ナッツは脂肪分たっぷりなのにダイエット中の間食に最適って本当?

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ナッツとダイエット

「ナッツはダイエット中のおやつに最適」
「ナッツは脂肪分が多いためダイエット中は避けるべき」
このような、矛盾するような話を見たことはないでしょうか?
それぞれ理由があるようですが、どちらを信じればいいのでしょうか?

ダイエット中のおやつにナッツ。理想的?それとも妨げになる?

いろいろな情報が入り混じっている

ダイエット中にナッツを食べることについて、「OK派」の主張の理由は以下のようなものが多いようです。

・噛み応えがあり、少量で満腹感を感じられる
・油分が多く腹持ちがいい
・不飽和脂肪酸が脂肪を燃焼する、肥満につながりにくい
・食物繊維が豊富で便秘を改善する
・ビタミンやミネラルが豊富で代謝を促進する

対して、ダイエット中のナッツは「NG派」の理由はシンプルです。

・脂質を豊富に含み、高カロリーである

どちらも一見正しそうですが、実際のところはどちらが本当なのでしょうか?

ナッツ類の栄養的特徴

文部科学省が発表している日本標準食品成分表から、
・くるみ
・ピスタチオ
・マカダミアナッツ
・落花生
・アーモンド
といった比較的身近なものを選び、栄養成分を確認してみました。
エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物に加え、特徴のあったビタミンE、食物繊維量について紹介します。
(味付きのものとそうでないものの数値がありますが、エネルギーや主要栄養素には大きな差はないと考えられるため、このまま比較します。)

エネルギー たんぱく質 脂質 炭水化物 食物繊維 ビタミンE
くるみ・いり 674kcal 14.6g 68.8g 11.7g 7.5g 1.2㎎
ピスタチオ
いり・味付け
615kcal 17.4g 56.1g 20.9g 9.2g 1.4㎎
マカダミアナッツ
いり・味付け
720kcal 8.3g 76.7g 12.2g 6.2g 微量
落花生・いり 588kcal 25.0g 49.6g 21.3g 11.4g 10.4㎎
アーモンド・いり 608kcal 20.3g 54.1g 20.7g 11.4g 28.8㎎
*100gあたり

※横スクロールで表全体の確認が可能です。

脂質が多く、エネルギーの高い食品

50-70%を脂質が占めているのが特徴です。
中でもマカダミアナッツは脂質の含有量が多く、また脂質の多さに伴い、エネルギーの高さが目立ちます。
脂質含有量とエネルギーを見ても、バターとさほど変わらないというので驚きです。
(有塩バター100gあたりの脂質は81.0g、エネルギーは745kcalです。)
表にはしていませんがバターに比べると飽和脂肪酸が少なく、不飽和脂肪酸が多いという違いはありますが、食べすぎは肥満のもとになるという点は同じですね。

食物繊維も比較的豊富

ナッツ類は食物繊維も豊富で、ごぼう(100gあたり食物繊維5.7g)よりもかなり多く含まれています。
とはいえ、1回に食べる量とエネルギーを考えると、1日の摂取基準(成人男性20g以上、成人女性18g以上)を満たすのに効率のいい食品とは言いにくいでしょう。

アーモンドはビタミンEが多い

ナッツ類全般というよりも、アーモンドにビタミンEが多く含まれています。
通常の食生活で不足するといったことは起こりにくいので、ビタミンE補給のためのナッツ、という使い方はあまり現実的ではなさそうです。

ダイエットに関するナッツの機能性

ナッツとダイエットの関係

ナッツは脂質が多くエネルギーが高い一方で、食物繊維や不飽和脂肪酸、ビタミンEが多いというのも事実のようです。

では、ナッツに含まれるこのような成分にダイエットを後押しする機能はあるのでしょうか?

不飽和脂肪酸に体内の脂肪を燃焼させる働きはない

飽和脂肪酸に比べると、不飽和脂肪酸は血中コレステロール値を上げにくい性質があり、生活習慣病予防に効果的な脂質です。
しかし、この機能は体脂肪の燃焼や体重減少とは関係がなく、ダイエットに効果があるとは考えにくいでしょう。

食物繊維は便秘解消を助けるものの体脂肪の減少とは関係しない

食物繊維は腸を刺激して便通を促す働きがあります。
しかし、便秘解消による体重減少は腸管の内容物が減ったことによるものであり、体脂肪の減少とは区別するのが望ましいでしょう。

ビタミンは「不足しないこと」が重要

ビタミンEだけでなく、ビタミンやミネラルは不足するとエネルギー代謝やその他の体内のはたらきに問題をきたします。
しかし、ほとんどの現代日本人など、ビタミンなどの不足状態にない人がビタミンやミネラルの摂取量を増やしたからと言って、エネルギー代謝がさらに活発になるわけではありません。
ちなみに、ビタミンの中でもナッツに比較的豊富に含まれるビタミンEはエネルギー代謝にはかかわっていないため、ナッツを食べてビタミンEを補給しエネルギーを消費する、という働きはありません。

そのほかの機能はある?

