
カルニチン(L-カルニチンやアセチル-L-カルニチンとも呼ばれる)は、近年ダイエットに効果があるのでは、と期待されている成分です。
身近な食品からも摂取でき、脂肪燃焼を促進するとうわさされています。
今回は、カルニチンの効果と取り入れるメリットについて解説します。
Contents
カルニチン、L-カルニチンとは
カルニチンはサプリメントの素材として知られているほか、天然にはラム肉に多く含まれることで話題になった成分でもあります。
ラム肉のほかにも、牛肉や豚肉などの肉類全般に豊富に含まれています。
そのため、普段の食事からもある程度の量(数十㎎程度)は摂取しているといわれています。
体内で脂質をエネルギーに変えるはたらきをもつ
カルニチンはエネルギーの産生にかかわる物質です。
人体のほぼすべての細胞に存在し、脂質を酸化(燃焼)してエネルギーを産生するはたらきを持っています。
ダイエットに効果ありといわれるのは、この働きによるもののようですね。
必須栄養素ではない
体内で重要なはたらきをもつカルニチンですが、食事から摂取するほか、体内でもアミノ酸であるリジンとメチオニンから必要な量が合成されています。
そのため、必ず食品から摂取しなければいけない「必須栄養素」には分類されていません。
L-カルニチンのダイエットへの効果
脂肪燃焼のはたらきから、カルニチンはダイエット効果が期待されている成分でもあります。
食品やサプリから、通常の摂取量以上にカルニチンをとることによって、ダイエットに良い影響があるといえるのでしょうか?
ヒトに対する脂肪燃焼効果はいまだ研究途上
研究分野でもカルニチンの効果は注目されており、様々な研究がおこなわれています。
動物を対象とした研究では体重増加抑制作用*1)や脂肪燃焼促進効果*2)が報告されているものの、ヒトを対象とした研究では、「効果がないとする報告」と「運動を併用した場合に効果があったとする報告*3)」が混在しており、今のところは結論が一貫していないのが現状です。
*1)辻原 命子, 谷 由美子. 高脂肪食飼育ラットの脂質代謝におよぼすカルニチンおよび運動負荷の影響. 日本家政学会誌 Vol.48 No.1 5~9(1997)
*2)田島 眞. L‐カルニチン-その存在量と生理機能-. 実践女子大学 生活科学部紀要第 54 号, 001~005 (2017)
*3)田島 眞, 松ノ井 恵実, 櫻井 佳穂. 第6回日本食育学会学術大会講演要旨集 96(2012)
ダイエット目的での摂取の必要性は低い
現時点では、カルニチンをどのくらい摂ればダイエット効果があるのか、といったことについては「わからない」というのが現状です。
そのため、カルニチンを関連成分としたサプリメントなどを、ダイエット目的でわざわざ摂取する必要性は低い、と考えられます。
今後研究が進むことでダイエットに役立つものとして利用される可能性はあるものの、現時点では「誰でも簡単にやせる魔法のやせ薬」のようなものではないことは確かです。
まとめ
ダイエット効果を期待されているカルニチンですが、現時点ではどこまで効果があるかはわかっていないようです。
また、カルニチンは健康な状態、偏りのない食生活であれば体内で必要な量が合成されるので、不足を心配する必要はありません。
近年は様々な機能性成分によるダイエット効果が期待されていますが、魔法のように痩せられるものは存在しないのが現状。
ダイエットの基本は食事からの摂取エネルギーと運動などによる消費エネルギーのバランスを整えることが原則です。
確実な効果を得たいのであれば、堅実な方法がいちばん、といえそうです。
簡単・続けやすいダイエットのための習慣改善について詳しく解説した記事はこちら
参考文献 *1)辻原 命子, 谷 由美子. 高脂肪食飼育ラットの脂質代謝におよぼすカルニチンおよび運動負荷の影響. 日本家政学会誌 Vol.48 No.1 5~9(1997) *2)田島 眞. L‐カルニチン-その存在量と生理機能-. 実践女子大学 生活科学部紀要第 54 号, 001~005 (2017) *3)田島 眞, 松ノ井 恵実, 櫻井 佳穂. 第6回日本食育学会学術大会講演要旨集 96(2012) 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:「健康食品」の安全性・有効性情報(アセチル-L-カルニチン、カルニチンについて) |