投稿日: 2022.05.19 | 最終更新日: 2023.08.16

減量中の食事、ダイエットにいいメニュー選びのポイントは?

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ダイエット中は、減量に役立つ食べものが気になるものですが、特定の食品だけを食べ続けるようなダイエット方法は続きにくいうえ、健康面でも不安があります。

減量に役立つ食べもの・食事の仕方の「ポイント」をおさえると、健康的でストレスも少なくダイエットを行う手助けになります。

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やせる食べ物はある?

「この食べものを食べるとやせる!」といったような情報は次から次へと現れますが、ほんとうに食べるとやせる食べ物というのは存在するのでしょうか?

「食べたら痩せる食べ物」はありません

太る(=体脂肪が増える)というのは、生命維持や運動による消費エネルギーに対して食事からの摂取エネルギーが大きいために起こります。

食べもののエネルギー(カロリー)にマイナス値のものがあれば体脂肪を減らす方向にはたらき、やせる食べ物といえるかもしれません。

しかし、実際にはエネルギーがマイナスになる食べ物は存在しないため、食べたら食べただけ体脂肪や体重を減らすような食べ物はありません。

減量に「役立つ」食べ物はある

食べれば食べるほどやせる食品はありませんが、いろいろな食品がある中でほかの食品と比較したときに相対的にエネルギーが低く、同じ量を食べても摂取エネルギーが低く抑えられる食品というものはあります。

ダイエット中であってもからだに必要な栄養素をとれる食事は必要ですが、このような食品を適度に取り入れることで減量に役立てることができそうです。

減量・ダイエットにいい食材とは?

食べれば食べるほど痩せる食べ物はありませんが、減量に役立つ食品は

  • 量に対してエネルギーの低い食品
  • 体に必要な栄養素は取れるが余分なエネルギー源は含まない食品

とも考えることができます。
以下で詳しく解説します。

量に対してエネルギーの低い食品とその具体例

同じ重さの食品でも、エネルギー源となる栄養素(たんぱく質、脂質、炭水化物、アルコール)の含有量によってエネルギー量は異なります。

エネルギー源となる栄養素が少なく、ほとんどが水分や食物繊維などで構成されているような食品はたくさん食べても摂取エネルギーに与える影響が少ないため、食事の「カサ増し」に役立ちます。

具体的な食品の例

  • 野菜類(一部を除く)
  • キノコ類
  • 海藻類
  • 砂糖やアルコールを含まない飲料

体に必要な栄養素は取れるが余分なエネルギー源は含まない食品とその具体例

エネルギーやエネルギー源となる栄養素は、過剰摂取が体脂肪増加の原因になる一方で、ある程度は必ず摂取する必要があります。

例えば肉類は必須栄養素であるたんぱく質の摂取源となりますが、脂身に含まれる脂質は重さあたりのエネルギーが大きく、とりすぎると摂取エネルギーの過剰につながります。
肉類は部位によってたんぱく質と脂質の含有バランスが異なるので、たんぱく質が多く脂質の少ない部位を選ぶことで、必要な量のたんぱく質をとりながら、脂質のエネルギーを低く抑えることができます。
(たんぱく質もエネルギー源となる栄養素であり、とりすぎは摂取エネルギー過剰につながります)

具体的な食品の例

  • 鶏ささみ、鶏むね肉、牛豚の赤身などの部位(高たんぱく質で低脂質)
  • 豆腐製品(比較的高たんぱく質で低脂質)
  • 白米ごはんや食パンなどのシンプルな主食(脂質や砂糖類の添加が少ない主食)

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減量中に食べていいもの・いけないものはある?

減量の後押しになる食材は積極的に取り入れたいですが、その一方でダイエット中に「食べてはいけない」食品はあるのでしょうか?

