投稿日: 2021.05.10 | 最終更新日: 2024.03.19

夜食は太る?太らない?ダイエット中に太らないためのコツとおすすめの夜食を紹介

  • Facebook
  • Twitter
  • はてなブックマーク
夜に食べる食事

「夜食べると太る」とよく言われますが、夜食をとることは太ることにつながるのでしょうか?

この記事では、ダイエット中の方や夜食を取りがちな方に向けて、夜食と肥満との関係と、夜食で太らないために気をつけたいポイントを解説します。

ダイエット中の夜食におすすめの食事例も紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。

夜食は太るのか、太らないのか

夜食のイメージ

一般的に、「夜遅くの食事は太る」といわれていますが、これは本当でしょうか?

実際には食事の時間帯が遅くなること「そのもの」によって太りやすくなるとは言えないようですが、肥満につながりやすい要素も併せ持っている点に注意が必要です。

それぞれの内容について詳しく解説します。

昼に比べて太りやすいとはいえない

「夜食べる食事」が「昼食べる食事」と比較して体脂肪合成につながりやすいとする説がありますが、これは必ずしも正しいとは言えないのが現状です。

「夜の食事は昼の食事より太りやすい」といわれる元になった説は、体内時計の調節にかかわるたんぱく質「BMAL1(ビーマルワン)」が増えると体脂肪の合成が増える*1)ことから、時間帯によって太りやすさが変わるのではないか(具体的にはBMAL1が増える時間帯では太りやすくなるのではないか)と考えるものです。

マウスを使った実験にて、BMAL1が多いのは夜間である*2)ことがわかり、「夜の食事は昼の食事よりも体脂肪として合成されやすい」と考えられているようです。

マウスにおけるBMAL1の変化日経ヘルス「あなたの体は夜ごとに脂肪をため込んでいる 時間栄養学入門(2)」より作成

しかし、このデータはあくまでマウスによるものであって、活動時間や体のしくみが異なるヒトでも同じ結果が得られるとは言えません。
夜行性のマウスに対して日中に動くヒトでは全く反対の結果になるかもしれませんし、BMAL1が増えるから脂肪合成が増えるのではなく、食事による脂肪合成の増加に伴ってBMAL1が増えるという可能性も考えられるためです。

現状では、BMAL1の作用を根拠として、「夜は太る(昼は太らない)」と言い切ることはできなさそうです。

また、ヒトを対象として夜遅い食事と肥満との関係を調べた研究を複数まとめた報告でも、一貫した結果は得られておらず*3)、やはり「夜食べると太る」ということは科学的に立証されているとは言えないようです。

しかし、夜中の食事はダイエットのためには良くないということは広く認識されていることでもあり、特定保健指導など専門家によるアドバイスの場面でも、肥満解消のために遅い時間の夕食や夜食を控えるように指導が行われています。

この理由として、夜に食事をすることそのものではなく、夜の食事と関連する時間以外のいくつかの要因によって、太ることにつながりやすくなる…ということが考えられるかもしれません。

余分なカロリー摂取になると太る

夜食を食べても昼間の食事量が減らないという人では、夜食の摂取は余分なカロリー摂取になりやすく、その結果体重増加につながりやすいといえます。

本来、太る(体脂肪が増える)という現象は、摂取カロリーが消費カロリーを上回ることで起こります。
つまり、どの時間帯に食べたとしても、総摂取カロリーが同じであれば、太りやすさに違いはないはずです。
このことから、食べる時間帯と太りやすさには関係がない…と考えることもできますが、夜食べることによって、意識せず「摂取カロリーが増えてしまっている」可能性が考えられます。

たとえば、朝・昼・夕の3食と比較して、夕食を食べた後の間食(デザート)や、夜更かしによる夜食は、1日の摂取エネルギーを必要以上に増やす「余分なカロリー摂取」となりやすい食事です。

また、帰宅時間が遅いために夕食が遅くなってしまったという場合でも、昼食と夕食の間に間食をしている場合には、そのあとに1食分の夕食を取ってしまうと、消費カロリーに対して摂取カロリーが大きくなってしまっているかもしれません。

私たちの生活や食べるものは毎日同じではなく、普段通りに生活をしているつもりでも、日によって摂取カロリーに数百kcal程度のばらつきがあること*4)がわかっています。

特別たくさん食べたつもりがなくても、夜中に食事をすることによって摂取カロリーをとりすぎる日が多くなると、体重に影響が表れることも考えられますね。

不規則な生活は太りやすい

夜食は基本的に規則正しい生活から外れたものであり、夜食をとる日が頻繁になるような不規則な生活を送っている場合には、肥満リスクが高いことが知られています。

夜に食べる食事そのものが肥満につながることを示す明確な科学的根拠は見つかっていませんが、夜遅い食事に関連する「不規則な生活」や「睡眠不足」が肥満と関係することが示されています。

