2019.08.30

ブルーベリーが目にいい理由は「言い伝え」?科学的根拠はほぼなし

  • Facebook
  • Twitter
  • はてなブックマーク
ブルーベリー

ブルーベリーといえば青紫色のちいさな果物ですが、「目にいい」というイメージも定着しているように思います。
最近では、抗酸化作用によって美容などにも効果があるのでは、と期待されていますが、目の健康や美容にどのような効果があるのでしょうか?

食品としてのブルーベリー、サプリメントとしてのブルーベリーの栄養素とその効果について紹介します。

ブルーベリーってどんな果物?

アメリカ原産の果物

ブルーベリーは北米大陸が原産のフルーツですが、日本でも栽培されている果物です。

近い種類の果物として「ビルベリー」といわれるものもあり、こちらもブルーベリーと同様に「目にいい」といわれています。

生食のほか、ジャムや加工品にも

生の状態でも食べることができますが、日本ではジャムやソースにして食べるほうが身近かもしれませんね。

そのほか、ドライフルーツにしてケーキに混ぜ込んだり、濃縮エキスがサプリメントに使用されたりしています。

ブルーベリーの栄養素
ブルーベリー(生) ブルーベリー(乾) ブルーベリー(ジャム)
エネルギー 49kcal 286kcal 181kcal
水分 86.4g 21.9g 55.1g
たんぱく質 0.5g 2.7g 0.7g
脂質 0.1g 1.9g 0.3g
炭水化物 12.9g 72.5g 43.8g
食物繊維総量 3.3g 17.6g 4.3g
*100gあたり

※横スクロールで表全体の確認が可能です。

カロリーも栄養素も少なめ

ブルーベリーの成分はほとんどが水分と少量の炭水化物で、たんぱく質や脂質はほとんど含まれていません。
ビタミンやミネラルが豊富と紹介されることがありますが、特に豊富といえるものはありませんでした。

食物繊維が比較的豊富

果物の中では食物繊維が比較的多く、食物繊維の「ちょい足し」に適しています。
ドライブルーベリーは食物繊維が豊富に見えますが、これは水分が抜けてカサが減ったためで、エネルギー(カロリー)も高くなっているため注意が必要です。

目の不調にはブルーベリーが効く?

ブルーベリーを使ったケーキ

目にいいといわれる成分は「アントシアニン」

ブルーベリー=目にいい、というイメージは広く認識されています。

目にいい影響を与えるといわれているのは、ブルーベリーに含まれる「アントシアニン」と呼ばれる成分です。

このアントシアニンは、どのようなものなのでしょうか?

アントシアニンとは

アントシアニンは「ポリフェノール」と呼ばれる食品成分のグループのひとつです。

ブルーベリーの青紫色のもととなる色素で、ブルーベリーのほか、ビルベリー、ブドウ、いちご、ナスなど、様々な食品に含まれています。

酸性度によって赤、紫、青色に変化する成分としても知られています。

ブルーベリーと比べるとビルベリーのほうが多く含まれています。

効果は極めて限定的

ブルーベリーやビルベリー、アントシアニンが目の健康に効果的なのではないかと考えられ、様々な研究がすすめられていますが、現在までにブルーベリーやその成分がヒトの目の疲労などに対して効果があったとする信頼性の高い研究はないようです。

ビルベリーに関しては、糖尿病や高血圧などの生活習慣病による網膜の病変に効果がある可能性が示されています。
しかし、あくまでもまだ「可能性」の段階であり、現段階で治療や予防に使える段階のものではないと考えるのが妥当です。

ブルーベリーを食べることで視力が上がったり、疲れ目が解消したりといった効果は期待できないといえるでしょう。

ブルーベリー成分入りのサプリメントもあるけれど…

世の中には「ブルーベリー」と「目の健康」を結びつける商品やサプリメントが多くあります。

しかし、これらの商品は具体的にはどのような効果があるかは示していない「健康食品」です。

ブルーベリーが目にいいというイメージで販売しているもので、具体的な効果があることは期待できないものです。

ブルーベリーが目にいいといわれるそもそもは…

では、なぜブルーベリーには「目にいい」というイメージがついたのでしょうか?

