2020.07.10

スイカの栄養とは?熱中症予防にいいって本当?|管理栄養士執筆

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スイカ

夏においしい果物の「スイカ」。
おいしい果物ということ以外にも、熱中症予防やむくみ解消に効果的ともいわれます。
スイカは熱中症対策やむくみ改善に効くのでしょうか?
スイカに含まれる栄養素から考えてみましょう。

スイカにはどんな栄養がある?

栄養成分データ

スイカにはどのような栄養素が含まれているのでしょうか?
ひときれで食べられる量を200gと仮定して、栄養価を見てみましょう。

スイカ
(赤肉種)
食事摂取基準2020年版
充足率(18-69歳女性)
エネルギー 74kcal
水分 179.2g
たんぱく質 1.2g
脂質 0.2g
炭水化物 19.0g
 食物繊維 0.6g 3.3%
カリウム 240㎎ 9.2%
ビタミンA当量 140㎍ 20~21.5%
ビタミンC 20㎎ 20%
*ひときれ(可食部200g)あたり
文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書より作成
主成分は水分と炭水化物

スイカはそのほとんどが水分で、1割弱を炭水化物(糖類)が占めています。
たんぱく質や脂質、食物繊維はほとんど含まれていません。

赤色はカロテノイド、体内でビタミンAになってはたらく

スイカの果肉の鮮やかな赤色はリコピンβ-カロテンなどのカロテノイド色素によるもの。

スイカはβ-カロテンが豊富で、緑黄色野菜に匹敵する量が含まれています。
(緑黄色野菜は100gあたりβ-カロテンが600㎍以上)

β-カロテンは体内で必須栄養素であるビタミンAに変換され、視覚や味覚、免疫などの状態を健康に保ちます。

カリウムとビタミンCは多いほうとは言えない

一般的に果物はカリウムやビタミンCの供給源となる食材ですが、スイカに関しては、果物の中ではさほど多いとは言えないようです。

スイカは熱中症対策に効く?

スイカと熱中症

熱中症対策にはスイカがいい、という話はいろいろなところで耳にするものです。

ミネラルが豊富に含まれていてスポーツドリンクのように水分補給に最適、とも言われます。

熱い時期にさっぱりおいしいスイカで熱中症対策ができるならぴったり、といえそうですが、どうでしょうか?
栄養成分から考えてみましょう。

熱中症対策で気をつけるべきポイント

熱中症による体調不良の大きな要因は「脱水症状」「ミネラル不足」「過度の体温上昇」です。

熱中症のメカニズム

そのため、熱中症対策としては
「水分補給」
「ミネラル補給」
「体温を上げない」
ということが重要になってきます。

このうち、水分とミネラルの補給については、飲み物・食べ物で対処することになります。
(体温上昇対策については、冷たい食べ物を食べるといったことも含まれますが、服装や空調なども大きな要因であるため、ここでは省きます)

水分とミネラルのバランス

厚生労働省では、(労働者の熱中症対策として)「作業場所のWBGT値が基準値を超える場合*)には、少なくとも0.1~0.2%の食塩水(に相当する)、ナトリウム40~80㎎/100mlのスポーツドリンクまたは経口補水液等を、20~30分ごとにカップ1~2杯程度を摂取することが望ましい」としています。

*)WBGT値:湿球黒球温度。暑さ指数ともいう。気温だけでなく、湿度、輻射熱も考慮されている。
WBGT値で28度以上(気温としてはおおよそ31度以上)から厳重警戒レベルとなり、活発な活動をしなくても熱中症になる危険性があるとされています。

熱中症を含む脱水時の水分とミネラルの補給に適した飲み物といえば「経口補水液」。
複数の食品メーカーで製造販売されていますが、その成分はおおむね似た内容となっています。

脱水予防・ミネラル補給といえば、の経口補水液とスイカの成分を比較してみよう

一般に販売されている経口補水液2種と、スイカの成分を比べてみましょう。

スイカ 経口補水液A 経口補水液B
ナトリウム 1㎎ 115㎎ 80㎎
カリウム 120㎎ 78㎎ 78㎎
炭水化物(ブドウ糖) 9.5g(1.9g) 2.5g(1.8g) 1.8g(記載なし)
*100g(スイカ)または100ml(経口補水液)あたり
経口補水液と比較するとナトリウムがすくなめ

全く同じ内容とはいえませんが、スイカと経口補水液とを比較すると、カリウムと炭水化物は含まれる、という点は共通しています。
スイカの糖質は9.5gと多めですが、ブドウ糖だけの量を見るとスイカは経口補水液Aと同じくらい含まれているようです。

