2022.06.21

1日に必要な水分量は?水を飲む重要性と水分補給のタイミング

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水は人間の体の6割を占める物質であり、健康の維持のためには毎日適量の水分補給が必要です。

水分補給は1日にどのくらいの量が必要なのでしょうか?
水分補給の重要性と、そのタイミング、水分補給に適した飲み物について解説します。

厚生労働省が推奨する1日に必要な水分量

厚生労働省では、「「健康のため水を飲もう」推進運動」を通じて、適切なタイミングで適量の水分補給をする習慣作りのための運動を行っており、1日に必要な水分量とその内訳についても紹介しています。

1日に排出される水分量

人は水分を尿、便、汗、呼吸を通じて排出しています。
日常的な運動量などでも異なりますが、一般的な生活を送る大人の場合、その内訳は

  • 尿や便…1.6リットル
  • 呼吸や汗…0.9リットル

とされています。

1日あたり合計2.5リットルの水分を失うことから、体内の水分量を維持するためには、体内で合成される水分と食事や飲み水などから合計2.5リットルの水分の摂取が必要とされています。

飲み水以外から摂取できる水分量

1日に必要な水分量のうち、一部は意識せずに摂取しているものがあります。

人の体の中では様々な物質の代謝が行われており、その副産物として合成される水分と、飲み物を除く食事に含まれている水分です。
これらはそれぞれ

  • 体内で作られる水分…0.3リットル
  • 食事に含まれる水分…1.0リットル

と推定されており、これらを除いた水分量が飲み物から意識的に摂取する必要がある水分量といえます。

飲み水から摂取すべき水分量

1日に排出される水分量は2.5リットル、体内で合成されたり、食事から摂取したりできる水分が1.3リットルですので、

  • 飲み水から摂取が必要な水分量…1.2リットル

となります。
健康な体を維持するためには、季節を問わず朝起きてから夜寝るまでの間に、1.2リットルの水分補給をする必要があります。

水分補給の重要性

人が生きていくうえでは排出される水分を食事や飲み物からこまめに補給する必要がありますが、水は体の中でどのような働きを持っているのでしょうか?

人体の生命維持に必須

水は人の体の構成成分のうち最も大きいものであり、体重の6割を占めています。

水は私たちの体を構成する細胞の中では細胞内液として、細胞外では血漿や間質液として広く存在し、体内の様々な化学反応を助けています。

体内に水が多く存在することにより、全身に栄養素を届けたり、反対に全身から老廃物を集めて排泄したりするのに役立っています。

また、汗となって皮膚から蒸発する際に体温を下げるなどのはたらきを持ち、体温調節の役割も担っています。

十分な水分摂取で疾病の予防効果も

生命維持のための水分補給に加え、十分な量の水を習慣的に摂取することの健康維持効果や疾病予防効果も期待されています。

明確な科学的根拠はまだ存在しないものの、

  • 腎結石・尿管結石の発症・再発の予防
  • 慢性腎臓病の発症・重症化予防
  • 便秘の改善効果

…について研究報告が行われています。

脱水による健康障害

排出される水分に対して水分摂取が不十分だと、血液が濃縮されるために血管内のトラブルが起きたり、酸素や栄養素の運搬が滞ったり、体温調節がうまく機能せず、様々な健康障害が起こることが知られています。

体内の水分を5%失うだけでも脱水症状や熱中症の症状が現れ、10%失うと筋肉のけいれんや血管内のトラブルが起こり、20%の水分を失うと死に至るといわれています。

熱中症

暑い場所に長時間いると発汗によって水分が失われます。
熱中症は発汗による水分不足による脱水症状に加えて汗で排出されるナトリウム不足、過度の体温上昇によっておこる様々な症状を総称したものです。

軽度の熱中症では倦怠感・頭痛・めまい・吐き気・手足がつるなどの症状が起こることが知られていますが、重症になると脳の機能にも障害が起こり、命に危険が及ぶ場合もあります。

熱中症対策と水分補給に適した飲み物・食べ物について詳しく解説した記事はこちら→熱中症対策のための水分補給におすすめの飲み物・食べ物とは?

