最近、目にする機会の多い「デカフェ」という言葉。
コーヒーなどの飲み物に使われることの多い言葉ですが、普通のものと何が違うのでしょうか?
「デカフェ」の意味とメリットとデメリットについて解説します。
デカフェとは
コーヒーなど、もともとカフェインを含んでいる食品からカフェインを取り除いた状態を「デカフェ」といいます。
コーヒーについて使われることが多い言葉ですが、同じくカフェインを含むお茶類(緑茶、紅茶、ウーロン茶など)やコーラにもデカフェ製品が存在します。
カフェインレス、ノンカフェインとの違い
「デカフェ」と似た意味の言葉として、「カフェインレス」「ノンカフェイン」といったものがあります。
これらの言葉の意味を整理すると、
デカフェ:本来カフェインを含むものからカフェインを取り除いたものであり、ごく一部は残っている。(例:デカフェコーヒー)
カフェインレス:デカフェと同様、本来カフェインを含むものからカフェインを取り除いたもの。厳密には違う意味で使うことも。(例:カフェインレスコーヒー)
ノンカフェイン:カフェインを全く含まないもの。取り除かなくとも入っていないものを指すことが多い。カフェインゼロともいう(例:麦茶、ハーブティーなど)
デカフェ≒カフェインレスであり、
ノンカフェイン≒カフェインゼロといった感覚でも間違いではないようです。
デカフェのカフェイン残存量
一般社団法人全国公正取引協議会連合会の表示に関する公正競争規約では、カフェインレス(≒デカフェ)コーヒーとして表示するにはカフェインを90%以上除去したものでなければいけない*1)ようです。
豆の種類や分量、抽出方法によっても異なりますが、ドリップコーヒーのカフェイン濃度は100mlあたり60㎎ほど*2)といわれています。
マグカップ1杯を200mlと考えると、1杯当たりのカフェイン量は120㎎となりますが、デカフェコーヒーであれば(単純に考えれば)12㎎以下になる、と考えることができそうです。
デカフェのメリットとは
デカフェのメリットは「カフェインによる思わしくない作用を避けられること」です。
カフェインの作用とデメリット、デカフェにすることのメリットを整理します。
カフェインの作用
カフェインは摂取することでヒトの体に様々な影響を及ぼします。
中枢神経活性化
眠気を軽減する覚醒作用、集中力を維持して疲労感を感じにくくする作用があります。
この作用を期待してカフェインを添加しているエナジードリンクなどが身近ですね。
利尿作用
個人差や条件による差があるようですが、カフェイン摂取によって尿量が増加することが分かっています。
循環器系に与える影響
血圧や心拍数を上げる作用があることが分かっています。
カフェインのネガティブな効果
カフェインの作用は有効活用することができますが、その作用が表れる状況によっては、望まない効果として現れることもあります。
覚醒作用による不眠
目を覚ましたいときにはとてもありがたいカフェインの覚醒作用ですが、眠りたいときに眠れない、という不眠症状の原因になることもあります。
厚生労働省では、健康的な睡眠のためには就寝前3-4時間以内のカフェイン摂取は控えたほうが良い*3)、としています。
めまい、心拍数の増加、吐き気、興奮や不安
カフェインが中枢神経や循環器に与える影響が大きすぎると、体にとって望ましくない症状として現れる可能性があります。
コーヒーからの摂取では考えにくい量ではありますが、サプリメントタイプのカフェインを過剰摂取して死亡した例も報告されています。
カナダ保健省、欧州食品安全機関では、健康な成人においては1日あたりのカフェイン摂取量は400㎎程度までに抑えるのが望ましい*2)としています。
妊娠中の胎児・授乳中の乳児への影響
妊娠・授乳中のカフェイン摂取に関しては、世界各国の組織から注意喚起がなされています。
WHOによれば、妊娠中のカフェイン摂取による胎児の影響はまだ確定していないものの、取りすぎには注意が必要で、コーヒーは1日3-4杯程度までにすべき*4)、としています。
英国の食品基準庁では、妊娠中にカフェインをとりすぎることにより、出生児が低体重となったり、将来の健康リスクが高くなったりする可能性がある*5)、としています。
組織によって基準となる数値は異なりますが、おおよそカフェインとして200-300㎎以内、コーヒーとしてはマグカップ2杯程度にとどめることが望ましいとされています。
子どもへの影響
大人に比べて子どもはカフェインに対する感受性が高く、カナダ保健省では
4-6歳:45㎎/日
7-9歳:62.5㎎/日
10-12歳:85㎎/日
13歳以上の青少年:2.5㎎/㎏体重・日(データ不十分のため未確定)
という基準*6)を示しています。
カフェインを避けたい人や状況がある
極端な過剰摂取が体に悪影響を及ぼすことはもちろんですが、
就寝前などの状況や、
妊婦・授乳婦の方や子どもたちなどの場合にはカフェイン摂取を控えたほうがよい場合もあるようです。
メリットはカフェインによるマイナス効果を避けられること
カフェイン入りの飲み物からデカフェの飲み物に変えるメリットは、「カフェインによるネガティブな効果を避けられる」ことにあります。
- 就寝まであまり時間がないがコーヒーを飲みたい人
- コーヒーが好きだけど健康上の理由や妊娠中や授乳中でカフェイン摂取を控えたい人
- カフェイン感受性が高い子どもたち
このような人達にとっては、カフェインの不安を少なくコーヒーなどの飲み物を楽しむために、デカフェは有効な選択肢になる、といえそうです。
デカフェコーヒーの製法
本来カフェインを含んでいるものからカフェインを取り除く、というのはどういう仕組みなのでしょうか?
