投稿日: 2019.10.18 | 最終更新日: 2024.03.28

お酒・アルコールの適量とは?健康のために守りたいお酒別の飲酒量の目安を紹介

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お酒の適量

酒は百薬の長、とも言いますが、適量を超えたアルコールは体に悪影響があることは明らか。
では、この「適量」とは実際にどれくらいなのでしょうか?
お酒の種類ごとの度数から、一目でわかる適量を紹介します。

アルコールの適量とは

お酒の適量とは

アルコールはとりすぎると健康に様々な悪影響を及ぼすことから、適量に留めることが勧められています。
具体的には、

  • 1日あたり純アルコールとして20gまで
  • 週2日の休肝日を設ける
  • 女性、お酒に弱い人、高齢者はさらに少なくする

このほか、特定の疾患の治療のために完全な禁酒が必要な場合も。
また、もともと飲酒習慣のない人では、この量の飲酒が推奨されるわけではありません。

1日あたり20g

厚生労働省が掲げる健康施策である「健康日本21」では、「節度ある適度な飲酒」として「1日平均純アルコールで20g程度」としています。

適度な飲酒量を守ることで、メタボリックシンドロームや生活習慣病の予防や治療に役立つと考えられています。

週2日の休肝日を設ける

一般的に、アルコール代謝を行う肝臓を休めるためにも週2日の休肝日を設けることが推奨されています。

「休肝日」とは、肝臓を休めるために設定する、「飲酒しない日」のことです。

毎日お酒を飲む習慣が続くとアルコールに対する耐性ができ、飲酒量の増加につながると考えられています。
休肝日を設定することで飲酒の総量を減らし、肝臓の修復を助けることで、肝臓などの健康障害を予防することが期待できます。

女性、お酒に弱い人、高齢者はさらに少なくする

アルコールによる体への影響は、血液中のアルコール濃度が高くなることで起こります。

そのため、アルコールによる影響の受けやすさは以下のような要素によって左右されることが知られています。

  • 体格(小さいと同じ量でも体内アルコール濃度が高くなる)
  • 体内の水分量・体脂肪率(体脂肪率が多く水分が少ないと体内のアルコール濃度が高くなる)
  • アルコールの代謝能力(低いと分解できずに体内のアルコール濃度が高くなる)

女性、お酒に弱い体質の人、高齢者では上記の特徴を持つことから、アルコールの影響を受けやすいと考えられます。

女性については、年齢や体質にかかわらず少なめにといわれるのは、以下の理由によるものです。

  • 一般的に男性よりも体格が小さいことが多い
  • 一般的に男性よりも体脂肪率が高く、体内水分量が少ない
  • 一般的にアルコール代謝能力が平均して男性の3/4程度

こういった理由から、女性は飲酒量を男性の1/2~2/3に抑えるのが望ましいと考えられています。
1日平均の純アルコールとしては男性の半分、10g程度と考えるとわかりやすく安心です。

もちろん、体格や体組成、アルコールの代謝能力には個人差があるため、個人レベルで考えれば、女性よりもアルコールの影響を受けやすい男性も当然いると考えられます。

お酒ごとの適量リスト

1日20gのアルコールといっても、それがどのくらいの量を示すのかわからないという人がほとんどではないでしょうか。

  • アルコールの濃度(アルコール度数)はお酒によってもさまざま
  • アルコール度数=アルコールの重量ではない

このような状態が分かりにくさの原因になっていると考えられます。

アルコール度数と量から純アルコール量を求めることはできるものの、毎回計算するのは手間ですね。

 

アルコール度数から純アルコール重量を求める計算式

純アルコール量(g)=アルコール度数(%)/100×アルコールの比重0.8×お酒の量(ml)

純アルコール量20gに相当するお酒の量を求める計算式

お酒の量(ml)=アルコールの適正量20g/アルコールの比重0.8/アルコール度数(%)×100

 

2021年3月以降はアルコール量がグラム表記する流れができつつありますが、すべての酒類でグラム表記されているわけではありません。
そこで、アルコール度数に対応する「適量」リストを作ってみましたので、ぜひご活用ください!

アルコール度数 純アルコール20gに相当する酒量 市販の酒類の例
3% 833ml チューハイ(3%):350ml缶+500ml缶
4% 625ml 黒ビール、発泡酒(4%):350ml缶2本弱
5% 500ml ビール、チューハイ(5%):中ビン1本または500ml缶1本
6% 417ml
7% 357ml チューハイ(7%):350ml缶1本
8% 313ml
9% 278ml チューハイ(9%):350ml缶0.8本
10% 250ml

12%

208ml ワイン(12%):ワイングラス1.7杯
13% 192ml 梅酒ロック(13%):3杯
15% 167ml 日本酒(15%):1合弱
20% 125ml
25% 100ml
26% 96ml 焼酎(単式蒸留):1杯
30% 83ml
35% 71ml
36% 69ml 焼酎(連続式蒸留):1杯
40% 63ml ジン(40%):ダブル1杯
42% 60ml ウイスキー・ブランデー(42%):ダブル1杯
45% 56ml

上記の度数、適量はあくまで目安です。
正確なアルコール度数が分かる場合にはその数値をあてはめて考えるのがおすすめです。

アルコールのとりすぎによる健康リスク

アルコールによる健康リスク

アルコールのとりすぎによる健康リスクは、短期間で起こる急性アルコール中毒のほか、肥満や生活習慣病、各種臓器の障害やがんの発症、アルコール依存など多岐にわたります。

