
ダイエット中は食事を減らすことが多いですが、体に必要な栄養素は最低限確保したいものですね。
必須栄養素のひとつ、たんぱく質をダイエット中でもしっかりとるためのポイントを紹介します。
たんぱく質の重要性
たんぱく質は脂質・炭水化物と並ぶ三大栄養素のひとつです。
体内で重要なはたらきをするため、健康の維持のためには一定量を摂取する必要がある栄養成分です。
たんぱく質の体内でのはたらき
たんぱく質は20種類のアミノ酸が結合したものであり、その組み合わせや結合数によって以下のようなさまざまなはたらきを持ちます。
- 筋肉や皮膚、内臓など、人体をかたちづくるものの主成分
- 生体機能の調節にかかわる酵素やホルモン、抗体などとしてはたらく
- 炭水化物や脂質と並んでエネルギー源としても利用される
栄養素としてのたんぱく質について詳しく解説した記事はこちら→タンパク質の働きとは?必須アミノ酸の種類、一日の必要量を解説
たんぱく質の1日あたりの必要量
さまざまなはたらきを持つたんぱく質ですが、その構成成分となるアミノ酸20種類のうち9種類は体内で合成することができないため、食事から摂取する必要があります。
日本人の食事摂取基準2020年版では、健康を維持するために食事から摂取したいたんぱく質の量として
- 18~64歳の男性:1日あたり65g
- 18~64歳の女性:1日あたり50g
をそれぞれ推奨量としています。
また、エネルギー源となるたんぱく質・脂質・炭水化物のバランスとしては、たんぱく質は摂取エネルギー全体の13~20%に収めること(1~49歳男女)を目標としています。
たんぱく質の摂取源になる食品
たんぱく質は動物性食品にも植物性食品にも幅広く含まれています。
このうち、肉類・魚介類・たまご・乳製品、大豆などの豆類がたんぱく質の主な摂取源となりますので、毎日の食事のなかである程度の摂取量を確保したい食品といえます。
たんぱく質の適量摂取の目安
日本人の食事摂取基準2020年度版においては、18~64歳の場合、1日あたりのたんぱく質摂取の推奨量は男性65g、女性50gとなっています。
しかし、たんぱく質の含有量は食品によっても異なり、毎日の食事に含まれているたんぱく質を数値として把握することは困難です。
目では見えない栄養素の摂取量を管理するのに役立つツールとして「食事バランスガイド」があります。
食事バランスガイドは農林水産省と厚生労働省から発表されているもので、たんぱく質を含めた各種栄養素のバランスが取れる「食事の適量」を「料理」の単位で表現したものです。
引用:厚生労働省:「食事バランスガイド」について より
主食、主菜、副菜、牛乳・乳製品、果物、菓子・嗜好飲料のうち、主にたんぱく質の供給源となるのは肉類、魚介類、たまご、大豆・大豆製品などを主材料とする「主菜」です。
細かい内容は性別・年齢・日常的な活動量によって異なりますが、標準形(1日のエネルギー必要量2200±200kcal)の場合、主菜は1日あたり3~5つとされています。
*主菜にあたる料理とその量の目安 目玉焼き(たまご1個)=納豆(約40g)=冷ややっこ(約100g)=1つ |
1日に主菜にあたる料理を食事バランスガイドの目安に従って3~5つ確保することでたんぱく源となる食品を適量摂取することができます。
ダイエット中のたんぱく質について
健康維持のためにはたんぱく質の適量摂取が必要ですが、ダイエット中はどのようにするのがよいのでしょうか?
