、体内の水分を血液中に引き戻す働きがあるため、むくみが解消されやすくなります。
病気の影響の可能性も
そのほか、別の病気が原因となってむくみが出ている場合もあります。
あまりにも症状が重かったり、または工夫をしても改善されない場合は医療機関での受診をおすすめします。
むくみを改善するには
これらの原因をひとつひとつ見直していき、むくみを原因から改善していきましょう!
血液やリンパ液の流れが悪い場合
冷えや筋肉の動きが少ないことが原因となっているので、なるべく足を中心に体を動かすようにする、リンパマッサージなどを行って血液やリンパ液の流れを促すことで対処できます。
また、食事では温かいものや体を温める効果のあるもの、血行をよくするものを意識してとるようにするとよいでしょう。
貧血により血液中のたんぱく質が減って水分が増えている場合
鉄分やタンパク質を豊富に含む食事をとるようにして貧血を改善することでむくみの改善につながります。
貧血を改善する食べ物については別記事で詳しく解説しています。
塩分やアルコールのとりすぎ・カリウムの不足の場合
塩分を控えめにするとともに、カリウムの摂取量を増やすようにしてみましょう。
また、お酒を飲むときは血中のアルコール濃度が高くなりすぎないようにしましょう。
あまりアルコール濃度が高くないものを、ゆっくりしたペースでほどほどの量に抑えることである一定の効果は得られるのではないでしょうか。
お酒と一緒にお水を飲むというのも、体内でアルコールを薄めることになりますので有効な方法です。
女性ホルモンの作用の場合
生理周期におけるホルモンバランスの変化は女性の生体リズムにおいてはとても重要なものです。
そのため、生理前のむくみなどに対してはホルモンの増減を変えようとするよりも、体を温めるようにしたりマッサージを行ったりするなどの対症療法のような改善方法がおすすめです。
大豆イソフラボンが生理前の症状を軽減させたという研究報告もありますが、女性のホルモンバランスと身体症状の関係はまだわかっていないことも多いのが現状です。
ホルモンバランスの変化による体調不良があまりにもつらいのであれば、婦人科等での受診と治療が優先されます。
むくみを改善する食べ物
では、このような効果を持つ食べ物はどんなものがあるのでしょうか?
血液の流れを改善するもの
冷えが原因となって血行が悪くなり、むくみを引き起こしている場合には、体を温めて血管を拡張し、体の隅々まで血液がいきわたるようにするとよいでしょう。
あたたかい飲み物を飲むことで手軽に体を温めることができます。
また、ミカンやゆずなどの柑橘類に含まれているヘスペリジンには血管を拡張する効果があるという研究報告があります。
運動ほどは効果がないかもしれませんが、飲み物を選ぶときの参考にしてくださいね。
貧血を解消し血液中のたんぱく質の量を改善するもの
貧血によって血液中のたんぱく質が減少してむくみを引き起こす可能性がある場合には、その改善が必要です。
たんぱく質と鉄分を豊富に含むレバーや牛肉の赤身などを食事に取り入れることで、徐々にではありますが貧血の改善が期待できます。
塩分の排出を助けるもの
塩分がむくみの原因となっている場合には、塩分をとりすぎないことが第一です。
塩分を控えめにすることに加えてカリウムを多く含む海藻類や大豆製品、ほうれん草やアボカドなどを積極的に取り入れることで塩分の排出を助けてくれます。
効果的な組み合わせ
血行不良によるむくみ改善を考えると、血行を改善する効果のあるものは、温かい料理にすることでより効果が得られやすくなると考えられます。
ドリンクや汁物、とろみのついたあんかけのように仕上げても、冷めにくく体の温度を上げてくれます。
塩分の過剰摂取によって水分が体にたまっている場合は、塩分の強いものを控えるとともに、水分とカリウムを含む食品を組み合わせましょう。