空軍パイロットの逸話から

第二次世界大戦中、イギリス空軍のとあるパイロットは夕方や夜の暗い時間帯でも景色がはっきり見えたといいます。
そのパイロットがブルーベリージャムを好んで食べていた、という逸話から、ブルーベリー=目にいいというイメージがついたと考えられています。

しかし、このエピソードはブルーベリーの効果をイメージさせるものではあるものの、科学的な根拠となる内容な全く含まれていない「言い伝え」です。

言い伝えよりも科学的根拠が重要

言い伝えで伝わるような食べ物の効能は「おまじない」のようなものであり、現代の医学では科学的に効果が確認されることが必要です。

上で紹介した通り、今現在、ブルーベリーやアントシアニンには効果があるとは言えない、というのが科学的な評価になっています。
パイロットの言い伝えを根拠に「ブルーベリーが目にいい」とは言えないでしょう。

アントシアニンには抗酸化作用もある?

ブルーベリーは健康にいい?

目の健康の一方で、アントシアニンにはほかの機能も期待されています。

アントシアニンの抗酸化作用?

アントシアニンはポリフェノールの一種ですが、ポリフェノール全体に対して「抗酸化作用」が期待されています。

抗酸化作用を持つ成分は体内で発生する「活性酸素」による細胞などへのダメージを修復するはたらきを持ち、細胞の老化などを防ぐのではないか?と考えられています。

体内ではたらくのはごくわずか

しかし、ポリフェノール類は食品として取り入れたとしてもごくわずかしか体内に吸収されないことが分かっています。

そのため、強力な抗酸化力があったとしても体内ではたらくのはごくわずかで、体に劇的な効果をもたらすとは考えにくいでしょう。

抗酸化ビタミンの補助的なものとして

食品に含まれる抗酸化物質はポリフェノールだけではありません。

必須栄養素として知られるビタミンCやビタミンEにも抗酸化作用があり、体内の様々な部分で活性酸素によるダメージを修復しています。

アントシアニンを含むポリフェノールの体内でのはたらきはこれらの抗酸化ビタミンに比べるととても小さいもので、あくまでも補助的なものにとどまると考えられています。

ビタミンCを豊富に含む野菜や果物、ビタミンEを豊富に含むナッツ類や油脂類を適度に取り入れることで、体に必要な抗酸化物質は十分に取り入れることができると考えられます。

食べ物やサプリは薬ではない

体調に違和感があるなら医療機関に相談がベスト

食べ物に含まれる成分が私たちの健康に役立つのではないか?という研究は日々進められています。
しかし、世の中には、効果があることが示されていないのにもかかわらず、まるで体にいい効果があるかのように販売されているものが多く存在することも事実です。

薬のようなかたちであたかも効果がありそうに売られているサプリメントや、まるで万能薬のようにテレビや書籍で紹介される食べ物があります。

いずれも効果があるような表現で紹介されていますが、食品は薬とは違うため、同様の効果を期待することはできません。

自分の体に気になることがある場合は、安易な自己判断はおすすめできません。
体調に不安があるのであれば、医療機関に相談するのがベストです。

ブルーベリーは食べやすい果物のひとつ

ブルーベリーには目がよくなったり疲れ目を解消したりする効果はいまのところありません。

とはいえ、ブルーベリーには食べる意味がない!というようなことではありません。

果物は皮をむいたりするのが面倒で敬遠する人も多いですが、いちごなどと並んでブルーベリーは洗うだけで手軽に食べられる手に取りやすい果物のひとつです。

食物繊維の摂取や、低カロリーな間食としても魅力的。
バリエーション豊かな食事における食材のひとつとして、取り入れてみてくださいね。

参考文献

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」

「健康食品」の安全性・有効性情報(ブルーベリー、ビルベリー、アントシアニンについて)

一般社団法人日本ブルーベリー協会ホームページ

厚生労働省e-ヘルスネット:「活性酸素と酸化ストレス」