2020.05.29

血糖値が高い!下げるための食事のポイント|管理栄養士執筆

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玄米ご飯

健康診断で「血糖値が高い」といわれても、何がどう悪いのかよくわからないのではないでしょうか?
血糖値とは何か、高いとどう悪いのか、血糖値を下げるための食事や生活習慣のポイントを紹介します。

血糖値とは?糖尿病になるのはどこから?

そもそも、血糖値とは何を表した数字なのでしょうか?
血糖値が高いことで体にどのような悪影響があるのでしょうか?

血糖値(空腹時血糖)とは

血糖値とは、血液中のブドウ糖の濃度をしめした数値です。

ブドウ糖は食事から吸収されて血管内に入り、インスリンというホルモンの作用によって全身に取り込まれ、エネルギー源となります。

よって、血糖値は測るタイミングによっても大きく変動し、食後には高く、空腹時には低くなります。
一般的な健康診断等では空腹状態で測定するため、「空腹時血糖」という呼び方もあります。

健診結果の読み方

日本人間ドック学会の2020年度判定区分表*1)では、HbA1cという別の項目の数値も関連するものの、

■異常なし…99㎎/dL以下

■軽度異常…100~109㎎/dL

■要経過観察(生活改善・再検査)…110~125㎎/dL

■要治療・要精密検査…126㎎/dL以上

*1)日本人間ドック学会:「2020年度判定区分表」

が目安となります。
ご自身の検査結果はどの範囲に入ったでしょうか?

慢性的になれば「糖尿病」と診断される

高血糖の状態が慢性的になると、「糖尿病」と診断されることもあります。

糖尿病の診断においては血液検査の数値だけで決められるわけではなく、慢性的な高血糖・症状・家族歴・体重歴などから総合的に判断されます。
そのため、自己診断ができるものではありませんが、空腹時血糖が126㎎/dL以上が複数回確認されている場合は慢性的な高血糖と判断される可能性もあると考えられますので、注意が必要です。

ちなみに、糖尿病にはⅠ型とⅡ型の2種類が存在します。
Ⅰ型は自己免疫によって膵臓のインスリンを分泌する部分(β細胞)が破壊されてインスリンが作れなくなるタイプ、
Ⅱ型はインスリンの分泌が少なくなりやすい遺伝的な原因に加えて内臓脂肪型肥満によってインスリンの効きが悪くなるタイプであり、原因や治療法に異なる部分があります。

今回は糖尿病の大部分を占め、生活習慣と大きくかかわるⅡ型糖尿病に関連する高血糖について解説します。

高血糖=メタボ?

肥満に加えて糖代謝、脂質代謝、血圧、喫煙習慣のうちリスクが2つ以上ある状態になると、「メタボリックシンドローム」、いわゆる「メタボ」と診断されます。*2)
*2)メタボリックシンドローム診断基準検討委員会. メタボリックシンドロームの定義と診断基準. 日本内科学会雑誌; 2005;94:188-203.

メタボの定義

メタボの診断基準のうち、糖代謝の基準は空腹時血糖110㎎/dLとなっています。

「血糖値高め」もメタボも目立った自覚症状はないけれど…

血糖値が高く、複数のリスクを抱えたメタボリックシンドロームであっても、体調不良などの自覚症状はないことがほとんどです。

一方で、目に見えない動脈硬化(血管の劣化)を着実に進行させ、血管をもろく・詰まりやすくしていくため、放置すると心筋梗塞や脳梗塞といった命にかかわる大きな病気を引き起こすリスクを高めます。

血糖値が高くなる理由と原因

血糖値が高くなってしまう要因には、生活習慣が多く関係しています。
心当たりはありませんか?

肥満(摂取エネルギーの過剰・消費エネルギーの不足)

空腹時の血糖値が上がる原因として第一に挙げられるのが「肥満」です。

肥満は食後の血糖値を下げるインスリンの効きを悪くし、血糖値が下がりにくい状態を作り出すことがわかっています。

メタボリックシンドロームの診断基準では、
おへその高さでの腹囲が男性85㎝以上、女性90㎝以上の場合を生活習慣病につながりやすい「腹部肥満」としています。

また、日本肥満学会の定めた基準では、
身長と体重から肥満度を表すBMI【=体重(㎏)÷身長(m)2】が25以上の場合を肥満としています。

食事が不規則で、朝食を抜いたり、夜遅く食べたりすることが多い・増えた

不規則な生活や食事習慣は肥満を助長する要因のひとつでもあります。

仕事や生活環境が変わってから体重が増えた…という人も多いため、気を付けたいポイントです。

運動不足・喫煙・睡眠不足や長すぎる睡眠・ストレスなどがある

肥満のほか、運動不足・喫煙習慣・睡眠不足や長時間の睡眠はそれぞれ糖尿病の発症リスクを上げることが知られています。

検査値改善のためのポイント

角砂糖

まずは肥満の是正

肥満はこれまでの消費エネルギーに比べて摂取エネルギーが多かったことを示します。

よって、まずは

■食べる量を減らして摂取エネルギーを減らす

または

■身体活動量を増やして消費エネルギーを増やす

といった方法をとり、体についた体脂肪を減らす必要があります。

さらに、運動はウォーキングやジョギングのような有酸素運動だけでなく、筋トレでも糖尿病の発症リスク低下にかかわっています。
食べすぎの是正は必要ですが、運動を組み合わせるとさらに理想的です。

