2020.09.04

機能性表示食品は健康食品・トクホとどう違う?|管理栄養士執筆

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食品形状とサプリメント形状の機能性表示食品

飲み物やヨーグルト、お米やお菓子など、いろいろな食品に「機能性表示食品」という言葉がついているのを見たことはありませんか?
「食事に含まれる糖の吸収を抑える」「血圧が高めの方に」「肌の潤いを保つ」など、魅力的な機能性が表示されていますが、いわゆる「トクホ」とはどう違うものなのでしょうか?

機能性表示食品とは?

機能性の表示ができる「保健機能食品」のひとつ

そもそも食品は疾病の診断や予防・治療のために食べるものではありません。
(疾病の診断・予防・治療のために摂取するものは「医薬品」となります)

そのため、原則として食品には「○○が治る」「○○を予防する」といった表示をすることはできない、と法律で定められています。

しかし、一定の条件をクリアすることで食品に機能性の表示ができるようになったものが「保健機能食品」と呼ばれます。

保健機能食品は機能性成分の分類や国による審査の有無によって

栄養機能食品

特定保健用食品

機能性表示食品

の3つに分けられます。

消費者庁による食品の分類消費者庁:「消費者の皆様へ「機能性表示食品」って何?」より引用

保健機能食品それぞれの違い
■栄養機能食品

ヒトが生きていくうえで必要な栄養素を「必須栄養素」といいます。

必須栄養素のうちビタミン13種、ミネラル6種、脂肪酸1種について、1日に必要な量が不足しがちな場合の補給・補完に利用できる食品を「栄養機能食品」といいます。

すでに十分な科学的根拠が確認された成分についての制度であるため、定められた栄養素を一定の基準量で含む食品であれば、国への届出なしで、「国が定めた表現による機能性表示」を行うことができます。

例:ビタミンやミネラルを含むサプリメントや清涼飲料水など

「ナイアシン、ビオチン及びビタミンBは、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。」

■特定保健用食品

必須栄養素ではないものの、健康の維持増進に役立つことが消費者庁によって科学的根拠に基づき認められた食品です。
表示の許可にあたっては機能性や安全性について消費者庁の審査をクリアする必要があります。
「トクホ」とも呼ばれ、「トクホマーク」がついているのが特徴です。

トクホマーク消費者庁:「健康や栄養に関する表示の制度について 特定保健用食品のマークはこちら」より引用

例:難消化性デキストリンを含む清涼飲料水など

「食物繊維(難消化性デキストリン)の働きにより、糖の吸収をおだやかにするので、食後の血糖値が気になる方に適しています。」

■機能性表示食品

特定保健用食品と同様に、必須栄養素ではないものの、健康の維持増進に役立つ成分について「消費者庁の認可ではなく、事業者の責任において」表示できる食品です。
表示にあたっては事前に機能性や安全性などの情報を消費者庁に届け出る必要があります。
加工食品だけでなく、生鮮食品も対象になっています。

例:大豆イソフラボンを含む大豆もやし

「本品には大豆イソフラボンが含まれます。大豆イソフラボンは骨の成分を維持する働きによって、骨の健康に役立つことが報告されています。」

機能性表示食品にはどんなものがある?

機能性表示食品には様々な形態のものがあり、
錠剤やカプセルのようなサプリメント状の食品
加工食品やお菓子、清涼飲料水のような一般食品に近い形態
野菜や果物といった生鮮食品も、
一定の基準をクリアすることで機能性表示食品として販売することができます。

機能性表示はあくまで「事業者の責任において」国のお墨付きではない

トクホと混同されやすい機能性表示食品ですが、トクホは「機能性の表示が国で審査・許可されている」いっぽうで、機能性表示食品は「機能性は事業者の責任において表示する」という点が特徴です。

どんな食品でも機能性表示食品として売り出せるわけではなく、商品が発売される前に安全性や機能性などの必要事項が消費者庁に届出がされます。
とはいえ、基本的に機能性や安全性については事業者の自己申告によるものであり、チェックを受けて許可が下りるといったシステムではないため、機能性食品としての質は事業者の知識やモラルに依存するところがあります。

消費者庁によるチェック機能は「届け出後」

実際、機能性表示食品として届出されて販売されているものの中には、機能性の科学的根拠や安全性の根拠が不十分と思われるものも散見されるのが現状です。

届出後のタイミングではあるものの、消費者庁が中心となって安全性や機能性についての監視が行われ、必要に応じて改善を求めるなどの措置が取られるとしています。

私たち消費者が確認できる情報は?

消費者庁で事前のチェックが行われないため、機能性や安全性についての確認は、基本的には私たち消費者自身が行う必要があります。

機能性表示食品を発売する事業者のサイトや、
消費者庁サイト内の機能性表示食品届出情報データベースなどが参照元になります。

消費者庁ホームページ、機能性表示食品に関する情報(リンク)

機能性表示食品データベースのキャプチャ

消費者庁ホームページ:機能性表示食品に関する情報より引用

消費者庁のデータベースでは、機能性表示食品のパッケージに表示されている届出番号や、商品名などで検索することができ、

・安全性とその根拠

・機能性とその根拠

・生産・製造・品質の管理についての情報

・健康被害の情報収集体制

などの情報をチェックすることができます。

トクホではない健康食品と何が違うの?