また、経口補水液2種の間でも、ナトリウムの量にはやや幅がありますが、スイカにはナトリウムはほとんど含まれていないことが分かります。

厚生労働省の熱中症対策でもナトリウムの濃度について言及があったところを考えると、ナトリウムはもう少し欲しいところです。

ナトリウムを含むものといえばやはり「食塩」。

昔ながらの「スイカに塩をふる」という食べ方は熱中症対策にもよさそうです。
スイカ100gに対して0.2gの塩を振ると、厚生労働省の基準に当てはまる100g当たり80㎎程度になるようです。

小さじ1の塩はおよそ5g、ひとつまみ(=指3本でつまんだ状態)は1g前後、少々(指2本でつまんだ状態)は0.5g前後といわれます。
200g程度のスイカひときれに塩少々、くらいがちょうどよさそうですね。

体を冷やす効果について

「体を冷やす食材」ともいわれるスイカですが、実際に体温を下げる特別な効果はありません。

ただし、スイカに限らず単純に冷たい食べ物はたくさん食べれば体を内側から冷やしてしまう、ということはあります。
スイカも冷たく冷やして食べることがほとんどですので、食べる際には注意が必要。

冷たい食べ物ばかりを食べていると胃腸に負担がかかり、夏バテの一因にもなります。

夏バテで胃腸のはたらきが落ちていると、食事の栄養素をうまく消化吸収できず、下痢を引き起こすこともあります。

下痢になると吸収しきれなかった水分を排出してしまい脱水症状の原因にもなりますので、スイカだけではなく冷たい食べ物に関しては、いくら食べやすくとも量と頻度には気をつけたいところです。

スイカはむくみ解消にも効く?

スイカ

スイカを食べると血流促進?利尿作用?

スイカには利尿作用があり、体にたまった余分な水分を排出する働きがある、そのためむくみ解消に効果がある、といわれています。

シトルリンといわれる成分がかかわっているといわれますが、実際のところはどうでしょうか?

シトルリンのはたらき?

シトルリンはスイカをはじめとしたウリ科の植物に多く含まれるアミノ酸の一種です。

ウリ科の中でも特にスイカに多く含まれるため、「シトルリン=スイカ」と考える人も少なくありません。

シトルリンは必須栄養素には含まれませんが、ヒトの体内でも、体内でできたアンモニアを尿素に変えるための代謝回路にかかわっています。

とはいえ、シトルリンを食品からとった場合に利尿作用があるか、むくみが解消されるか、というとその効果ははっきりとは認められていないので、むくみ解消目的にシトルリン、というのは期待外れの結果につながるかもしれません。

水分の多い食材を食べたことによる利尿作用かも

シトルリンとしては、はっきりとした効果があるとは言えませんが、「スイカ」として考えると、スイカは水分をたっぷり含んだ食材のひとつです。

ひときれ200gのスイカはあっという間に食べることができてしまいますが、水分でいえばコップ1杯程度を飲んだ場合と同じことになります。

水分をたっぷりとった後では尿量が多くなることは予想しやすいのではないでしょうか。

スイカを食べる量によってはコップ何杯分もの水分を摂取することにもなるので、それによって利尿効果がある、と感じられるかもしれません。

また、ナトリウムの摂取過剰でむくみが起こっている場合には、カリウムが含まれたスイカを食べることでナトリウムの排出が促されるので、むくみ解消につながる、ということはあるかもしれません。(あくまで理論上の話です)

夏場のおいしい水分補給に

スイカは夏場に意識して取りたい水分とカリウムを糖分と一緒に取れることができる食材のひとつのようです。

よく汗をかいた後なら、塩を少し足すのも脱水予防に効果的といえますね。

ただし冷たいものは胃腸に負担をかけるので、量と頻度には気をつけて、おいしく取り入れるのがよさそうです。

参考文献

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」

厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書

渡辺 慶一, 斎藤 忠雄, 広田 才之, 高橋 文次郎. スイカ果肉の色調とカロチノイド色素について 園芸学会雑誌. (J.Japan.Soc.Hort.Sci.)56(1): 45-50.1987

環境省:「熱中症予防情報サイト 暑さ指数(WBGT)とは?」

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:「健康食品」の安全性・有効性情報(シトルリンについて)

林 登志雄. シトルリンの代謝と薬効 化学と生物. 46(7): 460-464. 2008

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。