2022.09.28

乳酸菌の効果とは?種類ごとの働きと乳酸菌を含む食品を紹介

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乳酸菌は何となく体に良いイメージがありますが、摂取することで具体的にはどのような効果があるのでしょうか?

そもそも乳酸菌とは何かというところから、乳酸菌を摂取することで得られる効果と乳酸菌の摂取源となる食品について解説します。

乳酸菌とは

乳酸菌は微生物の一種で、簡単に言うと「乳酸を産生する菌」です。
似たような印象で混同されがちな微生物に「ビフィズス菌」がありますが、乳酸菌とビフィズス菌では近い性質をもつものの、異なる点もあることが知られています。

乳酸菌の定義と、混同されがちなビフィズス菌との違いについて整理します。

乳酸を産生する菌

乳酸菌は「発酵によって炭水化物(糖)から乳酸を作り出す菌類」をまとめた呼び名です。

人の腸管内に棲息し、人にとって有用な働きをすることから、「善玉菌」に分類されています。
乳酸菌は腸管内だけでなく自然界にも存在し、一部の食品に含まれるほか、発酵食品の製造にも利用されています。

乳酸菌とビフィズス菌の違い

乳酸菌と似た使い方をされるものに「ビフィズス菌」があります。

ビフィズス菌も発酵により乳酸を産生する菌類ですが、一般的な乳酸菌とはいくつか異なる特徴を持っています。

  • 乳酸だけでなく酢酸も産生する
  • ビフィズス菌は主に腸管にのみ棲息する(乳酸菌は腸管以外の自然界にも広く存在する)
  • 酸素があると発育できない(乳酸菌は発育可能)

ビフィズス菌と乳酸菌には異なる部分がありますが、どちらも人の腸内で有用な働きをする「善玉菌」に分類されます。

乳酸菌の効果・働き

身体によいもの、というイメージのある乳酸菌ですが、その働きには

  • 乳酸菌全般が持つ作用
  • 特定の乳酸菌に特有の作用

の二つに分けられます。

乳酸菌全般の働きや効果と、研究が進むことでわかってきた乳酸菌の種類ごとに異なる機能性について紹介します。

乳酸菌全般の効果・働き

乳酸菌には、いわゆる「腸内環境を整える」働きがあります。

これは乳酸菌が腸内で乳酸をつくる働きによるもので、腸内のpHを酸性に傾けることで大腸菌、ウェルシュ菌、黄色ブドウ球菌などの「悪玉菌」の繁殖を抑え、腸内を善玉菌優勢の状態にする効果があります。

食事に含まれる乳酸菌は、腸管内に到達した時点で生きていれば、腸管内の善玉菌の数を増やしてその働きを強めます。
また、腸管に到達するまでに死んでしまったとしても、悪玉菌の排出を助けたり、生きている善玉菌の栄養源になったりして、善玉菌の働きを助けることが知られています。

また、腸内環境の改善のほか、乳酸菌は腸管内に存在する免疫細胞に作用し、その働きを調節することで感染症にかかりにくくなるなどの作用があることがわかってきています。

腸内環境の改善や免疫細胞への働きがけなどの作用により、食事等から乳酸菌を摂取することで、以下のようなものに効果がある可能性が示唆されています。

  • 便秘の解消や予防
  • 小児の下痢の予防
  • コレステロールの低下
  • 呼吸器感染症の予防
  • 細菌性膣炎の予防
  • 幼児や小児のアトピー性疾患の予防

乳酸菌の摂取による効果はまだはっきりとわかっていない部分が多いですが、今後研究が進むことによって「乳酸菌をどのくらい、どのようにとるとどんな効果が得られるか」など、より確実な活用法が開発されるかもしれませんね。

乳酸菌の種類ごとの効果・働き

乳酸菌全般としては便秘や免疫に関する作用が知られていますが、これとは別に、特定の種類の乳酸菌において便秘解消や感染症予防以外の機能性をもつものがあることがわかってきています。

■機能性が報告されている乳酸菌(一例)

  • 乳酸菌PA-3株…食後血清尿酸値の上昇抑制作用
  • 乳酸菌OLL2716株…胃内ピロリ菌の活動抑制作用
  • L.カゼイ・シロタ株…高齢者の高血圧発症リスク低減作用
  • ガセリ菌SP株…内臓脂肪蓄積抑制効果

