投稿日: 2022.05.12 | 最終更新日: 2024.05.16

糖質制限ダイエットとは?やせるために効果的な糖質オフの方法を紹介

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糖質制限によるダイエットは、一時ブームにもなり、今も根強い人気のあるダイエット方法です。
支持する人が多い一方で、糖質制限による健康への悪影響を心配する声も一定数あるのも事実。
意見が割れるのは、糖質制限が向いている人とそうでない人がいること、糖質をどのくらい制限するのかというようなやり方によって体への影響に大きく差があることなどが原因のようです。
糖質制限によるダイエット方法の仕組みを知り、自分に合う方法かチェックしてみてはいかがでしょうか?

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Contents

糖質とは?

「糖質」「糖類」「炭水化物」など、似たような言葉で似たような意味を指すため、なんだかよくわからないという人も少なくないのではないでしょうか?
まずは糖質という言葉の意味から、糖質制限のターゲットとなるものを知りましょう。

炭水化物のうち、食物繊維以外のもの

食品に含まれる成分の中で、ブドウ糖、果糖、ショ糖(砂糖)などの単糖類、二糖類をまとめて「糖類」としています。
糖類に加えてオリゴ糖、でんぷん、グリコーゲンなどの少糖類、多糖類をまとめて「糖質」としています。
糖質に加えてエネルギー源にならない食物繊維をまとめて「炭水化物」というグループになります。

つまり、糖質とは、「炭水化物」といわれる食品成分のうち、エネルギー源となる糖類やでんぷん質などを指すもので、エネルギー源とならない食物繊維は含まれないということになります。

ごはんやパンなどの「穀類」や「砂糖類」が代表的

糖質を多く含む食品としては、身近なものでは砂糖やはちみつなどの砂糖類、米・小麦などの穀類、芋類などが知られています。
「糖」といっても甘いものだけではなく、主食となるような食材も糖質を多く含んでいます。

栄養素としての糖質についてより詳しく解説した記事はこちら

糖質制限とは?やせるメカニズムを解説

では、糖質制限とはどのような方法・メカニズムで減量を目指すものなのでしょうか?

カロリーではなく糖質量に着目する方法

糖質制限によるダイエットでは、糖質の摂取により血糖値が上がることでインスリンが分泌され、体脂肪の合成が進むという考え方に基づき、食事に含まれる「糖質量」に着目して食事制限を行うのが特徴です。

制限の程度は様々ですが、具体的には糖質を多く含む主食(米、パン、麺など)や砂糖類の摂取量を減らす方法がとられるようです。

糖質カットで間接的に摂取カロリーを減らすダイエット

「糖質の摂取量を減らすと体脂肪が減る」というのが糖質制限の考え方ですが、実際には糖質の摂取量を減らすことで摂取エネルギーの総量も少なくなり、消費エネルギーとの差から体脂肪が分解・減少していくというのが本当のところのようです。

グリコーゲン貯蔵のための水分減少による減量も

糖質制限では体脂肪の増減とは別に、「グリコーゲン貯蔵のための水分が減少すること」による比較的まとまった体重減少がみられると考えられています。

私たちの体は、糖を「グリコーゲン」という多糖の形で貯蔵しており、空腹時にはこのグリコーゲンを分解して糖を供給しています。

この体内のグリコーゲンは貯蔵に水分を必要とするため、消費されるときに不要になったおおよそ1㎏程度の水分も排出されるといわれています。

ある程度以上の糖質制限では体内の糖も枯渇するため、この体重減少が起こることにより短期間で痩せられた!と感じられやすいようです。
一方で、再び糖質を摂取することでグリコーゲンが貯蔵され始めるとその分の体重も戻るため、ダイエットの本質である体脂肪の減少とは異なるものと考えたほうがよいでしょう。

糖質制限とカロリー制限の違い

糖質制限によるダイエットは、主にカロリー制限を行う従来のダイエット方法と比較されることも多い方法ですが、どのような点が異なるのでしょうか?

