投稿日: 2022.09.25 | 最終更新日: 2024.01.17

カリウムの多い食品は?カリウムの効果と基準値、摂取量の目安を紹介

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カリウムは生活習慣病予防の観点からも積極的に摂取したい栄養素のひとつですが、どのような食品に多く含まれているのでしょうか?

カリウムのはたらきと摂取源として優れた食べ物、健康維持のための摂取目標量について解説します。

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カリウムとは

カリウムはミネラルのひとつであり、体内で健康維持のためにはたらく必須栄養素に分類される成分です。
健康維持のためのカリウムのはたらきと、生活習慣病予防のためのカリウムのはたらきをそれぞれ紹介します。

カリウムのはたらき

カリウムのはたらきには

  • 体液の浸透圧(濃さ)の維持にかかわる
  • 酸性・アルカリ性のバランスをとる
  • 神経の興奮や筋肉の収縮にかかわる

…といったものがあり、体の正常な状態を維持するのに重要な栄養素だといえます。

塩分摂取の多い現代人にとって重要

また、カリウムにはとりすぎたナトリウムを排出する働きがあります。

ナトリウムは必須栄養素のひとつですが、取りすぎは高血圧の原因となり、進行すると動脈硬化性疾患や慢性腎臓病などのリスクを高めるため、必要以上の摂取は避けたいとされる栄養素でもあります。
現代の日本人はナトリウム(食塩)の摂取量が多いため、減塩への取り組みが求められています。
そのうちのひとつとしてカリウムの積極的な摂取が勧められており、カリウムは現代の日本人にとって重要な栄養素のひとつといえるでしょう。

カリウムを多く含む食品

カリウムは必須栄養素のひとつであり将来の生活習慣病予防の観点からも積極的に摂取したい栄養素ですが、どのような食品から摂取することができるのでしょうか?

カリウムの効率的な摂取に適した食品と、カリウムの含有量を紹介します。

カリウムの摂取効率がいいのは野菜類と果物類

カリウムは様々な食品に広く含まれる栄養素ですが、生活習慣病予防の観点では、カリウムをたくさんとることに合わせて摂取エネルギー(カロリー)もたくさんとってしまうことは避けたいところです。

このことから、カリウムの摂取源としては「カリウムの量に対してエネルギーの低い食品」が効率の良い摂取源となり、野菜類や果物類が当てはまります。

カリウムの多い野菜ランキング

身近な野菜類にはどのくらいのカリウムが含まれているでしょうか?
乾物や調理加工済みのものは除く生野菜の中で、比較的まとまった量を食べる機会の多いものをカリウムの含有量が高いものから順に並べてみました。

カリウム(㎎/100g)
ほうれんそう  690
えだまめ  590
にら  510
こまつな  500
ブロッコリー  460
西洋かぼちゃ  450
セロリ  410
ししとう  340
ごぼう  320
ズッキーニ  320
アスパラ  270
にんじん  270
オクラ  260

*すべて調理前の生の状態、日本食品標準成分表2020年版(八訂)より作成

身近な生野菜100gに含まれるカリウムの量は70~700㎎と幅がありますが、野菜類のエネルギーの多くは100gあたり50kcal以内と低く(枝豆などの豆類は100kcal/100g前後と高め)、取りすぎによるエネルギーの過剰につながりにくいところが魅力です。

カリウムの多い果物ランキング

果物についても、野菜と同様に比較的まとまった量を食べる機会の多いものをカリウムの含有量が高いものから順に並べてみました。

カリウム(㎎/100g)
アボカド  590
バナナ  360
メロン  340
キウイ(緑・黄)  300
ネーブルオレンジ  180
もも(白)  180
いちご  170
マンゴー  170
温州みかん  150
パインアップル  150
グレープフルーツ(白) 140
和梨 140
ぶどう 130
スイカ 120
りんご 120

*すべて調理前の生の状態、日本食品標準成分表2020年版(八訂)より作成

果物は太りそうなイメージを持たれることも少なくありませんが、100gあたりのエネルギーはおおむね70kcal以内に収まります。(例外:アボカドは176kcal/100g、バナナは93kcal/100g)