乳酸菌を含む加工食品では、こういった特定の乳酸菌による機能性を表示した特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品が販売されています。

現在、これらの研究は主に乳業メーカーや乳酸菌飲料メーカーなどで行われており、客観性に欠けていたり、研究数が少なかったりといった問題点もありますが、今後研究が進むことで紹介した機能性がより確実なものとして認識されていくかもしれませんね。

乳酸菌を含む食品

乳酸菌は食品では主にヨーグルトや乳酸菌飲料、その他一部の発酵食品のほか、お菓子類やサプリメントなどにも含まれています。

乳酸菌の摂取に役立つ、乳酸菌を含む食品について解説します。

ヨーグルト

ヨーグルトは牛乳に乳酸菌を加えて発酵させることで製造されるもので、ヨーグルトの酸味は乳酸菌が牛乳中の乳糖を分解して生産した乳酸によるものです。

メーカーの違いだけでなく菌株によっても様々な商品が存在するので、菌株が持つ機能性で選ぶのも一つの方法です。

乳酸菌飲料

牛乳や脱脂粉乳などの乳製品を発酵させたもの、またはそれを原料として加工された飲料を乳酸菌飲料といいます。

具体的には、以下のような商品が代表的です。

■乳酸菌飲料の代表例(商品名)

  • ヤクルト
  • カルピス

発酵食品

微生物の発酵の働きにより製造されているものを発酵食品といいますが、一部の発酵食品は乳酸菌の発酵により得られる食品であり、乳酸菌を含む食品となります。
乳酸菌以外に発酵食品の製造に必要とされる微生物は納豆菌、麹菌、酵母、カビの一種などが挙げられます。

乳酸菌を含む発酵食品ではヨーグルトや乳酸菌飲料が代表的ですが、その他にも多くの発酵食品に乳酸菌が存在しています。

■乳酸菌を含む発酵食品の例

  • ぬか漬け
  • キムチ
  • チーズ
  • 味噌
  • 醤油
  • 関東のくずもち
  • なれずし
  • すぐき漬け
  • ザワークラウト

加工食品やサプリメント

多くの発酵食品のように製造のために乳酸菌が必要なものとは別に、粉末にした乳酸菌を添加した加工食品やサプリメントも存在します。
乳酸菌を使用した発酵食品とは異なり、乳酸による酸味を感じないものが多い印象です。

代表的なものとしては、チョコレート、キャンディ、ビスケットなどのお菓子類、サプリメントなどがあります。

乳酸菌の働きを助ける食品

腸内に存在する乳酸菌の働きを助ける方法としては、

  • 乳酸菌そのものを摂取する
  • 乳酸菌の栄養源となる成分を摂取する

のふたつの方法が挙げられます。

乳酸菌の働きを助けるもののうち、乳酸菌そのものは「プロバイオティクス」と呼ばれ、これまでに紹介したヨーグルトや乳酸菌飲料などがこれにあたります。
対して、乳酸菌の栄養源となる成分は「プレバイオティクス」ともいい、「水溶性食物繊維」と「オリゴ糖」が知られています。

プレバイオティクスである水溶性食物繊維とオリゴ糖を含む食品を紹介します。

水溶性食物繊維を含む食品

食物繊維は人の体で消化できない食物繊維の中でも水に溶ける性質をもつもので、腸管内の乳酸菌やそのほかの善玉菌の栄養源となり、その働きを助けます。
水溶性食物繊維は穀類、大豆製品、野菜類、果物類などの植物性食品に広く含まれています。

■水溶性食物繊維を含む食べ物の例

  • 納豆
  • ごぼう
  • アボカド
  • オクラ
  • にんじん
  • モロヘイヤ
  • 全粒粉
  • 押し麦
  • オートミール
    など

オリゴ糖を含む食品

オリゴ糖は食物繊維ではないものの、低消化性で食物繊維に似た働きを持つ糖類のひとつです。

摂取されたオリゴ糖は水溶性食物繊維と同様に腸内の乳酸菌や善玉菌の栄養源となり、乳酸菌の働きを助けています。
食品では、オリゴ糖は大豆製品、野菜類、果物類に含まれています。
このほか、オリゴ糖を主成分としたハチミツ状の加工食品にも使用されています。

■オリゴ糖を含む食品の例

  • 大豆
  • 玉ねぎ
  • ゴボウ
  • ねぎ
  • にんにく
  • アスパラガス
  • バナナ
    など

乳酸菌をとりすぎるとどうなる?

