2021.03.15

野菜を食べるメリットってなに?|管理栄養士執筆

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にんじんサラダ

健康のために野菜を食べよう…とはよく言うものの、それがなぜか?ということはあまり知られていないのではないでしょうか。

野菜を食べることで具体的にはどんなメリットがあるのか、解説します。

野菜を食べることで得られるメリット

野菜を食べることで得られるメリットはいくつかあり、おおまかに整理すると、

・野菜そのものに含まれる栄養素をとる「直接的なメリット」
・野菜を食べることで食事全体のバランスに影響を与えるような「間接的なメリット」
・明確な因果関係は不明なものの、野菜の摂取量に相関する病気の発症率低下などの「長期的なメリット」

に分けることができそうです。

メリットその1:必須栄養素の摂取源となる

野菜には(種類により違いはあるものの)人間の生命維持に必要な「必須栄養素」であるビタミンやミネラルが含まれています。
野菜に含まれるビタミンやミネラルとして代表的なものとして、

β-カロテン(体内でビタミンAとして働く)
ビタミンC
葉酸
カルシウム

カリウム

が挙げられます。

また、必須栄養素ではありませんが、多くの生活習慣病の発症率低下にかかわる食物繊維や、(その有効性は確かではありませんが)機能性が注目されているポリフェノールやカロテノイドといった成分も含まれています。

とはいえ、これらの栄養素や食品成分はいずれも「野菜からしか取れない」というものではありません。
しかし、野菜は重さあたりのエネルギー量が少ないことから、上記の栄養素を確保するためにたくさん食べても、エネルギー摂取過剰につながりにくいという魅力があります。

メリットその2:栄養バランスを整える要素のひとつ

「野菜をしっかり食べること」には、野菜摂取により、ほかの食品を食べる量を適正に保つ役割もある…というのが、ふたつめのメリットです。

たとえば、野菜を一切食べず、ごはんやパンなどの主食、お肉や魚といった主菜だけでお腹いっぱいに食べたとします。
主食や主菜は野菜料理と比較すると重さあたりのエネルギー量が多く、同じ量(重さ)を食べた場合、どうしても摂取エネルギーが多くなりがちです。

厳密にいえば調理法によって変わりますが、野菜料理はおおむね重さのわりにエネルギーは低く、食事の中で「カサ増し」をしてくれるものでもあります。
また、噛み応えのある野菜であれば、ゆっくり食べることにもつながり、カサ増しとあわせて食べすぎの防止に役立つといえそうです。

飢えによる栄養失調よりも食べすぎや肥満による生活習慣病が問題視される現代においては、「お腹いっぱい食べてもエネルギーの取りすぎにならないため」の野菜は積極的に摂りたい食品のひとつです。

メリットその3:習慣的な野菜の摂取量が多いと病気になりにくい…かも?

1日にどのくらい食べたら病気になりにくい…といった明確な線引きはできませんが、野菜の摂取量が多いほうが各種疾患の発症率が低い傾向がある、といわれています。

このような傾向は野菜に含まれるどの成分が…といったものではなく、野菜を摂取することに付随する様々な要因がかかわっている可能性があります。
病気の少ない、健康的な生活習慣のひとつに「野菜を食べること」が含まれていると考えるのがよさそうです。

メリットを得るために…どのくらい食べる?どうやって食べる?

野菜を調理する

健康のために、いろいろな面からも大切な食品である野菜。
その恩恵を受けるためには、どのくらいの量を、どのように食べるのがよいのでしょうか?

1日にどれくらいとるべき?

