
カフェインはどんな作用がある物質?
カフェインは、天然にはコーヒー豆、カカオ、チャの葉などに含まれる苦み成分で、
覚醒作用による眠気を覚ます効果、疲労感を軽減する効果があることが知られています。
また、興奮作用による血圧・心拍数・体温を上昇させる効果のほか、利尿作用があることも知られています。
この覚醒作用があるために、コーヒーやお茶などのもともとカフェインを含むもの以外にも、エナジードリンクや眠気覚ましドリンクなどに添加する形で含まれています。
カフェインの取りすぎは体調不良の原因に
カフェインは適量をとる分には眠気覚ましや疲労感の軽減に役立つ成分といえるでしょう。
しかし、体の大きさやそれぞれの感受性に対して過剰に摂取してしまうと、めまい・心拍数の増加・興奮・不安・震え・不眠・下痢・吐き気などの体調不良を引き起こす場合があります。
また、アルコールとカフェインを併用することにより、カフェインがアルコールによる機能低下を隠し、結果としてアルコール過剰摂取による健康への悪影響を受けやすくなるといった作用もあるようです。
特に、子どもは体が小さくカフェインの影響を受けやすいため、大人よりも少ない量で上記のような症状が現れることが予想されるため、注意が必要です。
また、妊娠中の女性においては胎児の発育阻害や早産・死産などのリスクを高めることが知られているため、普段よりもカフェインの過剰摂取にならないように気を付ける必要があります。
カフェインの「安全な摂取量」は?子どもは原則ゼロが安心です
カフェインに対する感受性は個人差が大きいことが知られており、どのくらいとるとそのくらい健康に影響があるのか…を正確に評価することは難しいのが実情です。
そのため、日本においてカフェインの1日摂取許容量(毎日、生涯にわたってとり続けても問題ないとされる1日あたりの量)は設定されていません。
国際的にはいくつかの目安が示されており、
健康な成人:400㎎/日未満(EFSA、カナダ保健省)
妊娠中の女性:200㎎/日未満(EFSA)~300㎎/日 未満(WHO、カナダ保健省)
授乳中の女性:200~300㎎/日未満(EFSA)
健康な子どもと青少年:2.5㎎/㎏体重/日未満(カナダ保健省)~3㎎/㎏体重/日未満(EFSA)
といった数値が提示されています。
大人に比べると、子供では安全とされる量がかなり少なく設定されていることがわかります。
また、乳幼児、特に3歳未満では摂取量に言及されていませんでした。
体が小さく少量でも影響を受けやすい子どもたちに関しては、体重当たりの数値が計算できたとしても、その量を簡単に超えてしまうことが考えられます。
「○○㎎までは大丈夫」と考えるのではなく、「原則、カフェインはとらないようにする」とするのが安心です。
身近な飲み物に含まれるカフェイン量とノンカフェインの飲み物
では、身近な飲み物には、どのくらいの量のカフェインが含まれているのでしょうか?
100mlあたりの量と、1杯当たりの量を紹介します。
【飲料に含まれるカフェインの量】
食品 カフェイン濃度 一杯分のカフェイン
エスプレッソコーヒー 212㎎/100ml 64㎎/30ml
ドリップコーヒー 60㎎/100ml 90㎎/150ml
インスタントコーヒー 57㎎/100ml 86㎎/150ml
玉露(高級緑茶) 160㎎/100ml 96㎎/60ml
緑茶(煎茶) 20㎎/100ml 30㎎/150ml
ほうじ茶 20㎎/100ml 30㎎/150ml
紅茶 30㎎/100ml 45㎎/150ml
ウーロン茶 20㎎/100ml 30㎎/150ml
市販コーラA 10㎎/100ml 50㎎/500ml
市販コーラB 8㎎/100ml 38㎎/500ml
市販缶コーヒーA 77㎎/100ml 146㎎/190ml
市販缶コーヒーB 50㎎/100ml 93㎎/185ml
市販エナジードリンクA 32㎎/100ml 80㎎/250ml
市販エナジードリンクB 40㎎/100ml 142㎎/355ml
眠気覚ましドリンクA 240㎎/100ml 120㎎/50ml
眠気覚ましドリンクB 300㎎/100ml 150㎎/50ml
文部科学省:日本食品標準成分表 2015 年版(七訂)(2015)、食品メーカーのデータから引用
飲み物の種類によっても差が大きく、特にエナジードリンクのようなカフェインを添加して作るものは高濃度に含まれています。
コーヒーやエナジードリンクは少量であっても飲ませないほうが安心です。
では、反対にカフェインを含まない飲み物にはどんなものがあるでしょうか?
【カフェインを含まない飲み物の例】
麦茶
ルイボスティー
デカフェ・カフェインレス表示のあるもの(微量は含みます)
コーラ、エナジー系以外の清涼飲料水
茶葉を使っていないお茶類はカフェインを含まないものなので、子供が飲んでも安心です。
一方、ハーブティーなどは薬効があるものもあるため、体の小さい子どもは避けたほうが無難かも。
飲みなれたものでは、やはり麦茶が用意しやすいものと言えそうです。
「なるべくノンカフェイン」のスタンスがよさそう
カフェインに関して、体の小さい子どもは少量でも過剰摂取につながりやすい点が問題と言えるでしょう。
ここまでなら健康への悪影響の心配がない摂取量というものはあるものの、積極的にとるメリットがあるものでもないため、やはり、なるべくなら避けたほうが安心です。
たまに、少量のほうじ茶を飲むくらいであれば深刻な健康への影響が起こるとは考えにくいですが、日常的・習慣的な摂取は避けたいものと言えそうです。
参考文献
世界保健機関(WHO): Restricting caffeine intake during pregnancy (2016)
欧州食品安全機関(EFSA) : Caffeine (2015)
欧州食品安全機関(EFSA): Scientific Opinion on the Safety of caffeine (2015)
カナダ保健省 : Health Canada is advising Canadians about safe levels of caffeine consumption(2017)
文部科学省:日本食品標準成分表 2015 年版(七訂)(2015)
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:「健康食品」の安全性・有効性情報「妊娠中のハーブ製品の自己判断による摂取に注意」