ダイエット中は食事制限によるタンパク質の不足が心配です。
間違った食事制限でたんぱく質が不足すると、ダイエットが失敗しやすく、体調不良の原因にもなります。
また、たんぱく質不足の影響で体組成にも影響が表れ、リバウンドしやすくなることも考えられます。
今回の記事では、ダイエット中の方に向けて、ダイエット中のタンパク質の重要性と、タンパク質を多く含む低カロリーな食べ物を紹介します。
ダイエット中の食事選びのコツやおすすめレシピも紹介していますので、ぜひ参考にしてくださいね。
Contents
ダイエット中にタンパク質が重要な理由
ダイエット中は摂取エネルギー(カロリー)を減らすため、食事量を見直す人が多いですが、その場合でも、たんぱく質に関しては体に必要な量が不足しないよう、適量範囲の摂取が必要です。
その理由は、たんぱく質が「必須栄養素」のひとつであること、そして基礎代謝の高い「筋肉」のもとになることのふたつです。
それぞれの内容について詳しく解説します。
健康維持のための必須栄養素のひとつ
たんぱく質は脂質・炭水化物と並ぶ三大栄養素のひとつです。
たんぱく質は体内で以下のようなさまざまなはたらきを持っています。
- 筋肉や皮膚、内臓など、人体をかたちづくるものの主成分
- 生体機能の調節にかかわる酵素やホルモン、抗体などとしてはたらく
- 炭水化物や脂質と並んでエネルギー源としても利用される
このような重要なはたらきをするため、タンパク質は健康の維持のために一定量を摂取する必要がある「必須栄養素」です。
栄養素としてのたんぱく質について詳しく解説した記事はこちら
日本人の食事摂取基準2020年版では、健康を維持するために食事から摂取したいたんぱく質の量として
- 18~64歳の男性:1日あたり65g
- 18~64歳の女性:1日あたり50g
をそれぞれ推奨量としています。
ほかの栄養素とのバランスとしては、摂取エネルギー全体の13~20%をたんぱく質からとれると理想的です。
(炭水化物由来エネルギーは50~65%、脂質由来エネルギーは20~30%)
基礎代謝の高い筋肉の材料
ダイエット後もリバウンドせず、太りにくい体をつくるためにもたんぱく質は重要です。
タンパク質は筋肉の材料となる成分であり、筋肉は基礎代謝の高い組織であることがポイントです。
筋肉は、体温を維持するための熱を作ってエネルギーを消費してくれる働きがあり、安静にしている状態でも、筋肉は1日に1㎏あたり13kcalを消費します。
対して、脂肪細胞は1日に1㎏あたり4.5kcal。
筋肉質な人ほど、同じエネルギーを食べても太りにくいといえます。
しかし、ダイエットのために食事量を極端に減らすと、体は足りなくなったエネルギーを確保するため、体脂肪だけでなく筋肉も分解します。
食事を減らすばかりのダイエットでは筋肉の分解に加えて食事からのたんぱく質が不足し、筋肉を作り出すことができなくなります。
間違ったダイエット方法では筋肉が分解されて減少することで、ダイエット前と比較してエネルギーを消費しにくい体、太りやすい体になってしまうのです。
そのため、見た目や体重では痩せたとしても、ダイエット前の食事に戻すと、リバウンドなどが起こることにつながります。
リバウンドを防ぐためにも、筋肉量はしっかりと維持することが重要です。
筋肉量の維持のためには、筋肉の材料となるたんぱく質を摂取する必要があります。
加えて、適度な運動を加えることで筋肉量を減らさずに体脂肪を減らしていくことが可能になります。
ダイエット中におすすめのタンパク質食品
たんぱく質はダイエット中でも確保したい栄養素のひとつです。
たんぱく質は肉、魚、卵といった動物性食品だけでなく、米や麦、豆などの植物性食品にも幅広く含まれています。
このうち、たんぱく質の含有量が多く、体にとって利用効率の良い肉類・魚介類・たまご・乳製品、大豆などの豆類がたんぱく質の主な摂取源となります。
しかし、これらの食品は食材の部位や調理法によって脂質の含有量が多くなってしまい、それによって摂取エネルギーが多くなってしまう場合があります。
ダイエット中は必要なたんぱく質に伴う脂質の摂取が多くなりすぎないように、たんぱく質を多く含みつつも、脂質の少ない食品選びが大切です。