バランスのとれた食事を表した「食事バランスガイド」では、野菜、キノコ、いも、海藻を中心とした副菜を、エネルギー必要量に応じて1日あたり5~6皿分(1皿:主食材70g程度)を適量として示しています。

また、厚生労働省の21世紀における健康づくり運動である「健康日本21」では、循環器疾患やがんの予防にはたらくと考えられているカリウム、食物繊維、抗酸化ビタミンの適量摂取のために野菜の摂取量は1日あたり350g以上を目標とする…とされています。

平成30年度の国民健康・栄養調査では、野菜の平均摂取量は20歳以上の男女で280gほど。
若い世代ほど少ない傾向にあり、20~40代では250g前後にとどまります。

とはいえ、350gとらないと無意味、ということではありません。
これまで野菜をとる量が少なかった…という人は、少しずつからでもなるべく毎日、野菜を食べる習慣が作れることが理想です。

調理法や形態の違いは影響する?

野菜の栄養に関して、生野菜がいい、加熱野菜がいい、野菜ジュースでは意味がない…といったような「とり方」も注目されることがあります。

しかし、生野菜、加熱野菜、ドリンク状など、どの形態が最善…ということはなく、それぞれに長所と短所があるというのが実際のところです。

形態 長所 短所
生野菜 カサ増しに適している
栄養素の損失が少ない
350g食べるのが大変
加熱野菜 カサが減りたくさん食べられる カサ増しにはなりにくい
栄養素の損失が多少ある
野菜ジュース 手軽に摂れる 栄養素の損失が多少ある
カサ増しになりにくい
ほかの食事に影響しにくい
スムージー
(生野菜をミキサーに
かけたもの)
器具があれば手軽に摂れる
野菜ジュースより栄養素の損失が少ない
カサ増しになりにくい
ほかの食事に影響しにくい

※横スクロールで表全体の確認が可能です。

野菜の良さを最も引き出せる最善の方法は何か…と考えがちですが、どの食べ方にも長所と短所があり、どれかひとつの食べ方ばかりになるほうが望ましくありません。
最善の調理法を選ぶのではなく、どれかに偏らないでいろいろな食べ方で野菜を食べることで、リスクを分散させることができますよ。

また、もともと野菜をあまり食べない…という人には、自分にとって取り入れやすい方法を選ぶことも重要です。

いきなり1日にいくつも野菜料理を作るより、野菜ジュースから始めるほうが続けやすく、習慣作りには適しています。
とはいえ、野菜ジュースだけでは、野菜をとるメリットをすべて得られるわけではありません。
いずれは野菜ジュース以外の野菜料理を食べることが習慣になることを目標に、手を出しやすいものから始めるのがいいでしょう。

野菜100%なら健康的というわけではない

野菜をしっかり食べることが健康にいい影響を与えることは間違いありませんが、口にするものすべてを野菜にする必要はなく、また、度を越えてでも食べれば食べるほど体にいいというものでもありません。
さらに言えば、適量の野菜(例えば1日350g)の野菜を食べてさえいれば、ほかの食事はどんなものをどう食べてもいい…というわけではありません。

野菜以外の食材…例えば穀類や肉類、乳製品などなど、「適量」をしっかり食べたい食品はたくさんあります。

野菜はあくまで健康的な食事の一部。
期待しすぎず、とはいえ甘く見すぎないように、うまく付き合っていきたいところです。

ちなみに、現代の日本人において、野菜の摂取以上に気を付けたいのは「減塩」。
野菜をしっかりとることも大事ですが、野菜の摂取量と一緒に塩分の摂取量が増えないよう、気を付けたいですね。

【まとめ】

野菜を食べるメリットはたくさんあり、健康的な食事の一部を担っています。
無理なく始められるところから、少しずつ摂取量を増やしていきたいですね。

参考文献

厚生労働省e-ヘルスネット:「野菜、食べていますか?」

厚生労働省:「国民健康・栄養調査」

公益財団法人 健康・体力づくり事業財団:「健康日本21」

社団法人日本栄養士会監修:「食事バランスガイド」を活用した栄養教育・食育実践マニュアル.第一出版,2011.

佐々木 敏:データ栄養学のすすめ.女子栄養大学出版部,2018.

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。