不規則な生活の例として、日によって昼勤務と夜勤務が変わる「シフトワーク」をしている人では、メカニズムは明らかでないものの、日中勤務の人よりも肥満につながりやすいこと*5)が指摘されています。

また、睡眠不足の人では食欲を調節するホルモンの変化が見られ、睡眠時間が短いほど肥満が増えること*6)が報告されています。

夜中に食事をする人は、すべての人に当てはまるわけではないものの、不規則な生活や夜更かし・不眠による睡眠不足がある場合も考えられます。
「夜に食事をすること」そのものではなく、夜の食事につながる「不規則な生活」や「睡眠不足」に問題があると考えることもできそうです。

ダイエット中、夜食で太らないために気をつけること

ダイエット中夜食で気をつけること

夜に食べる食事そのものが太る原因になるかは今のところ分かっていませんが、上記で解説した、余分なエネルギー摂取や不規則な生活につながりやすい、ダイエット中の夜間の食事とそれに関連する生活習慣には注意したほうがよさそうです。

具体的には、以下のようなことに気をつけましょう。

  • 夕食後のデザートを控える
  • 寝る前の食事の頻度を下げる
  • 夜更かしを控える
  • 帰宅が遅いときは夕方と夜に食事を分ける

以下で詳しく解説します。

夕食後のデザートを控える

夕食後のデザートは量や頻度を減らす、または低カロリーなものにすることを意識しましょう。

夕食を食べた後、就寝までの時間にデザートを食べる人は多いですが、デザートになる食べ物は砂糖を多く使った甘いものが多く、余分なカロリー摂取につながりやすいといえます。

デザートを減らすことで単純に摂取カロリーが減るため、ダイエットの後押しになります。
さらに砂糖を多く使う菓子類を減らすことは栄養バランス的にも悪影響は考えにくいので、理想的な食事の見直しのひとつといえるでしょう。

寝る前の食事の頻度を下げる

寝る前の食事の頻度を下げることで、お腹周りのサイズダウンにつながることが期待できます。

メカニズムは明確ではないものの、就寝前2時間以内に夕食をとることが週3回以上あった人がその習慣を改善することで腹囲の減少などの効果があった*7)と報告されています。

現状、寝る前の食事をとることが多い人では、その頻度を少なくすることでダイエットにつながるかもしれません。

このとき、「寝る2時間前までに」を守ろうとするあまり、寝る時間を遅らせるのは好ましくありません。
なるべく早い時間に食事をとるほか、仕事などでやむを得ず遅くなるという場合には間食をとることで夕食のボリュームを減らすなどの工夫をするのがよいでしょう。

夜更かしを控える

夜更かしを控えることで、肥満につながる睡眠不足の解消と、夜食を食べる機会を減らすことが期待できます。

夜は早めに寝ることを意識付けすることで、睡眠不足を解消し、食欲の調節にかかわるホルモンを整えることができます。
また、早く寝ることで、夜更かし中の空腹も感じにくくなるため、我慢も少なく食事量を減らすことが可能です。

帰宅が遅いときは夕方と夜に食事を分ける

仕事などで帰宅が遅く、夕食がどうしても遅くなってしまうという場合には、夕方ごろに軽めの食事を食べておき、帰宅後の夕食の分量を減らすという方法がおすすめです。

夕方に一度軽めの食事をとっておくことで、空腹感がつらくなることも防げるため、その後のドカ食いも予防できます。
夕方と帰宅後を合わせて1食分程度になるよう、食べ過ぎには注意しましょう。

ダイエット中の夜食におすすめの食べ物

ダイエット中の夜食におすすめの食べ物

ダイエット中、夜食は食べないに越したことはありませんが、どうしても食べたいというときにおすすめの食べ物を紹介します。

ポイントは、カロリー摂取の上乗せになりにくい低カロリーなものと、睡眠を妨げにくい消化の良いものであること。

いずれもコンビニなどで手に入れやすいものとなっていますので、ぜひ参考にしてくださいね。

ゼロカロリーのスイーツ・ジュース

ゼロカロリーのゼリーやジュース類はカロリー源となる砂糖などが含まれていないため、夜に食べても摂取カロリーの上乗せになりません。

コンビニや通販で手軽に手に入れることができますので、夜中におなかがすいたときのために、冷蔵庫に常備しておくのがおすすめです。

【おすすめ】間食の置き換えにおすすめ!ゼロカロリースイーツのご紹介

果物、果物ゼリー

果物は甘味がありながらお菓子類よりも低カロリーなものがほとんどなため、夜でも比較的罪悪感が少なく済む食べ物のひとつです。
また、果物ゼリーはお菓子やスイーツに分類されますが、脂肪分がほぼないため、ケーキやプリンなどと比べるとカロリーも控えめです。

