2022.07.28

カフェインの一日摂取量の上限は?過剰摂取による副作用に注意!

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飲み物などに含まれ、気分をすっきりさせてくれるカフェインは比較的身近な食品成分のひとつですが、一日に摂取していい量の上限はどのくらいでしょうか?

カフェインの一日摂取量の上限値と過剰摂取による副作用、カフェインの摂取量に特に注意が必要な人について解説します。

カフェインとは

カフェインはアルカロイドと呼ばれる化合物の一種で、白色・無臭で強い苦味のある物質です。

適量の摂取では眠気や倦怠感を解消する効果がありますが、過剰量の摂取では健康被害が多く報告されています。

天然にはコーヒーナッツ、茶葉、カカオナッツ、ガラナナッツ、コーラナッツ、マテ葉に含まれており、これらの食品を原料とする加工食品にも含まれます。

■原料由来のカフェインを含む加工食品の例

  • コーヒー飲料
  • 茶(緑茶、紅茶、ウーロン茶など)
  • ココア
  • チョコレート
  • マテ茶

また、天然にカフェインを含むものが原材料になっているもののほかに、人工的にカフェインを添加したものとして、一部の食品や医薬品が挙げられます。

■人工的にカフェインが添加されているものの例

  • コーラなどの清涼飲料水
  • エナジードリンク
  • 眠気覚ましドリンク
  • 眠気覚ましガム
  • 医薬品(頭痛薬、風邪薬など)

カフェインの一日摂取量の上限は?

カフェインは眠気や倦怠感を解消する効果があることや苦味をつける調味料としても利用されることから、様々な食品(飲料)に含まれていますが、過剰摂取による健康被害の報告も多く、日本を含む複数の国で注意喚起が行われています。

カフェイン摂取量について日本での基準

日本国内でのカフェインの摂取量の基準について、カフェインに対する感受性は個人差が大きく、健康に及ぼす影響を正確に評価することが難しいことから、明確な「摂取上限」は設定されていません。

明確な摂取上限の基準値はないものの、内閣府食品安全委員会、厚生労働省、農林水産省から過剰摂取に対する注意喚起が行われています。

カフェイン摂取量について世界の基準

海外においては、カフェインの摂取上限値について、世界保健機関(WHO)をはじめとしたさまざまな組織がリスク評価を行い、悪影響のない最大摂取量について提言を行っていますが、その数値は対象によって必ずしも一致していません。

健康な成人に対して悪影響のない最大摂取量については各国の間で比較的一致しており、欧州食品安全機関(EFSA)とカナダ保健省、オーストリア保健・食品安全局(AGES)、ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)、国際生命科学研究機構(ILSI)北米支部の提言によると、一日あたり400㎎までとされています。

■カフェインについて、悪影響のない最大摂取量と提言を行っている機関

  • 健康な成人…400㎎/日
    (EFSA、カナダ保健省、AGES、BfR、ILSI北米支部)
  • 妊婦…200㎎/日(EFSA、AGES、BfR、英国食品基準庁(FSA))、
      …300㎎/日(WHO、カナダ保健省、ILSI北米支部)

  • 授乳中の女性…200㎎/日(EFSA、BfR)
  • 健康な子供及び青少年…3㎎/㎏体重/日(EFSA)
              …2.5㎎/㎏体重/日(カナダ保健省、ILSI北米支部)

また、1日あたりの摂取上限量に加え、1回あたりの摂取上限量も示されており、EFSA、AGES、BfRにおいて1回あたり200㎎までにすることが推奨されています。

日本人はどれくらいカフェインを摂取している?

2009年の報告では、1日あたりのカフェインの平均摂取量は女性で256.2㎎、男性は268.3㎎と推定されています。

また、カフェインの摂取源はお茶(日本茶または中国茶)とコーヒーがほぼ半分ずつを占めていることが分かっています。

平均値を見た場合には、日本人のカフェイン摂取量は各機関が低減する悪影響のない摂取量(400㎎/日未満)の範囲に収まっているようです。

一方で、400㎎/日を超えたカフェイン摂取をしている人は女性の11%と男性の15%を占めていたとされています。

平均値を見る分には過剰摂取の心配は少なそうですが、日常的なカフェイン摂取量には個人間でのばらつきがあり、過剰摂取の心配がある人も相当数いるようです。

カフェインを含む飲料や食品の摂取量を振り返り、それぞれの人が適正範囲に収められるようにしたいですね。

実際の「悪影響のない最大摂取量」は個人差が大きい

日本国内での基準についての部分でも触れましたが、カフェインに対する感受性(作用や効果の現れ方)は個人差が大きく、同じ摂取量であっても人によって効果の現れ方は違うことが分かっています。

一般的に悪影響のない摂取量の範囲に収まっている場合でも、健康上の問題が現れた場合には「過剰摂取」と考えられますので、自分の体調をよく観察しながら適量範囲の摂取を心掛けたいですね。

カフェインを過剰摂取するとどうなる?