デカフェコーヒーの作り方について調べてみたところ、通常のコーヒー豆からカフェインを取り除く方法と、もともとカフェインを含まないコーヒー豆を生産する方法に分けられ、さらにその中にも種類があるようです。
コーヒー豆からカフェインを取り除く方法
カフェインを含む通常のコーヒー豆からカフェインを取り除く方法が現在の主流です。
一方でその方法もいくつかあり、製品によって異なるようです。
有機溶剤を用いた方法
カフェインが溶けやすい有機溶剤を使って取り除く方法です。
最初に考案された方法で、1970年代ごろまでは主流の方法でした。
しかし、コーヒーの香り成分が抜けてしまうことや、有機溶剤がコーヒーに残る心配もあり、現在ではほとんど使われていない方法です。
日本では、食品衛生法の制限によってこの方法を用いることができないため、国内で手に入るデカフェコーヒーにこの方法で作られたものはありません。
水を用いた方法
有機溶剤に代わって広まった方法で、人体に悪影響のない水と活性炭などが用いられます。
日本でも広く採用されている方法で、比較的低価格で実施できるようです。
一方でカフェインとともに風味も抜けてしまう場合もあり、味に違いが出そうですね。
二酸化炭素を用いた方法
超臨界二酸化炭素抽出や、液体二酸化炭素抽出などの方法があります。
水を用いた方法よりも設備に費用が掛かるものの、カフェイン以外の成分を残しながらカフェインだけを取り除くのに適した方法です。
設備に費用が掛かるために高価になりやすいですが、コーヒーらしい味を求める人に最適の方法といえそうです。
カフェイン除去方法は各社それぞれ
製品によってカフェインを取り除く方法は統一されていませんが、メーカーやコーヒーショップのウェブサイトではデカフェにする方法を紹介している場合があります。
いくつかのデカフェコーヒーにおいて、インスタントタイプでは水処理法、コーヒーショップでは水処理法のものと二酸化炭素抽出法のものがあり、各社ばらばら、という状況でした。
カフェインを含まないコーヒーの木の開発
カフェインの抽出法のほか、もともとカフェインを含まないコーヒーの木の開発も行われています。
遺伝子組み換えや人工交配によって研究が進められているものの、まだ実用化には至っていないようです。
デカフェのデメリットとは
デカフェのデメリットとして最も大きいものは「味の変化」があります。
コーヒーの風味を楽しみたい人には大きなデメリットになるかもしれません。
カフェインの苦味、風味や香りが弱まる
カフェインそのものにも苦味があり、カフェインが抜けることで苦みが弱くなります。
そのために酸味が強く感じたり、物足りなく感じる場合もあるようです。
苦味が苦手、という人にはおいしく感じられそうですが、苦みが好き、という人はおいしくないと感じることもありそうです。
苦味だけではなく、コーヒーの香りや風味が抜けてしまうこともあり、「薄い」と感じる場合もあるようです。
お店や製品によっても差がある
とはいえ、デカフェのコーヒーはどれもおいしくないのか、というとそうではなく、製品やお店によっても差が大きく、ものによってはデカフェではないコーヒーと何ら変わりない味がする、というものもあるようです。
まとめ:デカフェは選択肢のひとつ
もちろん、「カフェイン入りコーヒー=悪」ではありません。
カフェインは適度であれば摂取しても問題ない成分です。
しかし、状況や飲む人によっては避けたほうがいいものでもあります。
今まではカフェインを理由にコーヒーを楽しめなかったという人にとって、「デカフェ」はとても有用なもののひとつです。
食事や休憩を楽しむための選択肢の一つとして取り入れるのがおすすめです。
デカフェコーヒー以外のノンカフェインの飲み物について詳しく解説した記事はこちら
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