血栓による疾患

体内の水分が不足すると血液が濃縮されるため、血栓(血管内の血の塊)ができやすくなります。
血栓が脳や心臓の血流を傷害することで起こるのが脳梗塞や心筋梗塞であり、命にかかわることもあります。

水分補給のタイミング

脱水症状を予防し健康を維持するためにはこまめな水分補給が重要なポイントとなりますが、1日の中で特に水分補給が必要なタイミングはどこでしょうか?

日本人は普段の生活であと「コップ2杯分」多く水分補給をするとよいとされていますので、水分補給をプラスするタイミングを見つけてみてくださいね。

朝起きた時

夜、寝ている数時間は水分補給ができないうえ、汗によって多くの水分を失います。
朝起きた時には寝ている間に失われた水分を補うためにコップ1杯程度の水を飲むようにしましょう。

入浴後

入浴も日常生活で汗をかくタイミングのひとつです。
身体がさっぱりしていても体は水分を失っているため、水分補給が必要です。

入浴後にコップ一杯の水分補給をすると、朝起きた時のコップ一杯と合わせて1日に推奨されるプラスの水分補給がクリアできます。

運動時

日常生活に加えて、運動時にはさらに必要な水分量は増加します。
気温や湿度、運動量によって必要な水分量は変わりますが、運動時には運動の前後だけでなく途中の合間にも、のどの渇きを感じる前にこまめに水分補給を行うようにしましょう。

飲酒時

アルコールには水分を排出する作用があることが知られています。
例えばビールの場合、飲んだ量の1.1倍の水分を排出するといわれているため、飲めば飲むほど体の水分を失うことになってしまいます。

お酒を飲むときは、意識してお水を飲むことで脱水を予防するとよいでしょう。

暑い時期はよりこまめに

暑い時期では発汗によってより多くの水分が失われるため、よりこまめな水分補給が必要になります。

気温などの環境によって必要な水分量は異なるため、何分おきに飲むといった明確な指標はありませんが、食事中、起床時、入浴時、運動時など特定のタイミングだけでなく、移動中や仕事中も手の届くところに飲み物を用意していつでも飲める状態にしておくのがおすすめです。

水分補給に適した飲み物

水分補給の基本となる飲み物は水ですが、市販されている飲み物には水分補給に適した成分構成となっている商品もあり、状況に応じて使い分けることでより効率的に水分を摂取することができます。
暑い時期や運動中などに意識してみてくださいね。

水・麦茶・ルイボスティーなど

水はもちろん、カフェインを含まないお茶類(麦茶、ルイボスティー)は水分の排出作用の心配がない水分の摂取源となります。

多量の汗をかくような環境でなく、夏でも比較的涼しい室内で過ごす場合などには水や麦茶・ルイボスティーのような飲み物がおすすめです。

ただし、多量に汗をかくような環境では適さない場合もありますので、適宜スポーツドリンクなどを取り入れるとよいでしょう。

麦茶の成分と水分補給の効果について詳しく解説した記事はこちら→熱中症対策に麦茶は最適な飲み物?夏の室内での水分補給におすすめ

スポーツドリンク

汗をかくときには水分だけでなくナトリウムなどのミネラル(電解質)も排出されるため、運動時など比較的多く汗をかく場合にはナトリウムなどのミネラルを含んだスポーツドリンクがおすすめです。