様々な国においてカフェインの過剰摂取に対する注意喚起が行われていますが、過剰摂取ではどのようなことが起こるのでしょうか?

中枢神経症状

カフェインは脳や脊髄といった中枢神経系を刺激する作用を持ち、適量の摂取では眠気や倦怠感の解消に役立ちますが、過剰量を摂取すると作用が強すぎることで悪影響を及ぼします。

  • 不眠(寝つきが悪くなる、睡眠時間が短くなる)
  • 興奮
  • 不安
  • めまい

循環器症状

カフェインは交感神経を刺激する作用を持ち、心臓を中心とした循環器系に影響を与えることが知られています。

  • 心拍数の増加
  • 不整脈の誘発
  • 血圧を高め、心疾患(虚血性心疾患など)のリスクを高める
  • 尿量増加に伴う低カリウム血症による手足の震え

消化器症状

カフェインによる交感神経への刺激作用により、胃や腸で胃酸や消化液の分泌が促進されることから、消化器症状が現れることも知られています。

  • 下痢
  • 吐き気、嘔吐

死に至る場合も

少数ではあるものの、短時間で過剰量のカフェインを摂取したことで死亡した例も報告されています。
いずれもカフェイン製剤やエナジードリンクの多飲によるもので、一般的な摂取量を逸脱した量を摂取していたとみられています。

カフェインを摂りすぎてしまったら

カフェインを摂取しすぎてしまい、体調不良が起こった場合にはどんな対処法が必要となるのでしょうか?

軽度の場合

軽い吐き気などの症状が現れた場合には、水分の摂取により血中のカフェイン濃度を下げる効果が期待できます。

飲めば飲むほどカフェインの排出を進めるわけではありませんが、血中カフェイン濃度が上昇したことによる症状を緩和することはできそうです。

重篤な場合は医療機関へ

ひどいめまいや嘔吐、下痢、心拍数の増加などの重い症状が現れた場合には速やかに医療機関を受診しましょう。

重篤な場合には死に至る可能性もありますので、なるべく早く治療を受けることをおすすめします。

カフェインの摂取量に注意が必要な人とは

カフェインに対する感受性には個人差がありますが、健康な成人とは異なる状態の人でカフェインの摂取量に注意が必要な場合があります。

子ども

子どもは体が小さくカフェインの感受性も高いため、大人に比べてカフェインの影響を受けやすくなっています。

年齢による体格の違いが大きいことなどから、2.5㎎/㎏体重/日(EFSA)、3㎎/㎏体重/日(カナダ保健省)など、体重ごとの基準が示されています。

子どものカフェイン摂取について詳しく解説した記事はこちら→子どもとカフェイン、どこまで気を付けるべき?|管理栄養士執筆

妊婦・授乳婦

妊娠中はカフェインの代謝にかかる時間が長くなり、カフェインの影響を受けやすくなることが知られています。

また、カフェインは胎盤を通して胎児にも移行して影響を与えるため、1日あたりの摂取量を200~300㎎未満(国によって違いあり)にすることが提言されています。

出産後においても、カフェインは乳腺を通過して母乳に含まれることから、複数の国と機関から1日あたり200㎎未満にすることが勧められています。

カフェインに敏感な人

繰り返しになりますが、カフェインに対する感受性は個人差が大きく、国際的に示されている「悪影響のない最大摂取量」が誰にでも当てはまるわけではなく、そのために、日本では明確な基準値が設定されていません。

カフェインを含む飲料や食品で作用が出やすい人においては、数値基準にとらわれずに体調をよく観察しながら摂取量を調整する必要があるでしょう。

飲酒者

飲酒時にはカフェインを含む飲食物の摂取は控えましょう。

カフェインによる健康被害というよりも、カフェインの作用によってアルコールによる体の機能低下を隠してしまい、結果として過剰な飲酒による健康への悪影響を受けやすくなることが指摘されています。

飲酒時にカフェインを摂取して気分がすっきりしていても、アルコールが体からなくなったわけではないことに注意が必要です。

カフェインが多い飲み物は?

カフェインは天然にはコーヒー豆や茶葉、カカオ豆になどに含まれていることが知られていますが、飲み物としてはどんなものにどれくらいの量が含まれているのでしょうか?
また、カフェインの摂取を控えたいときに役立つ、カフェインを含まない飲み物にはどんなものがあるでしょうか?

