2019.09.27

にんにくのスタミナ成分「アリシン」の効果と栄養素の組み合わせ

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にんにく

元気を出すためのスタミナ食材といえば「にんにく」が代表的です。
今回は、にんにくの栄養とスタミナ効果について紹介します。

にんにくに含まれる栄養素は?

にんにくの栄養成分データ
にんにく(生) おろしにんにく(市販)
エネルギー 136kcal 171kcal
たんぱく質 6.4g 4.7g
脂質 0.9g 0.5g
炭水化物 27.5g 37.0g
 うち食物繊維 6.2g データなし
食塩相当量 0g 4.6g
*100gあたり

にんにくは1回に使う量が少ないため、ひとかけ分に換算すると以下のようになります。

にんにく(生) おろしにんにく(市販)
エネルギー 7kcal 9kcal
たんぱく質 0.3g 0.2g
脂質 0g 0g
炭水化物 1.4g 1.9g
 うち食物繊維 0.3g データなし
食塩相当量 0g 0.2g
*ひとかけまたは小さじ1…5gあたり
にんにくチューブも生のにんにくと同じ?

市販のチューブタイプのおろしにんにくは使いやすさが魅力ですが、栄養成分は同じものと考えていいのでしょうか?

にんにくチューブも主な原材料は生のにんにくであるため、おおむね同じものと考えても問題ありません。
しかし、製品にする過程で食塩、でんぷんや食物繊維が加えられていますので、少し注意が必要です。

少量であればほとんど差はありませんが、塩分管理が必要な方、多量に食べる場合などでは違いが出てくるといえます。

にんにくはエネルギー源になる?

「スタミナ」というものは明確な指標があるものではありませんが、体にエネルギーが満ちている状態と考えられるのではないでしょうか。

ヒトの体にとってのエネルギーとは炭水化物、たんぱく質、脂質など「エネルギー源」となる栄養素です。

スタミナ食材といわれるにんにくですが、1回に使う量を考慮するとエネルギー源になる栄養素(たんぱく質、脂質、炭水化物)が多いとは言えません。

にんにくがスタミナ食材といわれる理由は、にんにくそのものによるものではなく、ほかの食材との組み合わせによるものといえそうです。

スタミナをつけるためにはにんにく…なぜ?

にんにくを使ったスタミナ料理

エネルギー源ではないのになぜスタミナ食材?

にんにくにはエネルギー源となる栄養素はさほど多くありませんが、「アリシン」という、ビタミンB1のはたらきを助ける成分が含まれているのが特徴です。

アリシンのはたらき

にんにくにはもともと「アリイン」と「アリイナーゼ」という物質が含まれています。

生のにんにくをつぶしたり、切ったり、すり下ろしたりすることで細胞が壊れます。
壊れた細胞からアリインとアリイナーゼが出て接触すると、アリイナーゼがアリインをアリシンに変換します。

アリシンの生成

アリイナーゼによってつくられたアリシンはにんにく特有のにおいを出す物質ですが、「ビタミンB1の吸収をよくする」という働きもあります。

ビタミンB1は主に炭水化物(糖質)をエネルギーとして利用するのに必要な栄養素です。

にんにくに含まれるアリシンはビタミンB1と結合して「アリチアミン」という物質になり、体内に吸収されやすくなるという特徴があります。

直接的ではありませんが、にんにくは「エネルギー源を活用しやすくする」というはたらきによって、エネルギーに満ちた体づくりに役立つ食材といえそうです。

香りも大きな要因

少々単純すぎる話ではありますが、にんにくの独特の香りによって食欲が増すという人も多いはず。

食欲をそそる香りによって食事が進み、食事からのエネルギー補給に効果的ともいえるかもしれません。

たくさん食べて体力をつけたい人には食欲増進のためのスパイスとして使うのもおすすめです。

アリシンのはたらきを活かすためには組み合わせが重要

アリシンの効果のためにはビタミンB1,糖質エネルギーがあってこそ!

アリシンのはたらきは「スタミナチャージ」に有効ですが、にんにくだけではその働きは期待できません。(ほとんど食事をとらない人がにんにくをかじっても元気は出ないような感じです)
ポイントは、ビタミンB1、エネルギーとなる糖質です。

ビタミンB1、糖質の豊富な食べ物は?

現代の食生活ではどちらも不足するものではありませんが、にんにくの作用を期待するのであれば同じ食事から摂取するのがおすすめです。

ビタミンB1は赤身の豚肉に比較的多く含まれ、
糖質はごはんやパン、麺類が主な摂取源になります。

スタミナをつけたい!と考えている方は、にんにくに合わせてこのような食材を組み合わせてみてくださいね。

にんにくを活用した調理のコツ

丸ごとのにんにくとみじん切りのにんにく

アリシンのはたらきを最も大きくするには?

アリシンはにんにくの細胞が壊されることでアリインとアリイナーゼが出会ってつくられる成分です。

そのため、細かく切ったりすり下ろしたりするほどたくさんアリシンがつくられるといえます。

アリチアミンをつくるという意味では、アリシンを多く作ることに加えて、豚肉などに含まれるビタミンB1がアリシンに触れることが重要です。

豚肉も、にんにくと同様に塊ではなく細かく切ったもののほうがより表面積が増えるといえます。

これらのことから、アリチアミンをより多くとるためには、(理論上ではありますが)すりおろしのにんにくと豚ひき肉をよく混ぜる「餃子」などが最適と考えることができるのではないでしょうか?

餃子の皮で炭水化物もとれるので「スタミナ食」の代表ともいえそうですね!

にんにくのにおいが気になるときには?

にんにくは独特の香りが食欲をそそりますが、人と会う前などはにおいが気になってしまいますね。

にんにくのにおいもアリシンによるもので、アリシンになる前のアリインにはあの匂いはありません。

そのため、においが気になるという場合は細胞を傷つけないよう「丸ごと」のまま、加熱することでアリイナーゼを失活させることができ、アリシンの生成を抑えられます。

みじん切りやすりおろしなどで使いたい場合でも、切る前に電子レンジなどで加熱することでアリイナーゼを失活させることができるので、独特のにおいは抑えられると考えられます。

アリシンの生成が抑えられるぶん、アリチアミンなどのはたらきはあまり期待できないかもしれませんね。

食べすぎには注意

すりおろしにんにく

スタミナをつけたい人には心強い食材のにんにくですが、むちゃな食べ方には要注意です。

細胞をこわすはたらきもある

生のにんにくには細胞を壊すはたらきがあることが分かっています。

皮膚や粘膜に長い時間接触させたり、多量に食べたりすることによって皮膚炎や胃腸障害を起こしたという報告も多数あります。

にんにくは殺菌作用があることでも知られていますが、ヒトの細胞にも効果を発揮してしまうため、取り入れ方には注意が必要です。

生のにんにくを大量に食べるのは避けよう

生のにんにくをまるかじりする人はあまりいないと思われますが、ラーメンのトッピングにもなっているすりおろしにんにくなどは大量に食べることが比較的容易なため、気を付けましょう。

にんにくはスタミナ食材の代表格ですが、食べれば食べるほど元気になるというものではありません。

ぜひ、「適度に」にんにくを取り入れて、エネルギーに満ちた毎日を送りたいですね。

参考文献

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:「健康食品」の安全性・有効性情報(にんにくについて)