食べていい・悪いと言い切れる食品はない

一食分を食べただけで体脂肪が増えていく食べ物があったとしたら、減量中は食べてはいけないものかもしれません。

しかし、体脂肪1㎏に相当するエネルギーは7200kcalといわれており、1食や1日程度の食べすぎで脂肪は何㎏も増えるものではありません。
食べたものの重さが体重に反映されることはありますが、一時的なものですので太ったということにはなりません。

食べれば食べるほど痩せるような食品がないのと同じように、少しでも食べたら目に見えて体脂肪や体重が増えるような食品はないといってよいでしょう。

量と頻度に配慮して食事を楽しもう

もちろん、量の割にエネルギーが高く、摂取エネルギーの過剰につながりやすい食品というものは存在します。
このような食品も少し食べた程度では体脂肪の増加に直結するわけではありませんので、絶対に食べてはいけないということはありません。

高カロリーな食品は食べる量や頻度が多くなりすぎないように気を付けながら、食事の楽しみとして取り入れるのがいいですね。

減量中の食事のポイント

私たちが食べ物を食べるとき、素材をそのまま食べるものはさほど多くありません。
調味料を加えて焼いたり煮たりといった調理を行ってから食べるものが多いですね。
このような調理過程によって最終的な摂取エネルギーが変わるため、食材そのもののエネルギーに加えて調理方法に注意することで、より減量に効果的な食事を選ぶことができます。

減量中の調理法の工夫

調理行程中では、食材にもともと含まれる脂質を落とすのか、または調理のための油脂を加えるのかによって摂取エネルギーが変化していきます。

油で揚げたり、炒め油を加えたりする調理法では付着・吸収された油の分のエネルギーが増えます。
反対に、肉や魚などの脂質を含む食品はゆでたり、蒸したり、焼いたりすると脂質の一部が流れ落ち、摂取エネルギーが少なくなります。

また、砂糖をたっぷり加えたシロップで煮るような調理法でも砂糖の分のエネルギーが付け加えられます。

摂取エネルギーが増える調理法 油で揚げる
油を加えて炒める
砂糖を加えて煮る
など
摂取エネルギーが減る調理法
(もともと脂質を含む食材)
ゆでる
蒸す
油を使わず焼く

同じ食材でもカサが大きいほうがより満足感が高い

使っている食材のエネルギーの合計が同じでも、カサ(体積)が大きいほうが満腹感を得やすく、ダイエット向きといえるでしょう。

含まれるエネルギーが同じ場合、食べ物や料理のカサ(体積)は水分に大きく左右されます。

水分を加えるような調理法では料理の体積は大きく、反対に水分を抜くような調理法では体積は小さくなります。
野菜はもともとのエネルギーが低い食材ですのであまり大きな影響はありませんが、一般的に加熱しない生の状態のほうがよりカサが大きくなります。

カサ(体積)が増える調理法 水分を含ませる(水で戻すなど)
水分を加えて調理する(スープ料理など)
カサ(体積)が減る調理法 水分を抜く(乾燥させる、塩や砂糖で脱水する)
加熱する(野菜など)

ダイエット中の食事メニューの選び方

摂取エネルギーを抑えられる食材と調理法の選び方を知ることで、同じようなボリュームの食事でも余分な摂取エネルギーを避けることができます。

また、食事量も極端に減らすわけではないため、体に必要な栄養素まで減らしすぎることも防げます。
コンビニや外食での食事を例に、具体的にどのように選べばいいのかを解説します。

コンビニで選ぶ場合の具体例

コンビニの食事は健康やダイエットには不向きなイメージがありますが、必ずしもそうではありません。
近年のコンビニは健康志向の商品も多く展開されており、選び方次第ではエネルギーを抑えつつ満足度の高い組み合わせを選ぶことができます。
コンビニの食事は野菜が少なく主食と主菜に偏りやすいものが多いため、意識して野菜のおかずやエネルギーの低いスープを意識して選ぶのがおすすめです。

エネルギーが高くなりやすい組み合わせ 例)お弁当+カップ麺
  菓子パン+ホットスナック など
エネルギーを低く抑える組み合わせ 例)おにぎり+具だくさんサラダ+春雨スープ
  総菜パン+サラダチキン+サラダ+スープ など

 コンビニで栄養バランスがとれた低カロリーメニューを選ぶ方法を解説した記事はこちら→コンビニ活用!1食500kcal以内に収める選び方|管理栄養士執筆

飲食店で選ぶ場合の具体例

外食はそのお店によってさまざまな食事を選ぶことができますが、ファストフードのような業態では品数が少なくなり、こちらも主食と主菜に偏りやすくなる傾向が。
多品目が取れる定食メニューのほか、野菜のおかずや汁物を取り入れてボリュームを分散させるのがおすすめです。

