食べてないのに太る、はない!「食べた感」のある食べ方のヒント

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そんなに食べてなくても太る?

「自分ではそんなに食べているつもりはないのに、体重が増えていく」と感じている人は、「食べていない」のではなく、「食べたことを忘れている」かもしれません。

ダイエットではカロリー計算よりも体重の変化が大事です。
「食べてないのに」とならない食べ方を意識してみましょう!

「食べてないのに太る」はあり得ない

「太る」とは?

一般的に、体脂肪が増えた状態を「太った」といいます。
成長期以降の大人では、体重が増える要因は体脂肪か、筋肉のどちらかと考えられます。

日常的に筋トレを行っている場合には「体重増加=筋肉の増加=太ったとは言えない」とも考えられますが、特別に運動を行っていない場合では、「体重増加=脂肪の増加=太った」と考えるのが自然でしょう。

体脂肪が増える要因はひとつ。
食事からの摂取エネルギーが、日常生活で消費するエネルギーよりも上回っていたこと(エネルギー収支がプラスになっていたこと)です。

最近体重が増えた、という場合は

・食事からの摂取エネルギーが増えたため、余ったエネルギーが体脂肪になった
・運動や日常生活でのエネルギー消費が減ったため、余ったエネルギーが体脂肪になった

このどちらかの理由が考えられます。

今まで通り食べていたつもりなのに…基礎代謝の低下?

食事も運動量も変わっていないのに、「今まで通り食べていたら太った」ということは理論上はあり得ます。

1日に何もしなくても生命維持のために消費するエネルギーを基礎代謝といいますが、成長期以降は年齢によって基礎代謝が落ちてしまうために、エネルギーが余りがちになるためです。

基礎代謝は、性別・年齢ごとの基礎代謝基準値に、体重をかけて計算します。

性別 男性 女性
年齢 基礎代謝基準値

(kcal/kg体重/日)
基礎代謝基準値

(kcal/kg体重/日)
1-2 61.0 59.7
3-5 54.8 52.2
6-7 44.3 41.9
8-9 40.8 38.3
10-11 37.4 34.8
12-14 31.0 29.6
15-17 27.0 25.3
18-29 24.0 22.1
30-49 22.3 21.7
50-69 21.5 20.7
70以上 21.5 20.7

*基礎代謝は厳密には体組成(筋肉や脂肪の割合)の違いによって異なるため、必ずしもこの値で正しい数値が得られるものではありません。
「おおむね」この値であるということに注意が必要です。

とはいえ、基礎代謝は数か月または数年で大きく変化するものではありません。
(女性の20代から40代では0.4kcal/kg体重/日しか変わりません。体重50㎏の人で1日20kcal、基礎代謝が原因で1㎏太るまでに1年近くかかります)

成長期である17歳までの時期は男女ともに基礎代謝が高い時期なので、成人以降に学生時代と同じ量を食べ続けていたら太るということはありそうですね。

消費エネルギー以上に食べていることは確か

太った原因は基礎代謝の低下なのか、食事量の増加なのか、運動量の低下なのかは人によってそれぞれといえそうですが、
「消費するエネルギー以上に食事からエネルギー摂取をしている」
ということは確かだと考えられます。

人の記憶やイメージはあてにならない

カロリー管理の限界

「カロリー管理をしているのに太る!」という人へ。
実は、私たちが自力で行う栄養価計算はどうしてもズレが起こりやすいことが分かっています。
しかもそのズレは一定ではなく、私たちの性別や体型、意識、食べたものの種類によっても変わってくるようです。

厳密なカロリー管理は可能か

最近では手軽にカロリー計算ができるアプリなどもありますが、アプリの計算上では摂取エネルギーを低く抑えられているのになかなか体重には反映されないということもしばしば。

私たちがカロリー計算をしようとするとき、目の前の食事の種類や量を、電子スケールで量りながら記録するということはほとんど不可能です。
自分の食べたものやその量を思い出しながら記録しますが、その時に「実際に食べているより少なく認識する誤差」が生じます。

