2020.09.11

野菜の栄養は生と加熱どっちがいい?生野菜の栄養を無駄なくとるコツ

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サラダ

野菜は健康の維持やダイエットに役立つ食品です。

では、生で食べるのと加熱して食べるのとでは、摂取できる栄養素の量や、健康に与える影響はどのように変わるのでしょうか?
加熱調理の有無によっておこる違いを整理して、どちらを選ぶべきか、見ていきましょう。

調理加工による栄養素の損失

「野菜は加熱すると栄養素が減る」という話を聞いたことはありませんか?

これは、調理によって

  • 野菜の細胞の断面からゆで汁などの食べない部分に栄養素が流れ出る
  • 熱などの作用によって栄養素の構造が変化し、栄養素としてのはたらきを失う

ことによるものです。

栄養素の中でも、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素はこの影響を受けやすいものがあります。
例えば、ビタミンCなどの水溶性ビタミンは水に溶けだしやすく、ビタミンCは熱によって壊れやすいことが知られています。
また、ビタミンAなどの脂溶性ビタミンは油に溶けだしやすい特徴をもちます。
野菜に含まれるミネラルとしては、カリウムが水に溶けだすことで失われることが知られています。

加熱をしない野菜料理では熱による栄養素の損失はありませんが、水にさらすといった非加熱の調理操作でも、栄養素は失われます。

「加熱調理=栄養素が減る」「非加熱調理=栄養素は減らない」というイメージもありますが、実際はゼロか100か、という話ではなさそうです。

調理ごとのビタミンCの残存量

調理による栄養素の残存率をまとめた論文*)では、加熱調理だけでなく非加熱調理(水にさらすなど)によっても栄養素の損失がおこることが報告されています。
*)小島 彩子, 尾関 彩, 中西 朋子, 佐藤 陽子, 千葉 剛, 阿部 皓一, 梅垣 敬三, 食品中ビタミンの調理損耗に関するレビュー(その2), ビタミン, 2017-2018, 91 巻, 2 号, p. 87-112

ビタミンCの残存率を比較すると、

ゆでる 46±23%

煮る 67±17%

蒸す 83±9%

フライパンで焼く 71±17%

揚げる63±25%

漬ける・浸す 78±29%

ミキサーにかける、絞る、おろす 70±31%

となっています。

栄養素の損失は加熱しない調理行程でも起こる

上記のデータでは、加熱調理の中でも蒸し調理などの栄養素残存率が高いもの、非加熱調理の中でもすりおろしなど栄養素残存率が低いものもあることが示されています。

また、このデータでは野菜の種類や調理工程の細かな違いのためにデータのばらつきも大きいため、一概に加熱すると栄養素が大幅に減る、非加熱ならほとんどが保持されるとも言い切れません。

この論文では、熱によって壊れるほかに、茹でる調理や水にさらす工程で栄養素が水に溶けだすことによる影響が大きいことが示唆されています。
同じ量の野菜から栄養素を多くとるためには、加熱の有無よだけでなく野菜の断面がどれだけ水に触れていたか、も問題となりそうですね。

加熱したとしても、スープのように溶けだした栄養素もとれる調理法もありますし、非加熱でも細かく切って長時間水にさらすような場合では、栄養素が流れ出して減ってしまう、ということが起こります。

また、加熱によって栄養素が多少失われたとしても、加熱したほうがカサが減ってたくさん食べられるため、結果的にビタミンやミネラルをたくさんとれる、と考えることもできます。

栄養素の損失が少ない調理法とは

ここまでをまとめると、野菜の栄養素を無駄なくとるためには、

  • 加熱が少ない(生で食べる)
  • 水にさらさない、または短時間に留める(生なら水にさらさない、加熱ならゆでるのではなく蒸すなど)
  • 栄養素が溶けだした水分ごと食べる(スープなど)

などの調理法がおすすめといえそうです。

とはいえ、あくの強いほうれん草や千切りキャベツなど、食事としておいしく食べるためには下茹でや水さらしの工程が必要な場合も少なくありません。
おいしくなければたくさんは食べられませんから、多少の栄養素の損失はあっても、たっぷりの野菜を食べられるほうが摂取できる栄養素は多くなりそうです。

栄養素の摂取だけでなく、食事を楽しむ観点も忘れないようにしたいですね。

生野菜と加熱野菜のメリット・デメリット

野菜は栄養素の摂取源としてだけでなく、低カロリーで食べ応えを増してくれる食材としても有用です。
栄養素だけに限らない、生野菜と加熱野菜のそれぞれのメリットとデメリットから、上手な野菜の使いかたを考えてみましょう。

野菜を加熱しないで食べる場合、加熱して食べる場合にはそれぞれ以下のような特徴があります。

■生野菜の特徴

  • 加熱したものと比較するとカサが張る
  • カサが張るため量のわりに満足感がある
  • 組織が柔らかくなっていないため、噛み応えがある
  • 加熱調理による栄養素の損失が少ない(ただし、加熱以外の調理による栄養素損失はある)

■加熱野菜の特徴

  • 生よりもカサが減る
  • カサが減るため、たくさん食べることができる
  • 加熱によって組織が柔らかくなるため、食べやすく、消化によい
  • 加熱調理による栄養素の損失が起こる

といった特徴が挙げられます。

低カロリーでボリューム確保なら生野菜

生野菜のサラダや千切りキャベツなど、生の野菜は組織にハリがあるため、量のわりにカサが大きく、食事のボリュームアップに役立ちます。

ダイエット中など、低カロリーな食事でも満足感を得たいときには、ボリュームを増してくれる生野菜がよりよいもの、といえそうです。
とはいえ、必ずしも生野菜料理=低カロリーとは言えません。
ドレッシングなどの調味料によっても影響を受けるので、併せて選べるといいでしょう。

野菜をたっぷりとりたいなら加熱野菜

「健康な生活のための1日分の野菜は350g」といわれます。
これは、野菜に含まれるビタミンやミネラル、食物繊維の摂取を目的としたもの。

生の野菜だけで350gの野菜を食べるのは大変ですが、加熱調理によってしんなりカサの減った料理になれば、簡単に食べることができます。

まとめ

野菜を食べるとき、それぞれのメリットとデメリットをまとめると、

加熱しない場合は

  • ボリュームが出てダイエット向き
  • 栄養素の損失が比較的少ない(ただし、水さらしなどによる損失はある)

加熱する場合は

  • ボリュームが減ってたくさん食べられる
  • 熱による栄養素の損失がある(ただし、摂取量でカバーできる)

といえるのではないでしょうか。

生野菜と火を通した野菜、どちらが絶対的にいい、ということはありません。
野菜を食べるときに重視したいのはダイエットなのか、栄養素の摂取なのかによって、選び分けるのもいいかもしれませんね。

野菜を食べることの栄養的メリットについて詳しく解説した記事はこちら

参考文献

小島 彩子, 尾関 彩, 中西 朋子, 佐藤 陽子, 千葉 剛, 阿部 皓一, 梅垣 敬三, 食品中ビタミンの調理損耗に関するレビュー(その2), ビタミン, 2017-2018, 91 巻, 2 号, p. 87-112

公益財団法人 健康・体力づくり事業財団:「健康日本21」

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。