
すぐに料理に使えて便利な「冷凍野菜」、最近ではいろいろな種類が増えてきました。
皮むきや下茹でが済んだ状態で冷凍されているため、忙しい人の時短調理に最適である一方、生野菜に比べると栄養価が劣るのでは?と思われることも。
気になる冷凍野菜の栄養価について解説します。
Contents
冷凍野菜は生野菜に比べても栄養価に遜色なし!
冷凍野菜はあらかじめ加工されている食材ですが、市販されているものに関しては、「生野菜と比較しても栄養価にデメリットはない」と考えられます。
その理由は以下の通り。
理由その① 旬の時期に収穫されている
メーカーによって製造工程には違いがあるものの、冷凍野菜の原料となる野菜の多くは、旬の時期に収穫されたものです。
旬の時期の野菜は味がよいだけでなく、栄養価も高いことが知られています。
また、収穫量が多く価格が安くなる時期なので、旬に収穫した野菜を加工するのはメーカーにとっても消費者にとってもいいことばかりですね。
理由その② ブランチング処理で栄養素の消費をストップ
野菜は収穫後も生きています。
そのため、生の野菜は収穫後、徐々に栄養素が消費されて減少していきます。
冷凍野菜の製造工程では、収穫後、洗浄とカット工程を経て、ブランチングと呼ばれる加熱工程があります。
ブランチングとは、凍結前に熱湯や蒸気によって7~8割程度火を通すこと。
この工程によって、生野菜に含まれる酵素による栄養素の損失だけでなく、組織の劣化や変色を防ぐことができます。
この加熱や湯通しによるビタミンCの損失が心配されることもありますが、ブランチングは家庭で行う下茹でとほぼ変わらず、失われるビタミンCも家庭での調理とほとんど変わらないといわれています。
理由その③長期冷凍保存でも栄養はキープされている
ブランチング処理ののち、余分な水気をとってから凍結され、パッケージに包装されます。
その後、輸送中も-18℃以下で保存され、スーパーやコンビニの売り場に並びます。
■冷凍野菜のビタミンC含有量の変化
0か月 | 1か月 | 2か月 | … | 12か月 | |
かぼちゃ | 31 | 34 | 30 | … | 27 |
にんじん | 75 | 66 | 74 | … | 58 |
ほうれん草 | 55 | 50 | 52 | … | 52 |
㎎/100g |
*辻村 卓, 荒井 京子, 小松原 晴美, 笠井 孝正. 冷凍あるいは凍結乾燥処理した野菜・果実中のビタミン含有量に及ぼす通年貯蔵の影響. 日本食品保蔵科会誌 VOL.23 NO.1 35-40 (1997) より作成
※横スクロールで表全体の確認が可能です。
冷凍した野菜に含まれるビタミンCの量の変化を計測したデータでは、12か月の冷凍保管を経ても、含まれるビタミンCは大部分が残存していました。
生のまま(栄養素が消費される状態で)輸送・保存される生鮮野菜と比較すると、保存状態や収穫時期によっては冷凍野菜のほうが栄養価が高いということも十分にありえますね。
冷凍野菜がよい場合、生野菜がよい場合
冷凍野菜は生野菜と比較して栄養価が劣るということはないようですが、食味の点で弱点となる部分はあるようです。
冷凍野菜の弱点は「食感」
栄養価に関しては問題のない冷凍野菜ですが、生鮮野菜を調理したものと比べると、やはり味は劣るものが多いようです。
製造メーカーによっても異なりますが、ブランチング工程や冷凍後に再加熱をすることで、歯ごたえが弱くなることがあるようです。
シンプル料理は生野菜、しっかり味の料理は冷凍野菜が◎
ほうれん草などの葉物では水っぽい食感に、にんじんやごぼうなどの根菜では水分が抜けてスジっぽい食感になることも。
おひたしやサラダ、温野菜といった素材の味が重要な料理にはあまり向いていないといえそうです。
冷凍野菜に適した料理はカレーやパスタ、ラーメンや煮込み料理などの味付けのしっかりしたメニュー。
ソースなどの汁気があるものが水っぽさ、ぱさぱさ感を目立たなくしてくれます。
忙しい人の味方であるレトルトカレーや総菜コーナーのおかずに加えることで、ボリュームアップと栄養価アップの二つを叶えられそうです。
コンビニの冷凍食品+冷凍野菜で簡単に栄養バランスを改善する方法を詳しく解説した記事はこちら |
まとめ:冷凍野菜と生野菜を上手に使い分けよう
忙しいひとにとって食事作りの心強い味方になる「冷凍野菜」。
栄養価についても、さほど心配する必要はなさそうです。
生野菜と冷凍野菜の両方の長所を生かして、上手に使い分けるのがよさそうです。
参考文献 |