エネルギーが高くなりやすい組み合わせ 例)牛丼(大盛)
  ラーメン+チャーハン
  ハンバーガー+ポテト
エネルギーを低く抑える組み合わせ 例)牛丼(並盛)+みそ汁
  焼き魚定食
  ハンバーガー+サラダ

外食で太りにくい食事の組み合わせについて詳しく解説した記事はこちら→ダイエット中も外食OK!選び方と食べ方のコツ|管理栄養士執筆

太りにくい「食べ方」のコツ

食事からの摂取エネルギーを抑えるコツに加え、食べる時間や間食・飲み物の選び方など、「太りにくい食べ方」についてのポイントを紹介します。

食事の時間や朝食の習慣

夜遅い時間の食事が多かったり、朝食を抜くことが多かったりといった食習慣は肥満と関連があることが知られています。
規則正しい生活を心掛けることで減量の後押しになったり、太りにくい生活習慣を身に着けたりすることにもつながります。

  • 朝食を食べる(朝食習慣を含む規則正しい生活が肥満の予防によい)
  • 就寝前の2時間は食事を控える(就寝前の夕食習慣の改善で腹囲等の改善効果の報告あり)

朝は簡単なものでも何かおなかに入れてから活動を始める、夜遅くなりそうなら夕方の時点で少し食べておき寝る前の食事のボリュームを減らすなど、できる範囲で工夫できるとよいですね。

上手な間食のとり方

間食は食べてはいけないものではありませんが、摂取エネルギーを増やす要因のひとつです。
食事の楽しみのひとつとして、適量の範囲で楽しむのがよいでしょう。

厚生労働省と農林水産省が発表している「食事バランスガイド」では、お菓子や嗜好飲料の適量について「200kcal以内」をひとつの目安として提示しています。
市販のお菓子類ではパッケージにエネルギーが表示されているので、適量範囲に収まるように食べることができそうです。

また、生の果物やヨーグルトなどの乳製品は菓子・嗜好飲料には含まれませんので、これらの食品を間食とするのもいいですね。

  • お菓子類はカロリー表示を確認して1日200kcal以内にする
  • 間食として生の果物や乳製品を取り入れる

間食のエネルギーの目安を紹介した記事はこちら→ダイエット中の間食におすすめのおやつとは?100キロカロリーごとに紹介

上手な飲み物の選び方

実は意外と多い飲み物からのエネルギー。
ジュースのような飲み物に含まれるエネルギー源は糖類が主で、積極的にカットしたいポイントのひとつです。
減量によさそうな機能性飲料はありますが、それよりも1日を通して飲む飲み物のエネルギー摂取をなくすほうが効果的かもしれません。

  • 日常的な飲み物はゼロカロリーのものを選ぶ
  • 甘い飲み物は水分補給目的ではなく、間食として考える

飲み物からの摂取エネルギーの見直しについて解説した記事はこちら

まとめ

減量中の食事の選び方について、「これしか食べてはいけない」「これは食べてはいけない」という絶対的なルールのようなものはありません。

ある程度バランスのとれた食事の枠組みの中で、

  • 野菜や海藻、きのこなどエネルギーの低い食材を取り入れる
  • 脂身の少ない肉、砂糖の少ないパンなど、余分なエネルギーになるものが少ないものを選ぶ
  • 蒸し、ゆでなどのエネルギーの低くなる調理法を選ぶ
  • お菓子類は上限を決めて適量の範囲で楽しむ
  • 飲み物からのエネルギーはできるだけ少なくする
  • 朝食をとる、夜遅い食事は控えるなど規則正しい食習慣を心がける

といった工夫を行うことで効率的に減量を行えると考えます。

ひとつひとつのポイントの減量効果はそう大きいものではありませんが、その分食事の制約は少なく、長続きする減量方法といえそうです。
毎日の食事の中で気を付けることで、太りにくい生活スタイルを身に着けることにもつながりそうですね。

「○○ダイエット」のように、特定の食べ物やメニューにこだわる方法は心身ともに負荷が大きいものです。
日常的に継続することが難しくない、減量に効果的な食事の選び方を身に着けて、減量中でも柔軟に食事選びをしたいですね。

健康的なダイエットについて詳しく解説した記事はこちら

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参考文献

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2020年版(八訂)」

社団法人日本栄養士会監修:「食事バランスガイド」を活用した栄養教育・食育実践マニュアル.第一出版,2011.

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。