そのほかの新規成分の機能がダイエットにかかわっている、とする説明もありますが、ナッツ類が肥満の解消やダイエットに効果があるとするデータは得られませんでした。

ナッツ類に関して、比較的不飽和脂肪酸の多い食品であること、食物繊維が多い食品であることから、高脂質のわりに健康的な一面もあることは事実ですが、それがダイエットに何か効果をもたらすかといえば、そうではないようです。

ダイエットの基本はカロリー収支。
トータルでマイナスになれば基本的には何を食べてもいい

摂取エネルギーと消費エネルギーの差

ダイエットで体について脂肪を落とすとき、必要なのは
「摂取エネルギーよりも消費エネルギーを大きくすること」です。

食事を一部減らすことで摂取エネルギーを少なくしたり、
身体活動を増やすことによって消費エネルギーを増やしたり、といったことが基本です。

食べるだけで消費エネルギーを増やす、といった食品はほとんどなく、その食品自体にもエネルギーが含まれることがほとんどなので、「食べるだけでやせる食品」というのはほとんど存在しないと考えたほうが確実です。

なんでも食べ過ぎれば太る

「太る食べ物」「太らない食べ物」というのは正確ではなく、どんな食べ物を食べていても摂取エネルギーが消費エネルギーを上回った状態では太るといえます。

ナッツは重さあたりのエネルギーが高い食べ物ですが、食事全体の量や内容が調整されていれば、食べて必ず太る、ということはありません。

健康的な食材、を免罪符にしない

一方、一般的なお菓子類と比較すれば、ナッツ類は食物繊維が豊富で不飽和脂肪酸が多い点で「健康的」な食べ物といえそうです。

ですが、健康によい成分が入っていることと、摂取エネルギーの過剰は全くの別物です。
ナッツは食物繊維が豊富だから、健康的な脂質をふくむから「太らない」ということはありません。

あくまでも「適量の範囲」で食べることが大事です。

ダイエット中にナッツはどのくらい食べていい?

ナッツを食べる

ダイエット中の間食は100kcal以内に収められるとベター

ナッツ類は基本的に間食として食べることが多いと考えられます。
間食は食べてはいけないものではありませんが、食べすぎは摂取エネルギーの過剰だけでなく、栄養バランスもとりにくくなるため、ほどほどの量に抑えるのがいいでしょう。

間食においての「ほどほどの量」とはどのくらいでしょうか。
日常生活における理想的な食事のバランスを示した「食事バランスガイド」では、お菓子や嗜好飲料は1日200kcalまでに抑えるのが望ましいとされています。

しかし、ダイエット中の間食ということを考えるのであれば、少し控えめに1日100kcal程度まで、としたほうがいいですね。

100kcal分のナッツはどのくらい?

各種ナッツについて、100kcal分の量を調べてみました。
・クルミ(煎り)…15g…5かけほど
・ピスタチオ(煎り・味付け)…16g(殻付き30g)…30粒ほど
・マカダミアナッツ(煎り・味付け)…14g…7粒ほど
・落花生(煎り)…18g(殻付き25g)…20粒ほど
・アーモンド(煎り)…17g…15粒ほど

ナッツの適量

手のひらに乗りきるくらいの量であれば、間食としても問題なさそうです。
袋から直接取り出して、だらだらと食べないように注意しましょう。

ナッツはやせる目的で食べるもの、というよりは少し健康的な素材系おやつとして

ダイエット中の間食としてのナッツ類は、やせる成分が含まれた特別な食品ということはありません。

クッキーやチョコレート、ケーキなどと比較すれば、噛み応えがあり、食物繊維や不飽和脂肪酸が比較的多いというメリットはあります。
その一方、脂質を多く含み、エネルギーの過剰摂取につながりやすいデメリットもあります。

紹介した適量を守り、「少し健康的なおやつ」として、食べすぎに注意しながら楽しむのがよさそうです。

参考文献

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:「健康食品」の安全性・有効性情報(マカダミアナッツ、クルミ、カシューナッツについて)

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。