カフェインを含む飲み物

原料にカフェインを含むものや、人工的にカフェインを添加したものがありますが、飲み物の種類によって含有量が異なります。

食品 カフェイン濃度 一杯分のカフェイン
エスプレッソコーヒー 212㎎/100ml 64㎎/30ml
ドリップコーヒー 60㎎/100ml 90㎎/150ml
インスタントコーヒー 57㎎/100ml 86㎎/150ml
玉露(高級緑茶) 160㎎/100ml 96㎎/60ml
緑茶(煎茶) 20㎎/100ml 30㎎/150ml
ほうじ茶 20㎎/100ml 30㎎/150ml
紅茶 30㎎/100ml 45㎎/150ml
ウーロン茶 20㎎/100ml   30㎎/150ml
市販コーラA  10㎎/100ml  50㎎/500ml
市販コーラB  8㎎/100ml  38㎎/500ml
市販缶コーヒーA  77㎎/100ml  146㎎/190ml
市販缶コーヒーB   50㎎/100ml 93㎎/185ml
市販エナジードリンクA  32㎎/100ml  80㎎/250ml
市販エナジードリンクB   40㎎/100ml 142㎎/355ml
眠気覚ましドリンクA  240㎎/100ml  120㎎/50ml
眠気覚ましドリンクB  300㎎/100ml  150㎎/50ml

文部科学省:「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」、食品メーカーのデータから作成

コーヒーやお茶に関しては、滲出時の濃さによってもカフェインの濃度が変化するため、同じ原料でも場合によって摂取量が異なることがあります。

ノンカフェインの飲み物

カフェインを避けたいときに役立つノンカフェイン(カフェインを含まない)の飲み物を紹介します。
一般的には、コーヒーナッツ、茶葉、カカオナッツ、ガラナナッツ、コーラナッツ、マテ葉などカフェインを含む原料を使っていないもの、人工的にカフェインを添加していないものが当てはまります。

お茶類の中でカフェインを含まない原料から作られたものには以下のようなものがあります。

  • 麦茶
  • トウモロコシのヒゲ茶
  • ルイボスティー
  • カモミールティー
  • ローズヒップティー
  • レモングラスティー
  • ミントティー
  • ハイビスカスティー

ハーブティーの一部には茶葉がブレンドされているものもありますので、原材料等の表示を確認するのが確実です。

一部、カフェインとは別に妊娠中には適さないハーブティーもありますので、妊娠中には注意が必要です。

また、近年ではコーヒーや茶葉からカフェインを除去したものもあり、

  • カフェインレスコーヒー
  • カフェインレス紅茶

なども見かけることが多くなってきましたので、上手に活用できるとよいでしょう。

カフェインを含まない飲み物について詳しく解説した記事はこちら→
ノンカフェインはどれ?飲み物選びのポイント|管理栄養士執筆
「デカフェ」とは?普通のコーヒーとの違い|管理栄養士執筆

まとめ

カフェインは眠気や倦怠感の解消に効果がある成分ですが、過剰摂取では中枢神経や循環器、消化器等に悪影響を及ぼし、重篤な場合には命にかかわる可能性もあるため、適量範囲での摂取にとどめることが勧められています。

カフェインの摂取上限量については発表している機関や対象者によっても異なり、日本では明確な基準は設けられていませんが、各国の基準を参考にすると、健康な成人の場合では、1日あたり400㎎までに抑えるのが一つの目安となっているようです。

また、子ども、妊娠中の女性、授乳中の女性ではさらに少ない量に留める必要があり、個人差も考慮しながら個人ごとの適量を守る必要があります。

カフェインの摂取においては、カフェイン濃度の高いものの大量摂取を避けるほか、ノンカフェインの飲み物の活用も効果的です。

エナジードリンクなど、人為的にカフェインを添加したもの、カフェイン製剤などでは摂取量が多くなりやすく、過剰摂取につながりやすいため特に注意しましょう。

また、アルコールによる影響を隠してしまい過剰な飲酒につながりやすくなることが懸念されていますので、アルコールとカフェインの同時摂取は避けるようにしましょう。

カフェインの効果と過剰摂取について詳しく解説した記事はこちら→カフェインの効果とは?メリットととりすぎた時の症状を紹介

参考文献

栗原 久.日常生活の中におけるカフェイン摂取-作用機序と安全性評価-,東京福祉大学・大学院紀要 第6巻 第2号(Bulletin of Tokyo University and Graduate School of Social Welfare) pp109-125 (2016,3)

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:「健康食品」の安全性・有効性情報「カフェイン」

内閣府 食品安全委員会:「食品中のカフェインについてのファクトシート」

Yamada, M., Sasaki, S., Murakami, K., Takahashi, Y., Okubo, H., Hirota, N., . . . Date, C. (2010). Estimation of caffeine intake in Japanese adults using 16 d weighed diet records based on a food composition database newly developed for Japanese populations. Public Health Nutrition, 13(5), 663-672.

福島 洋一, カフェイン, 化学と生物, 2021, 59 巻, 4 号, p. 162-164

文部科学省:「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。