カツオや昆布などのだしや、酸味や香りのある香味野菜や香辛料を組み合わせることで、塩分が控えめでもおいしく食べやすくなります。
むくみ改善に役立つレシピ
ここまで紹介した内容を踏まえて、むくみ改善に役立つレシピを紹介します。
自分のタイプに合わせて選んでみてくださいね。
血行不良からくるむくみに、手作り生姜ホットドリンク
【材料】1人分
すりおろし生姜 | 小さじ1/2(3g) (チューブの場合2㎝くらい) |
はちみつ | 大さじ1(20g) |
レモンやゆずの果汁 | 大さじ1(15g) |
お湯 | 200ml |
※横スクロールで表全体の確認が可能です。
【作り方】
1. マグカップにおろししょうがとはちみつ、果汁を加えて混ぜる。
2. お湯を加えてよく溶いてできあがり。
【栄養価】1人分66kcal
血行を促進する柑橘類と生姜を手軽なホットドリンクにしました。
チューブのおろししょうがでも作れますが、生の生姜をすりおろすほうが香りや辛味が強く出ます。
防カビ剤を使用していない国産の柑橘類が手に入ったときは、皮ごと輪切りにしたスライスを浮かべても香りがよく、おすすめです。
もっと簡単に作りたい場合は、はちみつと果汁をゆずジャムやレモンジャム30~40gに変えてもOKです。
減塩メニュー、ほうれん草と鶏肉のカレー炒め
【材料】2人分
鶏むね肉(皮なし) | 1枚(約250g) |
すりおろし生姜 | 小さじ1/2(3g) (チューブの場合2㎝くらい) |
すりおろしにんにく | 小さじ1/4(1g) (チューブの場合1㎝くらい) |
砂糖 | 小さじ1(3g) |
塩 | ひとつまみ(1g) |
料理酒または白ワイン | 大さじ1(15g) |
ほうれん草 | 1袋(200g) |
オリーブオイル | 小さじ1(4g) |
カレー粉 | 小さじ1(2g) |
しょうゆ | 小さじ1(6g) |
片栗粉 | 小さじ1(3g) |
水 | 大さじ1(15g) |
※横スクロールで表全体の確認が可能です。
【作り方】
1. 鶏むね肉は一口大のそぎ切りにし、すりおろし生姜、すりおろしにんにく、砂糖、塩、酒をもみ込み15分おく。
2. 鍋に湯を沸かし、ほうれん草を茎からゆでて冷水にとり、よく絞って5㎝の長さに切る。
3. フライパンにオリーブオイルを熱し、鶏肉を炒める。
4. 鶏肉に火がほぼ通ったらほうれん草を加えて炒め、全体に油が回ったら調味料をすべて加え、全体にからんでとろみがついたら出来上がり。
【栄養価】
1人分212kcal 塩分相当量1.1g カリウム990㎎
カリウムを豊富に含むほうれん草を使い、生姜・にんにく・カレー粉を使うことで塩分は控えめに仕上げました。食べるときは水分補給もしっかりしましょう!
ほうれん草はえぐみを抜くために下茹でしますが、ゆですぎるとカリウムが流れ出ていってしまうので、あまり長くゆでないようにしてください。
食事以外の改善法
食事によって体内の水分の代謝を改善するのに加え、体を動かすこともむくみ改善には重要です。
リンパ液の流れを生み出すための適度な運動やマッサージを取り入れたり、血行を良くするためにゆっくり入浴したりなど、生活習慣全体を見直し、体をいたわってあげてくださいね。
参考文献 一般財団法人 北海道薬剤師会:「貧血、特に鉄欠乏性貧血における生体の順応性」 鷹股 亮.体液調節と女性ホルモン 日生気誌54(2):57-64(2017) 石渡尚子・上杉宰世・上原万里子:月経前症候群に及ぼす大豆イソフラボンの影響.大豆たん白質研究 Vol. 6 135-139(2003) 宅見央子,中村弘康,釜阪 寛,米谷 俊,灘本知憲,寺尾純二,栗木 隆.糖転移ヘスペリジンの血流改善作用 応用糖質科学 第1巻 第2号186―193(2011) |