ダイエット中でもたんぱく質の適量摂取が必要
ダイエット中は摂取エネルギー(カロリー)を減らすため、食事量を見直す人が多いですが、その場合でも、たんぱく質に関しては体に必要な量が不足しないよう、適量範囲の摂取が必要です。
ダイエット中は脂質を避けながらたんぱく質を摂取するとよい
たんぱく質はダイエット中でも確保したい栄養素のひとつです。
しかし、主なたんぱく質の摂取源となる肉類や魚介類、あるいは「主菜」にあたる料理は食材の部位や調理法によって脂質の含有量が多くなってしまい、それによって摂取エネルギーが多くなってしまう場合があります。
ダイエット中は必要なたんぱく質に伴う脂質の摂取が多くなりすぎないように、
- 肉や魚は脂身の少ない部位を選ぶ
- 揚げ物などの脂質を多く使う調理法を避ける
などの工夫ができると減量の後押しになります。
ダイエットとたんぱく質について注意したいこと
ダイエット中でもたんぱく質はしっかりとるほうがよい…ということはここ数年で広く知られるようになってきました。
その一方で、たんぱく質の不足を避けるために必要以上にたんぱく質の摂取を増やしていたり、またはたんぱく質がダイエットにいいという誤解からたんぱく質の過剰摂取につながりかねない食事をしていたり…といったことも少なくありません。
たんぱく質の摂取について、ダイエット中に気を付けたいポイントをまとめました。
たんぱく質の不足を怖がりすぎなくてOK
現代の日本人の平均的な食生活ではたんぱく質の不足が起こることは考えにくく、ダイエットに伴って必要量が増えるということもありません。
極端な食事制限等でたんぱく質の摂取源…肉類、魚介類、たまご、乳製品、大豆製品の摂取量が極端に少なくなる場合でなければ、意識的にプラスする必要はありません。
たんぱく質の過剰摂取に注意
近年では、ダイエットに伴う食事のコントロールによってたんぱく質の摂取量が多くなりすぎる心配があります。
たんぱく質はとればとるほどやせるような食品成分ではありません。
脂質や糖質と同様にエネルギー源となる栄養素ですので、過剰摂取は摂取エネルギーの過剰につながり、体脂肪の増加につながります。
また、たんぱく質の過剰摂取の状態が長期間続くと肥満や生活習慣病のリスクが増えることも示唆されており、適量の範囲での摂取を心がけたいですね。
具体的には、主食・主菜・副菜の組み合わせのバランスを極端に変えることはせず、上で述べたような
- たんぱく質の摂取源としての主菜は適量の範囲でしっかりとる
- 主菜に伴う脂質を控えめにする
といった工夫を心がければ、たんぱく質の不足も過剰も起こりにくいと考えられます。
ダイエット中のたんぱく源として理想的な「高たんぱく・低脂質」な食品にはどのようなものがあるでしょうか?
調理前の食材として優秀なもの、手間なく食べられる調理済み加工食品のそれぞれについて紹介します。
高たんぱく・低脂質の食べ物にはどんなものがある?