それぞれの内容について詳しく解説します。

急性アルコール中毒

短時間で多量のアルコールを摂取すると、血中のアルコール濃度が高くなりすぎることによる健康障害を起こします。

  • 意識レベルの低下
  • 嘔吐
  • 血圧低下
  • 呼吸数の低下

急性アルコール中毒ではこれらの健康障害により命に危険が及ぶことも。

アルコールそのものの影響だけでなく、転倒などによるけがや事故につながることも危惧されます。

脂肪肝、肝炎、肝硬変、肝がん

肝臓はアルコールの代謝を行っている臓器です。
そのため、アルコールのとりすぎによる影響も受けやすい一方、症状が自覚しにくいため、早期発見と予防が大切です。

アルコールによる肝臓障害は以下の順で進展していきます。

  • 脂肪肝
  • アルコール性肝炎
  • アルコール性肝繊維症
  • 肝硬変
  • 肝臓がん

肝硬変が進行すると肝臓の再生が難しくなるので、肝疾患につなげないように健康なうちからの飲酒量の管理が大切です。

肥満、生活習慣病

アルコールは1gあたり7kcalのカロリーを持つ物質であり、とりすぎは摂取カロリーの過剰から肥満の原因になります。

また、お酒と一緒に食べる食事がダイエットの妨げになることもあります。
おつまみの定番には揚げ物のような高カロリーな食べ物が多いといえますね。

また、お酒を飲むときの食事は長時間になる場合も多く、結果として食事量が多くなってしまうことも考えられます。

→ダイエットの観点からお酒とおつまみについて解説した記事はこちら

また、肥満と関連する生活習慣病は、それぞれアルコールが影響していることが知られています。

  • 高血圧
  • 高血糖
  • 脂質異常症

さらに、これらの生活習慣病が進行すると以下のような大きな病気につながることもあり、注意が必要です。

  • 脳梗塞や脳出血
  • 不整脈、心筋梗塞

アルコール依存

アルコールには依存性があり、長期に多量の飲酒を続けているとアルコール依存症の原因となります。

本人の身体的健康だけでなく、本人及び周囲の人の精神的な健康も損なう原因となることが危惧されます。

女性特有の健康リスク

女性に心配されるアルコールによる健康リスクの中には女性に特有のものも存在します。

  • 乳がんのリスクが上昇
  • 妊娠中では胎児の発育に様々な問題が起こる可能性

妊娠中は禁酒が原則ですが、がん予防の観点からも適度な飲酒を心がけたいですね。

睡眠の質を下げる

寝つきが悪いときにお酒の力を借りるのはあまりおすすめできません。

アルコールは眠気を誘う作用で寝つきをよくする効果があるものの、眠りが浅くなるために睡眠の質を下げるといわれています。

睡眠環境や入浴・食事などの生活リズムなどを整えて、なるべくお酒に頼らない工夫ができるとベストです。

健康維持のためのお酒の飲み方

健康にいいお酒の飲み方

適度のお酒は楽しみになりますが、取り入れ方も大事です。
健康的にお酒を楽しむためのポイントを紹介します。

適量を守る

これまでで紹介した表などを参考に、1日あたりのアルコールの適量を守りましょう。

健康な男性では20gまで、さらに女性、高齢者などではさらに少なめに抑えましょう。

体質に合わせて飲む

「アルコールの適量は20g」といえど、体質は人それぞれ。

性別・年齢を問わず、少量でも顔が赤くなるなど、お酒に弱い人はアルコールによる悪影響を受けやすいと考えられます。
上記の目安量までは飲んで大丈夫、というような考え方はせず、控えめの量を心がけましょう。

おつまみを食べる

お酒におつまみはつきものですが、エネルギー(カロリー)を気にしておつまみを食べない、というのはあまりお勧めできません。

アルコールは胃でも一部が吸収されますが、腸に到達すると速やかに吸収されます。
胃に食べ物が入っていない状態ではお酒は胃を素通りし、腸で速やかに吸収されてしまいます。
アルコールの吸収速度が速いと肝臓でのアルコールの分解が追い付かず、血中アルコール濃度が高くなってしまい、悪酔いの原因に。

いっぽう胃に食べ物が入った状態ではアルコールも一度胃で足止めされ、ゆっくりと腸に移動して徐々に吸収されます。
肝臓でのアルコールの分解も同時に行われるので、血中アルコール濃度はさほど高くならずに済むと考えられています。

もちろん食べすぎには注意が必要ですが、気分良く飲むためにもある程度のおつまみは用意したほうがよさそうです。

まとめ

適量を超えた飲酒による健康上の問題点は大きく分けて2つ。

  • 短時間に過剰飲酒をすることによる急性アルコール中毒
  • 飲酒量が多い状態が習慣化することによる生活習慣病や肝臓病、アルコール依存症

からだに現れる症状の違いはあれど、命にかかわる問題になりかねないことは共通しています。
健康な生活を長く送るためにも、お酒の適量は守りたいポイントですね。

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参考文献

厚生労働省:「健康日本21 アルコール」

厚生労働省e-ヘルスネット:「栄養・食事・血圧から見た許容飲酒量」

厚生労働省e-ヘルスネット:「飲酒」

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。