ダイエット中におすすめの低脂質・高たんぱくな食材を紹介します。
皮を除いた鶏肉
鶏肉は皮を取り除くことで低脂質・高たんぱくな食材とすることができます。
鶏肉は、脂質の大部分が皮のその周りについています。そのため、脂身を取り除くのも皮をはがすだけで簡単です。
ダイエット食品としてメジャーな鶏むね肉だけでなく、比較的カロリーの高い鶏もも肉も、皮をはがしてしまえばかなり低カロリーな食材になります。
皮つき100g | 皮なし100g | |
鶏もも肉 | 190kcal | 113kcal |
鶏むね肉 | 133kcal | 105kcal |
文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」より作成
赤身の豚肉・牛肉
豚肉、牛肉は見た目に脂身の少ない「赤身」のものを選ぶと低脂質・高たんぱくにできます。
豚肉・牛肉は鶏肉と違って赤身の部分と脂身の部分が混ざり合っており、鶏肉ほど簡単には取り外すことはできません。
品種や個体差はあるものの、以下のような部位が脂身が少なくおすすめです。
- ヒレ
- モモ
もし、肉の外側に取りやすそうな脂身がついていた場合には包丁で切って取り除くのも方法のひとつです。
しかし、鶏肉ほど脂身を取り切れないので、もともと脂の少ないヒレ肉などの部位を使うのも有効です。
白身魚と赤身魚
ダイエットのためには、白身魚と赤身の魚がおすすめです。
魚のカロリーは魚種や部位によって大きく違い、鶏ささみよりも低いものから、脂身付きの豚ロースを上回るものまであります。
一般的に青魚と呼ばれるサンマやサバは脂質を多く含むため高カロリーです。
一方、以下のような赤身魚、白身魚は比較的脂質が少なく低カロリーです。
- カツオ
- まぐろ(赤身)
- かじきまぐろ
- タラ
- かれい
- ひらめ
- 鮭(紅鮭、秋鮭)
ただし、赤身や白身であっても、トロなどの脂ののった部位や油の多い魚種は高カロリーになりやすいので注意が必要です。
青魚には脂質が多いとはいえ、EPAやDHAなど健康的な脂が多いこともあるため、「絶対に食べないようにする」というものではないと考えましょう。
豆腐
大豆製品の中でも豆腐は低カロリーな食品です。
- 木綿豆腐
- 絹豆腐
タンパク質の含有量は肉や魚と比較すると少なめですが、豆腐は料理のボリュームを増すのにも役立つため、おすすめです。
同じ大豆製品でも、油で揚げた生揚げ・油揚げ・がんもどきなどは比較的高カロリーな点に注意しましょう。
ダイエット中のタンパク質摂取のコツ
ダイエット中でもたんぱく質はしっかりとるほうがよい…ということはここ数年で広く知られるようになってきました。
その一方で、たんぱく質の不足を避けるために必要以上にたんぱく質の摂取を増やしていたり、またはたんぱく質がダイエットにいいという誤解からたんぱく質の過剰摂取につながりかねない食事をしていたり…といったことも少なくありません。
ダイエット中のたんぱく質の摂取について、適量摂取のために気を付けたいポイントをまとめました。
1食あたり手のひら1枚分をとる
タンパク質の必要量を満たすための目安量は、1食あたりお肉やお魚を手のひら1枚分食べることです。
ダイエット中はたんぱく質を多く含む食品をたくさん食べようと考えるよりも、1日3食でバランスの取れた定食メニューに近いものを食べることがコツです。
タンパク質は1日3食でごはんやパンなどの主食と肉や魚などの主菜をきちんと食べていればそうそう不足するものではありません。
しかし、夕食を抜いたり、朝食や1日の主食(ごはんやパンなど)を抜いたりすると必要量を下回ってしまう可能性がありますので、毎食同じくらいの量を摂ることを意識するとよいでしょう。
プロテインは必要に応じて取り入れる
プロテインは便利なたんぱく質の摂取源ですが、食事や運動の内容に合わせて取り入れるのがおすすめです。
プロテインはたんぱく質を主成分に、ビタミンやミネラルなどの栄養素が配合されているサプリメントの一種です。
商品の種類にもよりますが、同じ量のたんぱく質を通常の食事からとるよりも脂質を少なく抑えられるため、トレーニングやダイエットを行う人からの人気を集めています。
