2019.04.20

玄米は栄養たっぷりでダイエット効果もあるって本当?

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玄米ごはん

健康的な食生活の一つとして注目されている玄米ですが、白米と比べてどのような点で健康的といわれているのでしょうか?
実は栄養面で優れているところと、よくないところの両方をもつ食材でした。
玄米の栄養価や健康効果、注意点を紹介します。

玄米とは

玄米は精製度の低いお米

白米は稲から外した状態ではもみ殻という殻に覆われています。
もみがらを外しただけのものが玄米といわれる状態です。
玄米には「ぬか」や「胚芽」が残っていますが、精米という作業によってこれらを取り除き、「胚乳」といわれる部分だけにしたものが白米です。
一般的に広く食べられているお米は「白米」といわれる状態です。

玄米と白米の構造図

玄米と白米の間のお米もある

玄米を精米すると白米になるわけですが、白米にする途中で精米を止めたタイプのお米もあります。

玄米に近いものから、3分つき米や半つき米(5分つき米とも)、7分つき米などがあります。

栄養価は?

一般成分
玄米ごはん 白米ごはん
エネルギー 297kcal 302kcal
タンパク質 5.0g 4.5g
脂質 1.8g 0.5g
炭水化物 64.1g 66.8g
うち食物繊維 2.5g 0.5g
ビタミンB1 0.29㎎ 0.04㎎
ビタミンE 0.9㎎ 微量
マグネシウム 88㎎ 13㎎
カリウム 170㎎ 52㎎
1.1㎎ 0.2㎎
*それぞれお茶碗約1杯分180gあたり。日本食品標準成分表2015年版より

※横スクロールで表全体の確認が可能です。

白米との比較

なんとなくエネルギー(カロリー)の低いイメージのある玄米ですが、エネルギー(カロリー)は白米と大きな差はありません。
特徴的なのは食物繊維や一部のビタミンやミネラルが白米よりも多い点です。
白米である胚乳の部分には炭水化物がほとんどを占め、ビタミンやミネラルはぬかや胚芽の部分に多く存在するため、それらを残した玄米のほうがより含有量が多いというわけです。

食物繊維が豊富
穀類は優秀な食物繊維の摂取源

食物繊維はエネルギー(カロリー)がほとんどないにもかかわらず、食事のかさを増やし、排便を促して便秘の予防や解消に役立つ成分です。
お米をはじめとする穀類(米、小麦など)は、主食として食事への登場頻度も高く、その量も多いため、食物繊維を摂取するのに適した食品といえます。

その中でも玄米は食物繊維が豊富なので、毎日の食事で無理なく食物繊維をとるのに役立ちます。
1日1回、お茶碗1杯分を白米から玄米に変えるだけで、2gほどの食物繊維を増やすことができます。

日本人は食物繊維が不足ぎみ

平成29年の国民健康・栄養調査では20代の女性の食物繊維の摂取量はおよそ12g。
日本人の食事摂取基準では18g以上が目標とされています。
野菜などの摂取量を増やすことに加えて玄米を活用することで、食物繊維の摂取量を目標値に近づけることができるといえます。

ぬかに含まれるビタミンB1

ビタミンB1は糖質をエネルギーに変えるときに必要なビタミンです。
糖質をとっていてもビタミンB1が不足していると十分に活用されません。
ビタミンB1は玄米だけの成分ではなく、豚肉などにも豊富に含まれているため、白米を主に食べているからといってすぐに欠乏症になるわけではありませんが、玄米の栄養素としてはとても魅力的な成分です。

ミネラルは豊富なものの吸収率が低め

白米に比べてマグネシウムやカリウム、鉄分が豊富な玄米ですが、その吸収率はあまりよくありません。
フィチン酸という成分が結合した状態で含まれており、そのフィチン酸は吸収されにくい成分であるため、玄米のミネラルは排泄される割合も高いのです。
その他の食品のミネラルや、体内のミネラルまで排泄させてしまうわけではありません。
玄米はミネラルが入っているけれど、素通りすることが多い、とだけ覚えておくといいかもしれません。