体脂肪が減る仕組みは同じ

基本的に、体脂肪の増減は摂取エネルギーと消費エネルギーの差によって決まるものであり、糖質または糖質由来のエネルギーだけが体脂肪の合成にかかわっているわけではありません。

糖質制限とカロリー制限どちらの場合でも、消費エネルギーに対して摂取エネルギーが不足した状態を維持することで体脂肪が分解されていくというメカニズムはどちらも同じです。

糖質の比率を下げた食事と現在の指標でよいとされる栄養バランスの食事の体重減少の差を比較した研究*)では、摂取エネルギーが同じであれば糖質の比率にかかわらず減量効果は同じという結果が出ています。

エネルギー源となる栄養素であるたんぱく質、脂質、糖質のうち、糖質だけが特別に体脂肪になりやすい…ということはありません。

糖質制限・カロリー制限のいずれにしても、「消費カロリーよりも摂取カロリーを少なくすれば痩せる」ということを心に留めておく必要がありますね。

食事に対するアプローチの違い

「カロリー(エネルギー)」に着目し、摂取エネルギーを少なくするように食事制限をするものが多かったのが従来のダイエット方法でした。

いっぽう、「糖質量」に着目し、糖質をカットすることで間接的に摂取エネルギーを少なくするのが糖質制限によるダイエット方法です。

最終的に体に起こる変化(エネルギー不足分を体脂肪から消費)は同じですが、ダイエット中の食事をどう変えていくか、というアプローチの方向が異なるものといえます。

糖質制限のメリット・デメリット

糖質制限ダイエット

カロリー制限によるダイエットとはアプローチが異なる糖質制限によるダイエットですが、取り組み方の違いによって、どのような利点があるのでしょうか?
反対に、どのような点が弱点となるのでしょうか?

糖質制限のメリット

糖質制限によるダイエットでは、個人差はありますが、糖質を多く含む食品のみをターゲットとすることで従来のカロリー制限よりも負担が少なく済むと感じる人も少なくないようです。

食事全体に占める割合が大きいため減らしやすい

令和元年度の国民健康・栄養調査によると、日本人の食生活では糖質由来のエネルギーが摂取エネルギー全体の6割近く(56.3%)を占めることが分かっています。
次いで脂質由来のエネルギーが28.6%、たんぱく質由来のエネルギーは15.1%となっています。
糖質が食事の中でも大きな割合を占めていることから、ほかの栄養素に比べて大幅なカットが比較的行いやすいという特徴があります。

おかずは減らさないことによる満足感の維持

定食メニューのような食事の場合、ごはん・パン・麺などの「主食」が主な糖質の摂取源となっています。
一方で肉や魚のようなメインのおかずである「主菜」は主にたんぱく質や脂質の摂取源となっています。

よって、糖質制限によるダイエットでは、「主食」をカットして「主菜」は減らさない、といったパターンが多くなります。
食事においてメインのおかずは減らしたくないという人にとっては、気持ちの面で負担の少ない方法といえそうです。

糖質制限のデメリット

糖質は体にとって重要な栄養素のひとつです。
そのため、糖質制限によるダイエットでは、カットする対象を「糖質のみ」に限定することによるデメリットも存在します。

減らしすぎによる体調不良リスクがある

糖質は体内では主にエネルギー源として働きます。
同じくエネルギー源となるたんぱく質や脂質をある程度とっていても、ある程度の糖質を摂取できていないことによる体調不良が起こることが心配されます。

  • 脳が必要とする量の糖質が不足し、集中力の欠如や眠気・イライラなどが起こりやすくなる
  • 血糖値の維持のため筋肉組織が分解され、筋量の低下や代謝量の低下が起こる
  • 糖の代わりに体内でエネルギー源となるケトン隊の影響で体臭が強くなることがある
  • 血中脂質が増加し、脂質異常症や血管疾患のリスクが高くなる

過剰気味だった糖質を適正量にカットする程度の糖質制限ではあまり心配する必要はありませんが、厳格な糖質制限ではこのような影響がでることが考えられます。

体脂肪以外の体重減少で実際の効果がわかりにくい

糖質制限のメカニズムでも触れましたが、糖質制限によるダイエットでは、体内に蓄積されているグリコーゲンの枯渇とそれに伴う水分の排出により、一時的にまとまった体重減少がみられることがあります。

モチベーションの向上につながる一面もある一方で、体脂肪の減少による体重減少ではないため、すぐに戻りやすい特徴があります。

体脂肪の減少による体重の減少は比較的緩やかに進むため、グリコーゲン及び水分量の変化による体重減少によって覆い隠されやすく、実際にどのくらい減らせたかがわかりにくくなっています。

数日単位の短期間で体重の変化を見るのではなく、数週間、数か月以上の長い期間で平均的な体重の変化を見ていくのがよいでしょう。

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糖質制限ダイエットで痩せない理由は?