スポーツドリンクには水分の吸収を助ける糖分も含まれているため、水や麦茶よりも水分補給に効果的です。

普段の水分補給をすべてスポーツドリンクにする必要はありませんが、発汗量が多くなりそうな場合や、よく体を動かすタイミングで取り入れるとよいでしょう。

経口補水液

スポーツドリンクよりもさらに効率的な水分補給に特化した飲料で、脱水時の水分補給に適しています。

暑い環境でめまいや頭痛などの脱水症状がみられた場合には体を冷やしつつ経口補水液を少しずつ摂取するのがよいでしょう。

暑い環境での脱水症状のほか、発熱、下痢、嘔吐などによる脱水時の水分補給にも適しています。

スポーツドリンクと比較してナトリウム(塩分)が多く糖分が少ないために味覚的には飲みにくいことが多いので、日常的に取り入れる必要はありません。

経口補水液についてより詳しく解説した記事はこちら→経口補水液とは?熱中症以外の用途と飲み方のポイント

水分補給に適さない飲み物

水分補給には水や麦茶、スポーツドリンク、経口補水液などを状況に応じて使い分けるのがおすすめです。

反対に、飲み物の中でも脱水症状を悪化させる成分を含むものもあります。
水分補給の目的ではオススメできない飲み物を紹介します。

お酒

アルコールを含むお酒には

  • ビール
  • 日本酒
  • ウィスキー
  • ワイン

など、様々な種類がありますが、アルコールには水分の排出を促す作用があり、飲めば飲むほど体から水分が失われていってしまいます。

ビールの場合では飲んだ量の1.1倍の水分を排出するともいわれていますが、さらに度数の高いお酒ではさらに多量の水分が失われることが推測されます。

脱水症状を防ぐためにはお酒を飲むときにはチェイサーとしてお水を飲むようにし、暑い時期だけでなく過度の飲酒は避けるようにしましょう。

カフェインを多く含む飲み物

アルコールと同様、カフェインにも水分を排出する作用があることが知られています。

カフェインはコーヒーやお茶類、コーラやエナジードリンクのような清涼飲料水、眠気覚ましの栄養ドリンクなどに含まれています。

■カフェイン含有量の例

食品名 カフェイン含有量
コーヒー 60㎎/100ml
緑茶(煎茶) 20㎎/100ml
紅茶 30㎎/100ml
市販エナジードリンク(一例) 32㎎/100ml
眠気覚ましドリンクA(一例) 240㎎/100ml

*)内閣府食品安全委員会:食品中のカフェインについてのファクトシートおよび製品情報より作成

お茶類に含まれるカフェインはさほど多くありませんが、コーヒーや一部のエナジードリンク、眠気覚ましドリンクなどは注意が必要です。

糖類を多く含む飲み物

コーラやサイダー類など、糖類を多く含む清涼飲料水は暑い時期に飲みたくなるもののひとつですが、飲み方に注意が必要です。

糖類が多く含まれる清涼飲料水を一度にたくさん飲むと、血液中の糖が急増化するために高血糖状態を引き起こすことが知られています。
高血糖状態になるとのどの渇きを感じるため、さらに清涼飲料水を飲むという悪循環に陥り、高血糖状態が重度になると意識がもうろうとしたり、昏睡などの症状を起こしたりすることもあります。

糖類を多く含む飲み物はあくまで「嗜好飲料」として楽しむものと考え、健康維持のための水分補給とは分けて考えたほうがよいでしょう。

まとめ

健康維持のためには、1日に体から排出される水分を補う必要があり、

  • 食事から1リットル
  • 飲み物から1.2リットル

の水分補給が必要とされています。

十分な水分摂取は疾患の予防にも関連し、

  • 腎結石・尿管結石の発症・再発の予防
  • 慢性腎臓病の発症・重症化予防
  • 便秘の改善効果

等との関連が期待されています。

その一方で水分が不足して脱水症状に陥ると脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まるほか、暑い場所では熱中症の一因ともなります。

日本人の場合、普段の水分補給のほかにコップ2杯の水分補給を心掛けることが推奨されており、

  • 朝の起床時
  • 入浴後

などのタイミングがおすすめです。
そのほか、

  • 運動時
  • 飲酒時

なども水分を失うタイミングとして水分補給を心掛けましょう。

暑い時期は1日を通して発汗量が増えるため、よりこまめな水分補給が必要です。

  • 水、麦茶、ルイボスティーなど水分の排出作用のない飲み物
  • ミネラルと糖を含んだスポーツドリンク
  • 脱水時の水分補給に特化した経口補水液

などを状況に応じて上手に使い分けられるとよいでしょう。

反対に、

  • アルコールを含むお酒類
  • カフェインを含む飲料
  • 糖類を多く含む清涼飲料水

は水分補給目的で飲むのには適していません。

一緒に水を飲むことを意識したり、一度に多量に飲まないようにしたりといった点に注意が必要です。

暑い時期の水分補給には、水分補給に適した飲み物を手の届くところに準備し、のどが渇く前にこまめに飲むことが重要です。

健康に過ごすために水分補給を心掛けてくださいね。

参考文献

厚生労働省:「健康のため水を飲もう」推進運動

厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書

内閣府 食品安全委員会:食品中のカフェインについてのファクトシート

厚生労働省e-ヘルスネット:「嗜好飲料(アルコール飲料を除く)」

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。