
食欲をそそる風味が特徴のにんにく
栄養的にはどのようなメリットがある食材なのでしょうか?
にんにくに含まれる栄養素とそのはたらきについて解説します。
Contents
にんにくの栄養素とその特徴【100gあたり】
生のにんにく、市販のおろしにんにくの栄養成分は以下の通り。
にんにく(生) | おろしにんにく(市販) | |
エネルギー | 136kcal | 171kcal |
たんぱく質 | 6.4g | 4.7g |
脂質 | 0.9g | 0.5g |
炭水化物 | 27.5g | 37.0g |
うち食物繊維 | 6.2g | データなし |
食塩相当量 | 0g | 4.6g |
ビタミンB6 | 1.53㎎ | データなし |
*100gあたり |
*文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」より作成
主成分は炭水化物
にんにくの主成分は水分とそれに次いで多い「炭水化物」。
割合で言えば、かぼちゃと同じくらいの量が含まれています。
ビタミンB6が多い
また、あまり有名ではありませんが、にんにくは食品の中でも重さあたりのビタミンB6が多い食品の代表格です。
ビタミンB6はたんぱく質の代謝にかかわる成分で、にんにく以外ではマグロやカツオ、鶏肉などに比較的多く含まれるほか、腸内細菌によってもつくられることが分かっています。
ビタミンB6について詳しく解説した記事はこちら
にんにく単体からとれる栄養素は限定的
にんにくは1回に使う量が少ないため、ひとかけ分に換算すると以下のようになります。
にんにく(生) | おろしにんにく(市販) | |
エネルギー | 7kcal | 9kcal |
たんぱく質 | 0.3g | 0.2g |
脂質 | 0g | 0g |
炭水化物 | 1.4g | 1.9g |
うち食物繊維 | 0.3g | データなし |
食塩相当量 | 0g | 0.2g |
ビタミンB6 | 0.08㎎ | データなし |
*ひとかけまたは小さじ1…5gあたり |
*文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」より作成
にんにく一片からとれるビタミンの量
ビタミンB6を多く含む食品である肉類・魚類・にんにくの中では、グラムあたりで比較するとにんにくが最も多くビタミンB6を含みます。
とはいえ、いちどに食べる量は肉・魚類とにんにくでは大きく異なり、にんにくの1回量でとれる栄養素量は極めて限定的です。
1人前の量 | 1人前のビタミンB6 | |
にんにく | 5g(1片) | 0.08㎎ |
豚ロース(脂身付き) | 150g(とんかつ1枚分) | 0.48㎎ |
みなみまぐろ(赤身) | 100g(刺身8切れ) | 1.08㎎ |
*文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」より作成
1日に必要なビタミンB6は、18歳以上の男性で1.4㎎、18歳以上の女性で1.1㎎*)とされていますので、この数値を満たすための摂取量ということを考慮した場合、1回に食べる量に含まれるビタミンB6の量で比較すると、肉・魚類がよりよい摂取源となります。
にんにくの栄養を活かす食材の組み合わせ方・調理法
にんにくといえば「スタミナ食材」というイメージが強い人も多いのでは?
「スタミナ=エネルギー」と考えた場合、にんにくそのものはさほどエネルギー源となる栄養素(炭水化物、脂質、たんぱく質)は含まれておらず、いちどに食べる量も少ないため、にんにくそのものがスタミナのもとになるわけではありません。
にんにくの風味による食欲増進効果もありますが、にんにくには「アリシン」という成分が含まれていることも理由の一つと考えられます。
ビタミンB1の働きを助けるアリシンを含む
「アリシン」はにんにく特有の香り成分のことで、にんにくにもともと含まれる「アリイン」と「アリイナーゼ」という物質から作られます。
生のにんにくをつぶしたり、切ったり、すり下ろしたりといった調理を行うと、にんにくの細胞が壊れ、アリインとアリイナーゼが接触し、アリイナーゼがアリインをアリシンに変換します。
アリイナーゼによってつくられたアリシンはにんにく特有のにおいを出す物質ですが、「ビタミンB1の吸収をよくする」という働きもあります。
ビタミンB1は主に炭水化物(糖質)をエネルギーとして利用するのに必要な栄養素です。
にんにくに含まれるアリシンはビタミンB1と結合して「アリチアミン」という物質になり、体内に吸収されやすくなるという特徴があります。
直接的ではありませんが、にんにくは「エネルギー源を活用しやすくする」というはたらきによって、エネルギーに満ちた体づくりに役立つ食材といえそうです。
ビタミンB1について詳しく解説した記事はこちら
アリシン・ビタミンB1・炭水化物をとれる組み合わせ
炭水化物およびビタミンB1は現代の食生活では不足しやすいものではありませんが、にんにくの作用を期待するのであれば同じ食事から摂取するのがおすすめです。
- ビタミンB1…赤身の豚肉に多い
- 炭水化物(糖質)…ごはんやパン、麺類が主な摂取源
スタミナをつけたい!と考えている方は、にんにくに合わせてこのような食材を組み合わせるのがおすすめ。
具体的には、
- ごはんやパン
- メイン食材は豚肉
- 味付はにんにくを活用
…といったようなメニューになりますが、例としてはにんにくをきかせた豚丼や餃子などが挙げられます。
アリシンの作用を助ける調理法
にんにくのスタミナ効果は吸収のよい「アリチアミン」ができることによるものです。
アリチアミンを多くつくるためには、元となる成分同士がより多く接することがポイントです。
- アリシンを多くつくるために細胞内のアリインとアリイナーゼがより多く接するようにする
- アリチアミンを多くつくるためにアリシンとビタミンB1が効率的に接するようにする
いずれの成分も、元となる食材(にんにくや豚肉)が細かくなっているほど表面積が増えるので、アリチアミンを効率的に作るためには、
- みじん切り
- すりおろし
…など、なるべく細かい状態で混ぜ合わされると効率的と考えることができます。
にんにくの栄養素にまつわる疑問と注意点
にんにくチューブと生のにんにくの違い
使いやすさが魅力の市販にんにくチューブも主な原材料は生のにんにくであるため、おおむね同じものと考えても問題ありません。
しかし、製品によっては製造過程で食塩、でんぷんや食物繊維が加えられていますので、少し注意が必要です。
少量であればほとんど差はありませんが、塩分管理が必要な方、多量に食べる場合などでは違いが出てくるといえます。
生にんにくの多量摂取に注意
生のにんにくには殺菌作用があることでも知られていますが、細胞を壊すはたらきがあることが分かっています。
皮膚や粘膜に長い時間接触させたり、多量に食べたりすることによって皮膚炎や胃腸障害を起こしたという報告も多数あります。
生のにんにくをまるかじりする人はあまりいないと思われますが、ラーメンのトッピングにもなっているすりおろしにんにくなどは大量に食べることが比較的容易なため、気を付けましょう。
まとめ
にんにくは栄養的特徴(ビタミンB6やアリシンなど)のある食品ではありますが、いちどに摂取する量が少ないために、残念ながら料理の中のにんにくの有無が食事全体の栄養バランスに大きく影響することはそうありません。
どちらかというと、にんにくの風味によって食事が進むためにエネルギー補給に効果的、といったような影響の方が大きいかもしれません。
食欲増進のためのスパイスとしての役割が大きいのではないでしょうか。
栄養素の摂取源としてというよりも、料理にアクセントをつけるための食材のひとつとして、にんにくを適量取り入れるのがいいと考えます。
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参考文献 文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」 |