「カロリー管理をしているのにやせない・太る」といった時に起こる誤差の種類としては

・食べた量を実際より少なく見積もってしまう
・食べたことそのものを忘れてしまう

といったものがあります。

この誤差は研究機関で行われる調査でも見られるもので、避けられないものとして考えられています。
(そのため、日本人が日ごろどのくらいの食事をとっているかを調べた国民健康・栄養調査の結果についても、読み方にはコツが必要です。)
厚生労働省から出ている「日本人の食事摂取基準(2015年版)」でも、エネルギー収支のバランスは体重の変化で評価可能であるとしています。

女性や肥満の人、嗜好品で誤差が大きくなる

食事記録での誤差は誰にでも起こりうるものですが、肥満傾向の人や女性においてその幅が大きくなること*1)が報告されています。
*1)Okubo H, et al. The influence of age and body mass index on relative accuracy of energy intake among Japanese adults. Public Hearth Nutr 2006;9:651-7

これは記録者がわざと少なく記録しているわけではなく、無意識のうちに少なく見積もってしまっていると考えられています。
もしかしたら、願望の表れといえるかもしれませんね。

また、食品別の誤差を調査したものでは、お菓子などの嗜好品や、目に見えにくい食材が実際の量よりも少なく記録されていた*2)との報告もあります。
*2)Karvetti RL,et al.Validity of the 24-hour dietary recall.J Am diet Assoc 1985;85:1437-42.

自分の食べたものを記録した人が、あまり食べないほうがいいと認識している食べ物や、目で見て認識できないものは「食べた覚えがないのに食べているもの」になりやすいといえそうです。

人の記憶は都合よく作り替えられる

こういった理由から、カロリー計算は不正確な場合があります。
摂取カロリーや消費カロリーを意識するためにはとても有用なものですが、ダイエットとしてうまくいっているか考えるときには、カロリー計算のデータよりも体重の変化を重視したほうがいいでしょう。

食べたものを意識しよう

スマホを見ながら食事をするのは避ける

では、どうしたら「食べてないのに太る」という状態から脱することができるのでしょうか?

食べたことを忘れてしまうものがあることを自覚する

自分の記録はあてになりません。
しかも、ダイエット中には避けたいものほど食べた量を少なく見積もってしまうようです。
ダイエットの管理はカロリーではなく体重を見るようにしましょう。
「体重が増えた=食べすぎ(または動かな過ぎ)」と考えましょう。

食べた実感のあるものを選ぶようにする

よく噛んで食べたり、味わって食べたりすることは、「食べた実感」を強めてくれますね。
流し込むように食べたり、何かの片手間に食べたりすることは食べた実感を弱めてしまいます。

また、清涼飲料水のように噛むことのない飲み物や、お菓子のように量のわりにエネルギーの多いものはエネルギー摂取量のわりに食べた実感が弱くなりがちです。
反対に、野菜や果物など、しっかり噛んで食べる食材は、エネルギー摂取量のわりに食べた実感を強めてくれそうです。

ダイエットの第一歩に

・ダイエットは体重を見る
・よく噛んで食べる、ながら食いをしない
・エネルギーのわりに食べた感の少ない食品(高脂質・高糖質なもの、清涼飲料水)は控えめにする
・エネルギーのわりに食べた感のある食品(低脂質・低糖質・食物繊維の多いもの)はしっかり食べる

こういった点に気を付けることで、少なくとも「食べていないはずなのに…」といった事態は減ってくるのではないでしょうか。

そこから一歩進み、食べる量を見直したり、食べた量に見合う運動を心がけたりすることで、ダイエットも成功に近づくはずです。

参考文献

佐々木敏.「佐々木敏の栄養データはこう読む!疫学研究から読み解くぶれない食べ方」女子栄養大学出版部,2015

Karvetti RL,et al.Validity of the 24-hour dietary recall.J Am diet Assoc 1985;85:1437-42.

Okubo H, et al. The influence of age and body mass index on relative accuracy of energy intake among Japanese adults. Public Hearth Nutr 2006;9:651-7

厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2015年版)」

厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」 報告書