たんぱく質の主要な摂取源となる肉類、魚介類、たまご、乳製品、大豆製品の中で脂質の少ないものとしては以下のようなものが挙げられます。
食品名 | たんぱく質 | 脂質 | エネルギー | たんぱく質量の幅 | 脂質量の幅 |
鶏ささみ | 23.9g | 0.8g | 98kcal | 16.6~23.3g(鶏肉) | 0.8~15.2g(鶏肉) |
鶏むね | 23.3g | 1.9g | 105kcal | 16.6~23.3g(鶏肉) | 0.8~15.2g(鶏肉) |
豚もも | 22.1g | 3.6g | 119kcal | 14.4~22.2g(豚肉) | 3.6~35.4g(豚肉) |
牛もも (脂身なし) |
20.5g | 9.9g | 169kcal | 12.8~20.8g(国産牛) | 4.9~39.4g(国産牛) |
びんちょうマグロ赤身 | 26.0g | 0.7g | 111kcal | 13.0~26.4g(魚類) | 0.2~28.3g(魚類) |
低脂肪乳 | 3.8g | 1.0g | 42kcal | 3.2~3.9g(液状乳) | 0.1~5.2g(液状乳) |
このほか、同じ部位でも
- 見た目に脂身の少ないものを選ぶ
- 鶏肉は皮を取り除く
- 豚肉は肉の外側の脂身を取り除く
…といった工夫でも脂質の量を減らすことができます。
買い物や料理をする際には気を付けてみてくださいね。
コンビニやスーパーで買ってそのまま食べられる高たんぱく低脂質の食べ物
近年ではたんぱく質への注目が高まったことから、低脂質で高たんぱくな調理済み加工食品の種類も増えてきています。
コンビニやスーパーで購入でき、調理不要でそのまま食べられる手軽さが魅力です。
食品名 | たんぱく質 | 脂質 | エネルギー |
サラダチキン(プレーン) | 24.0g | 1.1~2.9g | 113kcal |
サラダフィッシュ | 20.3g | 11.7g | 186kcal |
豆腐バー | 16.0g | 10.4g | 163kcal |
ゆでたまご | 11.6g | 8.6g | 130kcal |
*100gあたり、日本食品標準成分表(八訂)、製品の栄養成分表示情報より作成
中でもサラダチキンはダイエット中の人にも人気の高い商品で、サラダフィッシュや豆腐バーのような派生した商品も登場しいますが、これらの商品は塩分を比較的多く含む傾向があります。
日本人の食生活では塩分の取りすぎが問題視されており、将来の生活習慣病を予防する観点からも、塩分の摂取量は控えめにしたいところです。
ほかのメニューの塩分を少なく抑えるなど、配慮しながら上手に取り入れられるとより健康的です。
サラダチキンと減塩について詳しく解説した記事はこちら
プロテインは?
ダイエット中のたんぱく質摂取において人気の高いプロテイン。
たんぱく質を主成分に、ビタミンやミネラルなどの栄養素が配合されているサプリメントの一種です。
商品の種類にもよりますが、同じ量のたんぱく質を通常の食事からとるよりも脂質を少なく抑えられるため、トレーニングやダイエットを行う人からの人気を集めています。
たんぱく質を効率的に摂取するのに適していますが、手軽に摂取できるため、今までの食事に追加する形での取り入れ方は単に摂取エネルギーを増やしてしまうことになります。
ダイエット目的で取り入れるのであれば、余分な脂質や糖質を含むたんぱく源と置き換えて使うことで、脂質や糖質のエネルギーを避けつつたんぱく質の摂取量を維持するのに役立ちます。
プロテインを健康的な使い方について詳しく解説した記事はこちら
まとめ
たんぱく質は体の健康維持のために必須の栄養素のひとつであり、ダイエット中でも適量の摂取が必要です。
ダイエット中に摂取エネルギーを抑えつつ必要な量を確保するためには、たんぱく質の主な摂取源となる肉類、魚類、たまご、乳製品、大豆製品のうち脂質の少ないものを選ぶとよいでしょう。
また、コンビニやスーパーなどで購入できてすぐに食べられる調理済み加工食品では、サラダチキンのほか、サラダフィッシュ、豆腐バーなど低脂質で高たんぱく質が魅力の商品が多く登場しています。
プロテインサプリはたんぱく質を効率的に摂取するのに適した食品ですが、摂取エネルギー過剰につながらないよう、その他の食事を調整しながら取り入れるのがおすすめです。
近年はダイエットやトレーニングをする人が増えて、たんぱく質の摂取に役立つ食品も多く販売されています。
自分の生活スタイルやダイエット方法に合うものを取り入れつつ、健康的なダイエットに役立てたいですね。
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参考文献 吉田勉 監修. わかりやすい食品機能栄養学. 三共出版, 2010. 厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」 報告書 厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書 社団法人日本栄養士会監修:「食事バランスガイド」を活用した栄養教育・食育実践マニュアル.第一出版,2011. 文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2020年版(八訂)」 |