また、後述しますが、調理が不要で生のまま食べる機会が多い果物はカリウムが損失しにくいのも魅力といえるでしょう。

その他のカリウムの多い食材

カリウムの効率的な摂取源としては野菜類や果物類が代表的なものといえますが、そのほかの食品でカリウムの摂取源として優れているのは、

  • きのこ類(カリウム230~370㎎/100g、 エネルギー15~34kcal/100g)
  • 海藻類 (カリウム160~730㎎/100g、 エネルギー11~24kcal/100g)

などが挙げられます。

このほか、穀類、芋類、肉類、魚介類、たまご、牛乳等にも一定量のカリウムが含まれますが、野菜や果物に比べると重さあたりのエネルギーが高いため、カリウムの摂取を目的とする場合に摂取量を必要以上に増やす必要はないと考えられます。

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カリウムはどのくらいとるべき?

積極的な摂取がすすめられるカリウムについて、どのくらいの量を摂取するべきなのでしょうか?

現在の日本人の摂取量と健康維持と生活習慣病のための摂取量から、プラスしたい摂取量を整理します。

日本人の平均摂取量

日本人はカリウムをどのくらい摂取しているでしょうか?
令和元年の国民健康・栄養調査では、

  • 男性20歳以上のカリウム摂取量平均値…2439㎎
  • 女性20歳以上のカリウム摂取量平均値…2273㎎

というデータがあります。
この数値は健康維持や生活習慣病予防の観点からは十分な量といえるのでしょうか?

カリウムの摂取目標量

健康維持のための各種栄養素の摂取量の基準を示した「日本人の食事摂取基準2020年版」では、カリウムの摂取量について体から失われるカリウムを補うことのできる摂取「目安量」と高血圧や心血管疾患、脳卒中、冠動脈性心疾患のリスクを減らすための摂取「目標量」のふたつを設定しています。

■体から失われるカリウムを補うことのできる摂取目安量
18歳以上の男性…2500㎎/日
18歳以上の女性…2000㎎/日
■高血圧や心血管疾患、脳卒中、冠動脈性心疾患のリスクを減らすための摂取目標量
18歳以上の男性…3000㎎/日以上
18歳以上の女性…2600㎎/日以上

令和元年度の国民健康・栄養調査の平均摂取量と比較すると、平均的な食生活では体から失われるカリウムを補うことのできる摂取目安量はおおむねクリアできているようです。

その一方で摂取量の平均値は高血圧や心血管疾患のリスクを減らすための摂取目標量を満たしておらず、生活習慣病予防の観点では、カリウムの摂取量を増やすことが望ましいと考えられているようです。

補足:
日本人の食事摂取基準2020年版におけるカリウムの摂取目標量については、世界保健機構(WHO)のガイドラインにおける推奨値をもとに設定されています。
WHOのガイドラインでは、高血圧や心血管疾患、脳卒中、冠動脈性心疾患のリスクを減らすために1日あたり3510㎎のカリウム摂取を推奨していますが、日本人の現在の摂取量がこの推奨値を大きく下回っていることから、実施可能性を考慮したうえでWHOの推奨量と成人の摂取量(中央値)との中間の値から摂取目標量を設定しています。

目標はあと+330~550㎎

令和元年度の国民健康・栄養調査における20歳以上の摂取平均値と、日本人の食事摂取基準2020年版における高血圧や心血管疾患、脳卒中、冠動脈性心疾患のリスクを減らすための摂取目標量を比較すると、普段の食生活に上乗せしたいカリウムの摂取量は

・18歳以上の男性…+550㎎
・18歳以上の女性…+330㎎

となります。
摂取量の平均値から計算したもので、個人の実際の摂取量にはばらつきがありますが、現在の摂取量に1.5~2割ほど上乗せできると目標量に近づくようです。

カリウムをとりすぎるとどうなる?