プロテインはたんぱく質を効率的に摂取するのに適していますが、手軽に摂取できるため、今までの食事に追加する形での取り入れ方は単に摂取エネルギーを増やしてしまうことになります。
ダイエット目的で取り入れるのであれば、余分な脂質や糖質を含むたんぱく源と置き換えて使う、または運動を取り入れながら使うことで、脂質や糖質のエネルギーを避けつつたんぱく質の摂取量を維持するのに役立ちます。
プロテインを健康的な使い方について詳しく解説した記事はこちら
糖質や脂質も適量摂取する
ダイエットにおいてたんぱく質は大切な栄養素ですが、それ以外の糖質や脂質も適量の摂取が大切です。
糖質や脂質を全くとらず、たんぱく質だけを重視し、タンパク質性の食品だけを食べるダイエット方法では、以下のようなリスクが考えられます。
- 糖質不足のリスク
- 脂質不足によるリスク
- たんぱく質のとりすぎによるリスク
糖質や脂質が不足すると、たんぱく質が体の材料としてではなく、エネルギー源として使われてしまい、効率的に働きません。
また、たんぱく質はとればとるほどやせるような食品成分ではなく、脂質や糖質と同様にエネルギー源となる栄養素ですので、過剰摂取は摂取エネルギーの過剰につながり、体脂肪の増加につながります。
また、たんぱく質の過剰摂取の状態が長期間続くと肥満や生活習慣病のリスクが増えることも示唆されており、適量の範囲での摂取を心がけたいですね。
- 糖質を含む主食(ごはん、パン、麺)も毎食とる
- 油脂類も極端に制限しない
健康的な食事にするには、どの栄養素もある程度の摂取が重要です。
スーパー・コンビニの市販品を活用する
近年ではたんぱく質への注目が高まったことから、低脂質で高たんぱくな調理済み加工食品の種類も増えてきています。
コンビニやスーパーで購入でき、調理不要でそのまま食べられる手軽さが魅力です。
食品名 | たんぱく質 | 脂質 | エネルギー |
サラダチキン(プレーン) | 24.0g | 1.1~2.9g | 113kcal |
サラダフィッシュ | 20.3g | 11.7g | 186kcal |
豆腐バー | 16.0g | 10.4g | 163kcal |
ゆでたまご | 11.6g | 8.6g | 130kcal |
*100gあたり、日本食品標準成分表(八訂)、製品の栄養成分表示情報より作成
中でもサラダチキンはダイエット中の人にも人気の高い商品で、サラダフィッシュや豆腐バーのような派生した商品も登場しいますが、これらの商品は塩分を比較的多く含む傾向があります。
日本人の食生活では塩分の取りすぎが問題視されており、将来の生活習慣病を予防する観点からも、塩分の摂取量は控えめにしたいところです。
ほかのメニューの塩分を少なく抑えるなど、配慮しながら上手に取り入れられるとより健康的です。
サラダチキンと減塩について詳しく解説した記事はこちら
調理法を工夫する
調理法を工夫することで、食事のカロリーを抑えたり、低脂質・高たんぱくな食材も食べやすくすることが可能です。
手作り料理でカロリーを低く仕上げるには、調味料に含まれる油脂や糖類を控えめにすることです。
たとえば、揚げたりするよりも焼く・煮る・蒸す調理のほうが余分な脂が落ち、低カロリーになります。
また、肉を焼くときはサラダ油をひかず、肉から溶け出した脂で焼くことで余分なカロリーをカットすることができます。
また、味付けもチーズソースやホワイトソースなどは脂質が多く含まれており高カロリーなので、塩とスパイスなどでシンプルに味付けするのもおすすめです。
また、低カロリー高たんぱくな胸肉をおいしく食べるためには水分保持がポイントです。
低カロリーでお値段も手ごろな鶏むね肉は、ダイエットの強い味方ですが、パサパサしがちです。
しっとり食感に仕上げるには、鶏むね肉の水分を逃がさないように水分をキープしつつ、加熱しすぎないようにするのがポイントです。
塩分や糖分で保水力を補ったり、低温調理などで火を通しすぎないなどの方法が挙げられます。
低カロリー・高たんぱくなレシピ紹介
この記事で紹介した低カロリーで高たんぱくな食材を活用したレシピを紹介します。
しっとり食べやすくする工夫も取り入れていますので、ぜひお試しくださいね。
鶏もも肉のハーブグリル
※写真はイメージです