果物は栄養バランスを整えるのに役立つ食材でもあるので、健康的な食事の一環として取り入れられるのがうれしいですね。

みそ汁・スープ・春雨スープ

甘くないものが食べたくなってしまった場合には、味噌汁やお吸い物、コンソメスープのような比較的油脂分の少ないスープ類がカロリーも低くおすすめです。

麺類が食べたくなってしまった場合には、ラーメンではなく春雨スープ程度にとどめておくと、最低限のカロリー摂取に抑えられます。

ヨーグルト

乳製品が食べたい場合には、低脂質で胃腸に負担を掛けないヨーグルトがおすすめです。

夕食後のデザートや夜食にアイスクリームを食べる人も多いですが、ヨーグルトにすることで同じ量でもカロリーを抑えられます。

まとめ

夜中の食事が直接肥満につながるとは言えませんが、夕食後のデザートや夜食の量・頻度を控えることでダイエット中には不必要なエネルギー摂取を減らすことができそうです。

実際に、現時点で寝る前に食事をする習慣がある人では、それをやめることでダイエットにつながることが示されています。
また、早めの就寝を心がければ夜の食事の機会を減らすだけでなく、睡眠不足からの過食を防ぐことにもつながります。

食事をとる時間帯の違いによる太りやすさの違いについてははっきりとしたメカニズムはわかっていませんが、夜の食事を控えることや、夜に食事をしなくて済むような生活習慣を心がけることはダイエットにとって良い影響を与えると考えることはできそうです。

ダイエット中の朝食について詳しく解説した記事はこちら

【消費カロリー管理に便利】スマートウォッチのおすすめ商品ランキングのページはこちら

【おすすめ】間食の置き換えにおすすめ!ゼロカロリースイーツのご紹介

【おすすめ】間食を含む食事を丸ごと置き換えてダイエット!置き換えダイエット食品のおすすめページはこちら

置き換えダイエット5選

参考文献

厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書

厚生労働省:「標準的な健診・特定保健指導プログラム【平成30年度版】」

*1)Shimba S, Ishii N, Ohta Y, Ohno T, Watabe Y, Hayashi M, Wada T, Aoyagi T, Tezuka M. Brain and muscle Arnt-like protein-1 (BMAL1), a component of the molecular clock, regulates adipogenesis. Proc Natl Acad Sci U S A. 2005 Aug 23;102(34):12071-6. doi: 10.1073/pnas.0502383102. Epub 2005 Aug 10. PMID: 16093318; PMCID: PMC1189312.

*2)日経ヘルス「あなたの体は夜ごとに脂肪をため込んでいる 時間栄養学入門(2)」

*3)小澤 啓子, 鈴木 亜紀子, 髙泉 佳苗, 岩部 万衣子, 松木 宏美, 赤松 利恵, 岸田 恵津, 夜遅い食事と肥満との関連:英文文献を用いたシステマティックレビュー, 日本健康教育学会誌, 2016, 24 巻, 4 号, p. 205-216

*4)Yuko Tokudome, Nahomi Imaeda, Teruo Nagaya, Masato Ikeda, Nakako Fujiwara, Juichi Sato, Kiyonori Kuriki, Shogo Kikuchi, Shinzo Maki, Shinkan Tokudome, Daily, Weekly, Seasonal, Within- and Between-individual Variation in Nutrient Intake According to Four Season Consecutive 7 Day Weighed Diet Records in Japanese Female Dietitians, Journal of Epidemiology, 2002, Volume 12, Issue 2, Pages 85-92

*5)Karlsson B, Knutsson A, Lindahl B. Is there an association between shift work and having a metabolic syndrome? Results from a population based study of 27,485 people. Occup Environ Med. 2001 Nov;58(11):747-52. doi: 10.1136/oem.58.11.747.

*6)Taheri S, Lin L, Austin D, Young T, Mignot E (2004) Short Sleep Duration Is Associated with Reduced Leptin, Elevated Ghrelin, and Increased Body Mass Index. PLoS Med 1(3): e62.

*7)平成22年厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業)「特定健診・保健指導開始後の実態を踏まえた新たな課題の整理と保健指導困難事例や若年肥満者も含めた新たな保健指導プログラムの提案に関する研究」(研究代表者 横山徹爾)

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。