糖質制限によるダイエットは効果があった!とする人もいれば、うまくいかなかった、という人もいます。
糖質制限がうまくいかない原因は、どのようなものが考えられるでしょうか?

もともとの糖質摂取量が多くなかった

太ってしまう(体脂肪が過剰に増えてしまう)原因は、日々の消費エネルギーに対して摂取エネルギーが大きすぎることが原因であり、その摂取エネルギーを少なくするために糖質量に着目して食事を見直すのが糖質制限です。
しかし、もともとの糖質の摂取量が少なく、摂取エネルギー過剰の原因が糖質ではなく脂質やたんぱく質だったという場合だと、糖質制限によるダイエットがうまくいかないことが考えられます。

このような場合には摂取量の見直しをするべきは糖質ではなく、摂取エネルギー過剰の原因となっている脂質やたんぱく質といったほかのエネルギー源といえるでしょう。

糖質は制限したが他をとりすぎている

「糖質さえ制限すれば、ほかは何をどれだけ食べてもいい」と考えてしまうと、糖質を多く含む食品を減らした代わりに、ほかの脂質やたんぱく質を多く含む食品を普段以上に食べてしまう場合も。
結果としてトータルの摂取エネルギーが変わらなかった(またはいつもより増えてしまった)ためにダイエットにならなかった…ということが起こりえます。

体脂肪が減らず水分量の変動だけだった

糖質制限により体に必要な分の糖質が不足すると、体内のグリコーゲンとその貯蔵のための水分が消費・排出されるため、体重の減少が起こります。

しかし、糖質の摂取は減ったものの摂取エネルギーは減っていないなど、体脂肪の分解までに至らないと、グリコーゲンの枯渇による体重減少は起こるものの、糖質制限を解除してグリコーゲンの貯蔵が行われることですぐにまた元の体重まで戻る、ということが起こりえます。

糖質制限が向いている人・しないほうがいい人は?

糖質制限のメリットとデメリット、失敗パターンを踏まえると、どんな人が糖質制限によるダイエットに向いているのでしょうか?

糖質制限が向いている人

糖質制限はもともと砂糖類や主食をとりすぎていた人にはオススメです。

糖質制限によるダイエットは、糖質を制限することで摂取エネルギーのカットにつなげる方法です。
よって、普段の食事で糖質を多く含む主食や砂糖類をとりすぎていたという人には適切な改善ポイントであり、効果も期待できる方法といえそうです。

糖質制限が向いていない人

一方、いままでの食事がメインのおかずや揚げ物に偏りがちで、摂取エネルギー過剰の原因が糖質ではなかった(脂質など)場合には、糖質制限はあまり向いていないかもしれません。
糖質を減らしてもあまり効果が期待できないほか、もともと多くなかった糖質の摂取量を必要以上に減らしてしまい、体調不良の原因になることも考えられます。

糖質制限が向いているか確認するのがおすすめ

糖質制限ダイエットを始める前に、自分が太ってしまう原因は何か、自分の普段の食事スタイルを見直してみることが大切です。

糖質制限によるダイエットはこれまでの食事が糖質に偏りがちであれば有効な方法ですが、そうでない場合にはあまり適さないこともあります。
糖質制限が効果的かどうか、というのはこれまでの食事の内容によるところが大きいといえるでしょう。
自分のこれまでの食事スタイルを振り返り、糖質を多く含む食品をついつい食べすぎる傾向にあるな…ということであれば、糖質の摂取量を適正な範囲に制限するといったような食事の見直しを行うのもよい方法です。

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正しい糖質制限のやり方

自分には糖質制限が合っていそうだ、と思う場合でも、過剰な糖質制限は健康面で悪影響が心配されます。
糖質制限によるダイエットを行うにあたり、押さえておきたいポイントを紹介します。

糖質制限の目安

どのくらい糖質を制限すればいいのでしょうか?