その他の体にいいとされている成分

このほかにも、玄米には健康にいいとされる成分が含まれています。
とはいえ、玄米として普段の食事の中で効果を期待するのは難しいものがほとんどです。

フェルラ酸

イネ科の植物に含まれるポリフェノールのひとつで、いわゆる「抗酸化作用」をもっています。
体内の活性酸素を除去する働きが期待されていますが、実際の有効性はまだ分かっていません。

γ-オリザノール

フェルラ酸を含む成分で、高脂血症に対する医薬品としてもつかわれている成分です。
とはいえ、通常食事として摂取する量では薬のような効果は期待できないため、血中脂質の改善を目的として玄米を食べることに薬のような効果はないといえます。

GABA

γ-アミノ酪酸ともいわれ、「血圧が高めの方に適する」特定保健用食品にも使用されています。
こちらも玄米からの摂取量では、効果がみられると言えるものではありません。

からだに悪いといわれているもの

反対に、玄米には健康に悪いといわれている成分も存在します。
インターネット上では玄米は食べないほうがいいとする意見も見られますが、実際はどうなのでしょうか?

フィチン酸

フィチン酸がミネラルと結合し、食事中のミネラルの吸収を妨げてしまうといわれています。
しかし、ミネラルの箇所で述べた通り、玄米のフィチン酸は玄米中のミネラルと結合した状態で存在しており、それ以上のミネラルの吸収は阻害しません。
白米と玄米でミネラルの吸収量を比べた実験でも、白米に比べて玄米のミネラルの吸収率が低くなったという結果は出ていません。

アブシシン酸(アブシシン酸といわれることも)

体内で活性酸素の発生を促す働きによって、悪い影響があるのではないかといわれています。
しかし、活性酸素は普段の生活でもある程度は発生しており、その都度体内の抗酸化物質によって処理されています。
玄米に含まれるアブシシン酸の働きによって健康に害があらわれることは考えにくいといえるでしょう。

無機ヒ素

土壌中にある程度の量の無機ヒ素が含まれており、それがお米のぬかの部分に移行します。
そのため、玄米を食べることによるヒ素の影響を心配する意見も見られます。
しかし、日本の食品安全委員会でも、玄米やぬか漬けを食べることでヒ素による健康への問題はないとしています。
通常の食生活の中で体内に入るヒ素について、健康に悪影響が生じたとする国内のデータはないといわれています。

ダイエットや健康に効果はあるの?

玄米と白米の比較

ダイエット効果は限定的

エネルギー(カロリー)に関して白米とは大きな差はないため、いつも食べている白米ごはんを玄米ご飯に変えたとしても、カロリーオフ効果はほとんどないと考えられます。
白米に比べてしっかりした食感があるので、よく噛んで食べることによって満腹感を感じやすくなるということはあるかもしれません。

健康効果は短期的には便秘解消、長期では食物繊維による生活習慣病予防の手助けに

玄米に期待できる短期的な健康効果は、食物繊維による便秘解消効果が最も大きいといえるのではないでしょうか。
玄米だけからとる必要性はありませんが、食物繊維の十分な摂取を長期にわたって続けることで、将来の生活習慣病のリスクを下げることは期待できそうです。

食物繊維以外の微量の成分による健康効果も話題に上ることはありますが、玄米を食べることによってその効果が発揮されるといったデータは十分にはありません。

塩分摂取過多に注意

玄米を中心とした和食、というと健康的なイメージがありますが、和食は脂質の使用量が少なく済む反面、塩分をとりすぎる傾向にあります。

日本人の食塩摂取量は20歳以上の女性でおよそ9g(目標値:7g未満)、20歳以上の男性でおよそ11g(目標値:8g未満)と、取りすぎている人が多いのが実情です。

玄米では食べやすさのために塩を加えて炊くことも多く、食事の中の食塩の量が多くなりやすいのが気になるところです。
おかずも含め、塩分をあまりとりすぎないように薄味を心がけるなどの工夫も必要かもしれません。

毎日の食事で上手に取り入れるコツは?