乳酸菌を含む食品の摂取に関連して、免疫不全患者などでは乳酸菌による感染症が報告されているものの、通常の食生活において、乳酸菌の摂取によって健康障害が起きる心配はほとんどありません。

むしろ、乳酸菌そのものをとりすぎることの影響よりも、乳酸菌を含む「特定の食品」の過剰摂取に注意したほうが良いかもしれません。

たとえば、糖類が多く含まれたヨーグルトや乳酸菌飲料を「健康にいいから」といって多量に摂取することで、摂取エネルギーが過剰になり肥満に…というようなことが考えられます。

いくら健康に良いとされるものでも、特定の食品に偏った食生活は栄養素等のバランスを崩しやすく、健康的とは言えません。
乳酸菌のとりすぎに注意するというよりも、食事のバランスが崩れないような摂取量に留めることを意識するのがよいでしょう。

まとめ

乳酸菌は腸内に存在する善玉菌のひとつで、乳酸を産生することで悪玉菌の活動を抑制し、腸内環境を良好に保つ働きを持ちます。

食品中に含まれる乳酸菌を摂取することで、

  • 腸内環境を整える
  • 免疫機能を向上させる

などの効果が期待されています。
このほか、乳酸菌の種類ごとに異なる機能性を持つことも明らかにされつつあり、

  • 食後血清尿酸値の上昇抑制作用
  • ピロリ菌の活動抑制作用
  • 高齢者の高血圧発症リスク低減作用
  • 内臓脂肪蓄積抑制効果

などが報告されている菌株も存在します。

乳酸菌を含む食品には、

  • ヨーグルト
  • 乳酸菌飲料
  • 漬物
  • チーズ
  • 味噌や醤油

などがあり、摂取することで腸内の乳酸菌の数を増やしたり、乳酸菌の栄養源となってその働きを助ける作用があります。

また、乳酸菌そのもの以外で乳酸菌の働きを助けるものに水溶性食物繊維やオリゴ糖があり、野菜類や大豆製品などに含まれています。

乳酸菌の過剰摂取による健康被害は健康な人では知られていませんが、乳酸菌を含む特定の食品ばかりを摂取することで食事のバランスが崩れないような食べ方が理想的です。

健康的な食生活の要素のひとつとして、乳酸菌を含む食品を取り入れてみてはいかがでしょうか?

腸内環境を整える方法について詳しく解説した記事はこちら→腸内環境を整える食べ物は?食事で腸内環境を改善する腸活の方法を紹介

参考文献

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:「健康食品」の安全性・有効性情報(乳酸菌、ビフィズス菌)

厚生労働省e-ヘルスネット:「乳酸菌」

厚生労働省e-ヘルスネット:「腸内細菌と健康」

厚生労働省e-ヘルスネット:「オリゴ糖」

公益財団法人 腸内細菌学会:「よくある質問 ビフィズス菌と乳酸菌の違いを教えてください。」

八村 敏志, 乳酸菌の免疫調節機能, 日本乳酸菌学会誌, 2007, 18 巻, 2 号, p. 54-57

株式会社 明治:「乳酸菌PA-3株試験結果」

株式会社 明治:「乳酸菌OLL2716株の試験結果(ピロリ菌)」

株式会社 ヤクルト:「サイエンスレポート No.28 高齢者の高血圧症発症リスクに対するL. カゼイ・シロタ株を含む発酵乳製品の習慣的摂取の影響」

雪印メグミルク株式会社:「研究・開発成果のご紹介「ガセリ菌SP株(Lactobacillus gasseri SBT2055)」の研究」

厚生労働省:「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」

小泉 幸道, 羽鳥 久志, 柳田 藤治, 伊藤 明徳, 山口 元之, 味噌熟成中の酵母と乳酸菌に関する研究, 日本釀造協會雜誌, 1981, 76 巻, 3 号, p. 206-210

田中 昭光, 醤油醸造での醤油乳酸菌の働きとその影響, 生物工学会誌, 2012, 90 巻, 3 号, p. 320-323

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2020年版(八訂)」

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。