機能性表示食品の安全性や機能性の根拠は事業者の自己申告によるものであるため、トクホに比べると信頼度はやや低め、といわざるを得ませんが、問題点の多い「いわゆる健康食品」との差別化、という意味では大きな意味を持つ制度といえそうです。

「いわゆる健康食品」とは

「いわゆる健康食品」とは、トクホなどの保健機能食品とは異なり、「機能性の表示ができない一般の食品」でありながら、「健康の維持・増進に特別に役立つことをうたって販売されたり、効果を期待されて摂取されている食品」です。

つまりは、国や消費者庁によって機能性が確認されておらず、機能性表示が許可されていないにも関わらず、何らかの機能性があることをうたって(またはにおわせて)販売されている食品です。

「いわゆる健康食品」は日本人のおよそ半分が利用している*)とも言われ、巨大な市場を形成していますが、問題点が多いことも事実です。
*)食品安全委員会:「健康食品」に関する情報

「いわゆる健康食品」の問題点

「いわゆる健康食品」の問題点として、

■「機能性」について明言していない(できない)のに、何らかの効果があることをほのめかす表現を用いて販売されてものがある。例:「毎日のすっきりをサポート」=(便秘解消に効果があるように受け取られる)など
→起こりやすいトラブル:効果を期待して購入・使用したのに効果がない。

■継続して摂取したときの安全性や、品質管理がずさんなものがある。
→起こりやすいトラブル:長期にわたって摂取することによって特定の成分の過剰摂取状態になり、健康被害を受ける。

■「効く健康食品」には、違法に医薬品成分が含まれているものがあり、健康被害を受ける可能性がある。
→起こりやすいトラブル:本来、使用量を厳密に管理する必要のある成分を知らずに摂取することにより、望ましくない作用が体に現れる。

といったことがあげられます。

「機能性表示食品」と「いわゆる健康食品」の違い

トクホと比較すると安全性・機能性ともに疑問視されることがある機能性表示食品ですが、

■安全性とその根拠

■機能性とその根拠

■生産・製造・品質の管理についての情報

■健康被害の情報収集体制

などの情報が提示されることによって、上記のような「いわゆる健康食品」で起こりがちなトラブルを回避しやすくなる、という点がメリットとして挙げられます。

機能性表示食品をかしこく使うためのポイントは?

買い物中に情報収集

まとめると…

機能性表示食品は、

■「トクホ」に比べると機能性・安全性ともに質が低い可能性は否定できない

という一方で、

■「いわゆる健康食品」に比べると科学的根拠に基づいたもの

といえそうです。

機能性表示食品を選ぶ上では、私たち消費者が

・機能性・安全性を確認できるか

・自分に必要なものか

ということをしっかり見極めることが重要です。

機能性の確認された条件が自分に当てはまるものか/実施可能か確認しよう

消費者庁のサイトでは、様々な情報が提示されています。

食品の持つ機能性について理解するために大事な項目を整理したのが以下の項目です。

「どのような科学的根拠に基づいて」:科学的根拠として認められる質の高い研究で機能性が認められているか

「どのような人が」:対象者の年齢、性別、身体的な状況など

「どのように摂取すると」:摂取量、摂取頻度、摂取期間など

「どのような機能性があるのか」:結果として得られた効果

具体的に例を示すと、

「どのような科学的根拠に基づいて」→最終製品を用いた臨床試験において

「どのような人が」→30~40歳でBMIが25~30の女性

「どのように摂取すると」→1日●gを朝食と夕食前に1日2回、12週間にわたって摂取

「どのような機能性があるのか」→腹部脂肪面積がプラセボ軍と比較して平均10㎠多く減少した

といったような情報です。(例は架空のものです)

製品ごとに示されている条件を自分に照らし合わせて、

・対象者が自分に当てはまるか

・摂取条件は実施可能か

・機能性は自分が納得できるものか

ということを確認するといいでしょう。

あてはまらない項目がある、または機能性の根拠となる具体的な条件が確認できない場合には、「利用しない」と考えるのが安心です。

効果が必ず現れるものとは考えないのが◎

機能性表示食品の機能性成分は、ビタミンやミネラルなどの必須栄養素とは異なり、体内での作用について科学的に解明されていない部分が多い成分がほとんどです。

普段の食生活の偏りをチャラにしてくれたり、薬のような効果があったりといったものではないため、頼りすぎないことが大事です。

いずれの機能性も「バランスのとれた食生活」が基礎

機能性表示食品に限らず、保健機能食品には

「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」

という表示が義務付けられています。

機能性表示食品は基本的に健康な成人を対象とした食品であり、それを摂取すればそのほかの食生活がどんなものであっても健康でいられる、というものではありません。

食品の機能性も、「普段の、バランスのとれた食生活があってこそ」。
機能性食品と同時に、普段の生活にも目を向けたいですね。

参考文献

消費者庁:「消費者の皆様へ「機能性表示食品」って何?」

消費者庁:「健康や栄養に関する表示の制度について」

消費者庁:「機能性表示食品に関する情報」

内閣府食品安全委員会:「「健康食品」に関する情報」

内閣府食品安全委員会:「いわゆる「健康食品」について」

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。