カリウムについて、腎臓の機能が正常である場合には、通常の食事からのカリウム摂取について過剰摂取の心配はないとされています。

しかし、サプリメントなど、濃縮された形態での摂取はカリウムの大量摂取が比較的容易にできてしまうために注意が必要です。
サプリメントからのカリウム摂取では通常の食事からの摂取と同様の効果があるという実証はなく、また大量摂取した場合には高カリウム血症を起こす恐れがあるため、サプリメントの取り扱いには注意が必要です。

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カリウムを十分にとるためのポイント

普段の食事で十分な量のカリウムを摂取するには、カリウムを多く含む食品を上手に取り入れることが大切です。

カリウムの摂取量を増やすためのポイントを紹介します。

野菜・果物を十分にとる

十分な量のカリウムを摂取するためには、効率的な摂取源となる野菜や果物をしっかりとることを心がけてみましょう。

国民の健康増進のための厚生労働省の運動「健康日本21(第二次)」では、カリウムを含む各種栄養素の十分な摂取のために、

  • 野菜の摂取量を1日あたり350gに(現状282g+70g)
  • 果物の摂取量が100g未満の人を減らす(現状61.4%→30%)

という目標を掲げています。

日本人の野菜の摂取量の平均は282gとされており、平均的な食事をとっている人の場合、70g(=野菜料理の小鉢1つ分に相当)の上乗せが目標です。
果物に関しては文章がややわかりにくいですが、1日あたり100g(≒みかん1個、りんご1/2個、バナナ1本程度)が習慣的にとれるとよいと考えましょう。

この取り組みにより、集団の平均としてではありますが、カリウムの摂取量が173㎎程度増えることが期待できるようです。

1日の食事のうちどこかで果物を取り入れ、野菜料理を一皿増やすことができるとカリウム摂取の面から健康的な食事に近づけそうです。

加工度の低い野菜・果物をとる

カリウムは水に溶けるミネラルであるため、茹でたり、水にさらしたりすることで水に溶けだしてしまうことが知られています。

例えば、生のほうれん草100gをゆでると、カリウムの含有量は690㎎から343㎎に減少します。

よって、カリウムを効率的に摂取するためには、ゆでこぼしたり水にさらしたりせずに食べられる「加工度の低い」食べ方が効果的です。

  • (水にさらしすぎない)生野菜のサラダ、生の果物
  • 水に触れる面積を小さくするため大きく切る
  • ゆで汁ごと食べられるスープで食べる
  • 煮汁の損失が少ない炒め物にする

など、調理の工夫も効果的です。

まとめ

カリウムは体内の浸透圧・pHのバランスを維持する働きを持つほか、ナトリウムの排出を助けるはたらきがあることから、高血圧や生活習慣病のリスクを減らす意味でも積極的な摂取が勧められる栄養素です。

カリウムの効率的な摂取源としては野菜や果物が代表的であり、摂取エネルギーを抑えながらカリウムの摂取量を増やすのに役立ちます。

WHOのガイドラインで推奨される摂取量に対して日本人の平均的な摂取量は少なく、カリウムを含む食品を積極的にとることが推奨されています。

カリウムの摂取量を増やすためには、

  • 野菜や果物の摂取量を増やす
  • カリウムの損失が抑えられる、加工度の低い食べ方を選ぶ

などがポイントとなります。

カリウムの摂取量を増やすことは高血圧や生活習慣病を予防するために必要ですが、高血圧や生活習慣病の予防にはナトリウム(食塩)の摂取量を減らすことも重要です。

カリウムの摂取量を増やすことと合わせて、減塩も積極的に取り入れていきたいですね。

減塩について詳しく解説した記事はこちら

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参考文献

厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書

文部科学省:「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2020年版(八訂)」

厚生労働省:「国民健康・栄養調査」

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:「健康食品」の安全性・有効性情報「カリウム」

厚生労働省e-ヘルスネット:「カリウム」

厚生労働省:「健康日本21(第2次)の推進に関する参考資料」

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。