玄米は白米に比べ、ぬかや胚芽によって独特の味わいになります。

十分な吸水と少量の塩でやわらかく

玄米のごはんはパサパサして食べづらいと感じる人も多いのではないでしょうか。
玄米はお米全体をぬかが覆っているために、白米に比べて水分が吸収されにくい特徴があります。
洗米後、6時間ほどかけて十分に吸水させたり、炊くときに多めの水で、少量の塩を加えることでやわらかく炊き上げることができます。
炊飯器の玄米モードで炊くか、圧力なべでもおいしく炊けるようです。
また、食物繊維が多く消化吸収はしにくいため、よく噛んで食べるようにしましょう。

炊き方レシピ(炊飯器)

【分量】1合分

玄米 1合(約150g)
270ml
小さじ1/4

※横スクロールで表全体の確認が可能です。

【作り方】
1. 玄米をボウルに入れ、洗米用の水を注ぎ、さっと洗うのを2~3回行う。
2. 洗米用の水を捨てた後、分量の水を加えます。炊飯器の内釜に玄米用の水位線がある場合は、そちらに従いましょう。
3. お好みで塩を加え、6時間ほど給水させます。気温の高い時期は雑菌の繁殖を防ぐために冷蔵庫内に保管することをおすすめします。(炊飯器モードのある炊飯器では、不要な場合もあるようです)
4. 炊飯器で炊きます。給水させない場合は必ず玄米モードで炊きましょう。
5. 炊きあがったらしゃもじでごはんをほぐして完成です。

玄米を食べやすく取り入れるコツ

どうしても玄米は食べにくい、という場合は、白米と玄米を混ぜ込んでみたり、少し精米された半つき米や7分つき米を活用するのもいいですね。
また、発芽させることによってやわらかく食べやすくなるといわれている発芽玄米というものもあります。

無理して食べなくてもいい

玄米は主食であるため、食べる頻度が高く、毎日の食物繊維などの摂取量をアップさせやすいのが魅力です。
しかし、やはり白米に比べて食べにくいと感じる人が多いのも事実です。
穀類の中でも、全粒粉や押し麦、もち麦なども食物繊維が多い食品としてよく知られています。
また、食物繊維の摂取源は穀物だけではなく、野菜や果物、きのこ、海藻類など、様々なものがあります。
玄米が食べづらければ無理に取り入れる必要はありません。
食生活全体を見たときに、何かをとりすぎていたり、足りなすぎるものがなければ問題はありませんので、自分の取り入れやすいものを食べましょう。

玄米だけでは不十分

反対に、玄米だけで健康的な生活が送れるというわけでもありません。
たまに「玄米は完全栄養食品」といったような意見も見られますが、玄米だけの食事ではすべての栄養素はカバーできないのです。
食物繊維やビタミンなどはある程度とれますが、毎日の健康のためには、いろいろな食材を組み合わせた適量でバランスの取れた食事、十分な睡眠や適度の運動も必要です。

健康的な食事の一部として、玄米を取り入れてみてくださいね。

参考文献

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:「健康食品」の安全性・有効性情報(フェルラ酸、γ-オリザノール、γ-アミノ酪酸について)

井上良計.米糠に含まれる機能性成分その生理作用 美味技術研究会誌No.3・4 19-22(2003)

森 治夫.フィチンの研究(第 1 報)穀類のフィチンの水溶性について 栄養と食糧,第16巻 第5号82-85(1963)

森 治夫.本邦産穀類及び穀類製品のフィチン酸の研究 (第1報) 栄養と食糧 12巻(1959-1960)4号254-257(1959)

小林勇気,田中寛.植物ホルモン・アブシシン酸の進化と機能 植物ホルモン・アブシシン酸獲得のルーツ 化学と生物 Vol.55,No.4,256-262(2017)

農林水産省:「食品中のヒ素に関するQ&A」

三好 弘子,奥田 豊子,小林 紀崇,奥田 清,小石 秀夫.日本人成人男子のミネラル出納におよぼす米繊維の影響 日本栄養・食糧学会誌 Vol.40 No.3 165~170(1987)