糖質は食品に含まれる成分のひとつですので、エネルギー(カロリー)と同様に正確な量を把握するのは困難です。
そのため、「糖質摂取量を1日○○g以内に抑える」といった管理方法は手間が大きく、お勧めできません。

正確な摂取量を把握・コントロールするよりも、「主食」「菓子類」としての摂取量を適正範囲に抑えるのがよいでしょう。

主食や菓子類としての適切な摂取量はどのくらいかを知るのに便利なのが、厚生労働省と農林水産省が発表している「食事バランスガイド」です。

食事バランスガイド
引用:厚生労働省:「食事バランスガイド」について より

食事バランスガイドは、必要なエネルギー量に応じてバランスの取れた食事の目安を示すもので、主食、主菜、副菜、牛乳・乳製品、果物、菓子・嗜好飲料(ジュースやお酒など)といったグループごとに「ちょうどいい量」を知るのに役立ちます。

この中で、糖質を多く含む食品のグループである「主食」と「菓子・嗜好飲料」について、1日あたりの適正量は以下のように示されています。

  • 18~69歳男性(身体活動レベルふつう):主食7~8つ、菓子・嗜好飲料200kcalまで
  • 18~69歳女性(身体活動レベルふつう):主食5~7つ、菓子・嗜好飲料200kcalまで

※食事バランスガイドに基づき、食事内容をチェックできるサイトを紹介します。(外部サイト)

今までの食生活を思い浮かべてみて、バランスガイドと比べて多かった…という人は、まずは食事バランスガイドが提示する量まで減らしてみましょう。

バランスガイドと比べてそう多くはないけれど、糖質をターゲットに食事を減らしたい…という人は、

  • 主食の量を1日あたり1つ分減らす(例:5~7つ→4~6つ)
  • 菓子・嗜好飲料の量を100kcal以内に減らす(例:200kcal→100kcal)
    といった工夫をしてみてはいかがでしょうか?

ちなみに、主食1つはエネルギーにすると150~200kcal程度に相当し、菓子・嗜好飲料100kcalと合わせると1日あたり250~300kcalほどのカットになります。

体脂肪1㎏に相当するエネルギーは7200kcalほどといわれているため、上記の食事制限を行うことで1か月1㎏以上の減量効果が期待できる計算になります。(240kcal×30日=7200kcal=体脂肪1㎏のカット)

具体的な糖質制限の方法①:お菓子や嗜好飲料のコントロール

お菓子やジュース・お酒等に含まれる糖質は砂糖などが主で、栄養上の必要性はそれほどないため、優先的に減らしたいものといえます。

食事の楽しみを担う部分でもありますので、完全になくす必要はありませんが、適量の範囲に収められるようにしたいですね。

具体的には、市販されているものであれば栄養成分表示などを確認し、1日あたりの量を200kcalまたは100kcalなど決めた量に収めるようにしましょう。

お酒に関しては「糖質ゼロ」をうたっていても、アルコールからのエネルギーがあり、カロリーゼロではないことに注意しましょう。

100kcalに相当する間食を紹介した記事はこちら

具体的な糖質制限の方法②:主食のコントロール

菓子・嗜好飲料と同様、1日あたりの適正量を意識しながら食べることが大事です。

「主食」の1日あたりの適正量は以下のように示されています。

  • 18~69歳男性(身体活動レベルふつう):主食7~8つ
  • 18~69歳女性(身体活動レベルふつう):主食5~7つ

主食「1つ」は炭水化物量で40gに相当する食事の単位で、以下のように数えることができます。

食品 目安量 主食●つ?
ごはん おにぎり1個(100g) 1つ
白米ごはん茶碗1杯(150g) 1.5つ
白米ごはん茶碗多め1杯(200g) 2つ
白米ごはんどんぶり大盛り1杯(300g) 3つ
パン 4-6枚切り食パン1枚 1つ
ロールパン2個 1つ
ラーメン1人前 2つ
うどん1人前 2つ
パスタ1人前 2つ

ラーメン+チャーハンなどの主食+主食の組み合わせや、丼物などの一品物は主食の量が多くなりがちです。
可能であれば定食メニューのような一汁三菜スタイルを選ぶことで、主食の量も控えめにしやすくなります。(小盛にするなどの調整もしやすくなりますね!)

