
妊娠中や授乳中、または小さい子どもたちの飲み物には避けたい「カフェイン」。
コーヒーやエナジードリンクに入っていることは広く知られていますが、ほうじ茶などの飲み物ではカフェインが入っているのかわかりにくいことも。
カフェインの摂取を控えている人向けに、ほうじ茶を含めたいろいろな種類の飲み物のカフェイン含有量をまとめました。
メニュー選びの参考にしてくださいね。
ほうじ茶にカフェインは入っている?
ほうじ茶にも多少のカフェインは入っている
ほうじ茶の原料は緑茶や紅茶と同じ「チャ」の葉。
チャはもともとカフェインを含んだものなのでほうじ茶にもカフェインが含まれます。
カフェインの量はコーヒーの1/3
厳密には使用する茶葉とお湯の量でも変わりますが、標準的な淹れ方をしたほうじ茶に含まれるカフェインの量は100mlあたり20㎎程度。
ドリップコーヒー(60㎎/100ml)のおよそ1/3の量のカフェインが含まれます。
カフェインの安全な摂取量はどのくらい?
ほうじ茶のカフェインはコーヒーより少なめ。
でも、そもそもカフェインの安全な摂取量の範囲はどのくらいなのでしょうか?
健康な成人は1日400㎎まで
カナダ保健省や欧州食品安全機関(EFSA)の発表によると、健康な成人に有害な影響のないカフェインの摂取量の最大値は1日あたり400㎎とされています。*1)(1回あたりの摂取量は3㎎/㎏体重)
コーヒーであれば650ml程度(マグカップで約3杯)、
ほうじ茶の場合は2000ml程度(マグカップで約10杯)となります。
コーヒーを常に飲んでいるような人は注意が必要ですが、ほうじ茶であればあまり心配はなさそうです。
*1)食品安全委員会:食品中のカフェインについてのファクトシート
カフェインに対する感受性は個人差がある
カフェインの安全な摂取量の目安が示されている一方で、カフェインは人それぞれ感受性に差があることが知られています。
同じ量を摂取していても、寝つきが悪くなるなどの影響が出る人とそうでない人がいるため、「1日400㎎までなら誰でも問題なく飲める」というよりは、「カフェインの感受性は個人差があるけど、カフェインに強くても1日400㎎は超えないようにしよう」というふうに考えるのがちょうどいいのではないでしょうか。
妊娠中でカフェインの摂取量を気にしてる場合には…
妊娠中のカフェインの過剰摂取が生まれてくる赤ちゃんの低体重などのリスクと関連する可能性が示されており、カフェイン摂取を控えている妊婦さんが多いのではないでしょうか。
悪影響のない最大摂取量として、WHO世界保健機関、カナダ保健省では1日あたり300㎎、
EFSA欧州食品安全機関では1日あたり200㎎を示しています。*1)
*1)食品安全委員会:食品中のカフェインについてのファクトシート
カフェインを一切取ってはいけないというわけではなく、非妊娠時と比較して半分程度までであればカフェインを摂取しても大丈夫なようです。
比較的カフェイン含有量の少ないほうじ茶であれば、通常の範囲であれば問題なく飲むことができそうです。
体が小さく影響が出やすい子どもたちの飲み物には…
妊娠中と並んでカフェイン摂取が気になるのが子どもたち。
まだ体が小さく、カフェインの影響を受けやすいために心配な時期ですね。
カナダの保健省では子どもたちに対する悪影響のないカフェインの最大摂取量として、
4-6歳:45㎎/日
7-9歳:62.5㎎/日
10-12歳:85㎎/日
13歳以上の青少年:2.5㎎/㎏体重・日(データ不十分のため未確定)
という基準*2)を示しています。
*2)Health Canada Reminds Canadians to Manage Caffeine Consumption, 2010.
わざわざカフェイン入りのものを飲ませる必要はありませんが、たまにほうじ茶を飲むくらいであれば大きな心配はなさそうです。
また、最近では子供向けにカフェインを取り除いたお茶飲料も販売されているので、そういったものを利用するのも一つの方法ですね。
どんな飲み物にカフェインが入っているの?
コーヒー、お茶、カカオから作られるものにはカフェインが入っていると考える
コーヒーの木、お茶の木、カカオには植物としてもともとカフェインを持っています。
よって、原則、コーヒー・チャ・カカオを原料としたものにはカフェインが多少なりとも含まれていることになります。
■コーヒー製品
ドリップコーヒー
エスプレッソ
インスタントコーヒーなど
■お茶製品
緑茶(玉露、煎茶、番茶など)
ほうじ茶
玄米茶(緑茶に炒った玄米をブレンド)
ジャスミンティー(緑茶にジャスミンの花をブレンド)
紅茶
紅茶ベースのフレーバーティー(アールグレイ、アップルティーなど)
紅茶ベースのハーブティー(紅茶が含まれないものはノンカフェイン)
ウーロン茶など
■カカオ製品
ココア
ココアパウダーを使ったもの
ホットチョコレートなど
いずれもカフェインが含まれているものですが、その量は製品や作り方によっても変わります。
■おまけ:カフェインを含まないもの
反対に、カフェインが入っていないものは、コーヒーやお茶、カカオを使っていないものといえます。(人工的にカフェインを添加したものを除く)
麦茶やルイボスティーなどがその代表例です。
お茶やココアはコーヒーやエナジードリンクと比べると少ない
原料 | 飲み物の種類 | カフェイン含有量 | 1杯あたり |
コーヒー | コーヒー | 60㎎/100ml | 90㎎/150ml |
チャ | 玉露(高級緑茶) | 160㎎/100ml | 90㎎/60ml |
煎茶(ふつうの緑茶) | 20㎎/100ml | 30㎎/150ml | |
番茶 | 10㎎/100ml | 15㎎/150ml | |
ほうじ茶 | 20㎎/100ml | 30㎎/150ml | |
玄米茶 | 10㎎/100ml | 15㎎/150ml | |
ウーロン茶 | 20㎎/100ml | 30㎎/150ml | |
紅茶 | 30㎎/100ml | 45㎎/150ml | |
カカオ | ミルクココア | 6㎎/100g | 10㎎/150g(5g使用の場合) |
精製 カフェイン |
コーラ | 10㎎/100ml | 50㎎/500ml(ペットボトル1本) |
エナジードリンク(例) | 32㎎/100ml | 80㎎/250ml(缶1本) | |
眠気覚ましドリンク(例) | 300㎎/100ml | 150㎎/50ml(小ビン1本) |
*)日本食品標準成分表2015年版(7訂)、各社製品情報ページより
同じカフェイン入り飲料といっても、その含有量には大きな差があることが分かります。
眠気覚ましドリンクやエナジードリンク、コーヒーと比較すると、お茶製品やココア、コーラはさほど多くカフェインを含んでいるわけではないことが分かります。
カフェインを控えている人でも、ほうじ茶をはじめとしたお茶であれば気軽に飲むことができますね。
ほうじ茶は普通の量なら気にしなくて大丈夫
ほうじ茶にカフェインは含まれるものの、その量はさほど多くはありません。
カフェイン摂取が気になる人であっても、通常飲む量であればカフェインの摂取量は大きな問題にはならないため、安心して飲んで問題ありません。
参考文献 文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」 カナダ保健省:Health Canada Reminds Canadians to Manage Caffeine Consumption, 2010. |