減量の目標は腹囲やBMIを適正範囲まで落とすことですが、短期間での減量は体への負担も大きくお勧めできません。

1か月あたり1~2㎏程度の緩やかな減量がおすすめです。

ちなみに、1㎏の体脂肪はエネルギーに換算しておよそ7200kcal。
1か月で1㎏の体脂肪を落としたい場合、体重の増減が止まっている状態から1日当たり240kcalを食事または運動でカットできると1か月1㎏のペースに当てはまります。

糖質制限の効果・安全性は不明確。まずは王道のエネルギーカットから

高血糖は血液中に糖分が多い状態であることから、糖質の取りすぎが原因であると考えられがちですが、実際には糖質(炭水化物)の摂取量が多いと糖尿病を発症しやすい…といったような結論はいまだ得られていません。

よって、高血糖=食事の糖質を減らせばよい、とは言い切れません。
通常の食事のバランスから大きく外れることによって、高血糖以外の健康リスクを高めることもわかっています。
(例:たんぱく質の過剰摂取による心血管疾患リスク上昇など)

糖質制限食が注目されていますが、現段階では長期的な効果や安全性ははっきりとは分かっていません。
現状では「糖質の制限」ではなく、「摂取エネルギーの適正化」が第一となります。

穀類食物繊維・適量の果物・野菜先食べが◎。

糖尿病の発症リスクを下げたり、血糖値の上昇を抑えることがわかっている食べ物や食べ方もあります。

■食物繊維を多く含む穀類(例:精製度の低い玄米や全粒粉、麦ごはんなど)

■適量の果物(1日100g程度まで。ジュースは除く)

■野菜を先に食べる食べ方(ベジタブル・ファースト)

穀類の食物繊維や適量の果物は糖尿病の発症リスクを下げるといわれており、野菜を先に食べる食べ方は食後の血糖値の上昇を抑えることに役立つと報告されています。

積極的に取り入れたい一方、いつもの食事にただプラスするだけでは摂取エネルギーの適正化を妨げる可能性も。
適正なエネルギー摂取量の範囲で、積極的に取り入れてみてくださいね。

アルコールは適量にとどめて

血糖値が高くても、直ちに禁酒が必要なわけではありませんが、適量を超えた飲酒では糖尿病の発症リスクが高まることが知られています。

糖尿病診療ガイドライン2019では、多くとも25g/日までにとどめることが勧められています。

また、健康日本21にてアルコールによる様々な影響をもとに決められた「節度ある適度な飲酒量」は1日あたり平均純アルコール20g程度まで、週2日の休肝日をつくることとされています。

純アルコール20gとは、アルコール度数5%のビールでおおよそ500ml、中ビン1本ほど。
量や頻度が「適量」よりも多いという人は、量や頻度が適量に収まるよう、気を付けてみましょう。

そのほかのお酒についての「適量」はこちら
→アルコールの適量20gとは?お酒別適量リスト|管理栄養士執筆

また、普段の飲酒がこれよりも少ない場合でも、なるべく増やさないようにするのがよいでしょう。

トクホもいいけどメインは食生活改善

近年ではメタボリックシンドロームの改善に着目した特定保健用食品(トクホ)も多く発売されています。

摂取することで血糖値の低下などに効果があると認められたものではありますが、薬のように効果があるものではないことを理解して取り入れるのがおすすめです。

可能であれば、各商品の紹介ページなどにアクセスし、
・誰が(例:空腹時血糖が110~125㎎/dLの人)
・どのような取り方をしたら(例:食事とともに1本飲用)
・どのくらいの効果があったのか(例:血糖値のピークが5㎎/dL程度低下)
を確認し、納得してから取り入れるのが理想的です。

また、研究で得られた効果は平均値であり、すべての人に同じように効果が表れるとは限らないことを頭に置く必要があります。

簡単に取り入れられるトクホは魅力的な存在ですが、通常の商品に比べて割高であったり、期待するほど効果が大きくなかったりと、トクホ「だけ」に頼るのはあまり良い方法とは言えません。

食事や運動の見直しに「プラスするもの」として、上手に取り入れるのがおすすめです。

まとめ:できることから始めてみましょう

始められそうなポイントはあったでしょうか?
一度にすべてを対処するのは負担が大きく、続きません。

一番簡単そうなところから、少しずつ習慣を見直していってくださいね。

参考文献

厚生労働省e-ヘルスネット:「BMI」

厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書

公益財団法人 健康・体力づくり事業財団:「健康日本21」

メタボリックシンドローム診断基準検討委員会. メタボリックシンドロームの定義と診断基準. 日本内科学会雑誌; 2005;94:188-203.

日本人間ドック学会:「2020年度判定区分表」

糖尿病診療ガイドライン2019

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。