カロリー管理も併用する

糖質の摂取量を整えることは大事ですが、ダイエットの本質は「カロリー収支」にあります。

ダイエット中においては、自分の消費カロリーに対して摂取カロリーが多くなっていないか、体重の変化を観察しつつ、食事の内容を見直していきましょう。

カロリー収支の管理には、消費カロリーを知っておくこと、カロリー管理アプリなどで摂取カロリーを把握することが重要です。

自分の消費カロリーを計算できるページはこちら

糖質制限ダイエットの期間

糖質制限によるものに限らず、ダイエットは数日のような短期ではなく、数か月以上の緩やかなペースで取り組むことをおすすめします。

短期間の厳しい食事制限は勢いで達成できることもありますが、体への負担が大きく体調不良が心配なことに加え、終了後に食事内容を戻すことでリバウンドする可能性も高くなります。

少しの食事制限を数か月以上かけて緩やかに行うものは体調不良を引き起こす心配が少なく、また習慣化しやすいため、目標体重達成後もリバウンドにつながりにくい点が魅力です。

糖質制限中の注意点

糖質制限によるダイエット方法は、自分には向いていそう!と思っても、やり方次第で体によくない影響を及ぼすことも十分に考えられます。
実施に当たっては、注意が必要なポイントを意識しながら、安全に取り組んでくださいね。

過度な糖質制限

体重の減少が目に見えるようになってくると、もっと結果を出したい!という気持ちから、食事制限がエスカレートしてしまうことも。

脳や赤血球といった組織は原則として糖質(ブドウ糖)のみをエネルギー源としており、1日あたり最低でも160g以上を必要とするといわれています。
(食事バランスガイドから考えると主食4つ分に相当します)

必要最低限の糖質が摂取できていないと、低血糖によるだるさや疲労感、イライラなどが起こることが考えられますので、「主食は完全にゼロ」のように糖質の摂取量を極端に減らすことは避けたほうがよいでしょう。

脂質、たんぱく質の過剰摂取

糖質の摂取量を減らすと、糖質以外のエネルギー源であるたんぱく質や脂質の摂取量や摂取割合が増えやすくなります。

脂質もたんぱく質も体にとって一定量の摂取が必要な栄養素ではありますが、適度な範囲を超えて摂取すると生活習慣病や心血管疾患などのリスクが上がることが示唆されています。

糖質さえ避けていればほかの食事はどんな風に食べても大丈夫、ということはありませんので、極端な食事は避けたいですね。

まとめ

いままで主流だったカロリー制限によるダイエットに比べて比較的目新しさがあり、一時はブームにもなった糖質制限。
しかし、体脂肪が減る仕組み自体は今までのカロリー制限と同じもので、異なるのは「どう食事にアプローチするか」という点でした。

糖質制限によるダイエットは、今までの食生活で糖質をとりすぎていた、という人には効果的で効率的な方法になりえるといえそうです。
反対に、摂取エネルギー過剰の原因が糖質ではなかった、という人には、あまり良い方法ではないかもしれません。
実行にあたっては、自分のこれまでの食生活を振り返ってみる必要がありそうです。

糖質制限の話題では、糖質は体に悪いものでなるべく少なくするべき、たんぱく質や脂質はたくさんとるべきといった極端な意見をみかけることもありますが、これも間違い。

糖質、たんぱく質、脂質はどれも体にとって必要なものであり、また、どれもとりすぎは体に悪影響を及ぼします。

大事なのは「適度な範囲で摂取する」ことです。
今まで糖質をとりすぎていたという人は適正範囲か適正範囲より少し少なめにする、というくらいが効果的に、かつ健康的に行える糖質制限といえそうです。

善か悪か、0か100かのような極端な考え方をせず、ちょうどいいバランスを保っていきたいですね。

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参考文献

吉田勉 監修. わかりやすい食品機能栄養学. 三共出版, 2010.

*)Low carbohydrate versus isoenergetic balanced diets for reducing weight and cardiovascular risk: a systematic review and meta-analysis. Naude CE, Schoonees A, Senekal M, Young T, Garner P, Volmink J.PLoS One. 2014 Jul 9;9(7):e100652.

厚生労働省:「国民健康・栄養調査」

厚生労働省:「食事バランスガイド」について

社団法人日本栄養士会監修:「食事バランスガイド」を活用した栄養教育・食育実践マニュアル.第一出版,2011.

厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2015年版)」

厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。