【材料】(2人分)
- 鶏もも肉(皮なし)…1枚(300g)
- 塩…小さじ1(5g)
- こしょう…少々
- おろしにんにく(チューブでも可)…小さじ1(4g)
- オリーブオイル…小さじ1(4g)
- ドライハーブ…小さじ1/2(0.5g)
- レモン汁(あれば)…小さじ1(5g)
【作り方】
1.保存用ジッパー付き密封袋にすべての材料を入れてよくもみ込み、10分~30分置く。
2.魚焼きグリルに乗せ、両面をこんがり焼く。(フライパンでフタをしながら焼いてもOK)
【栄養価】1人分
- カロリー…約200kcal
- たんぱく質…28g
電子レンジで柔らか蒸し鶏のサラダ
※写真はイメージです
【材料】(2人分)
- 鶏むね肉(皮なし)…1枚(300g)
- 酒…大さじ2(30g)
- 砂糖…小さじ1(4g)
- 塩…小さじ1(5g)
- 片栗粉…小さじ1(3g)
- おろししょうが(チューブでも可)…小さじ1(4g)
- トマトやきゅうり、レタスなどお好みの野菜(一口大に切る)…好きなだけ
- ●おろししょうが(チューブでも可)…小さじ1/2(2g)
- ●長ねぎ(みじん切り)…長さ10㎝分(25g)
- ●ポン酢…大さじ2(30g)
- ●ごま油…小さじ1(4g)
*お好みで唐辛子などを足してもOK
【作り方】
1.鶏むね肉にフォークで数か所穴をあける。耐熱容器にいれ、酒、砂糖、塩、片栗粉、おろししょうがをもみ込み、室温で15分~30分置く。
(保存用ジッパー付き密封袋に入れて保存可能です。:2~3日程度、原則は肉の賞味期限内に使ってください)
2.鶏肉の入った耐熱容器にふんわりラップをし、電子レンジ600Wで4分加熱し、加熱が終わったらそのまま5分置いて余熱で火を通す。
3.鶏肉を加熱している間にお好みの野菜を食べやすく切って皿に盛り付ける。
4.長ねぎをみじん切りにし、●の材料とよく混ぜておく。
5. 鶏肉の粗熱が取れたら食べやすい厚さに切り、皿に盛り付ける。
6.たれをかけて出来上がり。
【栄養価】1人分
- カロリー…230kcal
- たんぱく質…35g
砂糖と片栗粉には水分をお肉にとどめやすくしてくれる働きがあります。
また、余熱で火を通すことで加熱しすぎによるパサパサを防ぎ、しっとり食感に仕上げることができます。
タレや野菜はお好みなので、カット済みの野菜や市販のドレッシングを使えばもっと手軽になりますよ!
まとめ
たんぱく質は体の健康維持のために必須の栄養素のひとつであり、ダイエット中でも適量の摂取が必要です。
ダイエット中に摂取エネルギーを抑えつつ必要な量を確保するためには、たんぱく質の主な摂取源となる肉類、魚類、たまご、乳製品、大豆製品のうち脂質の少ないものを選ぶとよいでしょう。
また、コンビニやスーパーなどで購入できてすぐに食べられる調理済み加工食品では、サラダチキンのほか、サラダフィッシュ、豆腐バーなど低脂質で高たんぱく質が魅力の商品が多く登場しています。
プロテインサプリはたんぱく質を効率的に摂取するのに適した食品ですが、摂取エネルギー過剰につながらないよう、その他の食事を調整しながら取り入れるのがおすすめです。
近年はダイエットやトレーニングをする人が増えて、たんぱく質の摂取に役立つ食品も多く販売されています。
自分の生活スタイルやダイエット方法に合うものを取り入れつつ、健康的なダイエットに役立てたいですね。
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参考文献 吉田勉 監修. わかりやすい食品機能栄養学. 三共出版, 2010. 高松薫、山田哲雄 編集:「運動生理・栄養学〔第3版〕」.建帛社,2010 厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」 報告書 厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書 社団法人日本栄養士会監修:「食事バランスガイド」を活用した栄養教育・食育実践マニュアル.第一出版,2011. 文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2020年版(八訂)」 |